2011年9月30日金曜日

PFドラッカー365の金言より 48

重要な活動が何かは本に書かれていない。それは事業によって異なる。
事業規模が拡大することが明らかとなったら、経営者は
①「存続と成功がかかっている活動は何か?」を主な関係者と相談しなければならない。
②経営者をはじめとする主な関係者の一人ひとりが、「自らが得意とするもの」「ほかの人達が得意とするもの」は何かを考え、それぞれの「強み」を応じて、いずれの活動を担当すべきで、いずれの活動に適しているかを考えなければならない。
③その上で、各自の役割分担を明確にしなければならない。
そのため、トップマネジメント・チームの構築が必要となる。

(コメント)
業種と企業内の事業種類数にもよりますが、30人規模を超えるあたりから、社長一人で経営の全てを判断することは難しくなり始めます。その為、トップマネジメント・チームの構築が必要となってくるのです。財務・資金繰りの責任者を決め、もっと事業規模が大きくなると事業部長を決めます。しかし、その人材が適任でなければトラブルが発生してしまいます。
このトラブルを未然に防止する(正しい考え方を教授する)役割を果たすのが社外アドバイザー(疑似の社外取締役)です。
「人は石垣、人は城」と言うように、どんなに優秀な機械設備があっても、またどんなに沢山のお金があっても、更にはどんなに優秀な人材が社内にいても、人をうまく活用する術を知らなければ、充分な成果を得ることは難しくなります。
人をうまく活用して充分な成果を得るためには、人事労務管理は極めて大切な役割を果たします。
数年前から経営相談にのっている企業の例ですが、結局は取締役に問題があるという結論に達したので、取締役の半数を一新することになりました(私もこんなのは初めての体験でした)。そして、この企業では、取締役が交替すると業績が向上し始めました。
人事労務管理とは、一般従業員のことだけではなく、取締役の人事労務管理も含みます。代えることができないのはオーナーだけではないでしょうか? オーナーを中心に、どんなに良い音色を奏でるトップマネジメント・チームを構築するか次第で企業の業績は変わります。コンサルタントが言う経営ノウハウによる影響は僅かな場合が多いようです(魚は頭から腐る。腐った魚にどんな味付けをしても美味い料理にし難い)。

2011年9月29日木曜日

PFドラッカー365の金言より 47

企業経営においては、利益よりもキャッシュの方が先に問題になる。「債務は2カ月早く決済しなければならず、債権は2カ月遅く決済される」と考えるべきである。キャッシュがなければ、利益の数字も虚構に終わる。
財務のマネジメントは、キャッシュフロー予測によって容易に行うことができる。ここで言う予測とは、希望的観測ではなく最悪のケースを想定した予測である。最小限でも「売掛金」と「在庫」と「人件費」の増減に目を光らせてください。

(コメント)
まず最初に、損益計算書で利益が出ているということは、キャッシャが増えていることを必ずしも保証しないということを理解する必要があります。利益が出ていても、在庫が増えていたり、回収不能の売掛債権が増えているときにはキャッシュは増えません(寧ろ減ってしまいます)。
自分自身が倒産して、よく理解したことがあります。企業は赤字だから倒産するのではなく、キャッシュ(お金)が不足するから倒産してしまうのだということです。赤字でもキャッシュが続く限りは倒産しません。「倒産手続き」を裁判所に申請しても、この点を重点的に調べられます。そして、色々な企業の事業再生をお手伝いした経験上からも、そのことを納得しました。
上記文末の「売掛金」「在庫」「人件費」のうちの「人件費」は私独自で追記したものです。業種によってキャッシュフローの変化をチェックする際の注意点は違いますが、私の経験則からするとこの3点はどの業種にも必要なチェック・ポイントのようです。
また、ドラッカー先生は「債務は2カ月早く、債権は2カ月遅く決済される・・・」と言われることで、2カ月分以上の現預金を余裕資金として確保する必要があることを説かれていますが、中小企業の実務では中々平均売上の2カ月分の余裕を持つことは難しいようです。しかし、余裕資金が1カ月を下回る状態に陥ったときは危険信号であると思った方が良いようです。特に、成長著しい企業においては、将来に対する予測が楽観的になり、余裕資金を投資に回してしまい窮地に陥ることが多いので注意が必要です。

2011年9月28日水曜日

PFドラッカー365の金言より 46

企業が成長するほど、財務見通しの欠如が命取りになる。
ベンチャー企業は幸運に恵まれると急成長を始める。だが一年半後に挫折する。
①今日必要な現金がない
②事業拡大に必要な資本がない
③支出、在庫、債権を管理できない。
これらの病は同時に起こる。たとえ一つであっても健康を損なう病である。財務上の危機はひとたび起こるならば、立て直しに非常な苦労と苦痛をともなう。
必ず財務計画を立ててください。

(コメント)
「企業規模が大きくなるほどお金持ちになる」と安易に考えている人は多いようです。しかし、企業が成長し始めると、それまでよりももっとお金が必要となります。丁度、成長期の子供は老齢期の老人よりもお金が沢山必要となるようなものです。それを上手く予測し、計画化することで、コントロールする必要があります。
私は大昔に銀行員でした。そのときに受けた営業教育では、「新規融資先を探すときには売上が伸びている先を探せ」と教えられました。何故なら、売上が伸びている企業は必ずと言って良い程お金が足らなくなるからです。
私は現在は社会保険労務士ですが、このときの経験を活かして、希望される顧問先には試算表を社長にとって見易い書式に作り直し、キャッシュフロー計算書(≒資金繰り表)と一緒に、その「変化の原因」を究明するようにしています。ただ、このサービスを始めてわかったことは、世の中には試算表の利益額しか見ていない社長が多いという事実です。そして、この種の社長に言えることは「試算表で利益が出たということと、お金が増えたということは違うものだ」ということをご存じない場合が多いのです。
因みに、銀行員時代の同僚は、銀行を止めて東京でこのサービスだけでメシを食べています。

2011年9月27日火曜日

PFドラッカー365の金言より 45

マネジメントの目的は、顧客を変えることではない。
マネジメントの目的は顧客を満足させることである。
製品やサービスの意味(=価値)を決めるのは、顧客であって生産者ではない。
マネジメントは外へ出て行かなければならない。
最大の危険は、生産者が製品やサービスの意味(価値)を顧客以上に知っていると過信することである。

(コメント)
頑固な「広島風お好み焼き屋」さんがあります。ここではマヨネーズをお好み焼きにかけて食べることは厳禁です。おやじさんが頑固で「マヨネーズをお好み焼きにかけると、うちのお好み焼きの美味しさがわからなくなってしまう」というので厳禁されているのです。
隣には世間並の美味しさ(飛び抜けて美味しい訳ではない)のお好み焼き屋さんが昔しからあり、こちらはマヨネーズをかけて食べても文句を言われません。このお好み焼き屋さんは、今では鉄板焼き兼お好み焼き屋として規模を拡大してチェーン展開をされています(どちらかというと鉄板焼き居酒屋さん風になっています)。
私も生粋の広島育ちですから、昔し、わが子がお好み焼きにマヨネーズをかけて食べるのを見て「それは邪道だ」といったことかあります。しかし、今では私もお好み焼きにマヨネーズをかけています。この食べ方も結構美味しいと思います(中に入れる具次第ですが・・・)。
同じような例が「つけ麺屋さん」でもありました。
とのようにして食べるのが「美味しいか」を決めるのは顧客です。
自らが提供する製品やサービスに対して顧客がどのように反応するかを調べて、それに対応することが生産者には必要なのであり、そこにマネジメントが必要となります。自らの価値観を顧客に押し付けるのであれば個人商店(趣味)に過ぎず、マネジメントは不要となります。
50歳を超え高齢になると「最近の若い者はモノの価値を知らない」と嘆くことが多くなりますが、これも注意しなければならない点(価値観が変化している)かもしれませんネ!!

2011年9月26日月曜日

PFドラッカー365の金言より 44

薬でさえ、意図せぬ治療に使われることがある。
イノベーションやベンチャーは、自らの製品やサービスが、思いもしなかった市場において、思いもしなかった使われ方のために、思いもしなかった顧客によって買われているとの前提でスタートしなければならない。市場志向でなければ、生み出すのは競争相手のための市場となる。


(コメント)
「自分はそんな使われ方のために製品を開発したのではない」「これが自分が想定した本来の使い方だ」等と顧客や市場の反応を否定してはいけません。
顧客は自らが抱える問題解決のために製品を購入し、自らの問題を解決する訳ですから、製品作成者の意図は余り関係ありません。
あるがままの顧客の使い方、受け止め方を受け入れる(自然体)ときに、新しい市場が開けてきます。
ですから、「予期せぬ成功」と「予期せぬ失敗」を振り返ってみることが大切なのです。そこに新しい市場の可能性が潜んでいる筈です。
子供は目の前にあるモノから色々な使い方・遊び方を考えていきます。高齢者は「あるべき論」でスタートして「あるべき論から外れるもの」を排除してしまいます。だから、子供は成長し、高齢者は衰退していくのではないでしょうか?自然体になり、客を受け入れ、自由な発想をすることが必要ではないでしょうか?
私の他のブログも、ある新規の顧客から「村上さんがどんな人物なのか予めわからないので、わかるようにした方が良い」とアドバイスをもらいましたので、新規顧客開拓の一助になればと思い始めたのですが、どうも、若手の社労士さんや社労士見習いさんが実務学習のために閲覧していることが多いようです。

2011年9月25日日曜日

PFドラッカー365の金言より 43

規模だけ増えて生産性が向上しない成長は「脂肪太り(=肥満)」である。生産性を高めることができない量的な増加は、汗を流して絞らなければならない。
もちろん、生産性の低下を招く規模の増大(=癌細胞の発生)は、思い切った手術で直ちに切除しなければならない。

(コメント)
色々な企業から相談を受けていて、人数規模が大きくなった、売上規模が大きくなったと喜んでいる経営者の方々に良くお目にかかります。
その時に私がアドバイスするのは、『「従業員1人あたりの1時間当たり生産性」をチェックするようにしてください』です。この場合、残業時間数や休日労働時間数も含めた時間当たり生産性を計算して比較します。
そうすると、数週間後に再会したときに「生産性は寧ろ落ちていた」と言われる経営者が多いのにはビックリします。今までよりも規模が大きくなったので、経営者が気づかない処でムダが発生していたのです。
企業が成長し(必ずしも規模が大きくなることではありません)、従業員のワークライフ・バランスに配慮するはためには、1人あたり1時間当たり生産性をチェックし続けるのが一番の早道です。

2011年9月24日土曜日

PFドラッカー365の金言より 42

「強みに集中せよ」との格言は常に正しい。
組織は多角(分散)化していないほどマネジメントがし易い。単純(集中)であれば明快である。複雑になれば、原因を突き止めることが難しくなる。
もし、いま多角(分散)化しているのならず、市場もしくは技術の観点から一体性を保つ方法を工夫してください。

(コメント)
私は昔し、女性向け服飾雑貨卸売業を営んでいました。その他に直営小売店もありました。
女性向け服飾雑貨卸売業では、流行にあわせてアクセサリー、エプロン、パンティストッキング・靴下、帽子、バック、ファンジー雑貨、和装品小間物などを取り扱っていました。流行と顧客ニーズに基準を合わせて取扱商品を変えていくのですが、頭の中はパニックになってしまいました。当然のこととして、それぞれの商品群には担当者がいましたが、全体の統合がとれなくなっていました。これに加えて、小売業と美容材料専門卸売業という全く違う業態の部門もありましたから更に深刻な事態となっていました。明らかに自らの能力を超えた業務展開でした。
そのため、「力の分散」が発生してしまい、折角のチャンスを充分に活かすことができず、最後には倒産してしまいました。いま思えば、早期に捨てるものを捨てた方が良かったのですが、過去の経緯や人間関係から、それができませんでした。
やはりPFドラッカー先生の言われるように、組織は単純なほうが明快で、原因が特定し易く、対策も実行し易いのです。そのため、いまの私は「Simlpe is best」を常に心がけるようになりました。コンサルタントとして顧客に説明するにしても、説明が複雑だと顧客が理解できないので、出来る限りSimpleに説明するようにしています。そうしなければ、一人でビジネスをするのであれば兎も角として、組織としてビジネスをしようとすると組織に浸透しないから十分な成果が上げられないのです。その際の基準となるのが「市場(顧客)」と「自社の技術」です。
「流行りだから・・・」「お買い得だから・・・」「友人に頼まれたから・・・」と安易にM&Aをしたり、多角化することは自重した方が良いと考えます。そして、このときに大切なことは「自社が守るべきことは何か?」を明確にすることだと思います。

2011年9月23日金曜日

PFドラッカー365の金言より 41

コスト管理とは、コスト削減ではなく、コスト予防でなければならない。
コストが自動的に下がることはない。従って、コスト予防は不断の課題である。コストは繰り返し点検していかなければならない。こうして組織内の誰もがコスト意識をもつようになる。
コスト管理を脅威としてではなく、機会(チャンス)として見るようになる。
あらゆる活動を2~3年ごとに見直してください。

(コメント)
これこそノーコメント!!解り易いドラッカー先生の教えだと思います。
コスト管理は脅威ではなく、機会(チャンス)の発見なのです。コスト管理を会社組織の全員が意識し、組織の体質にすること(根付かせること)が大切です。

2011年9月22日木曜日

PFドラッカー365の金言より 40

通常、コスト削減は、「どのようにしてこの活動の効率を高めるか」を考えることから始まる。
しかし、これは間違いである。「この活動を止めたら屋根は落ちるか?」を考えなければならない。
顧客価値に貢献しない企業活動、製品機能は縮小するのではなく廃棄すべきである。
コスト削減に成功している企業では、必要に迫られるまでコスト削減を待つことはない。そうした企業は、コスト削減を日常の仕事に織り込んでいる。体系的な廃棄を日常の仕事にしている。そうすることで抵抗を回避することに成功している。

(コメント)
ドラッカー先生は、体系的に、日常的に、「計画的廃棄」をいるように勧めていらっしゃいます。
部分的な改良やカイゼンでは事態を抜本的に打開することはできないからです。しかも、必要に迫られた「変革の受動者」ではなく、自らが主体的に計画的に廃棄する「変革の能動者」となることが大切であると言われています。
これをするためには、日々の活動に対してマンネリ化することなく、「何のためにするのだろうか?」と目的を明確にすることが必要です。これはブレイクスルー思考法の原則でも言われている大切なことです。
そして、価値(特に顧客にとって)が無い、無意味であると判断されるモノ・コトは縮小するのではなく計画的に廃棄(止める)することが大切です。

会社存続が危なくなった企業の再生をお手伝いするときに痛感することがあります。顧客(市場)ではもはや通用しなくなったコト・モノを自らの価値判断で惰性的に続けていることが多いのです。このような場合には、現状を改善し打開して業績の向上を図るよりも、一端は事業規模を縮小(一定ラインまで撤退)することで、顧客(市場)で通用しなくなったコト・モノを継続できなくさせる(=計画的に廃棄させる)ことが一番の特効薬となります。ただし、「計画的」であることが必要です。

2011年9月21日水曜日

PFドラッカー365の金言より 39

体重を5Kg減らす方が、体重を5Kg増やさないようにするよりもはるかに難しい。
コスト管理についても同じことが言える。
コスト増は収入増の率以下に抑えてください。コスト減は収入減の率以上にしてください。

(コメント)
非常に判り易い内容なのでノーコメントです。判り易いけど、実行し難いドラッカー先生のご指摘です。
業績が伸びているときには、投資のつもりで経費(コスト)を増やしてしまいます。
しかし、一番難しいのは業績が落ちているときです。迂闊に経費(コスト)を削減すると、それに連動して(またはそれ以上に)業績が更に悪くなってしまうからです。
このようなときには、①業績を改善するために何の経費を寧ろ増やすかを考え、②その増加経費を捻出するために何の経費を削減して、③全体として収入減の率以上に経費(コスト)減の率を下げるか、を検討しなければなりません。
銀行屋さんや税理士さんは数字しか見ませんから、コストを下げることしか提言しませんが、これは誤った提言です。コストを下げ業績を改善させるためには、お金の使い方を今までとは違うものにすることが必要です。そのためには、増やすコストもあるし、減すコストもある、しかし全体としてはコストを収入以上に減すことで、「攻めの姿勢」を失わないようにすることが大切です。そうしないと、会社組織は萎縮してしまい、負の悪循環に陥ってしまいます(会社を倒産させてしまった自らの経験談と幾多の事業再生事例より)。

2011年9月20日火曜日

PFドラッカー365の金言より 38

価格設定の唯一健全な方法は、市場(顧客)が支払ってくれる価格からスタートし、その価格に合わせて製品を設計することである。価格を出発点としてコストを削り込んでいくことは、当初かなりの苦労を要する。だが、スタートを誤り、何年も損失を続けるよりはいい。

(コメント)
「製造原価(仕入原価)が〇〇円だから、その製造原価(仕入原価)に諸経費と利益を上乗せすると販売価格は△△△円となる」とツイツイ考えがちですが、PFドラッカー先生は「顧客が望む価格は□□□円だから、製造原価(仕入原価)は〇〇円に留め、利益を出すだめには諸経費は××円以内にしなければならない」と考えなさいと教えてくれています。要するに、生産者思考ではなく市場思考(顧客思考)の発想を持ちなさいと言われています。
例えば、パソコン!! 最新機能を満載した最新モデルには顧客にとって不要な機能が沢山ついています。結局、その不要な機能のために、パソコン操作を難しいものにしてしまい、パソコンを使い難いものにしてしまっている場合が多いと思いませんか? この盲点を突いたのがデル社です。顧客が必要とする機能だけを選択できるようにして、かつ実店舗販売は行わないことで流通コストを削減しています。今後、クラウドが発達すると、この考え方は今までよりももっと実用的なものになっていくと思います。自家用車にしても、この機能もあれば便利と考えるのが生産者ですが、消費者からすると「そんな機能は無くても良いから、価格を安くしてもらいたい」というのが本心ではないでしょうか?
軽自動車メーカー(スズキ)の鈴木社長は、インドのある部品メーカーに行ったとき「入口にある噴水を維持するための費用分だけ部品価格を安くしてくれ!!」と頼んだそうです。
結局、生産者(特に設計者)は「他社との差別化」を余りに意識し過ぎて、市場(顧客)思考の価格設定から逸脱して生産者思考に陥っている場合がよくありますので注意が必要です。

2011年9月19日月曜日

PFドラッカー365の金言より 37

マーケティングの理想は販売を不要にすることである。
あなたの製品は顧客の本当のニーズに応えていますか? マーケティング上の問題の根は
そこにある。

(コメント)
「売る努力をしなくても、顧客の方から買いに来てくれること」が理想的です。
広島の老舗で長崎堂というお店があります。ここのバターケーキは逸品です。ベーシックでプレーンな味だが美味しいのです。亡くなった母は、遠方から客があるときには朝6時頃から店の前に並びに行って購入していました。「午前中も遅い時間になると売り切れとなってしまう」と母は言っていました。
「放っておいても売れていく」「品不足(欠品)となる」が、大量生産すると味が落ちるので沢山は造らない。まさに、最適規模を維持して、マーケティングを不要にした(自分達はつくることだけを考えている)販売方法だと思います。
マーケティング活動をしなければ売れなくなったとき、既存製品の販売促進を図ることだけでなく、顧客ニーズを再考して既存製品のリストラクチャリングをしなければならないのではないでしょうか?
例えば、日本酒!! 一般の人が考えると、日本酒の味はいつも同じと考えがちでずか、実は売れている日本酒は、時代の味覚の好みに合わせて味を変えているのです。あっさりした味が好まれるとき、辛口が好まれるとき、その時々の味覚の潮流に合わせて、最終工程の調合段階で味の調整をすることで、顧客の好みに合うようにブレンドしています。だから、美味しい日本酒はいつも美味しいのです。
伝統に基づく産業ですら、こうしなければ生き延びられないのですから、そうでない産業は尚更のことではないでしょうか?
自動車のメルセデス・ベンツの有名な社訓ですが「伝統を守るために変えていく」というのがあります。ここで大切なことは、「変えて良いもの」と「変えてはならないもの」とを正しく識別することだと思います。

2011年9月18日日曜日

PFドラッカー365の金言より 36

心得るべきマーケティング上の教えが4つある。
①極端な安売りをして、顧客の関心をお金で釣ろうとしてはならない。
②製品がもつ機能の市場を考える。
③本来は顧客となっても可笑しくない筈なのに顧客になっていない人達(=ノンカスタマー)を含むあらゆる顧客をマーケティングの対象とすること。
④人口構造の変化を利用すること

(今回は意味を判り易くするため本文そのものを添付しました)
①最も重要な心得は、顧客を買収しようとすることなかれである。韓国車エクセルが良い例である。エクセ自体に問題はなかったが、余りに価格設定が安すぎたため、販売促進、アフターサービス、ディーラー網整備、車自体の改善に使える資金が無くなってしまった。
②「製品がもつ機能の市場を考える」ことは、「製品を定義」することに通ずる。日本企業によるファックスのアメリカ市場制覇が良い例である。日本企業は、ファックス機器にどのような市場があるかとは考えなかった。ファックス機器が「行えること」にどのような市場があるかを考えた。宅急便事業の成長を見て、既にファックスの市場が存在していることを知った。
③自社の既存顧客だけでなく、市場におけるあらゆる顧客についてマーケティングを行えである。
④人口構造の変化をマーケティングの機会にせよである。

(コメント)
確かにドラッカー先生の言われるようにマーケティング活動を行うことが理想的だとは思います。しかし、現代社会においては、他社と差別化のための「戦略」が重要であり、戦略のために「意図的に行わないこと」も必要となると考えます。
①に関しては、アフターサービスを行わない代わりに価格を安くする、ネット販売するので意図的にディーラー網は整備しない等の意図的な戦略を立案する。
③に関しては、意図的に一部の市場に対してだけマーケティング活動を行い、他の顧客は後回しにする、または全くマーケティングしない。
などがあります。ただし、カネ(安売り)だけで顧客の関心を釣ろうとしても長続きはし得ないこと、市場の一部に対してだけマーケティングを行う前に全ての市場を鳥瞰し自社製品の戦略を考慮することが必要であることには変わりありません。
②と④に関しては現代でもそのまま通用するのではないかと考えます。

2011年9月17日土曜日

PFドラッカー365の金言より 35

(1)マーケティングにかかわる最も重要な目標は市場シェアである。
    市場シェアとして狙うべきは、上限ではなく最適である。
(2)利益額と利益幅(率)とは異なるものである。
 利益幅(率)信奉は競争相手に傘を差しかけることになる。

(コメント)
(1)市場を独占・寡占してしまうと、イノベーションに対して抵抗するようになります。
一昔前のIBMはコンピューターの市場をほぼ独占していました。その結果、オフコンに代わるパソコンが出現したときに、パソコンは玩具のようなものとして無視してしまいました。正確には、無視せざるを得なかったのです。何故ならば、パソコンよりオフコンの方が単価が高く利幅も大きかったので、既存客がオフコンからパソコンに切り替えることを阻止せざるを得なかったようです。その結果、IBMは衰退し、マイクロソフトが台頭しました。
大昔にプロ野球で巨人軍が連勝連覇を続けていたときには、プロ野球の視聴率は落ちてしまったそうです。競争状態にないとマンネリ化して技術の向上が望みにくくなり、その結果、市場関係者(消費者)は関心を持た無くなってしまうようです。
どの企業も市場を独占している状態ではなく、適度な競争状態を保ちイノベーションが行われやすい市場状態となっていなければ、ある日突然に他業種から新規参入業者が参入し、市場をひっくり返されてしまうことがないようにしなければなりません。
しかし、競争状態は、当事者からすれば「ヒヤヒヤ、ドキドキの連続でたまったもの」ではありません。そのためには、各社がある程度は差別化され、しかも適度な競争状態が保たれることが必要となります。そして、市場の大きなトレンドの変化を見落とさないようにすることが大切です。

(2)新規参入業者の新規参入手口として、最初は低価格で市場に参入し、次第に技術レベルを上げて行って上質市場にも進出していく手法があります。大昔の日本の自動車産業はアメリカにおいてこの手順で市場に参入しました。また最近では、韓国のサムソンも同様の手口で市場参入し、いまでは世界一のメーカーになっています。
新規参入業者が現れたときに、既存業者が陥る罠は「利益幅信仰」です。
そして、既存業者が気づいたときには市場を新規参入業者に占拠されてしまっていることがシバシバあります。
大切なことは「利益額を確保する」ことであり、「利益率は分析するための道具にすぎない」ということではないでしょうか?

2011年9月16日金曜日

PFドラッカー365の金言より 34

最大ではなく、最適を目標としなければならない。
 ①組織は明確な使命をもたなければならない。
 ②組織は現実的な目標をもたなければならない。
 ③何度努力しても達成できない目標は、目標として間違っていると考えなければならない。

(コメント)
PFドラッカー先生はこの言葉を、本来はNPOなどの社会的機関に対して言われています。NPOなどの社会的機関は、民間企業と違って倒産(競争の結果による自然淘汰)という事実が無いからです。
しかし、この言葉は民間企業にも言えることだと考えます。得てして最大規模を目指したために、組織が肥満化し、最後には自己統制能力を失い市場から敗退していくことが民間企業でもシバシバ生ずるからです。
30人しか従業員はいないけどもシッカリと利益を上げている会社と、1000人も従業員がいるが赤字の会社では、とちらが真の社会貢献をしているのでしょうか?
船井総研の経営指導原則の中にも「力相応の一番主義」というのがあります。単に最大になること目指しても、自社の力量を上回った規模となるとそれを維持することが難しく、寧ろいずれは敗退していくことになることが多いのです。
従って、一般企業の場合、自らの力に相応する市場で一番となることを目指すことから始めることが必要です。例えば、最初から日本一になることが難しければ、広島市で一番の〇〇業種の会社となることから始め、次第に広島市→広島県→中国地方→西日本→日本→アジア→世界と市場規模を大きくしていく訳です。手近かで身近な市場から始める訳ですから、当然に目標も具体的なものになります。
インターネット・ビジネスでひと儲けしてやろうと考えても、中々上手くいかないのはここに原因があります。インターネットはバーチャル(仮想)な世界ですが、リアルな世界での実力が伴っていないと、ネット・ビジネスでの成功も長続きしないものとなります。ですから、近所の、或いは身近な市場における販売力が向上していないとネット社会での成功も覚束ないものとなってしまいます(=ネットでは顧客の反応を五感で感じ取ることが難しいから・・・)。
まずは、いまの自分の力に相応する市場で一番となることを目指すこと、最大化を目指すと得てして肥満化してしまうこと、これを防ぐには、出来る限り具体的な目標を持つことが有効であること、は肝に銘じておいた方が良いと思います。

2011年9月15日木曜日

PFドラッカー365の金言より 33

統計は出発点にすぎない。現場に行き、見て、訊(キ)く者にとってのみ、変化は信頼の高いイノベーションの機会となる。

(コメント)
ドラッカー先生も現場主義です。統計数値を見たり、識者から聞いたり、雑誌や新聞で記事を読んでも、本当のことはわからないことが多いのです。
統計は、自分がどこの現場に行くべきかを判断する資料に過ぎないのです。統計から全てのことを判断しようとしてはいけません。
そして、現場に行って何をするのかが重要だと思います。現場の人に「きく」にも種類があります。
聞く・・・音として認識する
聴く・・・音が何を意味するのかを理解する
訊く・・・音の意味を理解し、不明な点を質問する
先日、顧問先の会長(74歳)が量販店との付き合いから、その量販店が企画したツアーで1週間ほどアメリカ各地のショッピングセンターを視察に行かれました。
帰国後に私は「どうでしたか?」とお訊ねしました。
返事は「ようわからん!!」でした。
言葉が通じないから「訊く」ことができません。文化・風習・習慣が違うし、日常業務が多忙の中を事前に調べることもなくツアーに参加されましたから「聴く」こともできません。ツアーの成果は行く前から見えていました。
しかし、船井総研の格言に「百聞は一見に過ぎず。百見は一体験に過ぎず」というのがあります。
従って、この会長は百聞するよりは貴重な体験をされたのです。そして体験から何かの違いを本能的に理解されている筈です。このチャンスを活かせるか否かは会長次第です。

2011年9月14日水曜日

PFドラッカー365の金言より 32

水がコップに「半分入っている」のと、「半分空である」のとでは、量的に同じである。だが、意味は異なる。とるべき行動も異なる。世の中の認識が、「半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる。
「予期せぬ成功」や「予期せぬ失敗」は、消費者側の認識の変化によるものであることが多い。認識の変化が生じても、事実は変わらない。起こるのは意味の変化である。
自分の会社に影響を与えそうな「認識の変化」を考えてください。その変化を利用することを検討してください。

(コメント)
「水がコップに半分入っている」とは、「コップには水がまだ半分残っている(から大丈夫だ)」と思うことです。
「コップの水が半分空である」とは、「もう既に、コップには水が半分しか残っていない(から、急いで〇〇〇をしなければならない)」と考えることです。
この考え方の違いによって、その人の次にとる行動に違いが生じます。
目覚まし時計がならないのに眼が覚めてしまった。「いつも起きる時間までにはまだ30分もあるから、もう一度寝よう」と考えるか、「あと30分後には起きなければならない時間となる。寝過ごしてはいけないから、このまま起きておき新聞でも読もうか」と考えるか? 遅刻常習犯と時間を守る人の考え方の違いです。
トヨタやホンダが初めてハイブリッドカーを発売したときは、自然環境に優しい車として売り出されましたが、価格が高くて、しかもバッテリーの寿命が短いので、一般消費者に余り評判の良いものではありませんでした。しかし、ガソリン価格の高騰や東北大震災を境として消費者の認識は大きく変わったようです。いまでは予約して納車されるまでに半年から1年間待たなければならない状態となっています。
先日、発電機メーカーの人とお話しをした処、昨年までは赤字状態でリストラを繰り返していたのに、東北大震災以後は毎日大変に忙しく休む暇がない状態だと言われていました。大型建築物(ホテル、病院、学校、ショッソピングセンター、マンション他)の建設に対する認識が大きく変化し、安全確保のために建物に自家発電機能をもたせようとする傾向が極端に強くなっているようです。
「変化」に気づき、その「変化」の持つ意味を考え、自らのビジネスに活用していくことが大切です。そのときに、自らの固定概念や無意識の潜在意識に拘束されないことが必要です。
そのためには、「予期しなかった成功」と「予期しなかった失敗」に注意することが大切です。

2011年9月13日火曜日

PFドラッカー365の金言より 31

産業と市場の構造は、自然の法則、永遠のものと思わせるほどに堅固に思える。
長い間、成功を収め、挑戦をうけたことのない生産者や供給業者は傲慢になりがちである。
新規参入者が現れても、取るに足らない素人と見る。そのくせ、その新規参入者の市場シェアが増大を続けても対策をとれない。
だからこそ、その変化はイノベーションの機会となる。そのとき、誰もが起業家精神を求められる。
産業内の誰もが、われわれの事業は何かを問わなければならなくなる。
それぞれの産業、市場、プロセスにギャップが存在する。その内部や周辺にいる者は知っている。しかし、彼ら内部や周辺にいる者は、これまでずっとそうだったとして行動をとらない。そこで誰かがそのギャップを利用する。
予期せぬことやギャップが、イノベーションの種の存在を教えてくれる。ニーズは、イノベーションの種として存在していないものを教えてくれる。

(コメント)
街角の時計屋さん、カメラ屋さんは携帯電話やデジカメに市場を奪われ、銀フィルム・メーカーは死活状態になっています。パン屋さんや駄菓子屋さんはコンビニや食品スーパーに市場を奪われてしまいました。固定電話は携帯電話に、印刷屋さんはパソコンに市場を奪われつつあります。
従来からの製品やサービス、或いはやり方に拘ることなく、我々の事業は何かを問い続けることが大切です。

2011年9月12日月曜日

PFドラッカー365の金言より 30

予期せぬことがイノベーションの源泉となるのは、それは我々の先入観をつき崩すからである。しかし、予期せぬ成功を機会(チャンス)として見るにはそれなりの意識を必要とする。予期せぬ成功はほとんど無視される。困ったことには、その存在さを認めることさえ拒否される。予期せぬ成功を認めるのは容易ではない。人間誰しも、長く続いてきたものこそが正常であり、永遠に続くべきものと考える。そして、予期せぬことは例外・特異なケースと見做してしまう。
予期せぬ成功を軽視しないように気をつけてください。予期せぬ成功を見つけ、学んでください。
予期せぬ失敗は、顧客の認識や価値観の変化を示す。予期せぬ失敗は、分析するだけでは不十分である。予期せぬ失敗が要求することは、外へ出て、見て、訊(キ)くことである。

(コメント)
「予期せぬ成功」も「予期せぬ失敗」も、自分の中にある無意識な先入観、思い込み、価値観が現実と乖離し始めていることを教えてくれます。しかし、これらに気づくことが大変に難しいのです。その為に、1週間毎にその週(月)を振り返ることで、予期せぬ成功や予期せぬ失敗が無かったかどうかを意識的にチェックすることが必要です。訓練を積めば、自然にできるようになります。
ブレイクスー思考法では、「急激な変化には人間は反応するが、ゆっくりと時間をかけた変化には反応し難い」という考えがあり、このような人のことを「ゆでガエル状態」と呼びます。
この「ゆでガエル」状態しなるのを防ぐためにも、週・月単位(日単位では細かすぎる)で「予期せぬ成功」と「予期せぬ失敗」を見つけ出すことが全ての始まりとなります。
部下がいる人であれば、部下の毎日の日報を1週間単位にまとめて、その週の「予期せぬ成功」「予期せぬ失敗」を部下にかかせると部下を教育し自分が現場を把握するための良い手段となります。

2011年9月11日日曜日

PFドラッカー365の金言より 29

成功する起業家は女神の"口づけ"を待たない。働く。
勝利の女神は準備している者だけに微笑む。
勝利の女神に後ろ髪は無い。

(コメント)
考えているだけでは成功しません。成功するためには(失敗を恐れず)行動を始めることが必要です。
そして、他人を使って成功しようとする前に、自らが実態を体感することが必要です。その為には、自らが働くことが必要となります。自らが働くことにより「変化」に気付くことが大切なのです。
しかし、自らが働くことで、目先の小さな変化に振り回されるようになってはなりません。大きな流れ・傾向(トレンド)を掴むことが大切です。
その為には、
①予期しなかったこと(予期しなかった成功と失敗)・・・自らの固定概念と実態の違いを教えてくれます。
②ギャップ
③ニーズ
④産業構造の変化
⑤人口の変化
⑥認識の変化
⑦新知識
について調べることが必要です。
こうすることで、勝利の女神が微笑んでくれるときに備えるのです。
準備していなければ、勝利の女神が微笑んでも気づかずにいます。気づくのは、勝利の女神が通り過ぎた後からと言う場合が多いようです。
しかし後から気づいても、残念ながら勝利の女神には後髪はありませんから、後の祭りで終わってしまいます。
ですから、前記の7項目を普段から意識して、大きな流れを読むように心がけ、勝利の女神が微笑むときに備えることが必要なのです。
私は昔しはファッション産業の卸問屋を経営していました。いま思えば、このときには小さな変化に振り回されて、大きな変化を見失っていたようです。だから気づいたときには手遅れで、会社を倒産させてしまいました。このようなことにならない為にも、小さな変化に気づくきながらも大きな流れ(トレンド)を見失うことなく、勝利の女神がほほ笑んだときにそのチャンスを活かせるように、大きな流れを普段から読み取る努力が必要だと考えます。

2011年9月10日土曜日

PFドラッカー365の金言より 28

成果を改善しようというのであれば、その目的である成果が、具体的に何を意味するのかを前もって明らかにしておかなければならない。
カイゼンは積み重ねにゆって、すべてを変える。
カイゼンの優先度を高くすることが必要である。

(カイゼン)
カイゼン活動がうまく行かないとき、その目的が不明確である場合が多いようです。カイゼンの目的を明確にして周知することが必要です。
また、カイゼンは単発でやっても充分な成果は生まないことが多いようです。継続してやることが大切であり、継続してカイゼンしていると、そのうちに全体が変わり始めます。
そのためにも、常に「カイゼン(どうすれば、もっと上手くいくようになるか?)」を意識しておくことが大切です。

2011年9月9日金曜日

PFドラッカー365の金言より 27

チェンジ・リーダー(変革の能動者)となるためには、問題を餓死させ、機会を太らせなければならない。
その為には、
①予想以上に成果をあげた分野を列記していってください。
②有能な人材を列挙してください。
そして、有能な人材を予想以上に成果をあげた分野に投入するこが大切である。

(コメント)
あなたの会社では、有能な人材を「問題(トラブル)解決のため」に活用していませんか?
有能な人材は、「機会(チャンス)を活かすこと」に活用してください。
色々な顧問先にお伺いしていると、大半の会社が有能な人材を発生した問題解決のために使っているようです。
問題解決は①客観的に合理的に対処し、②時間経過を味方につけて、③普通の能力を持つ人材に担当させても解決はできます。それでも解決できないときはプロ(社外の専門家)に解決を依頼した方が早く解決できます。
社内の有能な人材は、「チャンスを活かすこと」に使うようにしましょう。そうすると、会社の新しい道が開けてきます。
SWOT分析でも、「社内の強みをチャンスに活かすこと」が会社を発展させる一番正しい方法であると教えています。
その為には、まず、予想以上に成果をあげた分野を列記してみること、社内の有能な人材を列挙することから始めてください。思い付きや頭の中だけのイメージでは正しい判断はできません。

2011年9月8日木曜日

PFドラッカー365の金言より 26

組織がもつ特別な能力が顧客価値と一致するとき、組織の中核能力が生まれる。①他の組織ではできないこと
②他の組織でも出来ることはできるのだが、お粗末にしかできないこと
のうち、顧客が価値があると認めることが自らの組織の中核能力である。
自らの組織の中核能力に正しく気づき、そのレベルを識別するには、「予期せぬ成功」と「予期せぬ」を見つけなければならない。

(コメント)
「これが強みだ」と自分達だけで考えることは意外と正しくない場合が多いようです。何が正しいかは、顧客が決めます。顧客が認めたもの(購買してくれた理由)が自分達の強みであり中核能力なのです。
そのため、自分達の強み&中核能力を正しく理解するためには、「予期せぬ成功」(=自分達の予想に反して顧客が価値ありとみとめたこと)と「予期せぬ失敗」(=自分達は価値があると思っていたのに顧客が価値を認めなかったこと)を過去の体験から洗い出し、その中から顧客が認めた自分達の強み&中核能力を認識していくしかないのです。
「予期せぬ成功」・・・自分達が予想していなかったのに成功したこと。一般的に「ラッキーだった」という一言で片づけられている場合が多いようです。
「予期せぬ失敗」・・・自分達は絶対に上手くいくと思っていなかったのに成功しなかったこと。自分達ではその原因が中々わからないので「不運だった」の一言で済まされることが多いようです。
しかし、PFドラッカー先生は、このようなときは客観的になり、その理由を分析&解明してみることが必要であり、その中にこそ顧客が認める自分達の強み&中核能力が潜んでいると言われています。

2011年9月7日水曜日

PFドッラカー365の金言より 25

予期せぬ失敗を部下の能力や事故のせいにせず、システムの欠陥の兆候と見る。
予期せぬ成功を自らの手柄とせず、自らの前提に変化が生じていると見る。
われわれは、奇跡を起こす人に頼って陳腐化した事業の見直しを行うことはできない。
進行性の病は先延ばしにしても治らない。思い切った措置が必要である。

(コメント)
絶対に上手くいくと予測していたことが上手くいかなかったときは、部下の能力不足や偶然(タマタマ)が理由で失敗したと考えるのではなく、従来のやり方・仕組み・考え方がいまの環境(顧客)に合わなくなり始めている兆候ではないかと考えてみることが必要です。
同様に、偶然に上手くいったときには、ラッキーだったと済ませるのではなく、自らの経験と過去の慣習・常識で当然としていたことに変化が生じ始めたのではないかと考えることが必要です。
カメラ屋さんは従来通りのフ銀ィルム・カメラを売り続けようと努力して、気がついたら携帯電話やデジタル・カメラに市場を奪われ、世の中から消滅しつつあります。営業マンの能力不足やカメラ品質が劣っていたから売れなくなったのではありません。カメラ屋さんが、銀フィルム・カメラを売ること、撮った写真を現像して写真にすることに専念せずに、自らの事業を「顧客が思い出を記録するお手伝いをすること」と定義すれば、カメラ屋さんは写真屋さんとなり、写真屋さんは写真館へと変貌していったことでしょう。私の近所に昔しはコピー機とアップル社のコンピューターを売っていた会社がありますが、今はその会社はコピー屋さん&印刷屋さんに変貌しています。また更に、昔しから電話交換機の敷設工事をやっていた会社は、今は携帯電話を活用したコンピューターの社内ラン工事を中心にビジネスを展開しています。
かといって、携帯電話もデジタル・カメラも奇跡を起こす人がいたから急成長した訳ではありません。顧客や環境の変化を考え、「何のために顧客が自社の製品を購入して〇〇〇するのか?」とその目的を考えてみることが必要です。
経験や知識は年とともに量が増えていきますが、反面において「硬直化」していきます。一方、環境(消費者)はドンドンと「進化」し続けて行きます。
「硬直化」傾向にある経験や知識が、「進化」を続ける環境(消費者)に適応し続けるためには、いずれかの段階で事業の定義やビジネスモデルの洗い直し(大手術)が必要となります。

2011年9月6日火曜日

PFドラッカー365の金言より 24

いかなる組織といえども、多くの分野において卓越することはできない。しかし、一つの分野において「卓越」することはできる。成功するには、この一つの分野における卓越性に加えて、多くの分野において「並以上」でなければならない。
あなたの組織が卓越して行うことができることは何でしょうか?
わが社に特有の知識(知恵)は何でしょうか?

(コメント)
「卓越」しているとは、「並以上」のレベルをはるかに超越していることが必要です。他社より少し秀でている程度では「並以上」のレベルにしか過ぎません。
要するに、「何でも人並みのことはできますよ(=何も特徴がない)」というのではなく、「何か飛び抜けて秀でたものを持ちなさい」ということです。少々の欠点があっても構わないということです。その上で、飛び抜けた分野以外の分野でも「並以上」のレベルのことができるようになれば成功するということです。このときにおいても、それ以外の分野では欠点や弱点があっても構わないのです。
欠点を直すことよりも先に、まずは自分が得意とする分野で卓越した存在になることに専念すべきです。自分が「卓越」している分野は常に磨きをかけ、次に「並」の分野を「並以上」にする努力をすることが大切です。欠点・弱点を並レベルにするとは後回しでも構いません。
昔から「大きな山には大きな谷がある」と言いますから・・・・!! 成功するためには聖人になろうと努力する必要はありません。
このことは会社組織においても言えることです。ただし、会社組織は複数の人間がいますから、互いの弱みを補うことで組織として弱みを克服することができます(各自の長所、短所の組み合わせを考える)。

2011年9月5日月曜日

PFドラッカー365の金言より 23

顧客にとっての価値を増大させない活動を廃止しても、顧客が失うものはない。顧客価値を生まない活動は廃棄してください。価値を生む活動を分析し、その価値を増大させてください。

(コメント)
消費者は飽食の時代(自らにとって価値あるものしか買わない時代)を迎え、企業間競争が激化し、かつ原材料価格が高騰しています。その中で、もっとも貴重なのは人間の持つ「時間」という経営資源です。
企業活動のうち顧客にとっての価値を増大させない活動は廃棄し、顧客にとって価値を増大させる活動に注力するようにしてください。
昔しからやっていたことでその意味を考えることもなく続けていること、自分だけの思い込みや自己満足のために行っていること(このブログもそうかも知れませんが)は計画的に廃棄するようにしてください。
そして、そこで浮いた時間を顧客にとって価値を生む創造的な仕事のために使うようにしてください。
尚、間接部門の人々にとっての顧客は、自社製品・サービスのユーザーだけでなく、自社の従業員であり、また業者等のステークホルダーであると考えてください。

2011年9月4日日曜日

PFドラッカー365の金言より 22

直感にたよることなく、明確でシンプルな事業の定義をもつことが、成功する事業の特徴である
事業を定義するときには
①組織をとりまく環境(社会、市場、顧客、技術)
②組織の使命(経済や社会に対し、何を貢献するつもりかを明らかにする)
③コア・コンピタンス(組織の使命を達成するうえで必要な中核的能力)
を明らかにすることが大切である。

(コメント)
わが社(部署)を知らない人に説明するときに、「わが社(部署)はこんな会社(部署)です」と簡潔に説明できることが大切です。ツイッターで74文字に記述できる位に簡潔であることが望ましいと思います。
孫子の兵法でも「敵を知り、己を知らば百戦百勝疑いなし」と言っている位に、己(わが社)を知ることは大切なことです。
わが社(部署)を簡潔に表現することができて、初めて満足できる成果が挙げられるようになります。
大半の組織が初期は極めて明確に定義できます。しかし、歳月を経ると共に複雑化し定義することが難く(アレやコレやの状態に)なってしまいます。その結果、力を集結させることができずにマンネリ化し衰退の一途をたどり始めます。
変化の激しい時代だからこそ、己を見失わない為に、自社の事業を定義し直してみましょう。会社組織が大きくなったと喜んでいたら、実は単なる「一時的な肥満」に過ぎなかったということが無いように定義した事業の充実を図っていきましょう。

2011年9月3日土曜日

PFドラッカー365の金言より 21

情報とは、組織を一体化させるものであり、かつ一人ひとりの知識労働者に成果をあげさせるものである。データ通(単なるモノ知り)から情報通へと進化するためには、①あなたの仕事は何か?
②あなたの貢献すべきことは何か?
③組織にとって重要なことは何か?
を考え、あなたと組織が必要としている情報は何かを考えることが必要である。

(コメント)
インターネットが普及し情報化社会となったので、情報過多となっている感があります。
東北大震災の直後、原発問題、電力供給能力等には色々な情報が飛び交い、何が本当の情報なのかがわからなくなる状態でした。震災直後のことですが、広島の企業の中に、震災で被災した人達に弔意を敬する(接待や飲み会を控える)ことに専念してしまい、自社に部品が入荷しなくなり納期に間に合わなくなるという情報を漏らしていた会社があります。
情報が過多の時代には、不要な情報を早く切り捨てること(廃棄)が必要です。何が切り捨てる情報で、何は参考にする情報、何が真実を伝える情報なのか、そして何が必要な情報なのかを早期に区分判断する必要があります。
その為には、PFドラッカー先生の言われる上記①~③が明確になっていることが必要です。
「必要な情報が報告されない」と嘆いている人は、その原因が組織の弊害ばかりではなく、上記三点が明確になっていない、他人に正しく理解されていないのではないかと再考する必要があります。

2011年9月2日金曜日

PFドラッカー365の金言より 20

イノベーションとは、思いつきでできるものではなく、事業全体の潜在的な機会を発見し、未来を築くためのものである。
イノベーションを実現させるためには、欠けているものは何か、成果を一変させる一歩は何か、資源の能力を一変させる小さな変化は何かを問わなければならない。
そのためには、マーケットのニーズやウォンツを書き出してみることが必要である。ニーズやウォンツを書き出すだけではニーズやウォンツを満たしたことにはならない。しかし、ニーズやウォンツを手で書き出して、初めて望む成果を得るために必要な条件を知ることができる。
イノベーションの能力とは、全体を見つめて、一見関係のないものを一つの全体として見る能力である。

(コメント)
PFドラッカー先生の言われる「イノベーション」と「改善」とは似ていて否なるものがあります。
イノベーションとは全体を俯瞰して欠けているものを補い新たなるものを創造していくこと、改善とは部分の現状を改良していくことではないでしょうか?
日々改善(カイゼン)を続けていくことは極めて大切なことですが、たまには「あるべき姿」「あってもらいたい姿」を考えて「欠けているものを補う」ことでイノベーションを図ることも必要なことだと思います。そして、その為には、頭の中で考えるだけではなく、面倒でもアナログに手で紙上に書き出してみて(パソコンでデジタルに書き出しては駄目)、図や表にしてみて頭脳の中にあるものを紙上に吐き出してみることが大切だと思います。これを勧めていると「マインドマップ」技法に行き当たります。
この手法は脳医学でも実証されていて、「気づき」を与えてくれる手法です。

2011年9月1日木曜日

PFドラッカー365の金言より 19

世界中において、ほとんどの企業が同族企業である。
ところがマネジメントについての文献と講座のほとんどが。プロの経営者が経営する企業だけを扱っており、同族企業について触れることはほとんどない。
研究開発、マーケティング、会計などの仕事に関して、同族会社とプロが経営する会社とで違いがある訳ではない。しかし、経営陣に関しては、同族会社にはいくつかの守るべき重要な留意事項がある。それらを守ることなくしては、繁栄するどころか生き残ることさえもできない。
①同族企業は、一族以外の者と比べて同等の能力を持ち、少なくとも同等以上に勤勉に働く者で無い限り、一族の者を働かせてはならない。
②経営幹部(トップマネジメント)のポストの一つには、必ず一族以外の者を充てなければならない。
③同族企業は、重要な地位に一族以外の者を充てることをためらってはならない。
④トップの継承問題について適切な仲裁人を予め一族以外に見つけておかなければならない。

(コメント)
株式上場により株式が分散して保有され、所有と経営の分離がなされオーナーの意向ではなく経営者の意向が経営に反映されている企業数は極めて少ないものです。企業数(従業員数ではない)で言えば、PFドラッカーが言うように、世の中のほとんどの企業が同族会社であることに間違いはありません。
しかも、一昔前までは上場することが「善」の如く語られていましたが、昨今ではワールドやスカイラーク他で見られるように上場会社の弊害が指摘され上場廃止をする企業が増える傾向にあります。
しかし、上場廃止してオーナー型経営を行う場合にはドラッカーのいう留意点には注意することが必要です。
ましてや、オーナー型の地方の中小企業が大会社の真似をしたり、書籍に書いてある理論・手法をそのまま実行したとしても、上手くいかなくて当たり前です。
コンサルティングをしていて最後の障壁となるのは必ずと言って良い程、オーナー親族間のトラブル(意見の対立)です。このトラブルを避けてしまうコンサルタントもいますが、オーナー型企業ではこの問題を避けていては問題解決は図れないのが実情であり、この問題が発生するのを未然に防ぐためには、上記留意点4点を守るしかないのだと思います。一族の間では「人間関係を元にした甘えと非合理性」が存在し、それが社会(顧客や従業員)に対する責任を全うする弊害をもたらしている場合が多いようです。