2012年1月28日土曜日

PFドラッカー365の金言より 168

<< 本文 >>  「断絶の時代」
再民間化とは、家族やコミュニティが担いきれなくなったために政府に任された仕事を、政府以外の組織に戻すことである。再民間化に企業が適しているのは、それがイノベーションのための組織だからである。他の組織はすべて、変化を阻止するか、少なくとも緩和するためにつくられている。それらは、止むを得ざる時に不承不承イノベーションを行う。
しかも企業には、政府に不可能な2つのことができる。第一は、事業を止めることができる。市場で活動しているならば事業を止めざるを得ないことがある。第二に、企業は社会が消滅を許す唯一の組織である。企業は仕事ぶりを厳しく評価される。消費者は製品がどれだけ役に立つかだけを考える。役に立たなければ、それをつくった企業が消滅しても残念とは思わない。投資家も残念とは思わない。
企業が優れている最大の理由は、利益の機能にあるのではない。赤字の機能にある。だからこそ企業は、あらゆる組織のうち最も適応性に富み、最も柔軟である。

(コメント)
郵便局が無くなっても、やまと運輸さんが頑張ってくれる時代となりました。一昔前に第三セクターが流行った時代がありましたが、当時の第三セクターは天下り集団に過ぎず、設立されて暫らくすると利益に対する責任意識が薄いためにイノベーションを拒否または回避するようになり、大半の第三セクターはその役割ほ果たすことなく消滅していきました。
本文で最も重要だと私が思う箇所は、最後の2行です。先生は別書籍で「企業とは変化適応業なり」と言われています。
しかし、民間企業でもイノベーションや変化を嫌う企業は沢山あります。そして、それらは大きなトレンドで見ると、いずれ消滅していっています。「もっと儲けるためにイノベーションを行う」のではなく「将来、赤字にならないために今イノベーションを行う」というと消極的に聞こえるかもしれませんが、投機的行動を避け地に足の着いた堅実なイノベーションを行うためには、最低限に必要とそれる考え方だと思います。
企業は環境の変化に適応し利益を上げて行かなければ、いずれ市場から淘汰され消滅せざるを得なくなります。イノベーションの妥当性・適切性を判断する指標が「利益」である(「利益」が先にあるのではない)と先生は言われたいのではないでしょうか?
私への相談依頼先に、変化を避ける企業があります。昨日まで、昨年まで、今までと同じやり方でなんとか生き延びていこうとしています。そのことに一生懸命なのですが、残念ながら変化に対応しないため利益が出ないため、年を経るごとに事業規模は縮小しています。一方では、協同組合でありながら、組合員のために変化に適応する事業を考え実行されている組合があります。この組合では、毎年利益がでていると聞きます。しかし、この組合は「利益」のためにイノベーションを繰り返している訳ではなく、組合員により一層貢献するためにイノベーションを繰り返すから結果として「利益」がてでいるという状態ではないかと考えます。
尚、この「断絶の時代」という先生の書籍を、いまから30年位まえの学生時代に私は読み、中小企業を経営する父親に話しましたが理解して貰えなかったことを今でも覚えています。あのとき「利益が先だ」と主張する親爺と、「利益は結果だ」と言う私の主張はかみ合いませんでした。いま思えば懐かしい親爺とのやり取りでした。

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