2011年10月31日月曜日

PFドラッカー365の金言より 79

<< 本文 >>
山があるところには谷がある。
大きな強みをもつ者は、ほとんど常に大きな弱みをもつ。申し分のない人間などあり得ない。
人事において大切なことは、無難にこなす能力ではなく、一つの分野で抜きん出た能力を探すことである。よく出来る筈のことを見つけ、実際にそれを行わせなければならない。人が他人より抜きん出ることができるものは一つか、せいぜい二つか三つの分野である。
弱みそれ自体が大きな意味を持つ領域は一つしかない。「真摯さ」の欠如である。真摯さの欠如だけは、あってはならない絶対の基準である。

(コメント)
能力は訓練して習得させることができます。しかし、真摯さは訓練で習得させることは不可能です。従って、入社採用面接時の絶対条件としては、『真摯さ(真面目にコツコツと続けること)が欠如している人を入社させてはならない』ということです。能力の不足は入社後に訓練して向上または習得させれば良いのです。しかし、現実の採用では、能力重視で採用して入社後は教育もせずにホッタラカシの中小企業が多いようです。しかも、能力の高い人を採用しようとして、その人の人柄(真摯さ)を考慮していない(転職ばかりして1つの職に5~7年間定着することがないことを無視する等)場合が目につきます。これでは有能な人財を採用することも、育てることもできません。「企業は人なり」と言われるのですが、これでは企業は肥満化することはあっても本当の意味での成長をすることができません。
「その人が他の人より秀でている」ということと、「その人の長所」と違います。類似する長所を持つ他の人がいることはあり得ますが、他の人より秀でている能力に関しては、他に同じような能力を持つ人がいる場合には「秀でている」ことにはなりません。突出していることが必要になります。
そして、このような人は必ず何かの弱点(欠点)を持つことが多いようです。従って、100点満点の人はいないということです。日本の教育は全科目100点を目指し1科目でも落第点をとらないようにすることを教えますが、海外では得意とする科目で200点を取れば他の科目は落第点でも良いと教えるそうです。
大切なことは、その人の弱点(欠点)を理由にして、その人に「コトに当たらせない」という判断をしているとその問題は解決しないということです。そして、その人の弱点(欠点)を上司が補ってやることが必要となります。
政治のお話しは余りしたくありませんが、有能な政治家が出ると直ぐに野党がスキャンダルを持ち出し責任を追及します。これは日本人が平均的100点リーダーを求めている証ではないでしょうか? いまの日本の難局を乗り切るためには、片目を瞑り何かの能力に突出しているリーダーが必要なのではないでしょうか? これは企業でも一緒です。存亡の危機に陥った会社の再生をお手伝いすることが多いのですが、このようなときに活躍してくれるのは、それまで欠点人間として「落ちこぼれ族」となっていた人達の中から現れることが多いようです。何故なら、日本人が一般的に言う優秀な人は全ての面において優秀な成績を取るように習慣づけられていますから、企業存亡の危機のときのように「何かを生かすために何かを切り捨てる」という決断ができないことが多いのだと思います。
従って、順風満風の平常時ならば100点主義の可もなく不可もなく全体として他より優れている人財でも良いのですが、非常時(現代は変化の激しい非常時の連続)には何かに欠点はあるが何かに極端に秀でている人財が必要となると考えます。そして、それらの人の上司がいかにしてその人の山と谷を『目的達成のために組織全体とバランス』させるかが大切なことではないでしょうか?
尚、PFドラッカー先生は、別の書籍で、アメリカの南北戦争のときのグラント将軍(記憶間違いかもしれませんが)の事例を挙げています。この将軍は戦さは極めて上手だったそうですが、酒癖が極端に悪かったそうです。このとき当時の大統領は戦さに勝つという目的のために、大統領周辺の人達がこの将軍の酒癖の悪さを理由に総司令官指名任命を制止するにも関わらず、反対を押し切り総司令官に任命して戦さを勝利に導いたという事例です。

2011年10月30日日曜日

PFドラッカー365の金言より 78

<< 本文 >>
厳しい競争社会にあって、40代で燃え尽きる人達が増えている。彼らはもうこれ以上の地位が無いことを悟る。仕事への飽きもあるが、彼らは既に一流の専門家である。
定期異動では解決にならない。
仕事や人生で挫折がないということはありえない。
そのため、若いうちから仕事とは関係なく貢献と自己実現が図れる場を手に入れておく必要がある。
そこにコミュニティ(仲間)をもつことが必要である。

(コメント)
労務相談の仕事をしていますので、最近は精神疾病(うつ病等)に罹患する人が急増していることが判ります。精神疾病は初期であれば投薬で治せる時代となっていますが、環境を変えずに薬だけで治していると再発する可能性が高いと思います。
その解決をお手伝いしていると、昔に比べると仕事が時間に追われるようになり、目標がノルマと誤解されてしまっているなど仕事自体の性質が変容しつつあることにも原因があるようですが、大半の方が「仲間がいない孤独状態」に陥られていることが多いようです。
職場内でも家庭内でも、真面目なためバカ話などしないので、コミュニケーション不足から気軽に話しかけれる相手(仲間)がいないことが多いのです。
今年6月に企業からご相談頂いた方は、職場では一人で機械を使って一日中モノづくりをして、残業することが多いので友達と会うことが無く、家庭に帰ると食事は一人でして、一人部屋に入ってテレビを観た後に寝るという生活習慣(家族とも話さない)となっていました。下手をすると一日中だれとも話さないことかあるとのことでした。企業のご依頼でこの中年男性と会い色々なお話しを聴いていると(=疑似カウンセリング)、そのうち「村上さん、また会って話しを聴いてくれる?」と言われる関係になってしまいました。結局、この人には話し相手が必要だったのです。
暫らくすると、この人は元気を徐々に取戻し、突然に「村上さん、いまの会社を辞めて、職業訓練をうけて、全く新しい仕事にチャレンジしてみようと思うのだがどう思いますか?」と薬に頼らず現状を打開する前向きな考えを持たれるようになられました。
これなども、上記で先生が言われていることに該当するのではないでしょうか?

2011年10月29日土曜日

PFドラッカー365の金言より 77

<< 本文 >>
ほとんどの人に上司がいる。
1年に1度は、自分がその上司の役に立っていることは何か、邪魔になっていることは何かを聞く。
あなたの仕事は、上司がそれぞれの仕事のやり方によって成果をあげられるようにすることである。上司の強みを発揮させ、弱みを意味なくさせることによって、彼らが縦横無尽に働けるようにすることである。
昇進を重ねる有能な上司ほどありがたい存在はない。

(コメント)
これは「上司にゴマを擦れ」と勧めている訳ではありません。
「上司に貢献することで初めて自らが上司から認める」と説いているのだと思います。
その為には、自分の仕事のやり方がどうであれ、また自分の考え方がどうであれ、上司が上司の強みを発揮でき、弱みを補うことが出来見ように、自らの強みを発揮することが大切であると説いているのではないでしょう?
そうすれば、上司から認められ、上司との間で本当の意味での「人脈」が出来上がり、いずれは引っ張ってくれる(=「この仕事をするなら彼しかいない」と他人に勧めてくれる)ことになると勧めているのではないでしょうか?
「引っ張ってくれる」とは「昇進させてくれる」とか「昇給させてくれる」という狭い意味ではなく、「仕事の報酬は仕事(先生の別の書籍に記載されています)」という意味だと思います。良い仕事を行ったならば、次の良い仕事が与えられ、その結果、自分のキャリアを創ることができるようになります。そしてキャリアができてくると、おのずから実力と自信が伴い、かつ信頼されるようになってきて、気付いたら昇進・昇格または昇給していたということになります。
社長にも上司はいます。株主や顧客です。この人達に如何にして「貢献」するかによって、社長も報酬が増えたり、企業規模が大きくなっていったり、次なる必要資金が得られるようになります。とすると、ほとんどの人に広義の上司がいるのではないでしょうか?
それなのに、「自分の上司は・・・だから駄目だ」等と批評家になっていては昇進・昇格や昇給はおろか認められることもありません。上司の欠点を補い、上司が長所を縦横無尽に発揮できるようにすることが必要です。
自動車メーカーのホンダの創業者である本田総一郎さまは欠点が沢山あった方だそうです。しかし、有名な右腕となる方(お名前は忘れました)がいて、その欠点を補い本田さまの長所を活かすことで名も無き後発のホンダが今のように大きくなれることができたと聞いています。今年10月上旬にテレビ放映された松下電器の松下幸之助さまの奥様の物語もそれを語っているのではないでしょうか?
上司の欠点は「批判するもの」ではなく、「補うこと」が部下の職責だと考えます。
しかし、職務給制度が普及しているアメリカ人で、しかも階層社会と言われる元欧米人のPFドラッカー先生がこのような発想をされることは驚きに値します。日本の慶応義塾大学在学中に東洋思想の影響をかなり受けられたのではないでしょうか?

2011年10月28日金曜日

PFドラッカー365の金言より 76

(注釈)
組織は信頼によって成立し、信頼はコミュニケーションと相互理解によって成立する。

<<本文>>
自らの強み、仕事のやり方、価値観とともに、共に働く者全員の強み、仕事のやり方、価値観が重要な意味を持つ。あらゆる者が個性を持ち、大きな違いをもつ。
しかし、違いは問題ではない(=違うということが問題なのではない)。集団としての仕事ぶり(成果)は、一人ひとりの仕事ぶりによって規定される。従って、一人ひとりの強み、仕事のやり方、価値観を生かさなければならない。
(そのため、組織が成果を挙げるためには)自らの強み、仕事のやり方、価値観、果たすべき役割を知ったならば、それを誰に知らせるかを考えることが必要である。あなたを頼っている人達、頼られている人達が、あなたについての情報をもたなければならない。従って、それらの人々とのコミュニケーションが大事となる。

(コメント)
自らの「強み」を活かすために「自らの強みを知れ」とよく言われます。しかし、自らの強みを知っても、自分だけが知っているだけでは余り意味がありません。共に働く人達に知ってもらうこと、また逆にそれらの人々の強みを知ることが、組織・チームとして良い成果を挙げるためには必要なことです。そのためには、普段からのコミュニケーションが欠かせません。
最近、企業からのご相談で「うつ病」などの精神疾病に罹った従業員対策が急増してきました。お伺いして色々なことをお聴きしますが、大半の場合は社内の普段のコミュニケーションに原因があります。精神疾病に罹った従業員さんは社内で孤立化していることが多いのです。酷い時には、会社ではほとんど話しをすることがなく(PCや機械に向かって黙々と作業をしている)、家に帰っても個室に入っ放しで家族とも話しをせず、まるで昔し歌にあった「東京砂漠」の状態であることがあります(こんな古い歌を知っている人はいないかもしれませんが・・・)。こんなとき、従業員本人から色々とお話しお聴き(聞くではない)すると、大変本人から喜ばれ頼りにされます。昔しお手伝いした若い人は「おじちゃん」と言って懐いてくれ、親にも相談できないことを相談してきました。
そこで会社には飲ミニケーションやレクレーション或いはコーヒーブレイクタイム(3時のおやつタイム)を設けザックバランなコミュニケーションを図るようにお勧めします。
また、人間には「山(長所や得意分野)もあれば谷(欠点や不得意分野)もあります」。PFドラッカー先生の別の本の中にその事例は沢山記載されていますが、『大きな山(長所)を持つ人間には大きな谷(欠点)がある』と先生は言われ、それを上司がいかに使いこなすかが大切であると説かれています。普段のコミュニケーションを通じて、その人の長所に上司が気づき、組織・チームが良い成果を果たせるようにその人の長所を活かせるように上司がその人を使うよう心がけることが肝要です。
その結果として相互に信頼関係が生まれてきます。
若い従業員さんにストレートに「あなたの強みは? 仕事のやり方は? 価値観は?」などと訊くと「そんなのワカラン!! 話しが重い!! 」と言われ逃げられてしまいますから、雑談の中から、その人が興味を持っている事や過去の成功談や失敗談を訊き出すことで、その人の強み・仕事のやり方・ものの考え方・価値観等を類推していき、その強みや自信を仕事で発揮できるようにすることが上司の役割の一つではないでしょうか?
卑近な例ですが、私自信も色々な「強み」と「弱み」を持ちます。しかし、顧問先でもそれを知らない先は沢山あります。ましてや顧問先以外の人にそれが解らないのは当然のことです。普段は役所への諸届だけを代行しているある顧問先で従業員さんと紛争が発生したときに「誰に相談したらよいか?」と相談をうけたこともあります。そのとき「私は特定社労士の資格をもっていますから、他企業では普段からその手伝いをしています」とお伝えすると吃驚され直ぐに相談され始めたことが何回もあります。昨日は給与体系の再検討の件で、同様の体験をしました。
私がどんな資格をもっていても、またどんなにその仕事をしていても、他の人にはわからないのです。ホームページに私の仕事の概要と略歴は掲載していますが、それを見てくれていると思うのは自らに対する甘えの心だと反省する次第です。ただし、初めてお会いする人には予め私のホームページを見てくださるようにご依頼はしているのですが・・・・・!! 
因みに、今日は建設業法に関して国交省から指導をうけた建設業を営む企業の会議に出席します。数年前になりますが、薬事法に関して広島県の薬事課と法的確認を行ったこともあります。このようなことは余り詳細にホームページやブログに記載すると守秘義務違反とも成りかねませんので記載できません。
そのため親しくなった顧問先の中には「何かわからないことがあったら村上社労士に訊け」と指示を社長さんが出されている場合が多々あります。多分、「村上は出ベソで色々なことに興味を持ち逃げないから、解決するために助力してくれるか、解決する糸口やルートを見つけ出してくれる」と期待されているのでのであろうと考えて、その信頼を裏切らないためにこのようなご相談にも応じるようにしています。
しかし、私の方から「こんなことができます」「こんなことが得意です」と言い出すことは苦手ですが・・・!!
そのため、先生の指摘されるように「普段からのコミュニケーション」の大切さを痛感しています。

2011年10月27日木曜日

PFドラッカー365の金言より 75

<< 本文 >>
自らの強みと仕事のやり方がわかれば、機会を見つけることができる。それは自らの強み、仕事のやり方、価値観を生かす機会である。同時に、貢献をなすことができる機会である。ただし、そのためには、いかなる貢献をなすべきかを知らなければならない。
自らの果たすべき貢献を考えることは、知識の段階から行動の段階への起点となる。
何に貢献すべきか。換言すれば、いかなる違いをもたらすことができるか。この問いに答えることが、つかむべき機会を知るうえでの助けとなる。実際にそのような機会が現れたとき、つれを掴むことができる。
①何が求められているか?
②何に貢献するか?
③いかなる成果をあげるか?
である。


(コメント)
何のこっチャ?
何を先生は言われたいのか解り難い文章となっているようです。MSR流に文章を逆から読んでみてください。
まず最初に、
①何が求められているか(解決すべき課題・問題は何か)? 
②何に貢献(何を変えるべきか)するか?
③いかなる成果をあげるべきか(いかなる違いをもたらすことができるか)? 
を考え、
④その仕事の仕方や手順を考慮したうえで、
⑤自らの「強み」「価値観」を発揮することができるように心がけていると
自らに与えられたチャンス(機会)を発見できるようになる、と先生は言われているのではないでしょうか?
実は、私が相談相手のお話しをお聴きするときには、以上のことを意識してお訊きするようにしています。
(1)『この人は何を、どのようにして、どのように変えたいのだろうか?』
(2)それに対して、私の知識やノウハウをどのように発揮すれば相談相手の期待に沿う結果が得られるであろうか?
(3)また、良い成果が得られるために不足している私の知識やノウハウにはどんなものがあるか? その不足を補うことが今からでも間に合うか?
と無意識のうちにも判断し、可能とわかれば私のビジネス・チャンスとし、不可能と判れば適任者をご紹介するようにしています。

2011年10月26日水曜日

PFドラッカー365の金言より 74

<< 本文 >>
自らが「価値あり」とするものと自らが「強み」は一致するか、あるいは、少なくとも相反することはないか?
両者が合わないとき、優先すべきは価値観の方である。
価値観に反する仕事は人を堕落させる。強みすらも台無しにする。


(コメント)
先生はそうはおっしゃいますが、生きていく上でこれが一番難しいことだと思います。
しかし、人の一生を人生という長い期間で捉えると、先生の言われることは正しいと思います。
また、自らが価値ありとすることは、他人に言われなくとも自己鍛錬していき、気が付いたら自らの強みとなっていたということもあります。自らの強みとは他人と比較して明確になる相対的なものですから、自らの強みとは未来永劫、普遍的なものではないと私は考えます。何かの専門家も、その人が一人しかいないときには、その専門がその人の強みとなりますが、その人が専門家集団の中の一人となると、その専門分野はその人の強みとはなり得ず、その人はタダの凡人となってしまいます。また逆も真なりです。
私も、慶応義塾大学を卒業後、富士銀行に勤務し、親の会社で勤務し、宝石鑑別士となり、独立開業し、倒産し、社会保険労務士事務所を開業して、紆余屈折した人生を歩み色々な体験をさせてもらいました。そして、この過程を通じて、自らの価値観が熟成されていったと思っています。また、自らの強みも熟成し、世の為に役立てるように開花し始めていると考えています。私は、「価値観」も「強み」も加齢と経験とともに変化し熟成していくものではないかと思っています。
もしそうであるならば、自分はまだ若いと考えている間は、色々なことにチャレンジして、失敗し成功するという体験を通じて、自らの価値観と強みに気づきかつ熟成させていくことが大切なのではないでしょうか?
ただし、「自らの価値観に反する仕事は行ってはならない」ということは先生の言われる通りと考えます。
私は20代後半の頃に商業界という商売人のボランティア勉強会に毎年参加していましたが、そのときの教えの一つに「損得より先に、善悪を考えよう」というのがあったことは忘れ得ないことです。

2011年10月25日火曜日

PFドラッカー365の金言より 73

<< 本文 >>
自らの強みは、フィードバック分析によって知ることができる。フィードバック分析とは
(1)何かすることを決めたならば、まず最初(やり出す前)に、何を期待するかを書き留める。
(2)9カ月後あるいは1年後に、その期待と実際の成果を照合・比較する。
(3)期待どおりの成果、期待を超える成果の記録から、2~3年もすれば、自らの「強み」を知ることができる。
こうして知った自らの強みを仕事と成果の向上に利用すれば良い。利用の仕方には5つの方法がある。
(a)「強み」に集中すること
(b)強みを更に伸ばすこと。新たに身につけるべき知識もあるであろう。
(c)「知的な傲慢」を矯正すること。強みを発揮するのを妨げているものを認識すること。そのうちの最悪のものが、他の分野の知識を軽く見ることである。
(d)悪癖や態度を改めること。それらのもののためにチームワークや協力を阻害してはならない。
(e)不得意であるが故に行ってはならないことを知ること
である。

(コメント)
フィードバック分析と聞くと、一歩後すだりしてしまいますが、なんということは無い「自分の当初の期待(値)を明確にして、数か月後に振り返り確認してみること」だとわかります。
しかし、自分の当初の期待(値)を実行している間に忘れたり、妥協したり、曖昧になったりしてしまうことが多いのが人間の性のようです。
従って、メモに書き留める習慣をつけることが大切です。そして、全てのことを1年に1回は当初の期待(値)と照らし合わせて、予期しなかった成功や失敗を見つけ出し、その中から自らの「強み」を発見(気付く)するよう努力することが大切です。私はお正月に確定申告の処理をしながら昨年を振り返り、これをするように心がけています。

また、自らの「強み」を活用する方法も考えることが必要です。
私は47歳のときに、経営していた会社が倒産させてしまい、全財産を失い、(自己破産しなかったので)借金まで残ってしまいました。この状況下で、実姉が惜しみなく協力してくれて、まずはゆっくりと1カ月間ほど休養(ほとんど寝ていたそうです)することができました。そして、この休養の最中に、自らと家族の将来を考えドラッカー先生の上記の言葉を無意識のうちに思い出しました。そして、
①自らの「強み」に集中すること
②「強み」を更に伸ばすこと
③他の分野の知識を蔑ろにしないこと
④自らの悪癖を治すこと
⑤不得意であるが故に「行ってはならないこと」に気づくこと
が大切であるということを思いだし、自らの強みに集中するため国家資格である社会保険労務士にチャレンジすることにしました。
そうすると不思議なもので、生活は苦しかったのですが、法律を大の苦手と思っていた自分を助けてくれる人が現れたり、社労士となれてから特定社労士という新たな資格が設けられたり、これからの社労士は事務代行ではなくコンサルティング業務中心で行うことが必要であると言われたりし始め、自分がやりたかったコンサル活動に追い風が吹き始めました。
そして、その上で今でも意識していることは③と⑤です。③には謙虚な気持ちで臨み、⑤には自らの修行のつもりで習得できるように努力(チャレンジ)するようにしています。こうすることで、自らが狭い専門分野の枠の中に閉じこもることを防ぎ、より一層、顧客の要望に応えられるようになりたいと考えています。ただし、不得意の分野に関しては、方向性を示すに留まり詳細までは介入しないように注意しています。

2011年10月24日月曜日

PFドラッカー365の金言より 72

<< 本文 >>
自分が、何に貢献すべきかを知る為には、
(a)世の中に違いをもたらす成果をどこまで生み出せるか、
(b)いかにして生み出せるか
を考えなければならない。
自らの貢献は何であるべきかとの問いに答えを出すには、3つの要因を考えなければならない。
①何が求められているか
②自らの「強み」「仕事の仕方」「価値観」をもって「何に最も大きな貢献」をなし得るか
③世の中に違いをもたらす為には、いかなる成果を生み出すか
である。
ここから、行うべきこと、始めるべきこと、始め方、目標、期限などのアクショクプラン(行動計画)を明らかにできるようになる。


(コメント)
『世の中が必要としていることの中から、
 自らが「最も」強みを発揮できることを探し出し、
 どのような成果を生み出そうとするのか明確にした上で、
 目標と期限を定めた具体的な行動計画をつくりなさい』
と先生は言われているようです!!
ここで大切なことは、『「目標」と「期限」を定めた「具体的な計画」をつくる』ことが大切なのであり、行き当たりばったりで進めていく訳では無いということではないでしょうか? 
途中で間違えていることに気付いたら修正すれば良いのです!! 当初計画があるから修正できるのであり、計画が無ければ修正さえできません。
私なんかは親から引き継いで経営していた会社を倒産させてしまい、そこで自分の人生設計の間違いに気付くことができました。商売は下手でしたが、労務管理と経営計画作成・実行は得意でしたから、会社の社長としてよりも会社を元気にする社会保険労務士として社会に貢献する方が自分の強みを活かすことが出来ていると思います。高校時代の同級生なども、「社長時代よりも活き活きとした仕事をしている。天職にめぐり合えたようだネ!! 」と言われています。

2011年10月23日日曜日

PFドラッカー365の金言より 71

<< 本文 >>
間違いや失敗をしたことがない者だけは信用してはならない。そのような者は、「無難なこと」「安全なこと」「つまらないこと」にしか手をつけない。
優れた仕事ぶりとは、長期にわたり、仕事において成果を生んでいくことである。当然そこには間違いが生まれる。失敗も含まれる。「強み」だけでなく、「弱み」も明らかになる。
人は優れているほど多くの間違いを犯す。優れているほど新しいことを行うからである。

(コメント)
昔しある講演会に参加したときのことです。講演者は大変に有名な方でしたが、講演内容は「自分の失敗談」をいくつも語り、それを如何に直していったかという内容でした。
実力が認められている人ほど、他の人が自分と同じような失敗をしない為に自分の失敗談をお話しされるようです。実力がまだ認められていない人は、失敗談を隠し成功談を語ることで、自分の実力を認めてもらう必要があります。
だから、PFドラッカー先生は、間違いや失敗をしたことがない者(それらを語らず隠している者)を信用してはならないと言われているのだと思います。
天才的バッターでも三振してしまうことがあるように、仕事ぶりを打率と考え、間違いを認める組織文化を創り上げることが大切です。間違いや失敗を隠されると、会社がある日トンデモナイことになることがあります。大切なことは、発生してしまった間違いや失敗に早く気付き、いかにしてリカバリーするか対策を講じることができるようにすることです。

2011年10月22日土曜日

PFドラッカー365の金言より 70

<< 本文 >>
成果に向けた一人ひとりの自己啓発こそが、組織としての社会のニーズに応え、個人として自己実現するための唯一の方法である。それこそが、組織の目標と個人のニーズを合致させる唯一の方法である。一人ひとりの「強み」を活かすことによって、組織の成果と個人の自己実現が両立する。それぞれの専門能力が組織にとっての機会となる。加えて、貢献を焦点を合わせることによって、個人にとって価値あることを組織の成果に変える。
成果を通じてのみ、現代社会は2つのニーズ、すなわち個人から貢献を得るという組織のニーズと、自らの目標達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを調和させることができる。


(コメント)
難解な先生の教えですが、この文章の意味を理解するには逆から読んでいくと良いと考えます。
①即ち、会社と個人のニーズを調和させるためには成果を挙げることが必要である。
②そのためには、個人の能力を活かして機会を見つけていくことが必要である。
③個人の「強み(能力)」を活かすことによって会社と個人のニーズが両立するようになる。
④その為には、個人の能力を向上させることが必要であり、その根本となるのが個人の自己啓発である。
⑤ただし、その自己啓発は成果を挙げるための自己啓発であることが必要である(趣味や道楽ではないこと)。
このように読み解いていくと、ナンダ~!!先生は
(a)会社と個人の必要とすること(ニーズ)をバランスさせる為には(個人が喜んで仕事をするようになる為には)
(b)個人の強みを活かすこと
(c)成果を挙げるための個人の自己啓発が大切なこと(成果に向けて個人の強みをブラッシュアップすること)
を説かれていることが判ると思います。

英語文化圏の人達が主張することの意味が解らないときは、文章を逆から読み解いていくと判り易くなると思っています。日本語と英語とでは、主語・述語・形容詞等や文章の配置の仕方が異なりますから、日本語に慣れている日本人が英文を読んで意味不明なときには逆から読み解いてみることが一つの要領です。

2011年10月21日金曜日

PFドラッカー365の金言より 69

<< 本文 >>
組織は人を変える。否応なしに変える。成長させたり、逆にいじけさせたりする。
人を育てることについて、我々はかなりのことを知っている。とくに、何を行うべきでないかについて良く知っている。行うべきでないことの方が、行うべきことよりもわかり易い。
人を育てるためにやってはならないこととは

①不得意なことで何かを行わせてはならない。礼儀、態度、スキル、知識は学ぶことができる。だが、個性を変えることはできない(だから、入社させるときに、技能や知識ではなく人柄"真摯さ"に着目して人選する必要がある)
②近視眼的に育ててはならない。人を育てるということは、スキルを身につけさせるだけではなく、人生にかかわることである。従って、仕事は人生の目標に合わせなければならない。
③エリート扱いしてはならない。重要なことは実力であって見込みではない。要求は厳しくしなければならない。
人材の育成にあたっては、
①その人の強みに焦点を合わせなければならない(強みに焦点)。
②その上で、要求を厳しくしなければならない(高い水準の要求を厳しく)。
③そして、時間をかけて丁寧に評価しなければならない(定期的に話し合い評価する)。


(コメント)
色々な企業のご相談を受けていますが、300人規模程度までであればトップが従業員の一人ひとりとお酒抜きの場で最低限でも年に1回は時間を割いて(1人15分程度でも良い)面談し、話し合っている企業は人材が育ち、企業も順調に成長し続けていることが多いようです。300人を超える場合は社長や専務などの主要取締役が分担して従業員との面談をすることが必要です。メールや電話あるいはテレビ電話では補えないものが、面談にはあります。
「忙しいから」という理由でこれを行わない企業は、人材が思うように育たず、人間関係もギクシャクしていることが多いようです。教育を専門とする学校でも中々上手くいかないのが実情ですから、素人である会社の総務部に任せても人財が育つ筈がありません。
「どんなに良い機械や豊富な資金があっても、それを上手く活用できる人財がいなければ、その企業の繁栄は長続きしない」と言われるように、「企業は人なり」です。
人材が人財となり、正しい方向性をもって成長し続けるように最低でも毎年1回の直接面談をトップは行うことが大切です。これはトツプの「重要な仕事」の一つと認識すべきです。

2011年10月20日木曜日

PFドラッカー365の金言より 68

<< 本文 >>
腐った強い者ほど、組織を腐らせる者はいない。
人事に秀でた者は、人事を工夫する。期待すべき「貢献」を考え、実際の貢献と比較する。
人事考課のために4つの問いを投げかける。
①よくやった仕事は何か?
②良くできそうな仕事は何か? <・・・ ①よくやった仕事から推測する。 ③その者の「強み」を十二分に発揮させるには何を身につけさせなければならないか? ④その者の下で我が子を働かせたたいか? である。 強みに直接関係のない考課項目は④だけである。 優秀な若者は強い上司を真似たがる。従って、腐った強い者ほど組織を腐らせる者はいない。これは、それだけで人を失格にする唯一の弱みである。


(コメント)
 いま私は、給与体系の洗い直し作業を受託し、その中で人事考課をどのようにするのかが重要なテーマとなっています。これは、各社とも永年の課題となっていることです。会社組織の中の人の価値観は変わらなくとも、環境と社会通念(常識)が変わりますから、未来永劫有効な人事考課制度などあり得ないのです。
 しかし、その中にあって、PFドラッカー先生は「いかなるときにも共通する価値判断基準」を示されていると考えます。
 また、私は仕事柄、労基法や安衛法を中心として各企業がより良い会社になって頂くための相談・指導・助言を行っています。このときに「そんなことは実務では出来ない」「そんな業界慣習はない」「そんなことをしていたら商売にならない」等と自らの単なる思い込みで、社長やベテラン社員から反発を受けることは頻繁にあります。しかし、法律で定められていることだから従わざるを得ません。このようなときに、即座に無理やりやって頂いてもその場限りで終わることがほとんどですから、時間がかかっても粘り腰でその人達の意識を変えていくことにしています。
 このようなとき、私が痛感するのが「腐った強い者ほど会社を腐らせる」という事実です。
どうしても意識改革でできない人の場合には、何かの重大事故を体験すること(意識変革の機が到来する)で価値観を変革するしかなくなります。
 そして、このようなときに「法律で定められた義務だから、何とか知恵を働かせて、出来る方法を考えよう」とする人は必ず成長されます。私も、法律だからと押し付けるのではなく、一緒に知恵を絞ります。そして後日に会社の人から「お蔭様で良い会社になることが出来ました」と感謝されます。
 人間は歳を取ると、また経験を積んでいくと、頑固になっていくといいますが、環境が大きくかつ激しく変わっている現況では、出来る限り柔軟な考え方を持ちたいものです。少なくとも「聞く、聴く、訊く」の姿勢が必要と思います。

2011年10月19日水曜日

PFドラッカー365の金言より 67

<本文>
成果をあげる人は、貢献に焦点を合わせる。
しかし、圧倒的に多くの人たちが、成果ではなく自らの努力に焦点を合わせている。組織や上司がやるべきことや、自らがもつべき権限を気にする。その結果、成果をあげられないでいる。
これに対し、成果をあげる人は「貢献」に焦点を合わせる。外の目標に目を向ける。組織全体の成果に対して如何なる貢献を行うかを考える。責任(役割)を重視する。


(コメント)
日本人の特徴として、成果よりも(努力)プロセスを重視する傾向が強いと言われています。
しかし、成果をあげるためには、顧客(会社の外の世界)や会社全体の成果に自らが如何に貢献するかが大切であり、自らの努力・プロセスが顧客や会社全体の成果に貢献し得ないものであるならば、その努力・プロセスは評価されるものではありません。
従って、先生は「良い成果をあげるためには、顧客や会社全体に対して如何に『貢献するか』を考えること」が大切であると言われています。
こんな逸話があります。私のような特定社会保険労務士は、会社と従業員さんとのトラブル解決を依頼されることがあるのですが、ある事件である社労士が紛争を解決して会社から従業員に和解金100万円を支払ってもらった処、その従業員さんから「なんてことをしてくれてしまったんだ!!永年お世話になった社長さんに対して申し訳ないじゃあないか!!私はただ社長さんに謝って貰いたかっただけだったのに!!」とクレームをつけられたそうです。この社労士の努力は成果(顧客の期待に応える)をあげることができなかったのです。この社労士は、「争いに勝つ」という自らの努力・プロセスだけを重視して、依頼人である従業員さんの期待する成果をあげることができなかったのです。
別の事例ですが、ある会社(建設会社)で民間マンションの建築受託営業を徹底的に行う営業方針を立てました。このとき、ある従業員だけは官公庁からの土木建築の受託営業に力を入れ、会社の営業方針である民間マンションの受託営業を全く行おうとしません。このときは、若干ながら官公庁からも土木建築を受託することがてきましたが、官公庁の土木建築を受託するために必要な資料や事後に必要となる書類と民間マンション建築を受託するために必要となる資料や書類とでは全く異なりますから、この従業員のために他の従業員も協力せざるを得なく、会社全体のパワーを民間マンションの受託営業活動に集中できなくなりました。この場合、この従業員を如何に評価するかが大切な処です。もし、この従業員が「会社全体に貢献する」という意識を持っていたら、官公庁工事の受託営業を行うとしても、民間マンション建築の受託営業を主としていた筈です。こうすれば会社全体の持つパワーを集中させることが出来て、もっと良い成果が得られていたかもしれません。この営業マンは「官公庁工事の受託による売り上げ増」ということで会社に貢献したかも知れませんが、少なくとも「会社全体のパワーを集結させて民間マンション建築を受託する」という全社方針の足を引っ張っていたことは事実です。自分一人の成果を考えるのではなく、会社全体の成果を考え、それに貢献する意識を持つことが大切であるとPFドラッカー先生は説かれています。

2011年10月18日火曜日

PFドラッカー365の金言より 66

<< 本文 >>
成果をあげる人の共通点は、行うべきことを行っているだけである。
しかし、成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力は5つある。
①自分の時間が何にとられているかを知ることである。残されたわずかな時間を体系的に管理することてある。
②「自分の儲け」よりも、「他人への貢献」に焦点を合わせることである。
③自らの「強み」を基盤として、自らの強みと他人の強みを活かすことである。
④際立った成果をあげられる分野に「集中」することである。
⑤成果をあげるよう意思決定を行うことである。
いかに聡明、勤勉、創造的、博識であろうと、これら5つの習慣的な能力に欠けるならば成果をあげることはできない。


(コメント)
判り易い内容だと思いますのでコメントを省略します。これらのことを意識して、習慣化して、実行し続けることが大事だと思います。

2011年10月17日月曜日

PFドラッカー365の金言より 65

(コメント)
重要な仕事をしようとしたり、良い成果を挙げようとするときには、それを「行う時間を確保すること」から始めることが必要です。時間が細切れになっていては、仕事が中断されるため集中することができず、重要な仕事や良い成果を挙げることは難しくなります。そのためには、普段から自分の時間を管理する習慣を身につけることが必要です。

<< 本文 >>
成果をあげるためには、大きな時間の固まりが必要である。
時間を管理するためには、自由になる時間をまとめなければならない。
このことは、特に他人と一緒に働くときにいえる。
方向づけや、計画や、仕事の仕方について15分で話せると思っている者は、単にそう思い込んでいるだけである。

(コメント)
細切れに発生する「自由になる自分の時間」をいかにしてマトメて大きな固まりにするか!! その固まりの中で、如何にして「集中して仕事をするか」が、良い成果を挙げられるか否かの分岐点となります。
いずれにしても、「集中して仕事をする時間と環境を確保すること」が良い成果を挙げる秘訣となります。
社会保険労務士の国家資格にチャレンジするときに、学校の講師から「合格したければ1年間で3600時間は学習しなさい。そうしないと、運よく合格できたとしても、開業後に苦労しますヨ」と言われ、毎日10時間ほど勉強しました。そのためには、友達と飲みに行くことを止め、テレビを観ることを止め、食事は1回15分以内に済ませるようにする等して学習できる時間を確保していきました。集中して行うと、それまで大嫌いだった法律のことが判るようになり、少しずつですが理解できるようになりました。良い成果を挙げようとするときには、自分の日常生活の中の非生産的な行動を廃棄して時間を確保していくのが一番の早道だということを、このときに体感することができました。

2011年10月16日日曜日

PFドラッカー365の金言より 64

(コメント)
東京(正確には埼玉)の大学に通っている息子が異常事態に陥ったようなので、急遽、夜行バスを利用して金曜日夜から日曜日朝まで東京に夜行日帰りで行っていたので、この間はブログを掲載することができませんでした。

(本文)
成果を挙げるための第一歩は、時間の使い方を記録することから始まる。重要なことは、自分がどのようなことに何時から何時まで時間を使ったかを、自分で記録することである。継続して時間の記録をとり、その結果を毎日見ていく。
そして、日々の日程を再検討して組み替えていく。やる必要のない仕事、成果を生まない時間の浪費となる仕事を見つけ出し排除する。
そのような時間の浪費を見つけ出すためには、記録に出てくる全ての活動について、「もし、全くやらなかったら何が起こるか」を考えれば良い。止めても何も起こらないのであれば、明らかに結論は「直ちに止めよ!!」である。


(コメント)
仕事を含めた一日の行動計画を組む人は結構いらっしゃいます。しかし、その結果を記録し、結果をもとに次の計画を改善するようにしている人は少ないようです。大切なことは、それらの記録を「自分の手で記載する」ということです。パソコンに入力して手書きする代用をしようとすると効果は少なくなってしまいます。アナログに自らが手書きすることで、人間の脳がフル活用されるようになります。乱雑に書いても、思いつくままの箇条書きでも良いのです。
こうして、自分の記憶を思い出し、整理して、その中から自らの「強み」「予期せぬ成功」を見つけ出し、それを次の計画に反映させることが必要です。
そして、PFドラッカー先生が言われているのは、これが出来るようになるためには、まず「成果を生まないムダな行動を排除することを先にしなさい」ということです。有効な行動計画が立てられるようになるためには、ムダな行動を排除し、そこで生まれる時間を活用して、自らの脳を無意識のうちにフル活用できるようになること(「アッ!!」と気付けるようになること)が必要であるということです。
昔しから日本の格言に「忙中閑あり」とあります。「忙」の字体を分解すると「心」を「亡(ウシ)なう」と書いています。「忙しい」というときには意外と時間があるものです。「本当に忙しいとき(必死なとき)」には人間は無意識のうちに集中して仕事を行い、ムダな仕事を無意識のうちに排除するか後順位にしています。本当に忙しいときには人間は口数が減りますから、「忙しい」とも言わず、黙々と計画的に仕事を進めていきます。
口で「忙しい! 忙しい!」と言っている間は、仕事に振り回され、自らを見失い、その結果、集中して仕事を行うことができず時間と仕事に振り回される結果、意外と「やらなくて良い仕事(後順位にしたり排除しても良い仕事)」をやっている場合が多いようてす。このようなときには、「やらなくても良い仕事(成果を生まない仕事)」や「後順位でも良い仕事」を排除することで、限られた時間に集中して仕事を行うことができるようにすることが大切です。
だすから、「いま、このときに」やるべき仕事に集中できる環境を創り出すために、いまはまだやらなくても良い仕事(後順位の仕事)や成果を生まない仕事を先に排除しておくことが必要です。

因みに、今回の私は息子が異常事態に陥ったので、金曜日の昼間に急がない仕事を全て排除して「緊急の仕事」だけを片付け、時間を確保して東京に行った後に、今日は「月曜日までに完了すべき仕事」に集中的に取り組む予定です。私も個人事業主(社会保険労務士)ですから、当然に成果の有無を考慮して金曜日と日曜日の仕事配分を決めています。夜行バスの中では来週予定されている給与体系変更のプレゼンの構想を資料を見ながら練っていました。ただし、このブログが成果を生む仕事と確信はしておらず、気分転換のために入力していますが・・・・・。

2011年10月14日金曜日

PFドラッカー365の金言より 63

通常、仕事についての助言は「計画せよ」から始まる。もっともらしく聞こえる。問題は、それでは上手くいかないことにある。計画は紙の上で消える。よき意図の表明に終わる。実行されることは稀である。
成果を挙げる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自らの時間に対する非生産的な要求を退ける。そして最後に、そうして得られた自由になる時間を大きくまとめる。
従って、時間を記録する、整理する、まとめるの三段階にわたるプロセスが、成果を挙げるための時間管理の基本となる。

(コメント)
これはFPドラッカーの大変有名な言葉です。
これが出来るようになるためには、部下や他人に仕事を頼むときには、「何時(日)までに・・・完了してもらいたい」と言うのを口癖にすれば良いと思います。そして、自分のやるべきコトに対して、「何時(日)までに完了する」というタイムリミットを設けるようにすることです。
こうすることで、やるべきコトに「集中」して取り組むことができるようになります。細切れ的に行っていては、良い成果は得られません。集中すると、人間は物凄い能力を発揮できるようになります。
いずれにしても、良い成果を挙げるためには「集中」することが必要であり、集中できるためには自由になる時間を自らが創り出していくしかないと考えます。

PFドラッカー365の金言より 62

< 本 文 >
成功によって問題は無意味化できる。そのためには、予期しなかった出来事を重視しなければならない。
ところが、報告システムのほとんどが予期せぬことを無視するようになっている。この間違いを直すことはできる。それは月一回、予期せぬことを報告し合うことだ。
大事なことは、「うまくいったか」ではなく、「予期せぬことだったか」である。そして、それらの予期せぬことの意味を検討することが大切である。もちろん多くは、単に予期せぬものだったというに過ぎないかもしれない。しかし、三つか四つは大きな意味のあるものがあるかもしれない。
成功の追及、特に予期せぬ成功の追及こそが次なる成功をもたらす。


<コメント>
予期していなかったことを重視することが大切です。特に、予期しなかった成功の中から自らの強みやチャンスが見つかることが多いのです。予期しなかった失敗は、自らの認識と実態の差を示し、自らの弱みを教えてくれます。
しかし、報告(下から上への連絡)では「予期していなかったこと」が「意図していたこと」として報告されたり、
「予期していたこと」が「意図していなかったこと」として報告されてしまうか、或いは「予期しなかったこと」はその人の認識にさえ無い為に全く報告されません。
そのため「話し合う(双方通行のコミュニケーション)」が大事です。そして、その際には話す言葉の内容だけでなく、語尾、しぐさ等が重要であり、「聴くこと」「訊(タズ)ねること」が必要です。。
月一回の話し合いで、相互に予期しなかった成功や失敗を話し合うことを通じて、それぞれが自らの強みとチャンスに気づき、次なる成功のネタを見つけ出すことが大切です。
成功したことの要因を分析して、その要因を次なるチャンスに活かすことで次なる成功を得ることができるようになります。「運がよかった・・・」で終わらせないことが大切なことです。
しかし、これが中々難しいことです。

2011年10月13日木曜日

PFドラッカー365の金言より 61

(本文)
仕事ができる組織は、仕事を楽しんでいる。
しかし、組織には重みがあり、その重みのために問題志向となり、問題解決に追われる。成長の利用に長けた組織は余りない。
成功の展開が機会志向の体質をつくりだす。組織も伸びる。
仕事が好きで、かつ楽天的であれば、それだけで組織の空気は違ってくる。

(コメント)
色々な会社のご相談に応じていて思うことは、解決すべき問題(発生してしまった問題)を解決するために翻弄させられる会社が多いということです。
しかし、会社が成長するためには、「問題解決」ではなく「課題解決」に時間を費やすことが大切です。課題とは、「あるべき姿」と「現状」とのギャップをいい、このギャップを自らが積極的・主体的に目標と計画を設定して解決していくことが必要となります。
私は、職業柄、従業員との個別労働紛争解決のお手伝いをすることが多いのですが、このお手伝いをして問題が解決した後には「今後は問題解決ではなく課題を見つけ出しその課題を解決することに時間を費やすようにしましょう」とアドバイスしています。
そして、課題を解決していくためには、計画性と主体性が大切なのですが、同時に「機会(チャンス)」を活かすことも大切なことです。自らの意思で解決できる課題は予め計画的に解決していくとしても、どうしても解決できない課題が残ってしまいます。このようなときには「時間を味方につけて、焦らずに、機が到来したときに一機に解決する」ことを心がけることが大切だと考えます。
そして、その「機」は「何か他のことに成功したとき」に潜んでいる場合が多いようです。昔しから「運が向いてきた」などと言われますが、これは「流れ」と「機」を意味しており、その「流れ」と「機」を最大限に活用して課題を解決していくことが必要です。
これが出来るようになるためには、先生が言われるように普段から「仕事が好き」で「楽天的」であること(発生してしまった問題に振り回されるのではなく、解決すべき課題を主体的に解決していくこと)が必要となると考えます。
問題発生が多い会社は、得てして問題がないときには課題を見つけ出そうとはせず、問題が無いことに安心してしまい、前向きなこと(課題の発見と解決)を何も行っていない場合が多いようです。或いは、問題が多すぎて、または問題に拘り過ぎて、問題に振り回されて課題を見つけ出すユトリを無くしている場合も多いようです。このような場合には、思い切って「楽天的」になり、緊急性のない問題は放置し(時間が解決してくれると考え)、課題の発見と解決に努めることで、前向きな楽しい仕事ができる会社となるよう心がけることが必要と考えます。

2011年10月12日水曜日

書籍「社長がやるトップセールスの極意」のMSR流要約簡易版

「PFドラッカー365の金言」ばかりを継続していると飽きてしまいますので、ここらでチョッと別の書籍の要約をご紹介させて頂きます。
著者の田中道信 氏はリコーの販売体制を立て直して経営危機を乗り切り、その後は女性ファッション小売店の三愛の常務、社長を歴任され、現在は経営コンサルタントとしてご活躍されていらっしゃる方です。

(コメント)
いくつかの経験から、MSRとしては「(2)社長の内部への意識変革なしに全社展開なし」が特に重要と思いました。
社長がトップセールスを行い始めると、会社の欠点、社員の欠点がアカラサマに社長に分かるようになります。そして大半の社長は「どうしてうちの社員には・・・・がわからないのかナ?」と嘆き始め、怒鳴り始めてしまいます。しかし、この原因の大半が社長自身にあることが多いのです。
しかし、この時に古い格言にもあるように「過去と他人を変えることはできない。しかし、未来と自分を変えることはできる」と考え、まず社長自らがトップセールスから得たことを元にして変わっていくことが会社を良くする第一歩となります。

<要約本文>

(1) 社長は、今こそトップセールスに打って出よ !!
 これだけ変化が激しい時代になると、幹部の報告と結果数字だけで現状を掴むことはできない。報告書や数字では表れない微妙な変化・差が大変に重要となり、それは社長自らの五感で感じ取るしか方法は無い。

(2) 社長の内部への意識変革なしに、全社展開なし
 多くの社長には、会社の中での「自分の真の姿」が見えていない。自分で思っている社長像と、幹部や従業員の抱く社長像には大きなズレがあるのだ。そのため従業員は、社長の意図が分からず戸惑って、動くに動けない。そのため幹部が育たず、従業員が定着しない。中には裏切る者さえ出現する。これではトップセールスの成果を、すぐさま全社展開することなど不可能である。従業員のいだく「社長の実像」とのズレに気づき、社長自身の意識変革ができれば、あなたの会社は、ビックリするほど望ましい方向に変わっていくのである。
 まず社長が会社の外に出て、自らトップセールスすることによって、マーケットの最新動向と自社の対応とのズレ具合を具体的に知る「外の意識変革」をやる。ついで、会社の内部に目を向けて、自らの「態度能力」の再認識によって、従業員と社長との意識の違いや温度差を知り、自らの内部への意識を変えることによって、社内を結束させ外部変化に対応させる「内の意識変革」に結びつける。この2つの社長の意識改革によって、会社の全ての市場活動を、お客様に向けマーケット・インする強靭な会社組織に短期間で変貌させることが大切である。
 「人間一人が出来ることには限りがあります」。だから社長としてはトップセールスすることで得たものを社内に浸透させ組織として自律的に動く会社を創り上げることが必要ではないでしょうか?

(3) マーケティング理論とTQC理論
 自社を確実に「販売に強い会社」に変えるためには、マーケティング理論とTQC理論(総合的品質管理・・・社員間のバラツキやムラを無くする管理)を社長の武器とすべきである。
 社長は、この2つの経営理論を、誰でも理解できる、分かり易い言葉に置き換え、自社の現場・現実で必ず実践できるような具体的な知恵に変えて、社風や風土として定着するまで、しつこく使い続けていかなければならない。

(4) 売り切る精鋭軍団づくり
 どんな景況にあっても、モノを売り切って、望ましい利益を獲得するためには、自社の販売部門、販売ネット(代理店や卸問屋)、仕入先それぞれの「戦力測定」をして、現有戦力の本当の実力を掴み、粘り強く急所を強化し続け、自社を「販売に強い精鋭軍団」に確実に変えていくことが急がれる。同時に、社長は、軍団に「魂を注入する人」でなければならない。会社が一致して取り組む「魂の注入」なくして、軍団は思うように動かない。

以上の他に「販売の14則」と「経営の21則」が記載されています。
    書籍「社長がやるトップセールスの極意」 著者:田中道信  出版社:日本経営合理化協会出版局 より

2011年10月11日火曜日

PFドラッカー365の金言より 60

(本文)
「その後、〇〇〇は、幸せに暮らしました」で終わるのはおとぎ話だけである。
成功は常に、その成功をもたらした行動を陳腐化する。新しい現実をつくりだす。新しい問題をつくりだす。
成功しているマネジメントが、自らの事業は何かを問い直すことは容易ではない。彼らは、その議論の余地は無いとする。けちをつけることを好まず、ボートを揺らすことを好まない。つまるところ傲慢であって、怠慢である。こうなると成功が失敗に終わる日は近い。
1920年代にアメリカで最も繁栄していた産業が「炭鉱」と「鉄道」であった。いずれも、神が与えてくれたものと考えていた。事業が余りにも明白であって、考える必要もないと思っていた。


(コメント)
1920年代の「炭鉱」が自社の事業目的は「エネルギー源の供給」と捉えていたら、当時保有していた膨大な資金と人材を元にして「石油産業」「電気・ガス産業」等に進出して、その後衰退することは無かったと思います。
同じく「鉄道」が「快適な移動手段の提供」と捉えていたら、自動車産業や航空機産業(場合によっては「電話」や「インターネット」)にも進出していたであろうと考えます。
しかし、彼らは傲慢と怠慢により、それ(事業の定義を考えることなく、今の産業にしがみついた)をしなかった
結果、衰退してしまいました。
あることで成功すると当事者は回りが見えなくなってしまうことが多いようです。しかし、利用者は暫らくすると、その「あること」にも慣れ次の欲求が生まれ始めます。また成功すればするほど競合会社も参入してきます。このとき、自らの事業目的(利用者・顧客に何を提供しているのか)を一段上の目線からとらえて、次の事業のための投資を始めることが必要となります。
会社事業にはライフサイクルがあると言われています。一つの事業に専念ばかりしていると、いずれは衰退してしまうのです。ベンチャービジネスの人が失敗する二番目に多い原因はここにあります。一つの事業が成功したら満足してしまい、次のビジネスを育てる努力を忘れてしまうのです。成功するためには専念することが必要ですが、ある段階になると次の事業を育成し始めることが必要です。このとき、無軌道な事業の拡散とならないために、「自社の事業目的」を明確にしておくことが大切です。
その意味で、「その後、シンデレラは幸せに暮らしました」というのはおとぎ話だけの世界の話しだと先生は言われているのです。
しかし、日本の「桃太郎」はその後どうなったのでしょうかネ????? 桃太郎侍になり修行を重ねていったのかナ?

2011年10月10日月曜日

PFドラッカー365の金言より 59

中小企業は、ニッチ戦略(①関所戦略、②専門技術戦略、③専門市場戦略)の可能性を考えてください。実際にそれらの展開を検討してください。

ただし、あらゆるニッチ戦略に共通する弱点が次の事由による「永続性の欠如」です。
①技術が進化し、従来の技術・製品が不要となってしまう。
②専門市場が大衆市場となり市場が拡大したことに伴い競争が激化してしまう。
そのため、自社の製品、サービス、プロセスの全てについて「陳腐化の状況」をチェックすることが必要です。
陳腐化に対抗すべく、「イノベーションのためのプログラム(計画的廃棄)」を作成してください。

PFドラッカー365の金言より 58

<ニッチ戦略の中の(4)-3専門市場戦略>
ニッチ戦略の一つに、競争相手が現れるほど大きくない市場を狙う専門市場戦略がある。専門市場戦略では小さな特別の市場を創り出す。


(コメント)
専門市場戦略は関所戦略と似ていますが、関所戦略が工程中のボトルネックを狙うのに対して、専門市場戦略は前・後の工程と余り関係がない独立した市場を狙います。
中小企業にとってはハードルが高い戦略です。何故なら、独自の市場を創造しなければならないからです。
現実的な戦略選択としては、既に存在している市場で関所戦略をとり、その特異性を強化して市場開拓を行いながら専門市場戦略を採用していく手順になるのではないかと考えます。

2011年10月9日日曜日

PFドラッカー365の金言より 57

(本文)・・・今日は(4-2)専門技術戦略です。
ニッチ戦略の一つに「専門技術戦略」がある。
独自の専門技術さえあれば、競争を恐れることはない。そのためには、急成長している分野向けの専門技術の開発に力を入れることである。
大手自動車メーカーの名前を知らない人はいない。ところが、電気系統システムを供給する部品メーカーの名前を知っている人はほとんどいない。それら有名でない部品メーカーが専門技術のニッチを占拠している。彼らは、自動車産業において、いち早く専門技術を開発することによって早い時期に市場を獲得した。

(コメント)
トヨタ自動車を知らない日本人はいないと思います。しかし、その重要な部品を提供しているデンソーという会社を知っている人は少ないと思います。
電気のプラグ(差込口)を製造し、その市場を寡占している未来工業を知らない人も多いと思います。
道路の橋を工事するときに必要となる設計技術と部材を日本では2社が寡占している(実質的に地域独占)ことを知っている人も少ないと思います。
特殊な専門技術によって市場を占拠してしまうことは可能なことです。
私の顧問先でも、NECの機器と富士通の機器をうまく接続させる技術を持っている会社があります。これは明文化された技術ではありませんし、技術者が試行錯誤の末にできるようになった技術です。この技術が必要な工事にその技術がない他社が参入してきても、この会社は慌てることは無いのです。いずれ自社に下請発注してきますから、そのときには価格を譲歩することなく交渉することができるからです。

2011年10月8日土曜日

PFドラッカー365の金言より 56

(4-1)ニッチ戦略の中の関所戦略>・・・先生はニッチ戦略として「関所戦略」「専門技術戦略」「専門市場戦略」を挙げられています。
ニッチ戦略は小さなニッチ(隙間、適所)での独占を目指す。ニッチ戦略の一つである「関所戦略」では、プロセスの一部として不可欠の部分を探す。プロセス全体から見れば、問題にならないコストのものである。しかし、余りに売上が小さい為に、競争相手が入ってくる余地がない。


(コメント)
中小企業は「ニッチ戦略を取るべきである」として有名になったニッチ戦略ですが、その中の一つの戦略である「関所戦略」です。
これは製品・サービスを提供(生産)するために必要不可欠な工程で必要となる資材市場を独占してしまうことです。
①この工程が必要不可欠であることが絶対条件となります。
②この資材の全工程に占める費用比率は低いものであることが必要(高いと大手他社が参入してくる)です。しかし、市場を世界規模等で広くとらえて(必要不可欠な工程だから広く捉えることができる)市場を大きくすることがてきます。
その工程が全工程に占める費用比率は低くても、その工程が必要不可欠な工程であり、かつその市場を独占していると、市場を世界に向けて広げることができます。結果として、他社にとっては市場規模が小さく見えても(費用比率が低い)、その企業にとっては市場規模は大きく魅力的なものになります(広範囲な世界市場と独占)。
ニッチ戦略としては、医療における薬剤・機器、ビル建設における電話通信設備(ゼネコンにはビル建設費用は魅力的な市場だが電話設備は単価が低いので魅力的ではないなどが考えられ、その中の医療における薬剤・機器を「関所戦略」の事例として先生は挙げられています。

2011年10月7日金曜日

PFドラッカー365の金言より 55

< (3)価格戦略 >
企業には製品やサービスのイノベーションが必要である。ところがここに価格の付け方がイノベーションであるという企業戦略がある。
製品やサービスそのものは変えないが、価格の付け方によって、その製品やサービスから得られる効用(≒満足度合)、価値、経済的な特性を変化させる。
顧客が本当に買っているものは何かを調べ、顧客の本当のニーズを探り当てることが必要である。
価格戦略とは、顧客に合わせて価格をつけることである(製造原価主義の正反対)。

(コメント)
有名な事例は、100円ショップでしょう。一昔前にブレイクしたユニクロのフリースジャケットもそうかも知れません。ユニクロはそれまで2万円~3万円もしたフリースジャケットをSPA生産方式により1980円にして、高級品実用品から街角でも着ることができるファッショナブルな普段着へと変容させました。
ただ、ここで注意しなければならないことは、「顧客が本当に買っているものを調べ」ということです。
ある書籍に出ていた例ですが、アメリカのサラリーマンで自家用車通勤している人の中には、朝食代わりにシェイクを飲み(食み)ながら通勤する人達がいるそうです。シェイクか余りに飲み易い(ジュースと同じように飲める)と会社に着くよりかなり早くにシェイクが無くなってしまい、残りの時間が手持無沙汰となってしまいます。従って、シェイクには飲み難い程度の粘り気が必要となります。このようなサラリーマンは時間を買っているのではないでしょうか?
しかし、昼間に子供と一緒にシェイクを買いに来る母親にとっては、シェイクの粘り気が弱い(飲み易い)方が都合が良いのです。粘り気が強いと、子供が飲み終わるまで母親はズ~と待たされることになるからです(最終の顧客は子供ではなく、母親であることにも注意が必要です)。このような母親は子供の喜ぶ笑顔を買っているのではないでしょうか?
前者のサラリーマンと後者の母親とでは、シェイクに対する期待・価値(甘さ、価格、粘り気等)が違います。あるファミレスでは、時間帯によってシェイクの甘さと粘り気に違いをつけ、価格にも違いをつけ、朝だけドライブスルー方式で販売もするようになり、売上を飛躍的に増進させたそうです。
ドリルをホームセンターで買っている顧客はドリルではなく「穴を開ける」という目的のための道具を買っています。ドリル以外のものでも穴が開けられる道具であれば、それでも構わないのです。
ユニクロのフリースの事例のように、今までは高額な実用衣料だったものを、SPA生産により価格を引き下げ手頃なファッション着にしてしまうことで、顧客にとっての価値を変えてしまうことも可能なことです。
適正価格とは、製造原価から算出される販売希望価格ではなく、顧客にとっての効用、価値、特性に見合った販売価格にすることが必要であるとPFドラッカー先生は言われているのではないでしようか? 従って、ネットのバーナー広告で軽井沢のホテル1泊198円等を見かけると、行き過ぎを感じてしまいます。
チョット違う事例にはなりますが、あるメーカーさんで製品出荷の際に間違えて空の箱を梱包して顧客からクレームが続いたことがあるそうです。そのため取締役会で協議して約3千万円の設備投資をされたそうです。その後は顧客からのクレームが減ったので取締役さん達は設備投資の効果があったと判断されていたそうですが、ある日現場に行かれ唖然としたそうです。現場では投資した設備ではトラブルが頻繁に発生するので、その設備は使用せずに、街角で売っていた5千円程度の扇風機を回し空箱を飛ばすことでダンボールに混入することを防いでいたそうです。目的を明確にして、現場の知恵を使うことで大幅な投資節減ができていた筈です。
今は違うかもしれませんが、昔しのキャノンのコピー機は内部の配線はゼロックスのコピー機と比較すると、そくなに綺麗な配線はしてなかったそうです。キャノンは内部配線に必要となるコストを削減して高価だったコピー機を一般企業でも購入できる価格に下げ、コピー機の一般普及品市場を開拓していき市場を占拠したそうです。多分、キャノンは「顧客の目的はドキュメントの写しを取ること」と明確に定義して、ムダを取り除いていったのではないかと思います。いまでは、コピーとFAXとプリンターの複合機が安価に売られるようになりましたが・・・。
「何のために・・・顧客は購入しようとするのだろうか? その目的の価値に見合った販売価格を設定すること」が大切ではないでしょうか?

2011年10月6日木曜日

PFドラッカー365の金言より 54

(コメント)
今日は「柔道戦略」です・・・これは冒頭4つの戦略にはありませんでしたが、本文で記載されている戦略です。どちらかというと新規参入業者や一番企業を追い抜こうとしている二番手・三番手企業に向く戦略です。PFドラッカー先生も慶応大学在学中に「孫子の兵法(≒道教)」の考えを学ばれたらしい形跡を残す戦略です。

(本文)
(2-2')柔道戦略」とは競争相手の得意技を研究し、相手が手を抜いているところに自らの機会(チャンス)を発見していくことである。
事業において相手の行動はパターンしていることが多い。事業における柔道家は、リーダーの地位にある者の得意技に隙を見つける。
大昔、アメリカ企業は、高級品市場の利幅を狙って一般市場をなおざりにしていました。日本企業はこの隙を狙い、家庭用電子機器、工作機械、自動車、コピー機、ファックス市場でリーダーの地位を得た。日本企業はアメリカ企業が得意とするものの隙をついた。日本企業は低機能の一般普及品で成功し、そこで得た資金を使って、高級品市場に進出し、この2つの市場のいずれをも手に入れた。

(コメント)
これは新規参入するときの一つの戦略です。
まずは、低機能で低価格な低価格市場(Low Market)に参入して、色々な失敗を通じて本当の顧客ニーズを探り出して対応する。その過程を通じて、自社の技術レベルを上げていき、次第に上位市場に進出していくのです。
ただし、当初Low Marketに参入したときに、既存メーカーが①低価格だが品質が劣るとして無視してくれると良いのですが、②価格競争を挑み参入を阻止してくることもあります。
このときには持ちこたえる覚悟が必要です。
PFドラッカー先生は日本企業とアメリカ企業の事例を引用されていますが、最近では韓国や中国の企業の事例があります。韓国のサムソンという電気メーカーの製品は、15~16年前までは「安かろう」「悪かろう」でとても使えるシロモノではありませんでした。しかし、サムソンは今や低価格市場だけでなく普及品市場においては世界一の家電メーカーになっています。アメリカの自動車市場においてもトヨタやホンダは韓国の現代という会社にやられ始めているようです。

2011年10月5日水曜日

PFドラッカー365の金言より 53

(2)二番手戦略」では新しい製品やサービスを創造しない。誰かが創造したものを改善する。その一つが模倣である。だが顧客のニーズと欲求に、よりよく応えられるようにするが故に創造的である。こうして顧客の欲するものの創造に成功するならば、リーダーを追い越してリーダーの地位を獲得し、市場を支配することになる。
競争相手が行ったイノベーションを改善することが一番の早道である。

(コメント)
戦後から高度経済成長期の日本の産業のほとんどがこの戦略でした。米国企業が新規開発したものを日本企業が模倣して改良を加えて市場を占拠してしまう。いまのパナソニックも昔しマネシタと呼ばれていました。韓国のサムソンも日本企業の模倣をして世界一の家電メーカーに成長しました。
新製品開発に必要とされるコストと比較すると、確実に利益が確保しやすい戦略で、中小企業には一番適している戦略です。
この戦略は、経営コンサルの教科書にある「フォロアー」がとるべき戦略に酷似しています。
「真似る」を「パクル」と表現し卑下する傾向が日本人にはありますが、「学ぶとは真似ぶことから始まる」と言われるように非常に大切なことです。良いモノの真似することが成長の第一歩となります。子供も親の真似をすることで色々なことを覚えていきます。ただし、真似することを放っておくと、得てして悪いことを真似する性が人間にはあることも注意しなければなりませんが・・・・・。
また、「差別化が必要な時代」と言われ久しいものがあります。しかし、差別化で必要なとは、「一味違うたけや味噌」の発想です。二味も三味も違うと顧客は味噌として認めてくれません。普及させるのに時間がかかります。一流の料理人は素人と同じ材料を使っても抜群に美味しい料理をつくるそうです。材料は違っても調味料や熱加減が微妙に違うのです。実は、顧客に受け入れて貰いやすくするにはこの微妙さが大切なのです。
中小企業が成長する為には、模倣戦略をベースとして、顧客の立場に立ち、「一味違うたけや味噌」の発想で小さな差別化を心がけて力をつけていくことが必要です。

2011年10月4日火曜日

PFドラッカー365の金言より 52

(コメント)
昨日のブログで予告しましたPFドラッカー先生が唱えるイノベーションを成功させるための戦略①総力戦略、②二番手戦略、③価格戦略、④ニッチ戦略について数日ブログにしますが、経営コンサルの教科書にある(a)リーダー戦略、(b)チャレンジャー戦略、(c)フォロワー戦略、(d)ニッチャー戦略と比較されると面白いと思います。似てる点が多々ありますが、微妙に違う点もあります。

(本文)・・・・・今日は「(1)総力戦略」です!!
企業家は全ての経営資源を一点に集中させ、勝利を得ることでトップの座を得ようとする。成功すればトップの地位を得、失敗すれば何も得られない。最初から的確に行動しなければならない。さもなければ失敗する。しかも成功は十に一つである。成功すれば膨大な収穫を得ることができる。
この戦略には特有のリスクがある。成功した後でさえ、もう一つの戦略である「二番手戦略」を使う後発組に脅かされる。

(コメント)
総力戦略は非常にリスクが高い戦略だと言えます。企業の従業員の生活や顧客・株主・仕入先に対する責任を持つ経営者としては、できれば避けたい戦略です。
しかし、競争が激化した現代が「集中と選択の時代」と言われるように、企業として生き延びるためには経営資源を集中して他企業と差別化を図る必要があります。
有名な事例としては、シャープしかり(総合家電から液晶画面)、アップルしかり(パソコンからスマートフォン)、任天堂・ソニーしかり(総合娯楽器具・総合家電からゲーム)等です。総力戦略の典型的事例は、日露戦争のときの日本海海戦ではないでしょうか? このとき旗艦から「興国の荒廃、この一戦にあり」として、アルファベットの最後の文字「Z」旗が掲げられ「後が無いこと」を各艦に徹底させたそうです。
ただ、この戦略はリスクが非常に高いという問題点を抱えています。
そのため「仮説→検証→実行」のサイクルを「迅速に」回し続けることが必要となります。自らの予測を元に仮説をたててテストして、テスト結果が良ければ一機に集中的に展開していくことです。そして、展開途中ででも「無駄だ!! 無理だ!! 」と判断されたら容赦なく引き返すことが必要となります(損切り)。ここでは更なる「迅速さ」が要求されます。
ですから、別の章でPFドラッカー先生は、「新しいことにチャレンジしようとするときには、予めタイムリミットと目標を明確に定め、更に途中目標(メルクマール)も定めて、都度確認チェックしていくことが必要である。もうチョッと我慢すれば・・・等と拘り続けず、計画的に廃棄することが必要である」と説かれています。
因みに、戦国時代を平定した織田信長の勝ち戦は良く知られている処ですが、信長は負け戦の時には撤退が早かったと書籍で読みました。
なお、この体制が維持できるためには「普段」が大切です。普段から会社組織が俊敏・機敏に動ける体質を創り上げておく必要があります。

2011年10月3日月曜日

PFドラッカー365の金言より 51

平凡で退屈な組織にさえ、優れたイノベーションの種は消化しきれないほどある。
創造性は格好良い。
だが、問題はイノベーションの死亡率(失敗する確率の高さ)の高さにある。
しかし、その死亡率の高さに必然性はない。さほどコストをかけなくとも下げることはできる。
死亡率の高さは、戦略を知らないからである。戦略さえ適切であれば、成功率は各段に上がる。
経営者(起業家)戦略は4つある。
①総合戦略
②二番手戦略
③価格戦略
④ニッチ戦略
である。
これらは互いに相容れないものではない。2つあるいは3つの戦略を組み合わせて一つの戦略にすることもできる。しかし、これらの4つの戦略にはそれぞれ特徴がある。適合するイノベーションと適合しないイノベーションがある。それぞれが経営者(起業家)に対し異なる行動を要求する。特有の限界を持ち、特有のリスクをともなう。

(コメント)
この4つの戦略の内容については、明日以降のブログとなります。

2011年10月2日日曜日

PFドラッカー365の金言より 50

事業機会(チャンス)を発見するには、自らの「弱み」と「脅威」に注目する必要がある。
事業機会の発見とその実現には、心理的な困難がともなう。確立された習慣の破壊を意味するが故に、内部の抵抗を受ける。それはしばしば、最も誇りにしてきた能力の放棄を意味する。
しかし、実現が難しいということは、逆にそこに力を入れ、その重要性を強調し続けなければらないことを意味する。

(コメント)
昔から「失敗しようとして失敗する人はいない。失敗する原因で多いのは、過去の成功事例に拘り過ぎていた場合である」と言われます。・・・業界慣習、自社慣習、自社の過去の成功事例など
また「企業は変化適応業である」とも言われています。
日々進化を続ける顧客に企業が変化適応するために、企業は過去の栄光や慣習を捨て(計画的廃棄)、新たな環境に適応していく勇気をもつことが必要です。そうしなければ「できない理由探し」ばかりをして、折角発見した事業機会(チャンス)を逃してしまうことになります。
一番の困難は社内と自らの中にあります。社内や自らの中の暗黙知(無意識のうちの規範やルール)が一番厄介な相手となります。昔しから「獅子身中の虫」と言われているように、事業機会を活かすためには、この「獅子身中の虫」を克服することが大切です。
「できない理由探しではなく、できる方法探し」をするようにしましょう!!

2011年10月1日土曜日

PFドラッカー365の金言より 49

「運」と「機会(チャンス)」はあらゆる人間活動に影響を与え、事業に影響を与える。しかし、「運」だけで事業はつくれない。機会を発見し、それを開拓する企業だけが繁盛し、成長する。
機会(チャンス)は見つけるものであって、向こうからやってくるものではない。
機会は自らの「制約」「アンバランス」「脅威」の中に潜んでいる。機会の存在は3つの問いによって明らかにされる。
①事業を脆弱なものにしている制約は何か?
②事業内においてアンバランスになっているものは何か?
③事業に対する脅威として恐れているものは何か?
それらを機会に転化するとき、異常な成果が得られる。
時には、そのような転化はマネジメントの姿勢だけでもたらされる。

(コメント)
「運」は幸運の神様が与えるものであり、準備していた者だけがそれを活かすことができます。
「機会(チャンス)」は自らが見つけ出し、活かしていくものだとPFドラッカー先生は教えられています。
そして、機会は自らの「制約」「アンバランス」「脅威」の中から見つけ出すことが出来るとも教えられています。即ち、SWOT分析でいう「弱み」「脅威」の中にチャンスが潜んでいる訳です。それに気づき活かすことができるか否かは本人次第です。
色々な企業に経営アドバイスをしていく中で、「人は他人から教えられたことよりも、自ら気づいたことに一生懸命に努力する」と私は考えるようになりました。そのため、私の経営アドバイスは、「教える」ことより「自ら気づくこと」に力点が置かれています(コーチング)。「弱み」「脅威」の克服を一緒に検討し悩み、その結果、それらの中に「強み」を発揮することで「機会(チャンス)」に自ら気づいて頂く訳です。そうすると、その後は自走され始めますから看護しておけば良いのです(ただし暴走には注意が必要ですが・・・)。