2011年12月31日土曜日

PFドラッカー365の金言より 140

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マネジメントとは、仕事の絆で結ばれたコミュニティとしての組織において機能すべきものである。共有する目的のもとに、仕事の絆で結ばれたコミュニティとしての組織のものであるからこそ、マネジメントとは人にかかわることであり、善悪にかかわることである。

(コメント)
日本の経営の神様と言われる松下幸之助さまは
「うちの会社は人を育てています。ついでに電気製品もつくっています」
と言われたそうです。PFドラッカー先生の言われるこの節と共通するものがありますネ!!コミュニティを私流に翻訳すれば「同じ釜のメシを食った仲間」となります。
色々な企業で色々な経験をさせて頂いている私が感じることは、伸び続ける企業は「人を大事にして育てるように心がけている。伸びなくなる会社は、人を使い捨てにしている」ということです。企業にはヒト・モノ・カネ・情報が大事と言われる中でヒトが要になります。そしてマネジメントとは人に関わることだから、マネジメントするということが重要なのだと思います。自由奔放を許していては人は育ちません。ときによっては信賞必罰も必要なことです。
そのため、企業が実質的に成長するためには、人を育てる必要があり、人を育てるためには教えて自ら学ばせることが必要となると思います。その方向性を決定し実行させることがマネジメントの役割では無いでしょうか?

2011年12月30日金曜日

PFドラッカー365の金言より 139

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再設計や修正なしに、長期にわたって成果をあげる活動はあり得ない。あらゆる活動が陳腐化する。
あらゆる組織が変化しなければならない。
企業には市場(売上)と収益性(利益)という規律と尺度があるが、企業以外の組織においてもそれぞれの尺度を必要とする。

(コメント)
尊大な目的を掲げてモノゴトを始めても、その初心を長期間にわたり変わることなく持ち続けることは不可能に近く、またモノゴトを始めても当初の思惑どおりにモノゴトが進展することは少いようです。その為、目的を達成する為には目標や計画の修正や変更が必要となります。
また、環境に適応するためには組織は変化していくことが必要です(変化適応業)。
環境変化に適応し、目的を変えることなく目標や計画を修正または変更するタイミングを決めるときには、組織活動を評価するための尺度が必要となります。民間企業では売上と利益という尺度がありますが、政府やNPOにはありません。また民間企業でも大組織となると、その中の小さな組織(課や係)には尺度が不明確になってしまいます。たとえば、会社の総務部に属する人達は会社の売上と利益が自分達の行動成果の尺度であると認識しているでしょうか?
色々な会社から色々なご相談を承って感じることは、会社の成長が鈍っている場合は会社の中で価値尺度が入り乱れている場合が多いようです。そのため、元気な会社になってもらうために、私は会社なりの価値尺度を統一することを常に意識して問題・課題の解決を図るようにしています。
PFドラッカー先生は特にNPO(非営利法人)において「尺度」が必要であると説かれています。
最近、私が相談にのったNPOの理事さんの案件もそれに類するものでした。その理事さんは、類似するNPOと比較して会費が日本一高いので、その会費を他の類似NPO並みにしようと経費節減を図られているようでしたが、その人から聴いた限りでは理事の中に名誉職と理解し何もしようとしない人達、貰えるモノなら何でも貰おうとする人達、単なる仲良しグループと意識している人達等々色々な人の色々な思いが入り混じっていることがわかりました。そのため理事会を開いても無難なことしか議決せず、難あるものは全て先送りされて、結局は立ち往生するか、独断で断行せざるを得ない状況に業を煮やされたうえでのご相談でした。その為、私からNPOの目的を再度確認すること、行動の成果を図る尺度を決めることをお勧めしました。
NPOに限らず民間企業においても、総務部、研究開発部などの間接部門では「目的」と「行動成果の尺度」が不明確な場合が多いようです。環境は刻々と変化し組織はその変化に対応していかざるを得ませんから、目的と尺度を予め明確にすることで、それらを変更せざるを得ないタイミングを逸しないようにしなければなりません(将来は修正・変更が必要になるから予め明示する)。
パナソニックさんも松下幸之助さまが始められた事業部制という組織制度を明確にされていたからこそ弊害を顕著に認識することができ、中村元社長が松下幸之助さまの会社理念に反しないように組織変更を行うことで見事に再生させられました。

2011年12月29日木曜日

PFドラッカー365の金言より 138

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今行っていることをまだ行っていなかったとして、かつ今知っていることを全て知っていたとして、今からでもこれを始めるか?を問わなければならない。答えがノーであるならば、それは廃棄の対象とすべきであり、次にそれではこれから何を行うかを決断しなければならない。

(コメント)
「今までやっていたことを漫然と過去の惰性や習慣に流されて継続しようとしてはいけない」と先生は言われているのではないでしょうか?
新しい事業を始めるとき、従来の事業はそのままにして新しい事業を始めると力の分散となってしまいます。新しい事業を加えた全体を俯瞰し、全体として最も効果があがる方法をとることが必要です。そのためには、既存事業のやり方も変更することが必要となります。
また、卑近な事務的事例ですが、建設業法の指導を国土交通省から受けたため新たな事務が発生することになった顧問先があります。ここで私が提案しているのは、従来の事務でムダな事務を廃止することです。そのためパソコン用業務統合ソフトを導入し、そのソフトの仕組みに合わせて業務改革をするように勧めています。この会社は従来は自社開発のソフトで基幹業務を運営しており、それぞれのソフトが必要な都度開発されたものでしたから互換性が全くなく、入力・保管他で二度手間が発生しているのです。しかも市販の業務統合ソフトを導入すれば、この会社でシバシバ発生している機密情報漏えい問題(セキュリティ対策)へも対処することができるようになります。
新事業のベース、新事務管理のベース、いずれにしても新しいことを始めるときには過去のやり方を全体として見直すことが必要です。しかし、得てして新しいことばかりに関心が集中してしまい、廃棄することを忘れてしまっているのが人間の性のようです。
また、新しいことを始めるときに限ることはありません。日本の格言に「日々新たなり」というのがあります。先生はこの格言に通じることを指摘されているようです。過去の惰性に流される来なく、日々新たな気持ちで仕事・事業に臨むことで新たなやり方・考え方の発見ができる筈です。
年の瀬も後数日に迫りました。新たな気持ちで新年が迎えられるように、新たな年に新たに始めようとするモノ・コト以外は廃棄するようにしましょう。

2011年12月27日火曜日

PFドラッカー365の金言より 137

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仕事が出来る者は、多くのことで成果をあげなければならないことを知っている。だからこそ集中する。
集中するための原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。第一級の資源、特に人の強みという稀少な資源を昨日の活動から引き揚げ、明日の機会にあてなければならない。昨日を捨てなければ明日をつくることはできない。
意識して体系的に廃棄をしない限り、組織は次から次へと仕事に追われる。行ってはならないこと、もはや行うべきではないことに資源を浪費する。そのため、折角の機会を利用する上で必要な資源、特に有能な人材が不足する。
余りにも僅かな企業しか昨日を捨てていない。余りにも僅かな企業しか明日のために必要な資源を手にしていない。

(コメント)
色々な会社のご相談を承っていて、新しいことを始めるときに過去のものを捨てる(廃止する)ことをせずに新しいことを始めてしまっているケースはよく出くわします。過去のものをそのままにしておくから、新旧入り乱れる結果としてモノゴトが複雑になり、どうしても新しいことに集中できない状態に陥られているのです。
しかし、私自身もこの言葉を出来るだけ行動に反映さようとしているのですが、人間の性なのか、どうしても過去のやり方・成功事例に無意識のうちに拘ってしまっています。
道教の教えにある「無常」(世の中は常に移り変わるので、絶対的に不滅で、安定しているものは無い)という考えに到ることは中々難しいようです。

PFドラッカー365の金言より 136

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「真摯さ」を絶対視して、初めてマネジメントの真剣さが示される。それはまず人事に表れる。リーダーシップが発揮されるのは真摯さによってである。範となるのも真摯さによってである。
真摯さは誤魔化せない。
範とすることができない者を高い地位につけてはならない。

(コメント)
「真摯さ」とは「真面目でひたむきなこと」(by広辞苑)という意味です。
PFドラッカー先生は、ここではリーダーの絶対条件として「真摯さ」を挙げられています。リーダーは自分が能力不足であれば、能力のある部下を使えば良いのです。しかし、リーダーに真摯さが欠如していると、能力ある部下も直ぐにやる気を失ってしまいます。アメリカの鉄鋼王と言われるカーネギーの墓石には「自分より秀でた者を使う術を知る者、ここに眠る」と刻まれているそうです。
そして別な書籍で先生は、「真摯さ」はリーダーに限らず一般社員にも絶対的に必要なことだと指摘されています。入社面接をするときに絶対条件とすべきは「真摯さ」であり、これが欠如している人はどんなに有能な人材でも入社させるべきではないと言われています。私は仕事柄から新規採用面接の相談を受けますが、ほとんどの会社が「真摯さ」よりも「能力」を優先させてしまっているのが現実です。「真摯さ」から「相互の信頼関係」が生まれますが、「真摯さ」が欠如していると「信頼関係」は生まれず、信頼関係が欠如している状態では組織が組織として機能しなくなるからです。ましてやリーダーに「真摯さ」が無ければ組織が組織として機能しなくなってしまいます。
組織とは「1+1>2」と機能し、単純合計よりも大きな総和を生み出すべき道具ですが、「真摯さ」の欠如により「信頼関係」が無い組織では、余分な仕事ばかりが増える結果として「1+1≦2」となってしまうのです。
「真面目にコツコツとひたむきに自分の役割を果たす努力を継続するか」は組織を構成するメンバー全員に必要不可欠な要件です。
実際に色々な企業からご相談を承っていて、自らの役割に対する真摯さに欠如している人をリーダーにしている為に問題が発生している場合が多いようです。

2011年12月26日月曜日

PFドラッカー365の金言より 135

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重大な変化は、価値観の変化、認識の変化、目的の変化など、予測不能なものの変化によってもたらされる。事業を行う者にとって重要なことは、市場にすでに現れているトレンド(既に起こった未来)を明らかにすることである。それらの変化を認識し、分析する方法を開発し、あなたとあなたの組織にいかなる影響を与えうるかを書き出すとである。

(コメント)
多忙なときにこそ、変化に気づき易いものです。
昨年の年末と今年の年末で何がどのように違っていますか? その変化は一時的なものですか、これからも続きそうなものですか?
その変化の中に新しいビジネスチャンスが潜んでいます。気づいた変化を「書き出してみる」ことが大切です。
その上で、トレンド(世の中の大きな流れ)を自分なりに解読していき、その流れを上手くビジネスに利用する方法を考えることが大切です。

2011年12月25日日曜日

PFドラッカー365の金言より 134

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イノベーションとは、事業の潜在的な機会を発見し、未来を築く為のものである。
イノベーションを実現させるためには、欠けているものは何か?、成果を一変させる一歩は何か?、資源の能力を一変させる小さな変化は何か?、を問わなければならない。
その為には、顧客のニーズ(必要性)やウォンツ(願望)を「書き出してみる」ことが必要である。ニーズやウォンツを書き出すだけではニーズやウォンツを満たしたことにはならない。しかし、ニーズやウォンツを書き出して(全体として捉えることで)、はじめて望む成果を得るための必要な条件を知ることができる。
イノベーションの能力とは、一見関係のないものを一つの全体として見る能力である。

(コメント)
顧客視点をベースにして「書き出してみる」こと、「全体として捉えてみる」ことは、頭の中だけで考えていると中々できないものですネ!!
そして「全体はシンプルにバランスを保ちながら存在している」という点も忘れたくないことだと考えます。Simple is Best。変化が激しい時代だからこそ、シンプルでありたいものです。

2011年12月24日土曜日

PFドラッカー365の金言より 133

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事業はすべて、「資金の配分」と「人材の配置」によって具体化される。この2つの経営資源が、優れた業績をあげるか、貧弱な業績しかあげられないかを左右する。資金と人材は慎重に投入しなければならない。
資金については
①投資収益率
②回収期間
③キャッシュフロー
④投資現在価値
の4つの観点から見なければならない。そのうえで、機会とリスクの関係が最も有利なものを選ぶ。そして投資結果は必ず当初の見込みにフィードバック(照合)させることが必要である。
そして、人材の配置(採用、解雇、昇進)の決定も重要である。資金の投入よりも難しい。投資の決定と同じように緻密に行わなければならない。そしてここでも、結果を当初の期待にフィードバックさせなければならない。

(コメント)
資金投入の是非は、予測と算数を基に論ずることができます。しかし、人材の投入はそうはいきません。予測しても、相手は成長しますし、環境も変わっていきます。そのため予期せぬことが発生し易いのです。
私は特定社会保険労務士として主に人材の配置(採用、解雇、昇進他)のご相談を承っていますが、色々な企業と接して、「企業はそれを構成する人のモノの考え方次第で成長もするし、停滞・衰退もするものだナ!! 」とつくづく思います。無から起業して企業を興す人もいれば、一大企業を潰してしまう人もいる訳ですから・・・。私見としては「流れを活かすこと」の重要性をシミジミと感じる昨今です。
①陰と陽・・・・・両極端を極め理解すること
②無為・・・・・・・流れを上手く利用すること
③無常・・・・・・・絶え間なく変化し続けること
④上平無兵・・・直接的行動よりも間接的行動を心がけること
が中国の道教(孫子の兵法も基礎となった考え方)の教えにあります。

2011年12月23日金曜日

PFドラッカー365の金言より 132

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誰かに出来ることは他の者にも出来る。
自らの競争力を知るには、ベンチマークの手法が必要である。
最高の仕事ぶりは、自らの組織内に、または競争相手に、あるいは別の産業に見つけることができる。常に一流であるために、ベンチマークを行い、仕事の水準を高く設定することである。

(マトメ)
何か、トヨタのカイゼン活動の源のような気がしますネ!!
PFドラッカー先生は別の章で
「マネジャーの能力は育つべきものであって、生まれつきのものではない」
「私は、成果を上げる人のタイプなどというものは存在しないことに、かなり前から気づいていた。私が知っている成果を上げる人は、気質と能力、行動と方法、性格と知識と関心など、あらゆることにおいて千差万別だった。共通点は『なすべきことを為す能力』だけだった」
「目標に向かってすべきことを知り、それを実行する能力さえあれば成功できるのだ」
「天才に頼ることはできない。天才は稀である。組織の目的は凡人をして非凡なことを行わせることにある」
「そして組織は人の強みを引出し、弱みを無意味にし、人々をして他のものの助けをするようにできなければならない」
とも言われています。

2011年12月22日木曜日

PFドラッカー365の金言より 131

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問題は技術や方法ではない。ものの考え方である。
あなたの会社では「製造コストに利益を上乗せ」して販売価格を決めていませんか?
顧客が喜んで支払う価格を販売価格として設定し、商品の設計段階からアフターサービスに到るまての許容されるコストを明らかにし、その範囲内でコストが収まるように計画する。
この顧客が喜んで支払う販売価格についての情報を用意するものがマーケティングである。

(コメント)
この考え方は普及した考え方です。売れるであろう価格から許容される製造・販売コストを逆算して、そのコストの範囲内で費用を抑え込むようにして製品を決定していく逆転の発想です。要するに、顧客にとっての価値から許容されるコストを逆算して製造原価を決定しようというやり方です。
しかし、この考え方の運用を間違えると、法令違反(安全・衛生の確保違反)となったりもしますから充分に注意が必要です(コンプライアンス)。
そして、一番厄介なのは、顧客にとっての価値は相対的に決まるものであり、常に変化しているということです。この変化に追従するためにはマーケティング活動が不可欠なものとなります。
ただし、冒頭の「問題は技術ではない。ものの考え方である」という箇所は技術以外のことにも適用できます。何かの壁にぶつかり、その壁を乗り越えることができないとき、色々な方法でトライすることも大切ですが、方法・手段に拘らず考え方を変えてみることも必要なことです。「何のために・・・?
」と!!

2011年12月21日水曜日

PFドラッカー365の金言より 130

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ビジネス・チャンスを探すときには
①すでに起こっている社会的な変化(人々の意識や行動の変化)で、それまでの(自分が持っていた)「常識に合わないもの」は何かを探すことである。
②その変化が本物であることを示す証拠があるかを探すことである。
③もしそれが意味ある変化であるならば、いかなるビジネス・チャンスをもたらすかを問うことである。

(コメント)
忙中閑あり!! 週末の連休からお正月にかけて考えられることをお勧めします。暇なとき(緊張感のないとき)に考えても良い智慧は働きません。忙しい今こそ、朝30分早起きして考えるべきときです。変化がよく判らなければ、5年前と比較してみれば良いと思います。
今年の大きな事件では、東北大震災やタイの洪水による部品・資材の供給停止というサプライチェーン上の問題が発生しました。消費者にはスマートフォンが確実に浸透し、コミュニケーション手段が変わり始めています。人気グループIKBではメンバー同士で競争をさせています。アルコール・喫煙離れが確実に進行しています。これらはいずれ大きな変化をもたらすと思います。その中で、いかに自社のビジネスチャンスを創り出すかがこれからの会社の盛隆を決めて行くことになります。
例えビジネスチャンスを見つけることができなくとも、今の自社が社会の大きなトレンド(潮流)から外れていないかはチェックすべきです。変化はユックリと始まり、ある日一機に普及する時代となっていますから、早期に新しいビジネスチャンスを「模索する」ことが大切な時代です。

2011年12月20日火曜日

PFドラッカー365の金言より 129

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組織構造をフラットにしてください。情報化によって組織の活性化と効率化を図ってください。
ミドルを減量するには①欠員を補充しない、②昇進させる代わりに仕事の内容を充実させるの2通りがある。
昇進に際しては、昇進にふさわしいか?ではなく、「より挑戦的な仕事にふさわしいか?」、「新しい責任を加えるにふさわしいか?」を検討しなければならない。

(コメント)
ここで先生が言われているのは「情報の連絡(報告)は階層が多いほど情報が歪曲される」から組織はフラットであることが必要であるということです。しかし、人間一人が管理できる部下の数には限界がありますから、「ミドル不要論」ではなく「ミドルの役割変化論」だと思います。
「ミドルとは地位ではなく役割だ」「そして、その役割が変わり始めた」と言われたいのではないでしょうか?
経営の神様と言われる松下幸之助さまは「文鎮型経営」を心がけていたと言われます。事業部制を採用していましたから、各事業部には責任者がいます。しかし、松下幸之助さまは必要なときには現場を熟知しているミドルから直接意見を訊くことで経営に反映していたと聞きます。
従来型の上の指示・命令を下に伝達・命令するだけのミドルの時代は終わり(役割が変わった)、自ら専門分野を持ち専門知識を活かして縦だけでなく横にも影響を与える新しいタイプのミドルが必要な時代となったのです。
そして経営問題解決に必要な専門知識はその時々で変わっていきますから、ミドルを地位として保証するのではなく、役割として与えるチーム型組織(プロジェクト・リーダー)を推奨されているのだと考えます。

2011年12月19日月曜日

PFドラッカー365の金言より 128

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スタッフ部門は長期的な課題に集中しなければならない。短期的な課題、例えば組織改革などは臨時の仕事として処理すべきである。
スタッフ部門の仕事は具体的な課題でなければならない。漠然とした目標ではスタッフ部門の生産性はあげられない。
スタッフ部門の肥大化は、スタッフ部門自身だけでなく現業部門の効率を損なう。
スタッフ部門の効率化を図るには、「具体的な目標」と「期限」を定めなければならない。
スタッフ部門の仕事の目的はただ1つ。現業に貢献し、組織全体の業績に貢献することである。

(コメント)
日本では一昔前に「フラットな組織創り」が叫ばれました。PFドラッカー先生は大昔からフラットな組織創りを勧められています。不審に喘いでいた松下電器も文鎮型組織によりフラット化してパナソニックとして再生しました。
スタッフ部門は縮小を図ることが必要です。スタッフ部門の効率化を図り、生産性を高めるためには、スタッフ部門の具体的目標と期限を定めることが必要です。そして、スタッフ部門の責任者と話し合い、スタッフ部門の目標と会社組織全体の目標とをリンクさせることが必要です。
因みに、私の顧問先で約800人の従業員がいる会社がありますが、この会社では1人の総務労務担当者が総務労務関係の仕事全て(経理を除く)を「管理」しています。ただし、人手が必要なときには他部署から応援してもらうことで「作業」を行っています。「仕事を管理」するのは1人だけ、しかし「作業」で人手が必要なときには他部署からの応援体制で乗り切ります。そして企画や業務改善が必要な場合には私のような社外専門家に相談して案を纏め、社内検討を進められます。自分達は飲食業の営業に関するプロに徹して、組織運営上で付随的に発生する業務は社外からの叡智を集めて推進していく方針の会社です。

2011年12月18日日曜日

PFドラッカー365の金言より 127

PFドラッカー先生の格言
     「無人の山中で木が倒れたときに、音はするか?」

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コミュニケーションを成立させるものは受け手である。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。無意味な音波しかない。コミュニケーションについては、4つのことが言える。
①人は知覚できるものしか知覚しない。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければならない。受け手の経験にもとづいた言葉を使わなければならない。
②人は期待しているものだけを知覚する。期待しているものを見て、期待しているものを聞く、期待していないものは受けつけない。
③コミュニケーションは、受け手に何かになること、何かをすること、何かを信じることを要求する。従ってコミュニケーションとは要求であり、単なる情報の伝達とは異なる。また、その為、コミュニケーションは、それが受け手の価値観、欲求、目的に合致しないとき、全く受けつけられないか抵抗される。
④一方、情報は形式であり、記号であり、論理の対象である。受け手が記号の意味を知らなければ、情報は使われるどころか受け取られることもない。情報が受け取られるには、送り手と受け手の間に、あらかじめ何らかの了解、すなわちコミュニケーションが存在しなければならない。

(コメント)
会社組織を動かすときに重要なコミュニケーションに関する先生の教えです。要するに、子供に話しかけるときには子供に解る言葉を使わなければコミュニケーションは成立しないということです。子供に、法律で使うような言葉や大学で学ぶような言葉を使って話しかけても、子供は理解してくれません(雑音として聞きます)。
そして、最も重要なのは④「情報が受け取られるためには予めコミュニケーションが存在しなければならない」という箇所です。実務で色々なご経営相談を承っていて最も多いのは、「指示・命令しても部下が思うように動いてくれない」という悩みです。この問題の真因は普段のコミュニケーション不足にある場合がほとんどです。そして、この問題が解決しないとどんな会社組織の改革も上手くいくことはありません。
ただし、メールではコミュニケーションはできないと理解した方が良いです。メールの情報の伝達に過ぎず、やはり「会う」ことによって初めてコミュニケーションは成立します。電話やFAXでは不十分です。電話はメールよりはマシですが、予め人間関係が出来上がっている人には有効ですが、面識の無い人には充分な効果をもたらさず、コミュニケーションではなく情報の伝達で終わります。
会社組織は「ヒト」が動かす訳ですから、コミュニケーションが命となります。どんなに沢山の「お金」や優秀な「モノ(設備など)」があっても、コミュニケーション不足で部下がそれらを充分に使いこなさなければ、沢山の「お金」や優秀な「モノ」はアッという間に無くなってしまいます。

2011年12月17日土曜日

PFドラッカー365の金言より 126

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組織内の活動をどのように位置づけるか。すべて貢献によって位置づけなければならない。
組織内の活動は、その貢献の種類によって4つに分類できる。
①成果活動:組織全体の成果に直接あるいは間接にかかわりをもつ「測定可能な成果」を生む活動
②支援活動:成果活動と同じように必要不可欠ではあるが、自らは成果を生むことが無く、自ら生み出すものが他の組織単位によって利用されて、初めて成果を生む活動
③家事活動:組織全体の成果とは間接的にもかかわりの無い付随活動
④トップの活動
である。

(コメント)
先生の教えで特徴的なことは④が独立していることです。
私は給与体系再構築や組織構造の再構築を依頼されたときに、全員に「マイタスク表」を記入してもらいます。お茶汲みやコピー取りまで含めて、各従業員さんがやっている作業や仕事の全てを書き出してもらい、それに自己判断で難易度をつけてもらいます。これを通じて、各従業員さんの仕事に対する意識調査を行い、これを組織の「役割と責任」の分担表に纏めます。これは主に現行の①~③を理解するために行うものですが、ついでに④も記入してもらいます。
これをすると面白い結果が毎回出てきます。
PFドラッカー先生の言われる上記①を漏らしているケースは稀ですが、②~④は漏れていることが多いのです。この場合は「〇×△という会社に必要不可欠な仕事は誰がしとルン?」と訊いていきます。今時、こんな仕事(作業)を従業員さんにさせているの?というものも見つかります。トップが知らない仕事(作業)を従業員は過去からの引き継ぎ事項として行っていることあります。
特に④「トップの活動」となると顕著に面白い結果がでます。酷いときには「マイタスク表」さえ記入できない取締役や社長さんがいらっしゃいます。社長や取締役は会社の方針を立案することもなく、③の社交辞令ばかり精力的にやっている会社もあります。マイタスクとは「自らが果たすべき役割と責任」なのです。これが列記できないようでは、カイゼンなど出来る訳がなく日々漫然と過ごしているに過ぎないことになります。自らの役割と責任は何か? 自らが属する組織(部署)の役割と責任は何か?を意識していないと、これだけ変化の激しい時代に企業として適切に変化に適応できなくなってしまいます。
先生の4つの分類がよく理解できない方は、敢えて極論して
①営業活動
②生産活動・購買活動・研究開発活動
③総務活動(経理・財務を含む)
④トップを含めた経営陣の活動
と理解されてはいかがでしょうか?
ブレイクスルー思考法に面白い事例があります。
あるタイル・メーカーさんが在庫品をダンボールに入れて保管するために強固なダンボール箱を作ろうとしていました。結論から言えば、在庫がない状態で営業できれば強固なダンボール箱も不要なのだから、強固なダンボール箱をつくろうと努力するよりも製造と販売がジャストインタイムとなる営業生産体制を構築することが必要なのです。この結果、このタイル・メーカーさんは不要となった倉庫を売却し、また在庫として寝ていた資金も有効活用できるようになりました。ただし、地震等に備えたリスク管理が必要なことは言うまでもないことですが・・・。

2011年12月16日金曜日

PFドラッカー365の金言より 125

<< 本文 >>・・・・・過去3日間は連続したテーマです。今回が結論に相当します。
擬似分権制は事業でないものを事業であるかのように組織する。
分権化した組織単位に自立性を与え、自立したマネジメントをもたせ、少なくとも擬似的な損益について責任をもたせる。
各組織単位は、便宜上定めた価格によって互いに取引する。あるいは、コストに2割の料金を課すことによって擬似利益を計上する。

(コメント)
これって京セラの稲盛さまが唱えているアメーバー型組織のことじゃないですか? アメーバー型組織の原点はPFドラッカー先生にあったんですネ!!
各部局の「責任」と「役割」を明確にして権限移譲し、自立させ「具体的な利益」を計上(貢献を見える化する)させる。その上で、全体(全社)に対する求心力を失わさせないようにする。
会社組織運営の要と言えます。こうすることで社員が成長し、会社全体も成長できます。

2011年12月15日木曜日

PFドラッカー365の金言より 124

<< 本文 >>・・・・・3日前からの各日のブログの続きです。
分権制の成立には厳格な条件がある。
①全体に対して利益を貢献しなければならないから、利益を把握できる単位において初めて適用することができる。
②トップマネジメントの仕事が明確に規定されて、初めて有効に機能する。トップマネジメントが現業の仕事に煩わされることなく、明日のための方向づけ、戦略、目標、意思決定に専念できるようにする。
③自立的な事業である現業部門に対し「責任」を要求する。最大限の「自立性」を与えるが故に最大限の「責任」を要求する。
④自立性には信頼性が不可欠である。トップマネジメントと現業のマネジメントは、「期待する成果」、「仕事の水準」、「将来性」について共通の理解を必要とする。各部局に与えられる「自立性」とは「独立性」ではない。「自立性」とは全体の成果のための手段である。
各部局は全体の利益に貢献するのではなく、全体に対して利益を貢献しなければならない。

(コメント)
これを読む程に、稲盛さまの唱えるアメーバー型組織を連想してしまいます。
特に「全体の利益に貢献するのではなく、全体に対して利益を貢献しなければならない」という微妙な表現に注意すべきです。「全体の利益に貢献する」という漠然としたものだと、貢献している「つもり」に陥り易いのです。そうではなく、具体的な利益を出して貢献することが必要です。その為、具体的な利益を把握できる最小限の単位が分権制の最小限の単位となります。
また、分権制(事業部制など)を導入すると、各部局(=各事業部)のやるべき仕事に重きが置かれた検討がなされます。しかし、先生は各部局ではなく寧ろトップの仕事を明確にすることが大切と説かれています。
そして更に、「自立性」と「独立性」の違いにも釘を刺されています。分権制を導入すると、得てして「自立」と「独立」とを勘違いして勝手気ままにやり出してしまう部局があるからです。あくまでも全体の中の一部局ですから、全体としての「方向づけ」、「戦略」、「目標」、「意思決定」に従わなければならない(部局の意思に反することもある)ということです。各部局の最適化は、必ずしも全体の最適化をもたらさないということです。
書籍「ボトルネック」(書籍名は定かではありません)では部分最適が全体最適とはならないことが指摘されています。生産工程において、前工程に性能の高い機械があり、後工程の機械の性能が劣る場合において、もし前工程の機械が最大限の能力を発揮して製造してしまうと、後工程では処理能力を超えてしまうために、前工程と後工程の間に仕掛品が発生してしまいます。そのため前工程の機械は後工程の機械の性能を考慮した生産をしなければ、全社として資金を在庫で寝かせるというムダが発生してしまうという事例です。
各部局が自由気ままに効率性(efficiency)を追及しても、それは必ずしも全体としての有効性(effectiveness)をもたらさないというご指摘だと思います。
ただし、分権制が「人財育成」の最も有効な手段であることに変わりはありません。
うちの規模では分権性制は無理だとお考えの方は「分権性」の箇所を「権限移譲」と置き換えてください。人財を育成のためには権限移譲が必要です。

2011年12月14日水曜日

PFドラッカー365の金言より 123

<< 本文 >>・・・・一昨日と昨日の続きとしてお読みください。
分権制によって、組織はいくつかの自立的な部門に分割できる。それらの部門は、
①それぞれが成果と全体への貢献に責任を持つ。
②仕事やスキルの虜となることなく、行っていることの意味を知り、全体の仕事に指向せることができる。
③目標と自己管理によるマネジメントを有効に働かすことができる。
④部下の数はもはや管理の限界によって制約されることがなくなる。責任の限界によって制約されるにすぎなくなる。
分権制の最大の強みは人材開発にある。

(コメント)
私は先生の言われる分権制を狭義の事業部制としてではなく、権限移譲の一つの形態として捉えています。
先生が言われるのは、権限移譲を積極的に行い、自立した小組織を組織内に創り、責任を持たせていけば、
『①成果と全体への貢献に責任を持つようになる』
と言われますが、これには仕組みが必要となると考えています。仕組みを上手く創り上げないと、自己完結的で自分達の目標しか追及しない小組織が組織の中に出来上がってしまいます。その為、全体組織の目的と価値観の統一を図る必要があり、またそのためには報酬と賞罰を明確(信賞必罰を明確)にすることが大切ではないかと思っています(実務経験で思うこと)。任せっ放しで放任していると、全体に対する意識は薄れてしまう傾向があります。「責任ある自由」と「放任」とは違います。
②③に関しても同様です。小組織の仕事ではなく、全体組織の仕事を指向させるためには教育訓練が必要です。
④に関して、組織論では一人のリーダーが管理できる最適人数を経験則から7~8人としていますが、分権制を採用すると「ねずみ講」的に管理できる人数を増やすことができます(トップは各小組織のリーダーを管理すれば良いだけとなる)。そして、特に日本人は狩猟民族系ではなく農耕民族系の人が多いですから、個人ではなく必ず2人以上の小集団でリーダーを決めて分権化し、小集団単位で評価することを私はお勧めしています。このように考えていくと、京セラ(稲盛さま)のアメーバー型組織に行き着きます。
いずれにしても、先生は①責任を権限を若い時から与えることで自立させることと、②全体への貢献を考えさせることを通じて、人材育成(開発)できることが分権制の一番のメリットだと教えられています。
「うちには人財がいない」と嘆いていらっしゃる方は振り返ってみてください。権限を独り占めしていませんか? 若い時から権限を持たせてやらせてみる。少々の失敗をしなければ、人間は本当の成長はしません。上司がやることを側で見ていても成長することは稀(所詮は他人事)です。失敗を通じて人間は自ら成長していくものだと思います。このようにして人財を育成していくことが大切なのではないでしょうか?

2011年12月13日火曜日

PFドラッカー365の金言より 122

<< 本文 >>・・・・・・昨日の内容の続きとしてお読みください。
トップと現業がそれぞれの機能を発揮するには、ある一つ原理が必要である。
それが、組織をいくつかの自立的な部局からなるものとして捉える分権制である。
全体が同一の使命、同一の運命、同一の意思決定のもとにある。
中枢のマネジメントは、いかなる事業であるべきかの決定、人材の配置、リーダーの選抜と訓練を担当する。
他方、現業はそれぞれが独自の事業に専念する。それぞれが自立的である。現業のマネジメントとして今日の問題に取り組む。

(コメント)
この内容は一般的に事業部制の勧めと理解され中堅・中小企業には無縁のものとされがちですが、私は「権限移譲」と「現業から切り離された経営者独自の仕事の必要性」を勧めている内容として理解しています。
事業部制として有名なのは昔の松下電器さんですが、京セラの稲盛さまが唱えられるアメーバー型組織も先生の言われる原理に該当しているのではないでしょうか?稲盛さまはご高齢にもかかわらず、経営危機に陥ったJALを同一の使命・運命・意思決定のもとで動く組織に戻され、現場を自立させることで、短期間に見事に再生させられました。
私は、この先生の言葉を読んで「会社組織が大きくなるにつれて、経営者には規模が小さかった頃には無かった独特の役割が発生してくる。だから、経営者は同一の使命感・価値観を基に現場を自立させ(独立させるのでは無い)、経営者自らの役割を全うするよう心掛けなければならない」と理解しています。何故なら、現場は「緊急性が高い」問題で満ち溢れていますから、経営者が本来果たすべき役割と責任である「重要だけども緊急性が高くない」問題の解決が先延ばしされたり、ナオザリにされたりするからです。
経営者には現場に無い独自の役割と責任がある訳ですから、権限移譲を進めて現場を出来る限り自立させ、緊急性にばかり振り回されて経営者独自の役割と責任がナオザリにされないように十分に注意することが必要です。

2011年12月12日月曜日

PFドラッカー365の金言より 121

<< 本文 >>
トップマネジメントは何を専管とするかを考えなければならない。
それは、全体、一体感、未来にかかわる意思決定である。
そのためには3つの分野をトップマネジメントの専管としなければならない。
①参入すべき技術、市場、製品、事業の決定、廃棄すべき事業の決定、組織としての価値観、信条、原則の決定
②資金配分の決定
③人材配置の決定
である。

(コメント)
組織の使命、価値観、方向づけ、投資、人事にかかわる決定はトップマネジメントの専管としなければなりません。
私の亡母は原爆で焼野原となった広島で「0」から商売をし始めました。その亡母がくどい様に言っていたのは、
①会社を成長させようと思うならば、仕事(特に作業)はドンドンと社員に任せていきなさい。
②しかし、『何を善、何を悪とする判断基準(価値観)』、『会社を将来はどんな会社にしたいのかという方向性』『人事権』だけは社員に任せてはいけません。
と教えてくれていたことを思い出します。無学の母でしたからPFドラッカー先生の本を読んだとは思えませんが、内容はほぼ先生の指摘される内容と一致しています。これって実践の教えなのかも知れません。

2011年12月11日日曜日

PFドラッカー365の金言より 120

<< 本文 >>
組織は道具である。組織は専門化することによって自らの目的遂行能力を高める。
組織は一つの目的に集中するが故に成果をあげる。
社会やコミュニティや家族では発生する問題を全て扱うが、近代組織においては複数の問題を扱うことは多様化である。多様化とは分散である。多様化は、組織として成果をあげる能力を破壊する。しかも、組織はそれぞれの専門をもつ専門家から成る。
従って、組織としての目的は際立って明確でなければならない。さもなければ混乱する。みなが共通の目的ではなく、それぞれの専門分野の論理に従って動くようになる。それぞれの成果を追及し、それぞれの価値観を貫こうとする。
かくして、明確で焦点の定まった共通の目的だけが、組織としての一体感を保ち、成果をあげさせる。

(コメント)
会社には色々な部署があり、色々な人がそれぞれの目的と価値観に従い仕事をしています。そして現代社会は、それぞれに専門知識が必要とされる程度に細分化されましたので、それぞれが独自に専門化する傾向が強くなっています。そのため、会社全体の目的と価値観が曖昧であれば会社組織は混乱し始め、それぞれが最善を尽くしたとしても力の分散が発生するだけで努力に見合う成果は得られなくなってしまいます。
その為、競争が激化した現代では「会社の目的と価値観」(戦略と企業理念・信条)を従業員に明確にして組織を統一し、力を集結させることが必要と言われています。
しかし、日常業務として企業の相談を承っていると、中堅・中小・零細企業と企業規模が小さくなるに従って目的と価値観が多様化したままの状態となり問題が発生しているようです。
企業は成長し続けることで維持・存続できる時代です。現状維持は退化を意味します。
その為、ワンランク上の事業規模を手本にして、「目的と価値観」を出来る限り明確にして会社の従業員が持つパワーを集結させなければ組織本来の役割を果たすことができない状態となってしまいます。
「1人+1人2人」では組織は道具として活用されていません。組織が道具として意味あるものとするためには「1人+1人3人」となることが必要です。そのためには「力を集結する」ことが必要です。これが昔から組織論で「組織にはテコの原理が必要」と言われる所以です。
しかし、中堅以下の企業でよく見かける状態が「1人+1人2人」の状態です。皆がバラバラな方向にベクトルを進めると、ベクトル同士が力を半減し合ってしまい、個々は最大努力をしているのに全体は大きく進まない状態になってしまいます。組織として一番警戒すべきは「力の分散」です。

2011年12月10日土曜日

PFドラッカー365の金言より 119

<< 本文 >>
平等とは、往々にして誤解されているような「結果の平等」ではない。逆に、それは必然的に結果の不平等を招く。正義のコンセプトは、報酬には、同等でない仕事ぶり反映した差のあるべきことを要求する。

(コメント)
企業・組織において必要とされるものは、「平等性」ではなく「公平性」です。「役割と責任」と「その結果」の大小の差に応じて、報酬には格差があることが必要です。
また、特に事業再生の際には、経営資源の使い方を偏ったものにして現状を打破できる対策を講じる必要があります。従来の価値基準に従って公平に経営資源を配分していると危機的状況を打破することはできません。
市場経済を前提とする企業社会で必要なのは「平等性」ではなく「公平性」です。この考え方をしなければ、単純な定型業務をする人も社長も同じ報酬になってしまいます。
しかし、ここで大切になるのは、格差のつけ方の妥当性です。会社の現状を踏まえて妥当な格差でなければ公平性が保たれなくなってしまいます。そのため、「役割と責任」の洗い直しと「給与体系」の再検討は最低でも5~6年毎にすることが必要になると思います。
ただし、報酬が多いからといって、その人を「認めたる」ことにはならない点に注意してください。人間は「認めてもらうこと」でやる気が出てきます。そして「認める」こととは必ずしも報酬だけではありません。「仕事の報酬は仕事」と言われるように、「ある仕事で認められたら、次に難しい仕事が与えられることで認められる仕組みづくりをする」ことが会社が成長し続けるためには必要なのではないでしょうか? そして、ここでもコミュニケーションが命となってきます。
日本には昔しから「若きものには権限を与え、年老いたものには禄(報酬)を与えよ」という格言があることには留意してください。特にこの格言では、「責任」ではなく「権限」となっている点に・・・・・。

2011年12月9日金曜日

PFドラッカー365の金言より 118

<< 本文 >>
社会的な事象の中で、真に意味あるものは定量化になじまない。
統計的に意味あるものとなったときには、もはや未来にかかわる事象ではない。現在にかかわる事象でさえない。過去にかかわる事象になっている。
数字で表すことはできないが10年以内にあなたの会社・組織に重要な影響を与えるであろう、まだ定量化の段階にいたっていない特異な事象を1つあげてください。それを機会として利用してください。

(コメント)
他人に説明するとき、主観的にならず客観的に説明するためには数字を用いること(定量化)が必要です。しかし、数字にできるということは、既に誰かが経験したことだから数字として測定できる訳です。その現象の要素・要因がまだよくわからない段階での定量化は難しいのです。
従って、「あなたの未来に影響を与えるが誰も経験したことが無いこと」は定性的に把握するしか方法はありません。ただし、代用数値で自分なりに測定し、その代用数値で他人に説明することは可能です(組織で人に協力してもらう為には、その人に説明する必要があるので代用数値を用います)。
そして、代用数値でしか他人に説明できない事象こそが「将来の差別化の源」となります。自分達の将来に大きな影響を及ぼしそうだが測定すべき数値が明確でない事象の中から重要なものを選び出すことがこれからは大切です。
顧問先からお話しをお聴きしていて、顧問先の人が定量的に上手く表現できないとき(定性的には理解されているとき)、そこに他社と差別化する要素・要因が潜んでいることが多いと思います。これをコーチングしながら上手くマトメることができると、その企業独自の素晴らしい戦略が出来上がります。
即ち、PFドラッカー先生が言われるように「未来を予想する」のではなく、その人の中で「既に起こっている未来」を探し出すことから経営戦略立案は始まります。

2011年12月8日木曜日

PFドラッカー365の金言より 117

<< 本文 >>
組織構造にはいくつかの守るべき原則がある。
①組織は透明でなければならない。
②最終的な決定権を持つ者が明確でなければならない。
③権限には責任が伴わなければならない。
④誰にとっても上司は一人でなければならない。

(コメント)
先生の教えを基にした私の原則は
①役割と責任の所在を明確にしたうえで
②協働意識を高揚し、
③出来る限りシンプルで
④フラットな組織
を創り上げることです。

2011年12月7日水曜日

PFドラッカー365の金言より 116

<< 本文 >>
上司と部下の相互理解は、下(上司から部下)へのコミュニケーションによって得られものではないし、下に向けて話すことによって得られるものでもない。それは上(部下から上司)へのコミュニケーションによって得られる。上司の耳を傾ける姿勢と、部下の声が伝わる仕組みを必要とする。
重要なのは目標である。
例えば、部下から上司への「マネジメント・レター」なるものを年2回書かせている組織がある。
そのマネジメント・レターには、
①部下が考える上司が目標とすべきもの
②自ら(=部下)が目標とすべきもの
③自らが期待されていると思う水準
④自らが目標を達成するために行うべきこと
⑤障害となっていること
⑥組織と上司が行っていることのうち、自らの助けになっていること
⑦組織と上司が行っていることのうち、自らの妨げになっていること
⑧自らの目標を達成するために、次の1年間に行うべきこと
が記入されている。この手紙が上司に受け入れられたとき、憲章となる。

(コメント)
コミュニケーションを通じた相互理解が重要なことであることに異議のある人はいないと考えます。
しかし、コミュニケーションを「通わせる」ためには、上司が傾聴することが特に大切です。得てして、上司が話しをして、部下が傾聴する傾向となるためです。
これを防ぐためには、上司は部下に「問いかけ」をして部下が自分の考えを話せるようにする工夫が必要となります。
上司の考えが部下に否定されても、それにより上司が屈辱された訳ではないのですから、部下の貴重な部下の意見として上司は傾聴し参考にすれば良いのですが、中々それをするのは難しいことがあります。
根回し、飲ミニケーション等々色々な手段による工夫が必要です。そして、相互理解はメールでは難しく、やはり顔と顔を向い合せて実際に対話することが必要です。上記本文にあるマネジメント・レターにしても、書面を上司が受け取り読むだけでは効果が少なく、やはりその書面を基に面談することが大切です。
人事考課制度が上手く機能しない会社は、このあたりに原因があるのではないでしょうか? 年に1度位はマネジメント・レターと面談を実施し、部下にとって現状の上司がどのような存在であるのかを理解されてはいかがでしょうか? これによって、上司が「良かれ」と思ってやっていることで部下にとっては「余計なお節介」となっているムダを取り除くことが大切だと思います。

2011年12月6日火曜日

PFドラッカー365の金言より 115

<< 本文 >>
目標が意図の表明に過ぎないのであれば価値は無い。目標は仕事を具体化しなければならない。仕事には具体的な成果、期限、担当がある。しかし、目標を拘束衣にしてはならない。
目標は絶対的なものではなく、方向を示すものである。命令されるものではなく、自ら設定するものである。未来を決めるものではなく、未来をつくるために資源とエネルギーを動員するためのものである。

(コメント)
この先生の言葉を聴いて「売上(利益)目標数値だけを決めても、それは目標を決めたことにはならない」ことが理解できると思います。
先生は、これを具体的に「航空機の時刻表や飛行計画と同じである」と言われています。即ち、定時に予定地に到着する飛行計画だけが目標ではないということです。目標到達までの過程における必要な仕事を具体化することが必要です。飛行中に飲み物や食事を提供する時刻を決めなければなりません。地上では到着予定時刻に合わせて、整備士・給油係が待機し、管制官は滑走路をあけておくことが必要です。パイロットは乱気流を避けて飛ぶこと、偏西風を上手く利用して燃料を節約することが必要です。しかし、飛行コースの計画を組んで飛行しますが、気象状況が予想外に変化すると、コースを変えたり、着陸空港を変更することが必要となります。
だから目標は方向性を示すものであり、役割分担を定めた具体的な計画が必要であり、しかも自らを拘束してしまうものであってはならないと先生は言われています。
自社の目標はそうなっていますか?
私が色々な会社の目標を拝見させて頂いて感じることは、
①具体的な計画・役割分担にまで落とし込まれていない(酷いときには数値目標しか決めてない)。
②実行の途中で状況に合わせて変更することを躊躇している場合が多い。
ということです。
ある本で読んだことがあるのですが、「中小企業や中堅企業で目標が意味のないものとなっている一番の原因は、その目標が具体的な計画(役割分担と期限)にまで落とし込まれていないからだ」そうです。
しかし、一番大切なことは、目標を基にしたどんなに素晴らしい計画も「実行されなければ意図の表明」に終わるということです。

2011年12月5日月曜日

PFドラッカー365の金言より 114

<< 本文 >>
目標と自己管理によるマネジメントの利点は、自らの仕事を会社に貢献できるよう自ら管理することにある。それは、「支配」を「自己管理」に代える。

(コメント)
目標管理制度を唱えられたのはPFドラッカー先生ですが、それが日本では誤って使われている場合が多いようです。一番の誤りは「目標=ノルマ」の考え方です。この「目標=ノルマ」考えは、目標とは「上から与えられたもの」という考え方を基にしています。これでは目標が自己管理するための手段として使われることはありません。
目標管理制度は、自立した従業員さんが前提となっています。自立できていない保育園に通う子供に自己管理をさせようとしても無理なように、まず従業員さん達を社会人として自立させる教育訓練をすることが必要です。社会人として自立できるまでは、指示・命令によって社会的規範「社会人としての会社流考え方」を教えることが大切です。一昔前までは、家庭と学校で社会人として自立する事前訓練をある程度は行っていましたが、偏差値主義が普及し共同体意識よりも個人の自由が謳歌される時代となった現在では、この訓練を家庭でも学校でも受けていない社会人(個人の権利を主張する訓練は受けている)が増えています。
そこで、会社は目標管理制度を適用する前に、「社会人として自立」しているか否かをテストし、そうでなければ教育・訓練することが必要となっています。
昔は、聡い子供の褒め言葉として「末は博士か大臣か」等という言葉がありましたが、博士は世間知らずで、大臣は権力闘争に明け暮れ一般人の生活実態を知らないことが多い時代となりました。「聡い」ということと「智慧」があるということは違います。会社が上手くいくためには「智慧」のある自立した従業員さんが大切であることは言うまでもないことだと思います。そう言った従業員さんを育てた上で目標管理制度を導入しなければ、この制度はノルマと捉えられてしまい、うまく機能しません。
また、目標というと得てして売上目標などの定量的目標を想定したり、客観的評価ができるように定量化しようとしますが、場合によっては話し合いを重んじて定性的目標でも良いと考えます(その為には会社組織の価値観を明確化することで公平性を確保することが大切)。
目標とは自己管理によるマネジメントの手段にすぎません。うまく行っている会社で目標のない会社は沢山あります。マネジャーが方向性を上手くリードしながら、自立した従業員さん達が自己管理して会社に貢献していれば会社は上手くいくのです。
ここで重要なことは「相互のコミュニケーション」ではないでしょうか? コミュニケーションが上手く取れていない会社が目標管理制度を導入しても良くなる筈がないことは言うまでもないことだと思います。

2011年12月4日日曜日

PFドラッカー365の金言より 113

<< 本文 >>
マネジメントの成果は5つの基本的な仕事で決まる。
①目標を設定する。目標領域を決め、それぞれについての到達地点を決める。そのために行うべきことを決める。連携する人達とのコミュニケーションによって、それらの目標を意味あるものにする。
②組織する活動、決定、関係を分析し、仕事を分類する。分類した仕事を活動に分割し、作業に分割する。それらの活動と作業を組織構造にまとめる。マネジメントを行うべき者を選ぶ。
③チームをつくる動機づけを行い、コミュニケーションを図る。
④評価する評価するための尺度を定める。
自らを含めて人材を育成する。

(コメント)
私は特定社会保険労務士という看板を掲げて、
①目標設定に対する助言をする。
②従業員にマイタスク票を記入してもらい、会社全体の仕事を分析して、役割・責任分担表を作成する(組織創り)。
③やるべき仕事を行うチームづくりのアドバイスをする。
④人事考課表や賃金・賞与・退職金制度を構築するための助言・指導を行う。
⑤人材育成プログラムを組むための助言・指導を行う。
という業務を日々顧問先に行っています。
これらは重要な仕事ですが、緊急性があるものではありません。従って、ついつい先延ばしにされてしまいます(「取り敢えず」で終わらせ問題解決を先延ばししている)。しかし、未解決のままにしておくと、いずれは爆発してしまいます。「緊急性はあるが重要では無い仕事」に振り回され、ここでいう「重要だが緊急性はない仕事」が未処理のままであったということが無いように心がけるべきと思います。
上手なタクシー・ドライバーは乗客が車が曲がったことさえ気づかないようにハンドルを切るといいます。下手なドライバーは急ハンドルと急ブレーキで曲がります。
ある日突然に会社の大改革を行わざるを得ない状況まで放置しておくのではなく、日々の改善を続けることで、気付いたら会社が大きく変わっていたという状況をもたらすのが名マネジャーではないでしょうか? その為には、日々のコミュニケーションが欠かせないものとなります。

2011年12月3日土曜日

PFドラッカー365の金言より 112

<< 本文 >>
現在行っていることの廃棄は体系的・計画的に行わなければならない。さもなければ、先送りされてしまう。廃棄に人気のある筈はない。
月に一度、既に行っていることの廃棄や、新しいことの開始についての決定を組織全体に周知させることが必要である。

(コメント)
痛感します。
いま国交省から建設業法に関する指導をうけ是正しようとしている会社のお手伝いをしています。この会社では最近、取引上の不正疑惑も発生しました。国交省の指導に従い、かつ不正疑惑の再発防止のためには、結論としては従来の仕事のやり方(役割分担)を根本から新しくせざるを得ないのです。
国交省の指導に従うだけであれば、法律が指定する書類作成事務を増やせば良いのですが、事務量が増えることに違いは有りません。従って、新たに書類を増やすことで不要になる従来の書類は無いのかを確認し廃止することが必要となります。
しかし、取引上の不正疑惑を防止するためには、書類を増やすだけでは不十分です。会社内の役割と責任の分担を変え仕事のやり方を変えることが必要となります。
当初は国交省の指導に従うために書類を増やすことだけに専念していましたが、結果的に会社内部の役割と責任の分担を体系的に洗い直し計画的に是正することが必要となりました。
このように考えると、今回の国交省の指導と取引上の不正疑惑事件とは、この会社にとって会社組織全体を体系的・計画的に洗い直す絶好のチャンスとなったようです。
これは推測ですが、取引上の不正疑惑事件が発生しなかったならば、国交省の指導に従い新たな書類が増えるだけに終わったのではないかと思います。
新しいものを付け加える前に、必ず何を廃棄(廃止)するかを決める習慣をもつことが会社組織には必要なことです。そうしなければ無駄な作業が増え組織が肥満化してしまいます。廃棄すべきものを考える仕事は、時間の無駄に思え人気のある仕事ではないため、ついつい蔑ろにされてしまいます。その結果、気づいたときには無駄な作業ばかりが社内に残っていたという状態になりかねません。
これも過去の経験ですが、経理処理をPCの会計ソフトでやっているのに振替伝票と各種帳簿とを別途手書きしている会社がありました。思わず「何でそんな二度手間をしとるン?」と尋ねてしまいましたが、経理事務員さんは「上司が振替伝票も各種帳票も廃止して良いとは言わないンです」と言われていました。この会社が、これらの帳票を直ちに廃止したことは言うまでもありません。上司は「指示しなくても廃止するダロウ」と考え、部下は「上司が廃止の指示をしないから止めてはいけないのダロウ」と考えていた訳です。PCが発達・普及した現在では、事務・帳票や社内の役割分担を体系的・計画的に洗い直すことが必要です。
こうすることが組織の無駄取りとなりコスト削減に結びつく訳です。

2011年12月2日金曜日

PFドラッカー365の金言より 111

<< 本文 >>
未来は望めば起こる訳ではない。未来を築くには、いま決定を行わなければならない。
今日までのトレンドを単純に引き延ばしたり、今日の製品・サービス・市場・技術が明日のそれであると仮定したりすることで、資源とエネルギーを昨日の防衛に使ってはならない。
未来を築くためにリスクを負い、行動しなければならない。資源を割り当てなければならない。特に人財を割り当てなければならない。

(コメント)
この後の本文は多少難解なため割愛しますが、「日々の忙しさにカマケて過去の延長線上で仕事をしてはいけない」と先生は言われているようです。
「未来」は「今日」の連続のうえにあります。従って、「今日」を大事にすると伴に、「未来」を見据えた上での「今日」であることが必要です。
未来を考えずに今日の事だけに専念すると、その場しのぎ、あてずっぽ、間違いとなります。
今日を蔑ろにして未来だけを考えていると、どんなに精巧に考えられた未来であっても無駄な作業に終わってしまいます。
市場・顧客・技術・サービス・製品は常に変化していくものですから、過去延長線上で考えて安定を図ろうとすると間違いの基となってしまいます。(中国の道教の教えにも「無常」というものがあります) 変化し続ける環境の中で、どの事業を切り捨てるか、あるいは力を入れるかを常に考えることが必要です。そして、その為に経営資源(特に人財)をどのように割り振りするかを決定しなければなりません。
昨今のように環境が激変する状況にあっては「朝令暮改」もやむを得ないのではないでしょうか? 否、寧ろ朝令暮改的にモノゴトを前進させていかなければ、それは停滞を意味しているのではないかとも思います。

2011年12月1日木曜日

PFドラッカー365の金言より 110

広島市の平和大通りで毎年行われているイルミネーションの1つです。大きくて、しかも綺麗ですよ!!

<< 本文 >>
計画を策定する場合において重要なことは、明日なにを行うかを考えることではない。明日のために、今日なにを行うかを考えることである。
重要なことは、未来において何が起こるかではない。いかなる未来を今日の思考と行動に折り込むか、どこまで先を見るか、それらのことをいかに今日の意思決定に反映させるかである。

(コメント)
「明日と未来のために今日なにをすべきか」を考え、「今日の行動にそれを折り込むこと」が計画を策定するということであると先生は言われています。
チョッと違うかも知れませんが、正反対の考え方として「明日できることは今日するナ」という考え方もあります。しかし、この考えでは流れに流されるだけで大成できないことは明らかです。
「皆のために綺麗な教会を造るために、シンドイけれども今日はレンガ積みの作業をする」というように、目的を明確にして、その上で今日なにをすべきかという計画を建てることが大切です。
計画は「明日行うことを決めるもの」ではなく、「目的達成のために、明日以降のことを考えて今日なにをすべきか」を決めるものです。当然にその結果として、明日建てる明日からの計画は、今日の結果次第によって変更・修正されていきます。
私は若い頃に富士銀行を円満退職して親の会社に戻りました。その退職の際に上司であった融資課長が「村上くん、大きな組織は力があるから力で押して目的を達成させることが出来るが、中小企業はそうはいかないヨ!! 中小企業のオヤジさん達は、アアでもない、コウでもないと紆余屈折・試行錯誤しながら進んで行き、最後には目的を達成できるように努力しているんだヨ!!」と送る言葉にして下さったことを今でも忘れません。

2011年11月30日水曜日

PFドラッカー365の金言より 109

<< 本文 >>
時間と資源は限られ、行うべきことは多い。
戦略がうまくいかないときの鉄則は、もう一度だけ行う。それでも駄目なら別のことを行う。

(コメント)
PFドラッカー先生の言われることは良くわかります。しかし、凡人の私の性のため、固執して何度も行うことが多いようです。先生は、一回目の実行が失敗したときには、その原因を考え、改善してもう一回だけ実行してみなさいと言われています。しかし、得てして三度、四度と深追いをしてしまいがちです。
先生はこの本文の後で、「成果が得られないことを繰り返し行っているのでは屍しか残せない」と言い切られています。
世間では「損切り」といって、これ以上の損害発生を防ぐために今までかかったコストや手間暇を捨て、それまでやっていたことを中止することがあります。どうも、先生はそのことを言われているようで、それも2回目のときに損切り決断をしなさいと言われているようです。そうしなければ、われわれの資源と時間は限られている訳だから、別の機会(チャンス)を逃してしまうことになると・・・・・・。

一方、有名なカーネギー名言集では「続けている限り失敗は無い」と書かれています。エジソンほか有名な偉人は、失敗しても失敗しても諦めることをせず、最後に成功したと言います。

この両者の違いが経営者と発明家の違いではないかナ?と考えさせられる処があります。
エジソンは発明王と言われていますが、GEという会社を設立したものの経営者としては失格しています。成功するためには失敗しても継続し続けることが必要である(継続している限り失敗ではない)。しかし、資源と時間に制限がある経営者は損切りする勇気を持つことも必要であると言われたいのではないかと私は思います。それも2回目の失敗のときに決断せよと・・・。

2011年11月29日火曜日

PFドラッカー365の金言より 108

<< 本文 >>
善意で山は動かない。山を動かすのはブルトーザーである。使命と計画は善意に過ぎない。戦略がブルトーザーである。戦略が山を動かす。

(コメント)
最低限でも誰が、何を、いつまでに、どのようにして行うのかを決めなければ戦略を立てたことになりません。
実務で各社の相談にのっていて先生の言葉に追加したいのは、「実行」しなければ戦略をたてても「良き意図があった」で終わってしまうことです。
情報過多の現代においては、「戦略」をたて、「実行」して、「修正」を加えていき、目標を達成することが大切だと思います。神様でない限り、当初の戦略通りにモノゴトが進行したということはありえないと思っています。従って、当初の戦略を「修正」することを恐れずに、「実行」し始める勇気を持つことが大切なことだと私は考えています。

2011年11月28日月曜日

PFドラッカー365の金言より 107

<< 本文 >>
情報システムの究極の目的は不意打ちがなくなることである。
データのうち、意味あるものを知り、予めそれを情報として収集し分析しておくことで、データを情報に高めておくことが必要である。データを情報に予め高めておくことにより、行動が必要となる前にとるべき行動を決定しておくことである。

(コメント)
今春に東北大震災がありましたが、このことで通信システムの重要性と同時に危機管理の重要性に気付かれた方は多いと思います。通信システムが寸断されないようにして、正しいデータが入手できるようにしておくことが必要なことは言うまでもないことですが、正しいデータが入手できてもそれを元にどう対処すべきか予め考えられていなければ、データに振り回され狼狽するに終わってしまいます。
PFドラッカー先生は、情報システムの究極の目的は危機(リスク)管理にあると指摘されているようです。東日本大震災に限らず、会社や部門を経営(マネジメント)していると東日本大震災ほどの大きな危機でなくとも大小さまざまな危機(リスク)が伴うのではないでしょうか? そのリスクに備え、万が一発生してしまったときに狼狽することなくデータを情報に置き換えて冷静に行動できる体制を準備しておくことが必要ではないでしょうか?
私の仕事上の卑近な例となりますが、社内で不正事件が発覚した場合に狼狽したり感情的になり過ぎたりしてしまう会社が非常に多いのには驚きます(そうは言うものの、私も会社経営をしていた時代はそうでしたが・・・)。その都度、解決助力の要請がありますが、事前に解決パターン(「方法」ではなく「考え方」)を準備しておくと、会社の人が言われる事実データを情報に置き換えて冷静にアドバイスすることができます。
また、これは事業再生をお手伝いするときにも言えます。企業が倒産の危機に瀕したとき、経営者がパニックに陥っていることが多いのです。そのとき、外部から冷静に社内・社外のデータを集めて情報に転化し、経営者の意思決定に助力していくことが必要となります。
そして、一番私が重要だと考えることは、データも情報として正しく活用できるデータでなければ(体制が出来上がっていなければ)、単なるゴミの山を築くだけに終わるということです。書類や書籍または資料を机や本棚やパソコンに沢山収納している人を最近ではよく見かけますが、果たして「いざ」というときに使える状態にしてあるのでしょうか? 「いざ」というときに使えない情報であれば、寧ろ捨ててしまった方が良い場合も多いようです。「捨てる勇気をもつこと」、それがデータを活かす道と思います。

2011年11月27日日曜日

PFドラッカー365の金言より 106

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情報の誤りは災厄を招く。
情報システムとは事業環境についての情報収集のためのものである。外部の情報を分析して意思決定に反映させるためのものである。
産業を変える新技術の半分は、他の産業から生まれている。それらの情報を収集しなければならない。

(コメント)
PFドラッカー先生の非常に重要な教えだと思います。3つの段落に分けてご理解されることをお勧めします。
①「情報が間違えていると、とんでもないことになる」ことに異存はないと思います。
②情報システムとは、社内のコンピューター・システムのことだけではありません。寧ろ、コンピューターが取り扱うのは、社外データではなく社内データを集計・分析するものですから、インターネットを利用して社外データを集めるときを除けば、コンピューター・システムは「外部の情報を分析」するための道具として使われてないのではないでしょうか? 一昔前になりますが、スーパー(量販店)のPOSレジによるデータからだけでは本当の顧客ニーズは判らないと言われていました。
③時計屋さんが廃業して、カメラ・フィルム業界が衰退したのは、携帯電話やデジタル技術が発達したためではないでしょうか? 「産業を変える新しい技術の半分以上は他の産業で生まれる」とはこのことなのではないでしょうか?
要するに、時代の流れに上手く対応していくためには、社内情報以上に社外情報を集め分析する仕組みを創り上げることが大切なのではないでしょうか?
会社がどんなに忙しくても、自宅と会社を毎日往復しているだけでは社外情報は集まりません。
色々なベンチャー企業さんのご相談の応じていて、事業規模が次第に大きくなると日々の仕事に翻弄させられ社外情報(特に顧客情報)を収集するユトリがなくなった結果、暫らくの間は順調に推移することができても、それ以後は突然に業績不振に陥ってしまうケースが多いと思います。
偶には日常と違うことをしてみる、自分が嫌なことを敢えてしてみると、そこに「意外な気づき」が生まれることが多いようです。

2011年11月26日土曜日

PFドラッカー365の金言より 105

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大組織といえども万能ではない。それは敏捷(ビンショウ)さではなく、大きさによって成果をあげる。一人や少人数では不可能な能力を動員する。だが、規模は制約でもある。
象しノミと違って、身長の何倍も跳び上がることはできない。
何故なら
①組織は一時にわずかの仕事にしか取り組めない。組織構造やコミュニケーションの工夫ではどうにもならない。組織では集中力が鍵である。
②しかも、組織は変化しなければならない。変化とイノベーションの主導権をとらなければならない。そのためには、人財という稀少で費用のかかる資源を成果のあがらない分野から、成果と貢献の機会のある分野へと移す必要がある。資源の浪費は許されない。

(コメント)
日本には昔から「寄らば大樹の陰」という考え方があります。しかし、バブルが弾けてからは、その大樹と考えられていたものが、いとも簡単に消滅してしまう時代となりました。俗にいう組織の恐竜病です。
反対に「風にゆれる柳や竹の如く」という考え方もあります。変化に対応しながら、右や左に揺れ、それでいて芯は通され守られている状態です。
色々な企業から経営相談を承っていて、共通して言えることは、規模の大小に関係なく、中小企業でさえも、何かに拘ってしまっている結果(考え方のボトルネック)として、俊敏・機敏に環境の変化に対応できなくなっている場合が多いようです。そのときに必要なことは、その拘り(ボトルネック)を最大限活用することを考え、どうしても無理であれば「拘り」を無くしてしまうことではないでしょうか?
天下のJALはみごとに事業再生の成功の途を歩み始めたようです。このとき、経営の天才と言われ高齢の稲盛氏がとられた戦略は、経営陣と従業員の意識変革がベースになっています。世界の大企業であるJALのもつ「拘り」を捨てさせ、無駄なものは思い切って切り捨てることで、変化に対応できる新しい組織づくりをされた印象を私は持っています。それも出来る限り強制することは避け、コーチング的に自らに気付かせる手法のような気がします。その結果、いまではライバルのANAが窮地に追い込まれつつあるような態が見受けられます。

2011年11月25日金曜日

PFドラッカー365の金言より 104

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最高のサービスを提供する場合においても、マーケティングは必要である。
かつてのNPO(非営利法人)はマーケティングなど必要ないとしていた。しかし、現代ではNPOでさえマーケティングを必要とする。
マーケティングは販売とは異なる。それはサービスの受け手の側に立つことである。そのためには、何を、いつ、誰に提供するかを知らなければならない。

(コメント)
一流のサービスと料理を提供する一流料亭でさえ倒産・廃業せざるを得なくなる時代です。優れた技術や製品があったとしても、それが顧客ニーズを満たすものでなければ組織は維持できなくなってしまいます。
人間の欲求は飽くことを知りません。昨日の最高のサービスは、今日には当然のサービスとなってしまいます。そのため、組織は常に顧客ニーズを模索し続けることが必要となります。
そこで必要となるのがマーケティングです。
先生はコトラーのマーケティング理論を盛んに推奨されていました。確かに、今となっては古典理論かもしれませんが、現在でも通用する理論(技術論ではない)ですから一度は解説書を読まれ、マーケティングに対して正しい認識を持たれることをお勧めします。

2011年11月24日木曜日

PFドラッカー365の金言より 103

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組織というものは、自らの主たる使命に関しては最適化を求めなければならない。何が受け入れられるかではなく、何が正しいかを考えなければならない。
しかし、顧客以外のステークホルダー(利害関係者)に関しては、拒否権を行使されないよう政治的に対応し、満足化を求めなければならない。組織のマネジメントに携わる者は、拒否権をもつステークホルダーが誰であり、その最小限の期待とニーズが何であるかを知らなければならない。

(コメント)
目的、目標を追求することに没頭する余り、その目的や目標に直接的に関係しない人達を蔑ろにしてしまうことはよくあることです。そのようなときには、このような人達にも配慮することが必要であると先生は説かれているようです。

2011年11月23日水曜日

PFドラッカー365の金言より 102

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組織における意思決定は、4つの観点から分類される。
①影響する時間の長さ
②影響を及ぼす範囲
③考慮に入れるべき定性的要因(行動原理、価値観、信条等)の数
④問題が繰り返し発生するか、稀にしか発生しないか(反復性)
そして、意思決定は
(a)行動に近い低いレベルで行わなければならない
(b)影響を受ける全ての活動を見通せる高いレベルで行わなければならない。
意思決定のレベルに関わるこの相反する2つの原則から、個々の活動をどこに位置づけるかが明らかになる。

(コメント)
重要な意思決定を行うときに、惰性や感情に流されて決めてしまうことが無いようにするために、「一息ついて」、先生が言われる4つの基準で整理し直して2つのレベルがバランスする処で意思決定すると良いと考えます。
しかし、人間は感情の動物ですから、これが中々できません。そのため「一息おく」ことが大切です。

2011年11月22日火曜日

PFドラッカー365の金言より 101

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意思決定のフィードバックが、並の人間に一流の仕事をさせるようになる。
意思決定ほど学習しつづけることが大切な活動はありません。具体的には、「予期した成果」に「現実の成果」をフィードバックし、比較することを通じて学習していくのです。
①重要な意思決定を行ったならば、必ず「期待する成果」を予め書き留めてください。
②そして、実際の成果をフィードバック(予め書き留めていたものと実際の成果を照合する)してください。
③そこで得られた教訓を次の意思決定に生かしてください。
これによって、いかに多くを、いかに早く学べるかは驚くばかりです。

(コメント)
本文は少々難解なので私流にカスタマイズしてみました。
私は常にこのことを意識はしているのですが、残念ながら中々実行できません。
いつも時間に追われているので、何かを決めたら、すぐにそれを実行するか、何か別な急ぐことを始めてしまっています。
意思決定した直後にチョッと「期待する成果」をメモ書きしていれば良いのでしょうが・・・!!
やはり「ひと呼吸おいて」「節目をつける」ことが大切なようです。

2011年11月21日月曜日

PFドラッカー365の金言より 100

<< 本文 >>
意思決定に際しては、フィードバック(報告)の手段を講じておかなければならない。決定を行うのは人である。人は間違いを犯す。いつも最善の決定を行える訳ではない。また、最善の決定と言えども、間違っている可能性は高い。更に、大きな成果をあげる決定さえ、やがては陳腐化する。
軍隊では、誰もが自ら出かけ、自ら見ることが唯一の信頼できるフィードバックであることを知っている。

(コメント)
意思決定が成果あるものにするためには、自ら出かけて、自らが確かめることが必要です。意思決定が所期の成果(予期した成果)をもたらしているか否かを確かめることが必要です。
どんなに正しい意思決定でも、時とともに状況が変わると良い成果をもたらさないことがあり得ます。
大切なことは成果であり、過去の意思決定を遵守しているか否かでは無いと思います(修正も必要となる)。

2011年11月20日日曜日

PFドラッカー365の金言より 99

<< 本文 >>
組織としての意思決定でなければ決定とはいえない。(一部の人だけの決定だと)、意図があるにすぎない。そもそもはじめから、組織の意思決定としてスタートしていなければならない。
意思決定の結果にかかわりを持つ者は、自らの部局への影響を明らかにすることを求められ、賛否を問われるかもしれない。しかし、(それを通じて)トップマネジメントは各部局の考えを知ることができる。そのうえで意思決定を行う。
そこに参加型経営の要素はない。しかし、影響を受ける者は、(予め)意思決定の意味を知り、自らの立場を知り、備えることができる。(こうすれば)意思決定を売り込む(説明し説得する)必要はない。それは、既に売られている。

(コメント)
チョッと解り難い先生の教えですから、本文も加工しました。
「組織の意思決定として」とは??????? 意思決定の結果に関わりのある人達を巻き込むこと・・・。
意思決定するにあたっては、決めた後に関係者に説明するのではなく、実行にかかわりのある人すべてを事前に巻き込むことが大切であり、その上で実行にあたる人を決めることが必要であるという意味です。これをブレイクスルー思考法では「参加・巻き込みの原則」と呼んでいます。
日本流に言えば衆知独裁に近いとも言えるので参加型経営とは違います。
そして、この言葉の背後には「意思決定は行動に反映されて初めて意味がある(実行されなければ意味がない)」という意味があることも重要です。意思決定も行動に反映されなければ、意図があったに過ぎなくなってしまいます。

2011年11月19日土曜日

PFドラッカー365の金言より 98

<< 本文 >>
正しい問題提起を行うには、あらゆる角度から、
①そもそも何の問題か?
②何が問題か?
③何が大事か?
を考えることである。

(コメント)
私の実務経験上からは先生の言われることの前に、思い込みや憶測するのを止めて、必ず事実と照らし合わせることが必要であると思います。
また、事実と真実とは必ずしも一致するものではありません。事実とは、その人の経験を踏まえて習得された判断が織り込まれているものであり、それと真実との間にはその人なりのフィルターを通っています。
古い諺に「目の不自由な人が象を触ったとき、足を触った人は象とは太い柱のようなものと言い、鼻を触った人はそんなに太くはないが曲がりくねり良く動くものといい、耳を触った人は・・・」というのがあります。誰も嘘は言っていません。但し、象の全体ではなく一部分だけのことです。
更に、人間は先入観があると、その先入観を元にものごとを見てしまう傾向にあります。
このような状態を防ぐためには客観的にかつ全体を把握することで、事実を真実に近づけていき、その上で、先生が言われる「何についても問題か」「何が問題か」「何が大事か」と判断していくことが大切ではないかと思います。

2011年11月18日金曜日

PFドラッカー365の金言より 97

<< 本文 >>
意思決定において、問題の明確化ほど誰もが気にしない重要なことはない。
正しい問題提起への間違った答えは修正がきく。
しかし、間違った問題提起への正しい答えほど修正の難しいものはない。問題がどこにあるのかもわからない。

(コメント)
これは企業から色々な相談をうけていて、よくあるケースです。
要するに「現状の認識の仕方、問題のとらえ方」が間違っているのです。
特に、個別労働紛争の相談の場合は、従業員さんから考えた問題のとらえ方と、会社側から考えた問題のとらえ方が異なっている場合が多いようです。
そのため、ご相談事項の解決策を考える前に(正確には同時並行で)、本当の問題点はどこにあるのか、何が問題点なのかを捉えなおしてみることが問題解決のためには必要となります。
このときには現在発生している問題点を要件と要素に分解し、HOWツリーでまとめ直してみます。そうすると本当の問題点の在処、見方の違いが鮮明になり、正しく問題解決を図ることができるようになります。
尚、HOWツリーとは、ピラミッド形の構成図を横にしたものです。

2011年11月17日木曜日

PFドラッカー365の金言より 96

<< 本文 >>
あらゆる問題が4つに分類できる。
①一般的な問題
②自分にとっては初めてだが一般的な問題
③真に例外的な問題
④例外的に見えながら一般的な問題
の4つである。
(a)一般的な問題は、一般的な解決を必要とする。原則と方針によって解決しなければならない。状況に応じて原則を適用することで処理する。
(b)例外的な問題は個別に処理しなければならない。しかし、真に例外的な問題というものは稀である。
特に、組織が直面する種類の問題は、ほとんど全てがどこかで誰かが解決したことのある問題である。従って、ほとんどの問題は原則と方針を適用することによって解決できる。
最も多く見られる誤りは、一般的な問題を例外の連続としてしまうことである。

(コメント)
私は、今ある企業から「私生活上の某事件容疑者として警察で取り調べを受けている従業員に対する懲戒処分」に関する相談を受けています。一般企業からすると滅多にあってはならないことで、この企業は初めての経験をされるようなのですが、このようなときに私は過去の裁判判例を参考にしてアドバイスをします。これナンカが、この問題はこの企業にとっては例外的問題に見えるのかも知れないが、裁判事件(懲戒解雇)では一般的な問題と言え、PFドラッカー先生の言われることになるのではないでしょうか?
そして、先生が最も言われたいことは、問題を一般的問題か例外的問題かと問う前に「原則と方針」を適用することの大切さ(最初から応用問題として取り組まないこと)ではないかと私は考えます。人間の知覚・知識には限りがありますから、一般的か例外的かを判定することは非常に難しいことだと考えます。
そこで、私は「Simple is best」と考え、「モノゴトの真因はシンプルにバランスを保ちながら存在している」と考えています。事件や問題が発生すると、それが発生したこと自体で動揺(=感情)してしまい、原則や方針を見失ってしまう傾向が人間にはあると思います。そのため、複雑に見える問題こそ、自分を冷静にするために単純化して考えて真因を探り出す努力をするよう心がけています。

2011年11月16日水曜日

PFドラッカー365の金言より 95

<< 本文 >>
優れた外科医が不要な手術を行わないように、不要な意思決定を行ってはならない。
大昔から外科医は手術を行ってきたが、リスクの無い手術はない。外科医には3つの途がある。
①自然に治る見込み、あるいは安定する見込みがあるものであれば、定期的にチェックすれば良い。
②進行性の病であって、手術しなければ生命の危険があるのであれば手術を行う。
③最も多いケースのが、進行性でもなければ生命に支障もないが、自然に治る訳でもないということである。ここでは機会とリスクを比較考量する。
一流の外科医と並みの外科医の差が表れるのが、このときである。

(コメント)
他界した父が70歳を超えた頃のことですが、太平洋戦争のときに負傷したことが原因で加齢に伴い歩けなくなってしまいました。他の病気もあったので入院させましたが、医師から「足は手術されますか? 手術すれば歩けるようになる可能性はあります。しかし機能的に歩ける足になっても、そのリハビリ期間中に体力が減退して精神的に歩く気力が無くなってしまう可能性もあります」と選択を迫られました。これこそ機会とリスクがあることを教えてくれたのだと思います。このときには兄弟と母とで相談をして、手術はしないことを選択しました。
一方、私の末娘の様態が急変し緊急入院して調べた結果、医師から「今回の手術の成功確率は30%程度しかありません。しかし、手術しなければ娘さんは後もって1カ月程度でしょう。手術されますか? 」と医師が説明責任を履行するときに訊ねられました。このときは、妻に相談することもなく、直ぐに手術してくださいと依頼しました。
そして、色々な企業の問題や課題解決のご相談に応じていると、一番多いのは先生の言われる③のケースです。このときには、機会とリスクを考え、優先順位を決めて順番に問題や課題を解決していくか、悪化を防止してその後の状態を定点観測するかを選択してます。
ただし、その過程で企業自らは自覚していない病に陥っていることが発覚することも多々あります。
人間が創り出し、環境に適応しながら生き延びている企業組織って、面白いものですネ!! これが絶対に正解だということが無い訳ですから・・・・・!! ただし、他社がやって上手く行ったかといって自社でも上手くいく保証はないことだけは事実のようです。

2011年11月15日火曜日

PFドラッカー365の金言より 94

<< 本文 >>
意思決定にはプロセスがあり、ステップがある。1つでも必要なステップを省くと意思決定はできの悪い壁のように崩れる。
意思決定の6つのステップとは
①意思決定を行うべき「とき」を知る。
②本当の問題についてのみ行う。
③問題を正しく定義する。
④何が正しいかを考え、何が受け入れ易いかを考えない。
⑤やがて妥協が必要になることを覚悟しておく。
⑥実行の手配が済むまでは決定したことにならないことを知っておく。

(コメント)
PFドラッカー先生からの身に染みる助言です。
「いつ」の段階で意思決定をすべきかという判断は大変に難しいことです。
そして、実務で各企業の問題解決へのアドバイスをしていると、問題を正しく把握されていない企業が多いことには驚きます。会社の人から解決したい問題をお訊して、その原因であろうことを究明していくと、本当の問題(解決すべき真因)は全く違う所にあったということはザラです。真因を究明することなく目先の問題解決だけを図ろうとする訳ですから、その問題解決は応急措置に終わり、また次の問題が発生してしまいます。
従って、「チョッと待って!! 」と宣言してでも、問題を正しく定義しているか検証してみることが大切です。ただし、どんなに「問題の定義」や「解決方法」が正しくても、「いつ意思決定し、いつ実行するか」の判断を間違えていると問題は解決されないままとなる傾向があります。

2011年11月14日月曜日

PFドラッカー365の金言より 93

(コメント)
私が好きな一節です。特に、中段のスローンのやり方は意識しています。

<< 本文 >>
意思決定の原則とは、意見の対立が無いときには決定を行わないことである。意思決定においては、意見の対立がなければならない。
マネジメント上の意思決定は、全会一致によって行えるようなものではない。対立する見解が衝突し、異なる視点が対話し、いくつかの判断からの選択があって、はじめて行うことができる。
GMのスローンは、「では全員の意見が一致していると考えて良いか?」と聴き、異論が出ないときには、「では、意見の対立を生み出し、問題の意味について理解を深めるための時間が必要と思われるので、次回また検討することにしたい」と言った。
意見の対立を促すのには三つの理由がある。
①組織の囚人になることを防ぐことである。必ず誰かが何かを求めている。
②代案を手に入れることである。いかに熟慮しようとも、代案なしでは決定は賭け(バクチ)に終わる。
③想像力を引き出すことである。

(コメント)
色々な会社で取締役会や会議にオブザーバー出席していて、このことは痛感します。争いを避け早く会を終了するために審議不十分で結論を出してしまうのです。全会一致を「善」とする風潮が各社にあります。異論を唱え議題を次回に持ち越しても良いと思う状態のときもあります。
ここで大切なことは、「議論をどれだけしたか」ではなく、「異論・反対を唱える人がいるか、いないか」ではないかと思います。どうでも良いことと思っている人からは異論も意見も出ません。従って、重要な決定でも、意見や異論が出ないということは、本当は参加者がその問題を正しく理解していないことを意味するからです。
30年、40年という長い異なる人生経験を持つ人達が集まり、しかもそれぞれが分担する仕事内容と責任が異なる人達が集まっているのに、一つの問題を全員が同じ視点から見て考えているということはありえないことではないでしょうか?

2011年11月13日日曜日

PFドラッカー365の金言より 92

<< 本文 >>
意思決定とは行動を約束することである。起こるべきコトが起こらなければ、意思決定を行ったことにはならない。しかし、ほとんどの場合、意思決定する者と行動する者とが同一人物ではないことが多い。
従って、誰かの仕事として期限を定めない限り、いかなる意思決定もないに等しい。良き意図があっただけに終わる。誰かの仕事として期限を定めない限り、いかなる意思決定も無いに等しい。

(コメント)
色々な企業をお手伝いしていて、これはよくあるコトです。
例えば、現在お手伝いしている建設業の会社は、先月中頃に国土交通省の調査をうけ、見積書ほかの書類の不備を指導されました。そこで、この会社は早速、委員会を設立して問題解決にあたることにしました。そして国土交通省の人が参考として与えてくれた見積依頼書の内容妥当性をある部長が検討することを決めました。それから2週間が経過しましたが、部長は日常業務に追われて第二回委員会までにその修正案を考えていなかったのです。結局、第一回委員会で「見積依頼書を今後は発行するようにしたい」という意図があっただけで、第二回委員会では何の成果も上がらないことになってしまいました。尚、このときに、この会社の会長が激怒されたことは言うまでもないことです。
結局、この場合は「いつまでに」を決めていなかったことに原因があります。
一般的には「5W1H」が大切と言われますが、各企業のご相談に応じていて「誰が」「いつまでに」さえ決めていない場合が多いようです。そのため、私は色々な会社のお手伝いをしていて、組織行動の基本が出来ていない場合(これが大半です)には、『「誰が」「いつまでに」を決めてください』と繰り返し言い続けることが多いのです。「5W1H」など難しく複雑なことまで考えたり決めたりしなくても良いから、最低限の2H「誰が」「いつまでに」を徹底しないと、役割分担して仕事を進める組織活動は成果を上げることができなくなります。そして、「本当は〇〇〇したかったんダ!!」と言い訳をして、良き意図があったこと(絵に描いた餅)を事後説明することになってしまいます。

2011年11月12日土曜日

PFドラッカー365の金言より 91

<< 本文 >>
何が受け入れ易いかでなく、「何が正しいか」からスタートしなければならない。誰が正しいか等は論外である。そもそも何が正しいかを知らなければ、正しい妥協と間違った妥協の区別はつかない。
妥協には2種類ある。一つは古い諺の「半切れのパンでも、無いよりはまし」であり、もう一つはソロモン王の裁きの「半分の赤ん坊は奪われるよりも悪い」である。前者では、半分は目的を満足させる。だが後者では、半分の目的さえ満足させない。それも命あるものとしての子供の半分ではない。死骸の半分に過ぎない。
直面している問題について、正しい妥協と間違った妥協の双方を書き出し、何が正しいかを考えることで、間違った妥協をしないようにしなければならない。

(コメント)
会社の会議等で、誰が間違えており、誰が正しいか等と考えていませんか? 「誰が」ではなく、「どの考え方」が正しいかが大切なことです。「誰が」に固執してしまうと、正しかった人がその後に誤った発言をしても、また逆の場合にも、当初の「正誤」というイメージに引きずられてしまいます。
また交渉には必ず交渉には妥協や譲歩が必要となるから、最初は大きく要求しておき、交渉の結果で妥協や譲歩をして結論を得るという考え方があります。しかし、「何が正しいか」を知らずして妥協や譲歩を繰り返していると、間違った方向に結論がたどり着いてしまいます。
しかし、実ビジネス界では「何が正しいか」は中々分からない場合が多いのが実情です。ただ、その場合においても、少なくとも「半分の赤ん坊」になる妥協はせず、「半切れのパン」となる妥協をすることが必要です。
交渉ゴトではありませんが企業活動においても、雪印、吉丁、赤福あるいはエンロン事件のように、何が正しいかを考えることなく日常活動において妥協や譲歩を繰り返していると、気付いたときには犯罪になっている場合さえあります。
ツイッターやブログ等のSNSが普及し情報を隠ぺいしておくことが難しくなった現代においては、何が正しいかを考えて誤りに気付いたときには速やかに謝罪し、訂正・修正して正しい方向に向かい直すことが必要です。パナソニックは温風ファンヒーターの人身事故の際に速やかかつ大規模な反省・修正活動を行うことで寧ろ世風に好評されたことは周知の事実です。何が正しいかがわからない状態で進行しているときに謝りに気づいたら、隠ぺいしようとするのではなく、謝罪し修正することが必要な時代となっています。

2011年11月11日金曜日

PFドラッカー365の金言より 90

<< 本文 >>
やがて妥協が必要になるからこそ、何が受け入れやすいかではなく、何が正しいかを考えなければならない。そもそも、何が正しいかを知らずして、正しい妥協と間違えた妥協を見分けることはできない。

(コメント)
この先生の教えも文末から逆に読み解いていくと意味深いものとなるのではないでしょうか?
組織の中でも、社会生活においても、自分ひとりの我儘を通す訳にはいきません。全体で調整を図ることが必要となります。その為、どうしても多少の妥協または譲歩が必要となってしまいます。
しかし、大切なことは、このときです。
妥協または譲歩するにしても、「何が正しいか」を知らなければ正しい妥協や譲歩はできません。
妥協または譲歩が間違って為された場合には、寧ろ全体が変になってしまいます。
その為、妥協や譲歩が必要なときには、「何が正しいことなのか」をよく考えたうえで、妥協または譲歩することが必要となります。
私は社会保険労務士として会社の色々な問題を解決していくことを業としています。当然のこととして、法律を根拠として判断します。しかし、法律だけを根拠にするとその会社の状況に馴染まないことが多々あります。このようなときには、「何が正しいか」は「法律」に遡り考え、そのうえでその会社の現況も考慮して、「為すべきコト」を提案するようにしています。そして、時間を味方につけることで会社に「法律」と「人としての道」を理解してもらい、出来るだけ早く法律遵守できる会社になってもらいます。尚、それまでの間は放任しているのではなく、「つなぎの対策」として何らかの手法を講じて、法違反とならないように実行してもらうようにしています。
しかし、一般的には「損得」や「上下の人間関係」で妥協または譲歩してしまっていることが多いようです。
私は十数年前に経営していた会社を倒産させてしまうという苦い経験をしました。そして、その後で倒産に至った過去を振り返り、それまでの自分が「人間関係」を偏重した妥協や譲歩を繰り返していたことを学びました(二代目の甘さ)。このとき思い出したのが、PFドラッカー先生が言われるこの言葉です。
雪印、吉丁、エンロンのような不祥事をおこし消滅してしまった会社でも、中間管理職の中には事件となる前の初期段階で気付いていた人もいたことと思います。しかし、多分この人達は「何が正しいか」を考える前に妥協や譲歩してしまい「長いモノには巻かれろ」という考えに陥ってしまっていたのではないでしょうか? 初期段階で「間違った妥協」をしなければ会社が消滅することにはならなかったのではないでしょうか?
ツイッターやフェイスブックといったSNSが普及して情報共有される時代となりましたから、今まで以上にこの先生の教えは大切なものになっています。

2011年11月10日木曜日

PFドラッカー365の金言より 89

<< 本文 >>
意思決定が成果をあげるには、満たすべき要件を明確にしておく必要がある。要件が何かを明らかにしなければならない。要件を明確かつ簡潔にするほど、意思決定は成果をあげるものとなり、達成しようとするものを達成するようになる。逆に、いかに優れた意思決定に見えようとも、要件が曖昧であれば成果をあげられないことは必定である。
意思決定の要件は、問題を解決するために最低限必要なことは何かを問うことによって明らかにされる。

(コメント)
私は、色々な企業からご色々な相談を頂いたときに、ピラミッドを横にしたようなチャート図(HOWツリー)に必要条件を書き出したり、フローチャートにすることとで、満たすべき要件を出来る限り明らかにしていきます。特に、一般の人が煩わしく思われる法律的な問題に関してはそのようにしています。
このようにすると、その企業が達成したい目的を果たすにはどのような要件(条件)を満たすべきかが明確になっていきます。
私の原則は「Simple is Best」ですから、幼稚に思えるかもしれませんが、できるだけ図式化することで曖昧さや迷いを排除していきます。そして、このようなHowツリーやフローチャートが出来上がると後は実行していくだけです。しかし、Howツリーやフローチャートを描いていると「なにを幼稚なことをやっているのダ」と言われてしまうことが多々あります。何故なら、Howツリーやフローチャートが完成するとモノゴトは意外とシンプルに存在しており、自分の曖昧さがモノゴトを複雑にしていることが多いと分かるからです。私はこれらを考え方を整理して、協働する人達と必要な要件(要点)を共有し、更には目的を共有するために用いることが多いのが実情です。そして必要に応じて深堀りしていきます。
そのため、PFドラッカー先生の言われるように、意思決定のために最低限必要な要件に絞り込むためにも、Howツリーやフローチャートに描いてみることをお勧めしたいと思います。

2011年11月9日水曜日

PFドラッカー365の金言より 88

(コメント)
この本文は、コメントし難いのですが、生来セッカチで横着ものの為、集中力に欠け、手を抜いてしまう傾向がある私が自分自身の肝に命じ、努力していることです。

<< 本文 >>
いかに難しくとも、仕事で完全を求めてください。
紀元前440年ごろ、ギリシャの彫刻家フェイディアスは、パンティオンの彫像群を彫った。しかしアテネの会計官は、フェイディアスの請求書に対し全額の支払いを拒んだ。「一番高い丘のパンティオンの屁にあって、前面しか見えない。見えない部分まで払うわけにはいかない。」と言った。これに対し、フェイディアスは「そうではない。神々が見ている」といった。

(コメント)
芸術品は歴史という洗礼をうけ、本物だけが生き延びます。だから、名画・名曲と言われるモノも、本来は時代が変わり感性が変化しているにも関わらず名画・名曲として生き延びているのではないでしょうか?
大昔に船井総研のゼミナールで船井先生から「本物だけが生き延びられる時代がくる」と聴いていました。
インターネットが普及し、チャット他のSNSが普及した現代では「偽物」「悪いもの」は直ぐに排除されてしまいます。
また、ネットを上手く利用すれば、昔では考えられなかった方法・手段で仕事の目的を達成できる時代となっています。
そして更に、ユーザーのニーズさえも激しく変化を続けている時代です。
このような時代だからこそ、本物(真の顧客ニーズ)を常に求めて、手を抜かずに、そのとき自分と顧客が得心し得る水準の仕事を目指す必要があるのではないでしょうか(当然のこととして、コストとのバランスも考えますが・・・)?
しかし、時間に追われる現代では、これを常に目指すことは中々難しいことです。だからこそ、自分の肝に命じておくことが必要だと私は考えています。

2011年11月8日火曜日

PFドラッカー365の金言より 87

<< 本文 >>
誰でも報酬は必要である。だが、いかなる報酬システムにも人を間違って方向づけする恐れがある。
報酬システムにおいては科学的な公式はあり得ない。
従って、報酬システムは単純にしなければならない。
われわれに出来ることは、報酬システムが間違った行動を奨励し、間違った成果を重視し、共通の利益から離れることのないようにすることだけである。
報酬システムは、「個としての仕事ぶり」に報いるとともに、「全体への貢献」に報いるように設計することが大切である。

(コメント)
私は給与体系を構築することを業とする社会保険労務士です。その為、この本文は大変に意味深いものです。
私の給与体系構築の原則は「Simple is Best」で、出来る限り判り易いものにすることです。
まず、経営理念・社是・社訓・社長の経営方針を再確認することから取り掛かります。
次に、役職別・担当職務別に役割分担を明確にします。
これらを通じて、各人の方向性・努力度と全体への貢献の度合いを測定できるように仕組みをつくります。
そのうえで人事考課表の作成に取り掛かります。ただし、あまり細かくは細分化・点数化はしません。人間は右能と左能をフル活用して総合評価することが大切ですから、点数化するという左能だけの作業は極力避けます。ただし、判断するときの検討要素は明示します。複数の要素から総合的に評価ランクを決定して貰います。
これ以降は作業段階になりますので詳細は記述しませんが、出来るだけルールを決めてシンプルに判り易く運用できるように努めます。
組織において、人は昇給・昇格・賞与・懲罰等を通じて、その組織の価値観を実感し理解するとPFドラッカー先生が言われますから、とても重要なものです。社長が朝礼や会議でどんなに綺麗な言葉を並べても、従業員は昇給・昇格・賞与・懲罰等を通じて社長の本心・本音を理解します。戦国時代に、隣国との戦さでは勝利したが、その戦利品分配を間違えた為に不満が起こり、そのために国が潰れた例は沢山あります。
いまは戦国時代と同じような競争社会となっていますから、給与体系(特に評価制度)を定期的に見直し、組織の価値観が反映される仕組みを創り上げることが必要なのではないでしょうか? 
経営方針や経営戦略に応じて、毎年評価項目を洗い直し重点実施項目を明確にし直す必要があるのに、一回評価制度を構築すると後は毎年検討することもなく単純作業として評価を繰り返している企業が多いことには驚きます。「企業は変化適応業」と先生は言われていますから、その根本になる評価制度の要素年ごとに洗い直す必要か゛あります。

2011年11月7日月曜日

PFドラッカー365の金言より 86

(コメント)
今日の内容もPFドラッカー先生の有名なお話しです。

<< 本文 >>
三人の石切工の話がある。
何をしているのかと聞かれて、それぞれが「暮らしを立てている」「石切りの仕事をしている」「教会を建てている」と答えた。第三の男こそ、真のマネージャーである。
第一の男は、仕事で何を得ようとしているかを知っており、事実それを心得ている。一日の報酬に対し一日の仕事をする。だがマネージャーではない。将来もマネージャーにはならない。
問題は第二の男である。熟練した専門能力は不可欠である。確かに組織は、最高の技能を要求しなければ二流の存在になる。しかしスペシャリストは、単に石を磨き脚柱を集めているにすぎなくとも、重大なことをしていると錯覚しがちである。専門能力の重要性は強調しなければならない。だが、それは全体のニーズ(目的)との関連においてでなければならない。
「教会を建てている」といえることが重要である。
全員が自らの貢献を知ることのできる体制を構築することが大切である。

(コメント)
私はこの話しを「教会を建てるためのレンガ積み」の話として聞きました。しかし、レンガが石切りかはどうでも良いことです。
第一の男は生活のために働いていると言っていますが、先生はこれを論外と捉えていらっしゃいます。生活の糧を得るために仕事をするのは、仕事ではなく作業をするアルバイト君たちで充分でする。
先生が一番問題と捉えていらっしゃるのは第二の男です。仕事が細分化され専門化された結果、最近はスペシャリストが増えています。私も社会保険労務士という人事労務関係の専門職の仕事で生業を得ていますが、色々な会社をお手伝いするときにその会社の社長ほか経営陣のモノゴトの考え方と目的、経営方針・経営理念・社是・社訓も参考にしながらアドバイスするように心がけています。人事労務の問題に限らず、実社会や会社の諸問題解決にはこれが絶対的に正しい回答というものは無い(学校のテストのような正解は無い)訳であり、他社で正しいアドバイスだったものがその会社では間違ったアドバイスとなることもシバシバあります。例えば、「うつ病」に罹患して欠勤している従業員が発生した場合でも、ある会社では休職期間に入ることを勧めることが正しく、別の会社では退職勧奨することが正しい場合もあります。
これは、人事労務の問題に限らず会社の仕事に関しても言えることです。
社内の各担当者(社内における専門家)の仕事は会社全体への貢献において評価されるべきものですから、この各担当者が「自らどのように会社全体に貢献しているのか」、「会社全体の目的(目標てはない)」を語ることができることが必要となります。
私が給与体系の再構築を依頼されたときに、手間暇がかかるのですが、ワザと役割分担表(マイタスク表)を作成するのはこの為です。これがないと正しい人事効果表は出来上がりません。そして、出来上がったマイタスク表を全社一覧の表にして全社員(パート・アルバイトさんも含む)に周知徹底することで、PFドラッカー先生の言われる「会社目的の共有」と「自らの役割分担明確化」を図ることを目的とします。
専門家は得てして自らの専門分野に埋没し専門バカとなる傾向がありますから、第一の男以上に全体目的(目標ではない)を自覚させたうえで、自立した職務遂行をするように指導することが必要となります。
そして更に、色々な会社にお伺いして私が一番驚愕することは、全体目的を知らない人が管理者となっていることが多いことです。管理職だから自らの担当分野のことは熟知されている場合は多い(?)のですが、意外と会社全体の目的、或いは関連部門の目標等を知ろうとされていない管理職が多いことには驚かされます。最近になって企業理念の大切さを説かれることが多くなりましたが、そもそもの原因はこのあたりにあるような気がします。管理職にするときの選択基準を変更した方が良い会社が多いのは事実だろうと考えます。

2011年11月6日日曜日

PFドラッカー365の金言より 85

<< 本文 >>
マネジメントには2つの役割がある。
第一の役割は、部分の総和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体制を創造することである。
第二の役割は、自らのあらゆる決定と行動において、直ちに必要とされるものと遠い将来に必要とされるものとをバランスさせることである。

(コメント)
私は第一の役割のことを「1+1=3にするのが組織マネジメントの役割です」と言っています。そうしなければ付加価値(=利益=社会貢献すること)を生み出す組織になり得ないからです。昔、大学のクラブで学んだときには「組織のテコの役割(効果を増幅させる)」と呼んでいました。
会社組織では「1+1=2」では赤字となります。何故なら、運営・維持コストを創造できていないからです。ボランティア組織であれば「1+1=2」で自己満足していても良いのかもしれませんが、会社組織ではそうはいきません。会社組織では2人いれば3人分の成果が図れるように知恵を出すことが必要となります。
第二の役割には特別の呼び名をつけていませんが、従業員の教育訓練あるいは新規開拓分野への挑戦などの視点から顧問先にアドバイスするようにしています。地方の中小企業では、遠い将来のために先行投資したくても中々それができるユトリがない企業が多い実情ですが、これを少しずつでも良いから意識的に行っていかないと、いつまでも現状に留まることになり、それが原因で将来において滅亡の種を撒くことになりますと説明しています。特に、どんなに良いモノやカネが沢山に今はあっても、それを使いこなせるヒトが育っていないと宝の持ち腐れとなり、環境が激変していますから使いこなせるか否かはヒトのレベル次第です。従って、従業員教育は継続的に行い、かつ情報を共有することをお勧めしています。

2011年11月5日土曜日

PFドラッカー365の金言より 84

<< 本文 >>
人間組織においては、データによる管理には基本的かつ根本的な制約がある。組織とは、それぞれが独自の理念、目的、欲求、ニーズをもつ「人の集合」である。いかなる組織であれ、メンバーの欲求とニーズは満たさなければならない。この欲求とニーズを満たすものが賞罰であり、各種の奨励策、抑止策である。
人はいかに賞され罰せられるかによって左右される。彼らにとって、賞罰こそ組織の目的、価値観、位置づけ、役割を教えるものである。人事に表れる組織の価値観に合わないものは、全て無効である。それどころか摩擦のもととなり、組織としての機能不全をもたらす。組織のマネジメントは、事実上の管理手段である人事抜きには考えられない。

(コメント)
いかに賞され罰せられるかによって人は左右される。
私の顧問先のサラリーマン社長は、昇格、昇給、賞与の評価決定をする際に、社是・社訓・就業規則(企業理念は無い会社)を全く無視して、「社長である自分が他の取締役を説得してお前を昇格させた」と社員に恩を売ること(社員のご機嫌取り)に使う社長がいます。
悪いことに、このサラリーマン社長は、社員が就業規則違反をしても処罰しようとしません(社員からの社長の人気が落ちるから)。
これでは、どんなに人事労務管理を徹底しても、また営業方針を打ち出しても、それらが守られることはなくも社員は社長のご機嫌取りばかりをしてしまいます。その結果、この会社は無法状態となっていました。
そこで、本当は一機に変革させたかったのですが、色々な事情があり段階的に変革させています。
弁護士と連携して諸悪の根源をまずは排斥しました(本当は社長を解任するのが一番早いのですが、社長と一蓮托生となり社員に甘かった取締役のことです。社長には改心の猶予期間となっています)。社長は事情があって今期限りで解任となる予定です。
その効果が表れ始めたのか、今期になって業績が改善してきました。
また、今その一環として給与・賞与体系の再構築を図っています。その目的は、評価段階で社長の私的恣意性が出来るだけ働かないようにすることです。
そして、就業規則の賞罰規定の運用強化を図っています。このような社長ですから、罰するだけでなく、賞することの大切さを習得してもらいつつあります。しかし無理のようです。従って、諮問委員会(不正の疑いがある場合に取締役と他の社員の代表者数名で本人に本人が認識する事実を確認する場)を設け、その後に懲罰委員会(必要によって懲罰を決定する場)を設けるように進めています。
社長や上司が朝礼や会議でどんなに綺麗ごとを言っても、社員は昇進、昇格、昇給、賞与で社長や上司の本心を見抜いてしまいますから、これらには特に注意することが必要です。これらを誤ると、営業戦略も実行されることはなくなってしまいます。
変化が激しい時代だから従業員の一人ひとりが自立して仕事を行う必要があるため普段から会社理念を浸透させておくことが大切な時代と言われて久しいものがありますが、昇給、昇格、昇進、賞与等を通じて、社長の価値判断、会社理念・社是・社訓を従業員に浸透させていく努力をすることが今は大切な時期のようです。

2011年11月4日金曜日

PFドラッカー365の金言より 83

<< 本文 >>
前年度の利益よりも、人財を惹きつけて留めることができることは重要なことである。人財を惹きつけ留めることができなければ、死に向かうよりほかないことは誰でも知っている。
きわめて重要でありながら定量化(データ化)できないものがあることは誰でも知っている。しかし、それらは定量化することはもとより、定義することさえ困難である。
とは言え、把握不能ということではない。いたって明白である。データ化できないというだけに過ぎない。
データ化できないものを考えなければならない。データ化できないものについての配慮を忘れたデータ化は、組織を誤った方向へ導く。ところが、データ化に成功するほど、それらデータ化したものに囚われる。従って、優れたデータを手にしているように見えるほど、マネジメントが行われていない恐れがある。
重要な情報のうち、データ化できるものとできないもののリストをつくってみることである。そして、それぞれについて定量的分析とともに定性的分析を行ってください。

(コメント)
定量化できないものには人財を惹きつけるということの他にも色々なものがあります。会社の世評、コンプライアンス、企業理念・社是・社訓の理解度と浸透度等々、挙げ出せばキリがありません。
しかし、データ化できないからといって放置していると変化に気付くのが遅れたり、主観によってだけ判断したりしてしまいます。そこで、それらをデータ化するために代用数値を用いることは必要となります。しかし、所詮は代用数値ですから、必ずしも実態を反映したものとはなり得ないことがあります。
そして、この点を判断するのがマネジメントの役割ではないでしょうか?代用数値で普段は実態変化を把握しながら、定期的に代用数値の妥当性を検証してみることが必要です。
色々な企業の問題解決のお手伝いをしていると
第一段階 データ化された資料さえ見ていなかった場合(中小・零細企業に多い)
第二段階 データ化された資料は確認していたが、それを鵜呑みにし、実態の検証を怠っていた場合(中堅・大企業に多い)
が多いことに気付きます。組織化(分業が進化する)されるほど、主観を排除して客観性を確保するためにデータを盲信してしまう傾向が見受けられます。
組織の問題や課題とは、自動販売機のように一定の方程式があり自動的に結論が出されるものではなく、複数の要素・要因が複雑に絡み合って発生しています。マネジメントの役割・責任とは絡み合った要素・要因をどのように判断することでBETTERな(BESTではないかも知れないが)解決策を見つけ出すことにありますから、集められたデータが実態を反映したデータなのか検証してみることが必要と思います。
この点も大学時代のゼミナールの恩師(加藤寛教授)は力説されていました。加藤先生のご専門は経済政策ですので、官僚が集める提出するデータに多分に影響を受けます。官僚の特性として前例主義があり、いままでのやり方を世襲してしまいます。しかし、いままで提出されていたデータでは実態が正しく把握できない状態となったとき、提出されたデータ以外の事実を把握するよう努力しなければ誤った経済政策を実行してしまいます。従って、データを過信して現状把握せずに、現地・現場に行って、データ化されていない実態を把握することが必要となります。
今年3月11日に発生した東北大震災の影響に関しても同様のことが言えるのではないでしょうか?
私の叔母は釜石市に住んでいますが、通信不能となったことは別問題として、通信可能となった状態に復旧してからも、テレビ・新聞等のマスコミで得られるビジュアル・データと、叔母から時折ある電話連絡とでは、現地の生活状況とは一致しない点が沢山ありました。また電力不足の問題にしても然りと思います。そして、このとき政府のマネジメント力不足が指摘されたことは周知の事実と思います。
このときに必要とされていたことは、現地・現物主義であり、そこから①自らが得ることができた非データ的な情報と、②報告される非データ的な情報と、そしてそれらを裏付けるための③データ化され集められた情報を総合的に判断してよりBETTERな対策を講じることだと私は思います。
「乱気流の時代」「激変の時代」と言われ続けて久しいものがありますが、企業経営にしても同様のことが言えるのではないでしょうか?
そして更に、これらは全て人財によってなされることですから、PFドラッカー先生は「人財を惹きつけること」の重要性を説かれていると考えます。

2011年11月3日木曜日

PFドラッカー365の金言より 82

(コメント)
『成果は企業の外部にある。企業の内部にあるものはコストセンターに過ぎない』という先生の言葉は大変に有名な言葉です。今日はその節です。

(本文)
あらゆる組織が社会、経済、人間に貢献するために存在する。当然、成果は組織の外部にある。それは社会、経済、顧客に対する成果として表れる。企業のあげる利益にしても、それをもたらすのは顧客である。組織の内部が生み出すものはコストだけである。内部にあるのはコスト・センターに過ぎない。
管理的な仕事すなわち組織の内部の現象、事象、データについては惜しむことなく分析が行われてきたが、外部の世界への起業家的な活動については、それらの分析に比肩するものがほとんどない。効率すなわち努力を記録し、定量的に把握することは容易である。しかし、売れない製品を設計していたのでは、いかに効率的な設計部門といえども価値はない。
従って、今日の組織が必要としているものは外部に向けた感覚器官である。

(コメント)
「企業経営には、管理力と創造力とのバランスが大事である」と専門学校の教科書で習いました。
この場合の管理とは社内に対するマネジメント力であり、創造力とは顧客のニーズを探り出す力を意味します。
PFドラッカー先生は、この両者を比較して、マネジメントに関する教科書や先生やデータや分析手法は沢山用意されているからそれらから学び実践すれば足りるから、今日では顧客ニーズを探り出す力にもっと力を入れるべきだと言われていると考えます。
社長自らが顧客と接し、顧客から聞くのではなく、顧客に訊くことにより顧客ニーズを創造し探り出すことが必要な時代となっているようです。これは社長の五感をもってして初めてできることですから、社員まかせではできません。社員ができるのは補うことに過ぎず、社長や取締役の感覚が顧客に直接接していなければ、社員からの報告の可否の判断を間違えることになります。
「社長の現場主義」という言葉も誤解している人が多いように見受けられます。社長が社内の現場を回り社員とコミュニケーションすることは当然に必要なことですが、それだけではマネジメントはできても、顧客のニーズを創造することはできません。社長が忙しい為に会社と自宅と飲み屋さんの往復ばかりして買い物も自分でしたことがないようでは、顧客ニーズを「創造」ではなく「空想」してしまいます。生産財メーカーの社長といえども最終消費者の動向により自社製品の将来は大きく変わってしまいますから、お休みの日にはゴルフに行くのではなく意識してショッピングセンターや商店街で買い物をしてみる、あるいは散歩することが必要と思います。
因みに、私は社会保険労務士で労務管理に関する仕事をしていますが、労務管理も間接的に消費者の動向に影響をうけますから、時間がとれる日曜日などには、自宅から片道約1.5キロの大型電気店まで商店街を歩いて行くように心がけ、また仕事の合間に空き時間ができたならばショッピングセンターに立ち寄り消費動向を把握するようにして、私の感覚が鈍らないように努力しています。
因みに、昨日は忙しくて昼飯を食べる時間が無かったのですが、通りすがりに「牛丼のすき屋」があったので入りました。いま「強盗で有名な牛丼のすき屋さん」です。久しぶりの牛丼でしたが、入店して直ぐに強盗に狙われる理由がわかりました。経費節約のため人件費を極端に圧縮しているため、店員数が足らないのです。客数はそんなに多くなかったのですが、店員さんは店内を走り回っており、中々注文を訊いてれませんし、レジは全く無防備の状態となっていました。しかし、経費節減をしているせいか「大盛り牛丼」は昔しよりもボリュームがあったのでとても得をした気分にはなりました。行き過ぎた虚(必要最低限の人数さえ確保されていないこと)が強盗に狙われる理由となっているようです。これでは何のための人件費圧縮(経費節約)かがわからなくなってしまいます。
ショッピングセンターに立ち寄ったり、商店街を散歩したりしていると、思わぬ商品を発見したり、消費者の思わぬ行動に出会うことがシバシバありますから良い勉強になります。また広島市内電車に月に1~2回は乗ることがあり、最近感じることは、東京ほどではないにしても携帯電話よりもスマートフォンを社内で使っている人が増えてきたことと、若い人だけでなく年配者も使い始めてきたことに気付きます。このことを電話通信業を営む会社の取締役に「ここに貴社のビジネスチャンスが潜んでいる」とお伝えしても、この人達は通勤時間帯の電車やバスにのることが無いので理解できないのです。

2011年11月2日水曜日

PFドラッカー365の金言より 81

今朝は忙しくて6時から仕事をする羽目になり、ブログをする暇がありませんでした。そこで、今する次第です。

<< 本文 >>
企業などの人間組織では、データをとる行為は客観的でも中立的でもあり得ない。主観的な行為であって偏りをもたざるを得ない。しかも、それは対象を変えるのみならず、データをとる者自身を変える。
データにかかわる根本の問題は、いかにデータをとるかではなく、何のデータをとるかにある。

(コメント)
これは大学生の頃にゼミの加藤寛教授からも教えられました。データは必ずしも客観的ではないと・・・・・。
なぜならば、データを取られ出すと、その人達はそのデータの値を良くすれば評価されると理解します。従って、意識的に他の事柄よりも、そのデータの原因となる事柄を改善しようとします。その結果、「データを取る」という行為はデータを取られる人達の行動や価値観を変えてしまいます。そのため、今まで通りのデータではなく、意識して創り出された環境下でのデータが集まってしまいます。
この症状は、会社では顕著に表れます。どんなに社長が「売上高よりも利益額が重要だ」と言い続けても、賞与や昇給の査定のときに利益額ではなく売上高で従業員の優劣を判定していると、従業員は社長の本心は売上高にあり、口先だけで利益額が大事と言っているに過ぎないと考えて行動します。その結果、儲からないビジネスを売上高を確保するために行い続けてしまいます。
従って、「何のデータを集めるか」を決めることは「データ内容がどうであるか」よりも大事なことです。データをとるのは会社が価値ありと考えるものだけにした方が効果があがります。
また、そのためアンケート調査結果やマスコミが好評するデータを鵜呑みにしないことが大切です。
ゼミの加藤寛教授(経済政策専門)は「日本の新聞だけしか読まないのでは駄目だ。世界の新聞を色々と読むようにしなさい。英語が読めなければ、和訳されたものでも良いから・・・」とシキリに言われていました。
即ち、データはデータを取られる人達を変えてしまいますが、それを読む人も変えるので、偏ったガラパゴス的な情報だけを頼りにしてはいけないと警告されていたような気がします。

2011年11月1日火曜日

PFドラッカー365の金言より 80

<< 本文 >>
情報処理能力の増大とマネジメント手法の発展に伴い、データの設計能力が急速に向上しつつある。
しかし、そのことはマネジメントの向上にいかなる意味をもつか。データの設計能力の向上をマネジメントの向上に結びつけるには何が必要か。というのは、データはあくまでも目的に対する手段であり、目的はマネジメントそのものにあるからである。
データは、一人ことりの人間の動機づけにつながらなければならない。データによって得られる情報が行動につながるには、その情報が知覚に翻訳されなければならない。
さらに、人間組織においては、もう一つの複雑さ、つまり不確実性なるものが存在する。社会現象に対する人間の反応は、予測が不可能である。
収益悪化のデータは必ずしも値上げだけを意味しない。売上減少のデータは必ずしも値下げだけを意味しない。そもそもデータが示している事象に意味がないのかもしれない。たとえ意味があったとしても、その意味が理解できるとは限らない。

(コメント)
PFドラッカー先生は、パソコンやインターネットが普及して情報が氾濫する社会の到来を予見されていたようです。氾濫する情報やデータの中から、自分がその意味を正しく理解できて、しかも対策を考えることが゛てきるデータを集めなければ、データばかりを集めても意味がありません。
ある会社で女性従業員さんが一生懸命に毎日、新聞の切り抜きをしてファイルに集めていました。そこで私は「誰がこのファイルを見るのですか? そして、そこにある資料やデータをどのようにつかうのですか?」とお訊きしたところ、「誰も見ませんが、社長の指示で切り抜き作業を昔からやっています。作業が終わったら、資料棚に半年間は保管した後に焼却しています」と言われましたので、「その作業は直ちに廃止してください」とお伝えしました。
情報が氾濫する現代においては、目的を明確にして、不要な情報・データは排除する(必要なデータを集めるのではない)ことが大切です。この場合、不要なデータとは、意味がないだけではなく、自分が意味を理解できないと言う場合も含めた方が得策のようです。
また本文後段にあるように、データを正しく理解できなければ、そのデータを集める意味が無くなってしまいます。売上減少したら必ず値引きをしなければならないという訳ではありません。他にも対策はあります。収益が減少したときにも、値上げだけではなく、経費節減ほか色々な対策が考えられます。値上げすると寧ろ売上が減少して収益が更に悪くなる場合も多いようです。
より適切にマネジメントすることが目的ですから、その目的に沿ってデータや資料を集めることが重要なのであり、当然のこととして自分が理解できるデータでなければどんなに権威あるデータであろうとも意味はありません。
私の仕事上で、給与の世間相場を聞かれることがあります。社長さんが持たれている資料やデータを拝見すると、全国平均値のものであることが多いのです。ここで注意しなければならないのは、全国平均値は東京の異常に高い賃金が含まれた上での平均値ですから、地方の実態とは乖離してしまっています。社長が必要とするのは地域の商工会議所がまとめた、その地域の給与相場である場合が多いのです(社長の使用目的次第にもよりますが・・・)
また、個別労働紛争や裁判で、相手方が膨大な反論資料を提出してくることが、よくあります。しかし、それらの資料をよく読んで看ると、反論とはならずに寧ろ自らの非を認めるようなデータや資料が含まれていることが多々あります。自分の目的に沿わない資料・データを提出すると、紛争解決のときには自ら墓穴を掘ってしまいます。
ITが発達して便利な時代となった分だけ、自分の目的に沿ったデータや資料を集めるようにすることが必要となります。特に、部下にデータや資料を集めることを命令する場合には注意が必要です。賢い部下は、その指示されたデータや資料が会社の判断材料として使われることを知りますから、そのデータや資料に関する事項を重視するようになりますから・・・・・。

2011年10月31日月曜日

PFドラッカー365の金言より 79

<< 本文 >>
山があるところには谷がある。
大きな強みをもつ者は、ほとんど常に大きな弱みをもつ。申し分のない人間などあり得ない。
人事において大切なことは、無難にこなす能力ではなく、一つの分野で抜きん出た能力を探すことである。よく出来る筈のことを見つけ、実際にそれを行わせなければならない。人が他人より抜きん出ることができるものは一つか、せいぜい二つか三つの分野である。
弱みそれ自体が大きな意味を持つ領域は一つしかない。「真摯さ」の欠如である。真摯さの欠如だけは、あってはならない絶対の基準である。

(コメント)
能力は訓練して習得させることができます。しかし、真摯さは訓練で習得させることは不可能です。従って、入社採用面接時の絶対条件としては、『真摯さ(真面目にコツコツと続けること)が欠如している人を入社させてはならない』ということです。能力の不足は入社後に訓練して向上または習得させれば良いのです。しかし、現実の採用では、能力重視で採用して入社後は教育もせずにホッタラカシの中小企業が多いようです。しかも、能力の高い人を採用しようとして、その人の人柄(真摯さ)を考慮していない(転職ばかりして1つの職に5~7年間定着することがないことを無視する等)場合が目につきます。これでは有能な人財を採用することも、育てることもできません。「企業は人なり」と言われるのですが、これでは企業は肥満化することはあっても本当の意味での成長をすることができません。
「その人が他の人より秀でている」ということと、「その人の長所」と違います。類似する長所を持つ他の人がいることはあり得ますが、他の人より秀でている能力に関しては、他に同じような能力を持つ人がいる場合には「秀でている」ことにはなりません。突出していることが必要になります。
そして、このような人は必ず何かの弱点(欠点)を持つことが多いようです。従って、100点満点の人はいないということです。日本の教育は全科目100点を目指し1科目でも落第点をとらないようにすることを教えますが、海外では得意とする科目で200点を取れば他の科目は落第点でも良いと教えるそうです。
大切なことは、その人の弱点(欠点)を理由にして、その人に「コトに当たらせない」という判断をしているとその問題は解決しないということです。そして、その人の弱点(欠点)を上司が補ってやることが必要となります。
政治のお話しは余りしたくありませんが、有能な政治家が出ると直ぐに野党がスキャンダルを持ち出し責任を追及します。これは日本人が平均的100点リーダーを求めている証ではないでしょうか? いまの日本の難局を乗り切るためには、片目を瞑り何かの能力に突出しているリーダーが必要なのではないでしょうか? これは企業でも一緒です。存亡の危機に陥った会社の再生をお手伝いすることが多いのですが、このようなときに活躍してくれるのは、それまで欠点人間として「落ちこぼれ族」となっていた人達の中から現れることが多いようです。何故なら、日本人が一般的に言う優秀な人は全ての面において優秀な成績を取るように習慣づけられていますから、企業存亡の危機のときのように「何かを生かすために何かを切り捨てる」という決断ができないことが多いのだと思います。
従って、順風満風の平常時ならば100点主義の可もなく不可もなく全体として他より優れている人財でも良いのですが、非常時(現代は変化の激しい非常時の連続)には何かに欠点はあるが何かに極端に秀でている人財が必要となると考えます。そして、それらの人の上司がいかにしてその人の山と谷を『目的達成のために組織全体とバランス』させるかが大切なことではないでしょうか?
尚、PFドラッカー先生は、別の書籍で、アメリカの南北戦争のときのグラント将軍(記憶間違いかもしれませんが)の事例を挙げています。この将軍は戦さは極めて上手だったそうですが、酒癖が極端に悪かったそうです。このとき当時の大統領は戦さに勝つという目的のために、大統領周辺の人達がこの将軍の酒癖の悪さを理由に総司令官指名任命を制止するにも関わらず、反対を押し切り総司令官に任命して戦さを勝利に導いたという事例です。

2011年10月30日日曜日

PFドラッカー365の金言より 78

<< 本文 >>
厳しい競争社会にあって、40代で燃え尽きる人達が増えている。彼らはもうこれ以上の地位が無いことを悟る。仕事への飽きもあるが、彼らは既に一流の専門家である。
定期異動では解決にならない。
仕事や人生で挫折がないということはありえない。
そのため、若いうちから仕事とは関係なく貢献と自己実現が図れる場を手に入れておく必要がある。
そこにコミュニティ(仲間)をもつことが必要である。

(コメント)
労務相談の仕事をしていますので、最近は精神疾病(うつ病等)に罹患する人が急増していることが判ります。精神疾病は初期であれば投薬で治せる時代となっていますが、環境を変えずに薬だけで治していると再発する可能性が高いと思います。
その解決をお手伝いしていると、昔に比べると仕事が時間に追われるようになり、目標がノルマと誤解されてしまっているなど仕事自体の性質が変容しつつあることにも原因があるようですが、大半の方が「仲間がいない孤独状態」に陥られていることが多いようです。
職場内でも家庭内でも、真面目なためバカ話などしないので、コミュニケーション不足から気軽に話しかけれる相手(仲間)がいないことが多いのです。
今年6月に企業からご相談頂いた方は、職場では一人で機械を使って一日中モノづくりをして、残業することが多いので友達と会うことが無く、家庭に帰ると食事は一人でして、一人部屋に入ってテレビを観た後に寝るという生活習慣(家族とも話さない)となっていました。下手をすると一日中だれとも話さないことかあるとのことでした。企業のご依頼でこの中年男性と会い色々なお話しを聴いていると(=疑似カウンセリング)、そのうち「村上さん、また会って話しを聴いてくれる?」と言われる関係になってしまいました。結局、この人には話し相手が必要だったのです。
暫らくすると、この人は元気を徐々に取戻し、突然に「村上さん、いまの会社を辞めて、職業訓練をうけて、全く新しい仕事にチャレンジしてみようと思うのだがどう思いますか?」と薬に頼らず現状を打開する前向きな考えを持たれるようになられました。
これなども、上記で先生が言われていることに該当するのではないでしょうか?

2011年10月29日土曜日

PFドラッカー365の金言より 77

<< 本文 >>
ほとんどの人に上司がいる。
1年に1度は、自分がその上司の役に立っていることは何か、邪魔になっていることは何かを聞く。
あなたの仕事は、上司がそれぞれの仕事のやり方によって成果をあげられるようにすることである。上司の強みを発揮させ、弱みを意味なくさせることによって、彼らが縦横無尽に働けるようにすることである。
昇進を重ねる有能な上司ほどありがたい存在はない。

(コメント)
これは「上司にゴマを擦れ」と勧めている訳ではありません。
「上司に貢献することで初めて自らが上司から認める」と説いているのだと思います。
その為には、自分の仕事のやり方がどうであれ、また自分の考え方がどうであれ、上司が上司の強みを発揮でき、弱みを補うことが出来見ように、自らの強みを発揮することが大切であると説いているのではないでしょう?
そうすれば、上司から認められ、上司との間で本当の意味での「人脈」が出来上がり、いずれは引っ張ってくれる(=「この仕事をするなら彼しかいない」と他人に勧めてくれる)ことになると勧めているのではないでしょうか?
「引っ張ってくれる」とは「昇進させてくれる」とか「昇給させてくれる」という狭い意味ではなく、「仕事の報酬は仕事(先生の別の書籍に記載されています)」という意味だと思います。良い仕事を行ったならば、次の良い仕事が与えられ、その結果、自分のキャリアを創ることができるようになります。そしてキャリアができてくると、おのずから実力と自信が伴い、かつ信頼されるようになってきて、気付いたら昇進・昇格または昇給していたということになります。
社長にも上司はいます。株主や顧客です。この人達に如何にして「貢献」するかによって、社長も報酬が増えたり、企業規模が大きくなっていったり、次なる必要資金が得られるようになります。とすると、ほとんどの人に広義の上司がいるのではないでしょうか?
それなのに、「自分の上司は・・・だから駄目だ」等と批評家になっていては昇進・昇格や昇給はおろか認められることもありません。上司の欠点を補い、上司が長所を縦横無尽に発揮できるようにすることが必要です。
自動車メーカーのホンダの創業者である本田総一郎さまは欠点が沢山あった方だそうです。しかし、有名な右腕となる方(お名前は忘れました)がいて、その欠点を補い本田さまの長所を活かすことで名も無き後発のホンダが今のように大きくなれることができたと聞いています。今年10月上旬にテレビ放映された松下電器の松下幸之助さまの奥様の物語もそれを語っているのではないでしょうか?
上司の欠点は「批判するもの」ではなく、「補うこと」が部下の職責だと考えます。
しかし、職務給制度が普及しているアメリカ人で、しかも階層社会と言われる元欧米人のPFドラッカー先生がこのような発想をされることは驚きに値します。日本の慶応義塾大学在学中に東洋思想の影響をかなり受けられたのではないでしょうか?

2011年10月28日金曜日

PFドラッカー365の金言より 76

(注釈)
組織は信頼によって成立し、信頼はコミュニケーションと相互理解によって成立する。

<<本文>>
自らの強み、仕事のやり方、価値観とともに、共に働く者全員の強み、仕事のやり方、価値観が重要な意味を持つ。あらゆる者が個性を持ち、大きな違いをもつ。
しかし、違いは問題ではない(=違うということが問題なのではない)。集団としての仕事ぶり(成果)は、一人ひとりの仕事ぶりによって規定される。従って、一人ひとりの強み、仕事のやり方、価値観を生かさなければならない。
(そのため、組織が成果を挙げるためには)自らの強み、仕事のやり方、価値観、果たすべき役割を知ったならば、それを誰に知らせるかを考えることが必要である。あなたを頼っている人達、頼られている人達が、あなたについての情報をもたなければならない。従って、それらの人々とのコミュニケーションが大事となる。

(コメント)
自らの「強み」を活かすために「自らの強みを知れ」とよく言われます。しかし、自らの強みを知っても、自分だけが知っているだけでは余り意味がありません。共に働く人達に知ってもらうこと、また逆にそれらの人々の強みを知ることが、組織・チームとして良い成果を挙げるためには必要なことです。そのためには、普段からのコミュニケーションが欠かせません。
最近、企業からのご相談で「うつ病」などの精神疾病に罹った従業員対策が急増してきました。お伺いして色々なことをお聴きしますが、大半の場合は社内の普段のコミュニケーションに原因があります。精神疾病に罹った従業員さんは社内で孤立化していることが多いのです。酷い時には、会社ではほとんど話しをすることがなく(PCや機械に向かって黙々と作業をしている)、家に帰っても個室に入っ放しで家族とも話しをせず、まるで昔し歌にあった「東京砂漠」の状態であることがあります(こんな古い歌を知っている人はいないかもしれませんが・・・)。こんなとき、従業員本人から色々とお話しお聴き(聞くではない)すると、大変本人から喜ばれ頼りにされます。昔しお手伝いした若い人は「おじちゃん」と言って懐いてくれ、親にも相談できないことを相談してきました。
そこで会社には飲ミニケーションやレクレーション或いはコーヒーブレイクタイム(3時のおやつタイム)を設けザックバランなコミュニケーションを図るようにお勧めします。
また、人間には「山(長所や得意分野)もあれば谷(欠点や不得意分野)もあります」。PFドラッカー先生の別の本の中にその事例は沢山記載されていますが、『大きな山(長所)を持つ人間には大きな谷(欠点)がある』と先生は言われ、それを上司がいかに使いこなすかが大切であると説かれています。普段のコミュニケーションを通じて、その人の長所に上司が気づき、組織・チームが良い成果を果たせるようにその人の長所を活かせるように上司がその人を使うよう心がけることが肝要です。
その結果として相互に信頼関係が生まれてきます。
若い従業員さんにストレートに「あなたの強みは? 仕事のやり方は? 価値観は?」などと訊くと「そんなのワカラン!! 話しが重い!! 」と言われ逃げられてしまいますから、雑談の中から、その人が興味を持っている事や過去の成功談や失敗談を訊き出すことで、その人の強み・仕事のやり方・ものの考え方・価値観等を類推していき、その強みや自信を仕事で発揮できるようにすることが上司の役割の一つではないでしょうか?
卑近な例ですが、私自信も色々な「強み」と「弱み」を持ちます。しかし、顧問先でもそれを知らない先は沢山あります。ましてや顧問先以外の人にそれが解らないのは当然のことです。普段は役所への諸届だけを代行しているある顧問先で従業員さんと紛争が発生したときに「誰に相談したらよいか?」と相談をうけたこともあります。そのとき「私は特定社労士の資格をもっていますから、他企業では普段からその手伝いをしています」とお伝えすると吃驚され直ぐに相談され始めたことが何回もあります。昨日は給与体系の再検討の件で、同様の体験をしました。
私がどんな資格をもっていても、またどんなにその仕事をしていても、他の人にはわからないのです。ホームページに私の仕事の概要と略歴は掲載していますが、それを見てくれていると思うのは自らに対する甘えの心だと反省する次第です。ただし、初めてお会いする人には予め私のホームページを見てくださるようにご依頼はしているのですが・・・・・!! 
因みに、今日は建設業法に関して国交省から指導をうけた建設業を営む企業の会議に出席します。数年前になりますが、薬事法に関して広島県の薬事課と法的確認を行ったこともあります。このようなことは余り詳細にホームページやブログに記載すると守秘義務違反とも成りかねませんので記載できません。
そのため親しくなった顧問先の中には「何かわからないことがあったら村上社労士に訊け」と指示を社長さんが出されている場合が多々あります。多分、「村上は出ベソで色々なことに興味を持ち逃げないから、解決するために助力してくれるか、解決する糸口やルートを見つけ出してくれる」と期待されているのでのであろうと考えて、その信頼を裏切らないためにこのようなご相談にも応じるようにしています。
しかし、私の方から「こんなことができます」「こんなことが得意です」と言い出すことは苦手ですが・・・!!
そのため、先生の指摘されるように「普段からのコミュニケーション」の大切さを痛感しています。

2011年10月27日木曜日

PFドラッカー365の金言より 75

<< 本文 >>
自らの強みと仕事のやり方がわかれば、機会を見つけることができる。それは自らの強み、仕事のやり方、価値観を生かす機会である。同時に、貢献をなすことができる機会である。ただし、そのためには、いかなる貢献をなすべきかを知らなければならない。
自らの果たすべき貢献を考えることは、知識の段階から行動の段階への起点となる。
何に貢献すべきか。換言すれば、いかなる違いをもたらすことができるか。この問いに答えることが、つかむべき機会を知るうえでの助けとなる。実際にそのような機会が現れたとき、つれを掴むことができる。
①何が求められているか?
②何に貢献するか?
③いかなる成果をあげるか?
である。


(コメント)
何のこっチャ?
何を先生は言われたいのか解り難い文章となっているようです。MSR流に文章を逆から読んでみてください。
まず最初に、
①何が求められているか(解決すべき課題・問題は何か)? 
②何に貢献(何を変えるべきか)するか?
③いかなる成果をあげるべきか(いかなる違いをもたらすことができるか)? 
を考え、
④その仕事の仕方や手順を考慮したうえで、
⑤自らの「強み」「価値観」を発揮することができるように心がけていると
自らに与えられたチャンス(機会)を発見できるようになる、と先生は言われているのではないでしょうか?
実は、私が相談相手のお話しをお聴きするときには、以上のことを意識してお訊きするようにしています。
(1)『この人は何を、どのようにして、どのように変えたいのだろうか?』
(2)それに対して、私の知識やノウハウをどのように発揮すれば相談相手の期待に沿う結果が得られるであろうか?
(3)また、良い成果が得られるために不足している私の知識やノウハウにはどんなものがあるか? その不足を補うことが今からでも間に合うか?
と無意識のうちにも判断し、可能とわかれば私のビジネス・チャンスとし、不可能と判れば適任者をご紹介するようにしています。

2011年10月26日水曜日

PFドラッカー365の金言より 74

<< 本文 >>
自らが「価値あり」とするものと自らが「強み」は一致するか、あるいは、少なくとも相反することはないか?
両者が合わないとき、優先すべきは価値観の方である。
価値観に反する仕事は人を堕落させる。強みすらも台無しにする。


(コメント)
先生はそうはおっしゃいますが、生きていく上でこれが一番難しいことだと思います。
しかし、人の一生を人生という長い期間で捉えると、先生の言われることは正しいと思います。
また、自らが価値ありとすることは、他人に言われなくとも自己鍛錬していき、気が付いたら自らの強みとなっていたということもあります。自らの強みとは他人と比較して明確になる相対的なものですから、自らの強みとは未来永劫、普遍的なものではないと私は考えます。何かの専門家も、その人が一人しかいないときには、その専門がその人の強みとなりますが、その人が専門家集団の中の一人となると、その専門分野はその人の強みとはなり得ず、その人はタダの凡人となってしまいます。また逆も真なりです。
私も、慶応義塾大学を卒業後、富士銀行に勤務し、親の会社で勤務し、宝石鑑別士となり、独立開業し、倒産し、社会保険労務士事務所を開業して、紆余屈折した人生を歩み色々な体験をさせてもらいました。そして、この過程を通じて、自らの価値観が熟成されていったと思っています。また、自らの強みも熟成し、世の為に役立てるように開花し始めていると考えています。私は、「価値観」も「強み」も加齢と経験とともに変化し熟成していくものではないかと思っています。
もしそうであるならば、自分はまだ若いと考えている間は、色々なことにチャレンジして、失敗し成功するという体験を通じて、自らの価値観と強みに気づきかつ熟成させていくことが大切なのではないでしょうか?
ただし、「自らの価値観に反する仕事は行ってはならない」ということは先生の言われる通りと考えます。
私は20代後半の頃に商業界という商売人のボランティア勉強会に毎年参加していましたが、そのときの教えの一つに「損得より先に、善悪を考えよう」というのがあったことは忘れ得ないことです。

2011年10月25日火曜日

PFドラッカー365の金言より 73

<< 本文 >>
自らの強みは、フィードバック分析によって知ることができる。フィードバック分析とは
(1)何かすることを決めたならば、まず最初(やり出す前)に、何を期待するかを書き留める。
(2)9カ月後あるいは1年後に、その期待と実際の成果を照合・比較する。
(3)期待どおりの成果、期待を超える成果の記録から、2~3年もすれば、自らの「強み」を知ることができる。
こうして知った自らの強みを仕事と成果の向上に利用すれば良い。利用の仕方には5つの方法がある。
(a)「強み」に集中すること
(b)強みを更に伸ばすこと。新たに身につけるべき知識もあるであろう。
(c)「知的な傲慢」を矯正すること。強みを発揮するのを妨げているものを認識すること。そのうちの最悪のものが、他の分野の知識を軽く見ることである。
(d)悪癖や態度を改めること。それらのもののためにチームワークや協力を阻害してはならない。
(e)不得意であるが故に行ってはならないことを知ること
である。

(コメント)
フィードバック分析と聞くと、一歩後すだりしてしまいますが、なんということは無い「自分の当初の期待(値)を明確にして、数か月後に振り返り確認してみること」だとわかります。
しかし、自分の当初の期待(値)を実行している間に忘れたり、妥協したり、曖昧になったりしてしまうことが多いのが人間の性のようです。
従って、メモに書き留める習慣をつけることが大切です。そして、全てのことを1年に1回は当初の期待(値)と照らし合わせて、予期しなかった成功や失敗を見つけ出し、その中から自らの「強み」を発見(気付く)するよう努力することが大切です。私はお正月に確定申告の処理をしながら昨年を振り返り、これをするように心がけています。

また、自らの「強み」を活用する方法も考えることが必要です。
私は47歳のときに、経営していた会社が倒産させてしまい、全財産を失い、(自己破産しなかったので)借金まで残ってしまいました。この状況下で、実姉が惜しみなく協力してくれて、まずはゆっくりと1カ月間ほど休養(ほとんど寝ていたそうです)することができました。そして、この休養の最中に、自らと家族の将来を考えドラッカー先生の上記の言葉を無意識のうちに思い出しました。そして、
①自らの「強み」に集中すること
②「強み」を更に伸ばすこと
③他の分野の知識を蔑ろにしないこと
④自らの悪癖を治すこと
⑤不得意であるが故に「行ってはならないこと」に気づくこと
が大切であるということを思いだし、自らの強みに集中するため国家資格である社会保険労務士にチャレンジすることにしました。
そうすると不思議なもので、生活は苦しかったのですが、法律を大の苦手と思っていた自分を助けてくれる人が現れたり、社労士となれてから特定社労士という新たな資格が設けられたり、これからの社労士は事務代行ではなくコンサルティング業務中心で行うことが必要であると言われたりし始め、自分がやりたかったコンサル活動に追い風が吹き始めました。
そして、その上で今でも意識していることは③と⑤です。③には謙虚な気持ちで臨み、⑤には自らの修行のつもりで習得できるように努力(チャレンジ)するようにしています。こうすることで、自らが狭い専門分野の枠の中に閉じこもることを防ぎ、より一層、顧客の要望に応えられるようになりたいと考えています。ただし、不得意の分野に関しては、方向性を示すに留まり詳細までは介入しないように注意しています。

2011年10月24日月曜日

PFドラッカー365の金言より 72

<< 本文 >>
自分が、何に貢献すべきかを知る為には、
(a)世の中に違いをもたらす成果をどこまで生み出せるか、
(b)いかにして生み出せるか
を考えなければならない。
自らの貢献は何であるべきかとの問いに答えを出すには、3つの要因を考えなければならない。
①何が求められているか
②自らの「強み」「仕事の仕方」「価値観」をもって「何に最も大きな貢献」をなし得るか
③世の中に違いをもたらす為には、いかなる成果を生み出すか
である。
ここから、行うべきこと、始めるべきこと、始め方、目標、期限などのアクショクプラン(行動計画)を明らかにできるようになる。


(コメント)
『世の中が必要としていることの中から、
 自らが「最も」強みを発揮できることを探し出し、
 どのような成果を生み出そうとするのか明確にした上で、
 目標と期限を定めた具体的な行動計画をつくりなさい』
と先生は言われているようです!!
ここで大切なことは、『「目標」と「期限」を定めた「具体的な計画」をつくる』ことが大切なのであり、行き当たりばったりで進めていく訳では無いということではないでしょうか? 
途中で間違えていることに気付いたら修正すれば良いのです!! 当初計画があるから修正できるのであり、計画が無ければ修正さえできません。
私なんかは親から引き継いで経営していた会社を倒産させてしまい、そこで自分の人生設計の間違いに気付くことができました。商売は下手でしたが、労務管理と経営計画作成・実行は得意でしたから、会社の社長としてよりも会社を元気にする社会保険労務士として社会に貢献する方が自分の強みを活かすことが出来ていると思います。高校時代の同級生なども、「社長時代よりも活き活きとした仕事をしている。天職にめぐり合えたようだネ!! 」と言われています。

2011年10月23日日曜日

PFドラッカー365の金言より 71

<< 本文 >>
間違いや失敗をしたことがない者だけは信用してはならない。そのような者は、「無難なこと」「安全なこと」「つまらないこと」にしか手をつけない。
優れた仕事ぶりとは、長期にわたり、仕事において成果を生んでいくことである。当然そこには間違いが生まれる。失敗も含まれる。「強み」だけでなく、「弱み」も明らかになる。
人は優れているほど多くの間違いを犯す。優れているほど新しいことを行うからである。

(コメント)
昔しある講演会に参加したときのことです。講演者は大変に有名な方でしたが、講演内容は「自分の失敗談」をいくつも語り、それを如何に直していったかという内容でした。
実力が認められている人ほど、他の人が自分と同じような失敗をしない為に自分の失敗談をお話しされるようです。実力がまだ認められていない人は、失敗談を隠し成功談を語ることで、自分の実力を認めてもらう必要があります。
だから、PFドラッカー先生は、間違いや失敗をしたことがない者(それらを語らず隠している者)を信用してはならないと言われているのだと思います。
天才的バッターでも三振してしまうことがあるように、仕事ぶりを打率と考え、間違いを認める組織文化を創り上げることが大切です。間違いや失敗を隠されると、会社がある日トンデモナイことになることがあります。大切なことは、発生してしまった間違いや失敗に早く気付き、いかにしてリカバリーするか対策を講じることができるようにすることです。

2011年10月22日土曜日

PFドラッカー365の金言より 70

<< 本文 >>
成果に向けた一人ひとりの自己啓発こそが、組織としての社会のニーズに応え、個人として自己実現するための唯一の方法である。それこそが、組織の目標と個人のニーズを合致させる唯一の方法である。一人ひとりの「強み」を活かすことによって、組織の成果と個人の自己実現が両立する。それぞれの専門能力が組織にとっての機会となる。加えて、貢献を焦点を合わせることによって、個人にとって価値あることを組織の成果に変える。
成果を通じてのみ、現代社会は2つのニーズ、すなわち個人から貢献を得るという組織のニーズと、自らの目標達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを調和させることができる。


(コメント)
難解な先生の教えですが、この文章の意味を理解するには逆から読んでいくと良いと考えます。
①即ち、会社と個人のニーズを調和させるためには成果を挙げることが必要である。
②そのためには、個人の能力を活かして機会を見つけていくことが必要である。
③個人の「強み(能力)」を活かすことによって会社と個人のニーズが両立するようになる。
④その為には、個人の能力を向上させることが必要であり、その根本となるのが個人の自己啓発である。
⑤ただし、その自己啓発は成果を挙げるための自己啓発であることが必要である(趣味や道楽ではないこと)。
このように読み解いていくと、ナンダ~!!先生は
(a)会社と個人の必要とすること(ニーズ)をバランスさせる為には(個人が喜んで仕事をするようになる為には)
(b)個人の強みを活かすこと
(c)成果を挙げるための個人の自己啓発が大切なこと(成果に向けて個人の強みをブラッシュアップすること)
を説かれていることが判ると思います。

英語文化圏の人達が主張することの意味が解らないときは、文章を逆から読み解いていくと判り易くなると思っています。日本語と英語とでは、主語・述語・形容詞等や文章の配置の仕方が異なりますから、日本語に慣れている日本人が英文を読んで意味不明なときには逆から読み解いてみることが一つの要領です。

2011年10月21日金曜日

PFドラッカー365の金言より 69

<< 本文 >>
組織は人を変える。否応なしに変える。成長させたり、逆にいじけさせたりする。
人を育てることについて、我々はかなりのことを知っている。とくに、何を行うべきでないかについて良く知っている。行うべきでないことの方が、行うべきことよりもわかり易い。
人を育てるためにやってはならないこととは

①不得意なことで何かを行わせてはならない。礼儀、態度、スキル、知識は学ぶことができる。だが、個性を変えることはできない(だから、入社させるときに、技能や知識ではなく人柄"真摯さ"に着目して人選する必要がある)
②近視眼的に育ててはならない。人を育てるということは、スキルを身につけさせるだけではなく、人生にかかわることである。従って、仕事は人生の目標に合わせなければならない。
③エリート扱いしてはならない。重要なことは実力であって見込みではない。要求は厳しくしなければならない。
人材の育成にあたっては、
①その人の強みに焦点を合わせなければならない(強みに焦点)。
②その上で、要求を厳しくしなければならない(高い水準の要求を厳しく)。
③そして、時間をかけて丁寧に評価しなければならない(定期的に話し合い評価する)。


(コメント)
色々な企業のご相談を受けていますが、300人規模程度までであればトップが従業員の一人ひとりとお酒抜きの場で最低限でも年に1回は時間を割いて(1人15分程度でも良い)面談し、話し合っている企業は人材が育ち、企業も順調に成長し続けていることが多いようです。300人を超える場合は社長や専務などの主要取締役が分担して従業員との面談をすることが必要です。メールや電話あるいはテレビ電話では補えないものが、面談にはあります。
「忙しいから」という理由でこれを行わない企業は、人材が思うように育たず、人間関係もギクシャクしていることが多いようです。教育を専門とする学校でも中々上手くいかないのが実情ですから、素人である会社の総務部に任せても人財が育つ筈がありません。
「どんなに良い機械や豊富な資金があっても、それを上手く活用できる人財がいなければ、その企業の繁栄は長続きしない」と言われるように、「企業は人なり」です。
人材が人財となり、正しい方向性をもって成長し続けるように最低でも毎年1回の直接面談をトップは行うことが大切です。これはトツプの「重要な仕事」の一つと認識すべきです。

2011年10月20日木曜日

PFドラッカー365の金言より 68

<< 本文 >>
腐った強い者ほど、組織を腐らせる者はいない。
人事に秀でた者は、人事を工夫する。期待すべき「貢献」を考え、実際の貢献と比較する。
人事考課のために4つの問いを投げかける。
①よくやった仕事は何か?
②良くできそうな仕事は何か? <・・・ ①よくやった仕事から推測する。 ③その者の「強み」を十二分に発揮させるには何を身につけさせなければならないか? ④その者の下で我が子を働かせたたいか? である。 強みに直接関係のない考課項目は④だけである。 優秀な若者は強い上司を真似たがる。従って、腐った強い者ほど組織を腐らせる者はいない。これは、それだけで人を失格にする唯一の弱みである。


(コメント)
 いま私は、給与体系の洗い直し作業を受託し、その中で人事考課をどのようにするのかが重要なテーマとなっています。これは、各社とも永年の課題となっていることです。会社組織の中の人の価値観は変わらなくとも、環境と社会通念(常識)が変わりますから、未来永劫有効な人事考課制度などあり得ないのです。
 しかし、その中にあって、PFドラッカー先生は「いかなるときにも共通する価値判断基準」を示されていると考えます。
 また、私は仕事柄、労基法や安衛法を中心として各企業がより良い会社になって頂くための相談・指導・助言を行っています。このときに「そんなことは実務では出来ない」「そんな業界慣習はない」「そんなことをしていたら商売にならない」等と自らの単なる思い込みで、社長やベテラン社員から反発を受けることは頻繁にあります。しかし、法律で定められていることだから従わざるを得ません。このようなときに、即座に無理やりやって頂いてもその場限りで終わることがほとんどですから、時間がかかっても粘り腰でその人達の意識を変えていくことにしています。
 このようなとき、私が痛感するのが「腐った強い者ほど会社を腐らせる」という事実です。
どうしても意識改革でできない人の場合には、何かの重大事故を体験すること(意識変革の機が到来する)で価値観を変革するしかなくなります。
 そして、このようなときに「法律で定められた義務だから、何とか知恵を働かせて、出来る方法を考えよう」とする人は必ず成長されます。私も、法律だからと押し付けるのではなく、一緒に知恵を絞ります。そして後日に会社の人から「お蔭様で良い会社になることが出来ました」と感謝されます。
 人間は歳を取ると、また経験を積んでいくと、頑固になっていくといいますが、環境が大きくかつ激しく変わっている現況では、出来る限り柔軟な考え方を持ちたいものです。少なくとも「聞く、聴く、訊く」の姿勢が必要と思います。

2011年10月19日水曜日

PFドラッカー365の金言より 67

<本文>
成果をあげる人は、貢献に焦点を合わせる。
しかし、圧倒的に多くの人たちが、成果ではなく自らの努力に焦点を合わせている。組織や上司がやるべきことや、自らがもつべき権限を気にする。その結果、成果をあげられないでいる。
これに対し、成果をあげる人は「貢献」に焦点を合わせる。外の目標に目を向ける。組織全体の成果に対して如何なる貢献を行うかを考える。責任(役割)を重視する。


(コメント)
日本人の特徴として、成果よりも(努力)プロセスを重視する傾向が強いと言われています。
しかし、成果をあげるためには、顧客(会社の外の世界)や会社全体の成果に自らが如何に貢献するかが大切であり、自らの努力・プロセスが顧客や会社全体の成果に貢献し得ないものであるならば、その努力・プロセスは評価されるものではありません。
従って、先生は「良い成果をあげるためには、顧客や会社全体に対して如何に『貢献するか』を考えること」が大切であると言われています。
こんな逸話があります。私のような特定社会保険労務士は、会社と従業員さんとのトラブル解決を依頼されることがあるのですが、ある事件である社労士が紛争を解決して会社から従業員に和解金100万円を支払ってもらった処、その従業員さんから「なんてことをしてくれてしまったんだ!!永年お世話になった社長さんに対して申し訳ないじゃあないか!!私はただ社長さんに謝って貰いたかっただけだったのに!!」とクレームをつけられたそうです。この社労士の努力は成果(顧客の期待に応える)をあげることができなかったのです。この社労士は、「争いに勝つ」という自らの努力・プロセスだけを重視して、依頼人である従業員さんの期待する成果をあげることができなかったのです。
別の事例ですが、ある会社(建設会社)で民間マンションの建築受託営業を徹底的に行う営業方針を立てました。このとき、ある従業員だけは官公庁からの土木建築の受託営業に力を入れ、会社の営業方針である民間マンションの受託営業を全く行おうとしません。このときは、若干ながら官公庁からも土木建築を受託することがてきましたが、官公庁の土木建築を受託するために必要な資料や事後に必要となる書類と民間マンション建築を受託するために必要となる資料や書類とでは全く異なりますから、この従業員のために他の従業員も協力せざるを得なく、会社全体のパワーを民間マンションの受託営業活動に集中できなくなりました。この場合、この従業員を如何に評価するかが大切な処です。もし、この従業員が「会社全体に貢献する」という意識を持っていたら、官公庁工事の受託営業を行うとしても、民間マンション建築の受託営業を主としていた筈です。こうすれば会社全体の持つパワーを集中させることが出来て、もっと良い成果が得られていたかもしれません。この営業マンは「官公庁工事の受託による売り上げ増」ということで会社に貢献したかも知れませんが、少なくとも「会社全体のパワーを集結させて民間マンション建築を受託する」という全社方針の足を引っ張っていたことは事実です。自分一人の成果を考えるのではなく、会社全体の成果を考え、それに貢献する意識を持つことが大切であるとPFドラッカー先生は説かれています。

2011年10月18日火曜日

PFドラッカー365の金言より 66

<< 本文 >>
成果をあげる人の共通点は、行うべきことを行っているだけである。
しかし、成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力は5つある。
①自分の時間が何にとられているかを知ることである。残されたわずかな時間を体系的に管理することてある。
②「自分の儲け」よりも、「他人への貢献」に焦点を合わせることである。
③自らの「強み」を基盤として、自らの強みと他人の強みを活かすことである。
④際立った成果をあげられる分野に「集中」することである。
⑤成果をあげるよう意思決定を行うことである。
いかに聡明、勤勉、創造的、博識であろうと、これら5つの習慣的な能力に欠けるならば成果をあげることはできない。


(コメント)
判り易い内容だと思いますのでコメントを省略します。これらのことを意識して、習慣化して、実行し続けることが大事だと思います。

2011年10月17日月曜日

PFドラッカー365の金言より 65

(コメント)
重要な仕事をしようとしたり、良い成果を挙げようとするときには、それを「行う時間を確保すること」から始めることが必要です。時間が細切れになっていては、仕事が中断されるため集中することができず、重要な仕事や良い成果を挙げることは難しくなります。そのためには、普段から自分の時間を管理する習慣を身につけることが必要です。

<< 本文 >>
成果をあげるためには、大きな時間の固まりが必要である。
時間を管理するためには、自由になる時間をまとめなければならない。
このことは、特に他人と一緒に働くときにいえる。
方向づけや、計画や、仕事の仕方について15分で話せると思っている者は、単にそう思い込んでいるだけである。

(コメント)
細切れに発生する「自由になる自分の時間」をいかにしてマトメて大きな固まりにするか!! その固まりの中で、如何にして「集中して仕事をするか」が、良い成果を挙げられるか否かの分岐点となります。
いずれにしても、「集中して仕事をする時間と環境を確保すること」が良い成果を挙げる秘訣となります。
社会保険労務士の国家資格にチャレンジするときに、学校の講師から「合格したければ1年間で3600時間は学習しなさい。そうしないと、運よく合格できたとしても、開業後に苦労しますヨ」と言われ、毎日10時間ほど勉強しました。そのためには、友達と飲みに行くことを止め、テレビを観ることを止め、食事は1回15分以内に済ませるようにする等して学習できる時間を確保していきました。集中して行うと、それまで大嫌いだった法律のことが判るようになり、少しずつですが理解できるようになりました。良い成果を挙げようとするときには、自分の日常生活の中の非生産的な行動を廃棄して時間を確保していくのが一番の早道だということを、このときに体感することができました。

2011年10月16日日曜日

PFドラッカー365の金言より 64

(コメント)
東京(正確には埼玉)の大学に通っている息子が異常事態に陥ったようなので、急遽、夜行バスを利用して金曜日夜から日曜日朝まで東京に夜行日帰りで行っていたので、この間はブログを掲載することができませんでした。

(本文)
成果を挙げるための第一歩は、時間の使い方を記録することから始まる。重要なことは、自分がどのようなことに何時から何時まで時間を使ったかを、自分で記録することである。継続して時間の記録をとり、その結果を毎日見ていく。
そして、日々の日程を再検討して組み替えていく。やる必要のない仕事、成果を生まない時間の浪費となる仕事を見つけ出し排除する。
そのような時間の浪費を見つけ出すためには、記録に出てくる全ての活動について、「もし、全くやらなかったら何が起こるか」を考えれば良い。止めても何も起こらないのであれば、明らかに結論は「直ちに止めよ!!」である。


(コメント)
仕事を含めた一日の行動計画を組む人は結構いらっしゃいます。しかし、その結果を記録し、結果をもとに次の計画を改善するようにしている人は少ないようです。大切なことは、それらの記録を「自分の手で記載する」ということです。パソコンに入力して手書きする代用をしようとすると効果は少なくなってしまいます。アナログに自らが手書きすることで、人間の脳がフル活用されるようになります。乱雑に書いても、思いつくままの箇条書きでも良いのです。
こうして、自分の記憶を思い出し、整理して、その中から自らの「強み」「予期せぬ成功」を見つけ出し、それを次の計画に反映させることが必要です。
そして、PFドラッカー先生が言われているのは、これが出来るようになるためには、まず「成果を生まないムダな行動を排除することを先にしなさい」ということです。有効な行動計画が立てられるようになるためには、ムダな行動を排除し、そこで生まれる時間を活用して、自らの脳を無意識のうちにフル活用できるようになること(「アッ!!」と気付けるようになること)が必要であるということです。
昔しから日本の格言に「忙中閑あり」とあります。「忙」の字体を分解すると「心」を「亡(ウシ)なう」と書いています。「忙しい」というときには意外と時間があるものです。「本当に忙しいとき(必死なとき)」には人間は無意識のうちに集中して仕事を行い、ムダな仕事を無意識のうちに排除するか後順位にしています。本当に忙しいときには人間は口数が減りますから、「忙しい」とも言わず、黙々と計画的に仕事を進めていきます。
口で「忙しい! 忙しい!」と言っている間は、仕事に振り回され、自らを見失い、その結果、集中して仕事を行うことができず時間と仕事に振り回される結果、意外と「やらなくて良い仕事(後順位にしたり排除しても良い仕事)」をやっている場合が多いようてす。このようなときには、「やらなくても良い仕事(成果を生まない仕事)」や「後順位でも良い仕事」を排除することで、限られた時間に集中して仕事を行うことができるようにすることが大切です。
だすから、「いま、このときに」やるべき仕事に集中できる環境を創り出すために、いまはまだやらなくても良い仕事(後順位の仕事)や成果を生まない仕事を先に排除しておくことが必要です。

因みに、今回の私は息子が異常事態に陥ったので、金曜日の昼間に急がない仕事を全て排除して「緊急の仕事」だけを片付け、時間を確保して東京に行った後に、今日は「月曜日までに完了すべき仕事」に集中的に取り組む予定です。私も個人事業主(社会保険労務士)ですから、当然に成果の有無を考慮して金曜日と日曜日の仕事配分を決めています。夜行バスの中では来週予定されている給与体系変更のプレゼンの構想を資料を見ながら練っていました。ただし、このブログが成果を生む仕事と確信はしておらず、気分転換のために入力していますが・・・・・。

2011年10月14日金曜日

PFドラッカー365の金言より 63

通常、仕事についての助言は「計画せよ」から始まる。もっともらしく聞こえる。問題は、それでは上手くいかないことにある。計画は紙の上で消える。よき意図の表明に終わる。実行されることは稀である。
成果を挙げる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自らの時間に対する非生産的な要求を退ける。そして最後に、そうして得られた自由になる時間を大きくまとめる。
従って、時間を記録する、整理する、まとめるの三段階にわたるプロセスが、成果を挙げるための時間管理の基本となる。

(コメント)
これはFPドラッカーの大変有名な言葉です。
これが出来るようになるためには、部下や他人に仕事を頼むときには、「何時(日)までに・・・完了してもらいたい」と言うのを口癖にすれば良いと思います。そして、自分のやるべきコトに対して、「何時(日)までに完了する」というタイムリミットを設けるようにすることです。
こうすることで、やるべきコトに「集中」して取り組むことができるようになります。細切れ的に行っていては、良い成果は得られません。集中すると、人間は物凄い能力を発揮できるようになります。
いずれにしても、良い成果を挙げるためには「集中」することが必要であり、集中できるためには自由になる時間を自らが創り出していくしかないと考えます。

PFドラッカー365の金言より 62

< 本 文 >
成功によって問題は無意味化できる。そのためには、予期しなかった出来事を重視しなければならない。
ところが、報告システムのほとんどが予期せぬことを無視するようになっている。この間違いを直すことはできる。それは月一回、予期せぬことを報告し合うことだ。
大事なことは、「うまくいったか」ではなく、「予期せぬことだったか」である。そして、それらの予期せぬことの意味を検討することが大切である。もちろん多くは、単に予期せぬものだったというに過ぎないかもしれない。しかし、三つか四つは大きな意味のあるものがあるかもしれない。
成功の追及、特に予期せぬ成功の追及こそが次なる成功をもたらす。


<コメント>
予期していなかったことを重視することが大切です。特に、予期しなかった成功の中から自らの強みやチャンスが見つかることが多いのです。予期しなかった失敗は、自らの認識と実態の差を示し、自らの弱みを教えてくれます。
しかし、報告(下から上への連絡)では「予期していなかったこと」が「意図していたこと」として報告されたり、
「予期していたこと」が「意図していなかったこと」として報告されてしまうか、或いは「予期しなかったこと」はその人の認識にさえ無い為に全く報告されません。
そのため「話し合う(双方通行のコミュニケーション)」が大事です。そして、その際には話す言葉の内容だけでなく、語尾、しぐさ等が重要であり、「聴くこと」「訊(タズ)ねること」が必要です。。
月一回の話し合いで、相互に予期しなかった成功や失敗を話し合うことを通じて、それぞれが自らの強みとチャンスに気づき、次なる成功のネタを見つけ出すことが大切です。
成功したことの要因を分析して、その要因を次なるチャンスに活かすことで次なる成功を得ることができるようになります。「運がよかった・・・」で終わらせないことが大切なことです。
しかし、これが中々難しいことです。

2011年10月13日木曜日

PFドラッカー365の金言より 61

(本文)
仕事ができる組織は、仕事を楽しんでいる。
しかし、組織には重みがあり、その重みのために問題志向となり、問題解決に追われる。成長の利用に長けた組織は余りない。
成功の展開が機会志向の体質をつくりだす。組織も伸びる。
仕事が好きで、かつ楽天的であれば、それだけで組織の空気は違ってくる。

(コメント)
色々な会社のご相談に応じていて思うことは、解決すべき問題(発生してしまった問題)を解決するために翻弄させられる会社が多いということです。
しかし、会社が成長するためには、「問題解決」ではなく「課題解決」に時間を費やすことが大切です。課題とは、「あるべき姿」と「現状」とのギャップをいい、このギャップを自らが積極的・主体的に目標と計画を設定して解決していくことが必要となります。
私は、職業柄、従業員との個別労働紛争解決のお手伝いをすることが多いのですが、このお手伝いをして問題が解決した後には「今後は問題解決ではなく課題を見つけ出しその課題を解決することに時間を費やすようにしましょう」とアドバイスしています。
そして、課題を解決していくためには、計画性と主体性が大切なのですが、同時に「機会(チャンス)」を活かすことも大切なことです。自らの意思で解決できる課題は予め計画的に解決していくとしても、どうしても解決できない課題が残ってしまいます。このようなときには「時間を味方につけて、焦らずに、機が到来したときに一機に解決する」ことを心がけることが大切だと考えます。
そして、その「機」は「何か他のことに成功したとき」に潜んでいる場合が多いようです。昔しから「運が向いてきた」などと言われますが、これは「流れ」と「機」を意味しており、その「流れ」と「機」を最大限に活用して課題を解決していくことが必要です。
これが出来るようになるためには、先生が言われるように普段から「仕事が好き」で「楽天的」であること(発生してしまった問題に振り回されるのではなく、解決すべき課題を主体的に解決していくこと)が必要となると考えます。
問題発生が多い会社は、得てして問題がないときには課題を見つけ出そうとはせず、問題が無いことに安心してしまい、前向きなこと(課題の発見と解決)を何も行っていない場合が多いようです。或いは、問題が多すぎて、または問題に拘り過ぎて、問題に振り回されて課題を見つけ出すユトリを無くしている場合も多いようです。このような場合には、思い切って「楽天的」になり、緊急性のない問題は放置し(時間が解決してくれると考え)、課題の発見と解決に努めることで、前向きな楽しい仕事ができる会社となるよう心がけることが必要と考えます。

2011年10月12日水曜日

書籍「社長がやるトップセールスの極意」のMSR流要約簡易版

「PFドラッカー365の金言」ばかりを継続していると飽きてしまいますので、ここらでチョッと別の書籍の要約をご紹介させて頂きます。
著者の田中道信 氏はリコーの販売体制を立て直して経営危機を乗り切り、その後は女性ファッション小売店の三愛の常務、社長を歴任され、現在は経営コンサルタントとしてご活躍されていらっしゃる方です。

(コメント)
いくつかの経験から、MSRとしては「(2)社長の内部への意識変革なしに全社展開なし」が特に重要と思いました。
社長がトップセールスを行い始めると、会社の欠点、社員の欠点がアカラサマに社長に分かるようになります。そして大半の社長は「どうしてうちの社員には・・・・がわからないのかナ?」と嘆き始め、怒鳴り始めてしまいます。しかし、この原因の大半が社長自身にあることが多いのです。
しかし、この時に古い格言にもあるように「過去と他人を変えることはできない。しかし、未来と自分を変えることはできる」と考え、まず社長自らがトップセールスから得たことを元にして変わっていくことが会社を良くする第一歩となります。

<要約本文>

(1) 社長は、今こそトップセールスに打って出よ !!
 これだけ変化が激しい時代になると、幹部の報告と結果数字だけで現状を掴むことはできない。報告書や数字では表れない微妙な変化・差が大変に重要となり、それは社長自らの五感で感じ取るしか方法は無い。

(2) 社長の内部への意識変革なしに、全社展開なし
 多くの社長には、会社の中での「自分の真の姿」が見えていない。自分で思っている社長像と、幹部や従業員の抱く社長像には大きなズレがあるのだ。そのため従業員は、社長の意図が分からず戸惑って、動くに動けない。そのため幹部が育たず、従業員が定着しない。中には裏切る者さえ出現する。これではトップセールスの成果を、すぐさま全社展開することなど不可能である。従業員のいだく「社長の実像」とのズレに気づき、社長自身の意識変革ができれば、あなたの会社は、ビックリするほど望ましい方向に変わっていくのである。
 まず社長が会社の外に出て、自らトップセールスすることによって、マーケットの最新動向と自社の対応とのズレ具合を具体的に知る「外の意識変革」をやる。ついで、会社の内部に目を向けて、自らの「態度能力」の再認識によって、従業員と社長との意識の違いや温度差を知り、自らの内部への意識を変えることによって、社内を結束させ外部変化に対応させる「内の意識変革」に結びつける。この2つの社長の意識改革によって、会社の全ての市場活動を、お客様に向けマーケット・インする強靭な会社組織に短期間で変貌させることが大切である。
 「人間一人が出来ることには限りがあります」。だから社長としてはトップセールスすることで得たものを社内に浸透させ組織として自律的に動く会社を創り上げることが必要ではないでしょうか?

(3) マーケティング理論とTQC理論
 自社を確実に「販売に強い会社」に変えるためには、マーケティング理論とTQC理論(総合的品質管理・・・社員間のバラツキやムラを無くする管理)を社長の武器とすべきである。
 社長は、この2つの経営理論を、誰でも理解できる、分かり易い言葉に置き換え、自社の現場・現実で必ず実践できるような具体的な知恵に変えて、社風や風土として定着するまで、しつこく使い続けていかなければならない。

(4) 売り切る精鋭軍団づくり
 どんな景況にあっても、モノを売り切って、望ましい利益を獲得するためには、自社の販売部門、販売ネット(代理店や卸問屋)、仕入先それぞれの「戦力測定」をして、現有戦力の本当の実力を掴み、粘り強く急所を強化し続け、自社を「販売に強い精鋭軍団」に確実に変えていくことが急がれる。同時に、社長は、軍団に「魂を注入する人」でなければならない。会社が一致して取り組む「魂の注入」なくして、軍団は思うように動かない。

以上の他に「販売の14則」と「経営の21則」が記載されています。
    書籍「社長がやるトップセールスの極意」 著者:田中道信  出版社:日本経営合理化協会出版局 より

2011年10月11日火曜日

PFドラッカー365の金言より 60

(本文)
「その後、〇〇〇は、幸せに暮らしました」で終わるのはおとぎ話だけである。
成功は常に、その成功をもたらした行動を陳腐化する。新しい現実をつくりだす。新しい問題をつくりだす。
成功しているマネジメントが、自らの事業は何かを問い直すことは容易ではない。彼らは、その議論の余地は無いとする。けちをつけることを好まず、ボートを揺らすことを好まない。つまるところ傲慢であって、怠慢である。こうなると成功が失敗に終わる日は近い。
1920年代にアメリカで最も繁栄していた産業が「炭鉱」と「鉄道」であった。いずれも、神が与えてくれたものと考えていた。事業が余りにも明白であって、考える必要もないと思っていた。


(コメント)
1920年代の「炭鉱」が自社の事業目的は「エネルギー源の供給」と捉えていたら、当時保有していた膨大な資金と人材を元にして「石油産業」「電気・ガス産業」等に進出して、その後衰退することは無かったと思います。
同じく「鉄道」が「快適な移動手段の提供」と捉えていたら、自動車産業や航空機産業(場合によっては「電話」や「インターネット」)にも進出していたであろうと考えます。
しかし、彼らは傲慢と怠慢により、それ(事業の定義を考えることなく、今の産業にしがみついた)をしなかった
結果、衰退してしまいました。
あることで成功すると当事者は回りが見えなくなってしまうことが多いようです。しかし、利用者は暫らくすると、その「あること」にも慣れ次の欲求が生まれ始めます。また成功すればするほど競合会社も参入してきます。このとき、自らの事業目的(利用者・顧客に何を提供しているのか)を一段上の目線からとらえて、次の事業のための投資を始めることが必要となります。
会社事業にはライフサイクルがあると言われています。一つの事業に専念ばかりしていると、いずれは衰退してしまうのです。ベンチャービジネスの人が失敗する二番目に多い原因はここにあります。一つの事業が成功したら満足してしまい、次のビジネスを育てる努力を忘れてしまうのです。成功するためには専念することが必要ですが、ある段階になると次の事業を育成し始めることが必要です。このとき、無軌道な事業の拡散とならないために、「自社の事業目的」を明確にしておくことが大切です。
その意味で、「その後、シンデレラは幸せに暮らしました」というのはおとぎ話だけの世界の話しだと先生は言われているのです。
しかし、日本の「桃太郎」はその後どうなったのでしょうかネ????? 桃太郎侍になり修行を重ねていったのかナ?

2011年10月10日月曜日

PFドラッカー365の金言より 59

中小企業は、ニッチ戦略(①関所戦略、②専門技術戦略、③専門市場戦略)の可能性を考えてください。実際にそれらの展開を検討してください。

ただし、あらゆるニッチ戦略に共通する弱点が次の事由による「永続性の欠如」です。
①技術が進化し、従来の技術・製品が不要となってしまう。
②専門市場が大衆市場となり市場が拡大したことに伴い競争が激化してしまう。
そのため、自社の製品、サービス、プロセスの全てについて「陳腐化の状況」をチェックすることが必要です。
陳腐化に対抗すべく、「イノベーションのためのプログラム(計画的廃棄)」を作成してください。

PFドラッカー365の金言より 58

<ニッチ戦略の中の(4)-3専門市場戦略>
ニッチ戦略の一つに、競争相手が現れるほど大きくない市場を狙う専門市場戦略がある。専門市場戦略では小さな特別の市場を創り出す。


(コメント)
専門市場戦略は関所戦略と似ていますが、関所戦略が工程中のボトルネックを狙うのに対して、専門市場戦略は前・後の工程と余り関係がない独立した市場を狙います。
中小企業にとってはハードルが高い戦略です。何故なら、独自の市場を創造しなければならないからです。
現実的な戦略選択としては、既に存在している市場で関所戦略をとり、その特異性を強化して市場開拓を行いながら専門市場戦略を採用していく手順になるのではないかと考えます。

2011年10月9日日曜日

PFドラッカー365の金言より 57

(本文)・・・今日は(4-2)専門技術戦略です。
ニッチ戦略の一つに「専門技術戦略」がある。
独自の専門技術さえあれば、競争を恐れることはない。そのためには、急成長している分野向けの専門技術の開発に力を入れることである。
大手自動車メーカーの名前を知らない人はいない。ところが、電気系統システムを供給する部品メーカーの名前を知っている人はほとんどいない。それら有名でない部品メーカーが専門技術のニッチを占拠している。彼らは、自動車産業において、いち早く専門技術を開発することによって早い時期に市場を獲得した。

(コメント)
トヨタ自動車を知らない日本人はいないと思います。しかし、その重要な部品を提供しているデンソーという会社を知っている人は少ないと思います。
電気のプラグ(差込口)を製造し、その市場を寡占している未来工業を知らない人も多いと思います。
道路の橋を工事するときに必要となる設計技術と部材を日本では2社が寡占している(実質的に地域独占)ことを知っている人も少ないと思います。
特殊な専門技術によって市場を占拠してしまうことは可能なことです。
私の顧問先でも、NECの機器と富士通の機器をうまく接続させる技術を持っている会社があります。これは明文化された技術ではありませんし、技術者が試行錯誤の末にできるようになった技術です。この技術が必要な工事にその技術がない他社が参入してきても、この会社は慌てることは無いのです。いずれ自社に下請発注してきますから、そのときには価格を譲歩することなく交渉することができるからです。

2011年10月8日土曜日

PFドラッカー365の金言より 56

(4-1)ニッチ戦略の中の関所戦略>・・・先生はニッチ戦略として「関所戦略」「専門技術戦略」「専門市場戦略」を挙げられています。
ニッチ戦略は小さなニッチ(隙間、適所)での独占を目指す。ニッチ戦略の一つである「関所戦略」では、プロセスの一部として不可欠の部分を探す。プロセス全体から見れば、問題にならないコストのものである。しかし、余りに売上が小さい為に、競争相手が入ってくる余地がない。


(コメント)
中小企業は「ニッチ戦略を取るべきである」として有名になったニッチ戦略ですが、その中の一つの戦略である「関所戦略」です。
これは製品・サービスを提供(生産)するために必要不可欠な工程で必要となる資材市場を独占してしまうことです。
①この工程が必要不可欠であることが絶対条件となります。
②この資材の全工程に占める費用比率は低いものであることが必要(高いと大手他社が参入してくる)です。しかし、市場を世界規模等で広くとらえて(必要不可欠な工程だから広く捉えることができる)市場を大きくすることがてきます。
その工程が全工程に占める費用比率は低くても、その工程が必要不可欠な工程であり、かつその市場を独占していると、市場を世界に向けて広げることができます。結果として、他社にとっては市場規模が小さく見えても(費用比率が低い)、その企業にとっては市場規模は大きく魅力的なものになります(広範囲な世界市場と独占)。
ニッチ戦略としては、医療における薬剤・機器、ビル建設における電話通信設備(ゼネコンにはビル建設費用は魅力的な市場だが電話設備は単価が低いので魅力的ではないなどが考えられ、その中の医療における薬剤・機器を「関所戦略」の事例として先生は挙げられています。

2011年10月7日金曜日

PFドラッカー365の金言より 55

< (3)価格戦略 >
企業には製品やサービスのイノベーションが必要である。ところがここに価格の付け方がイノベーションであるという企業戦略がある。
製品やサービスそのものは変えないが、価格の付け方によって、その製品やサービスから得られる効用(≒満足度合)、価値、経済的な特性を変化させる。
顧客が本当に買っているものは何かを調べ、顧客の本当のニーズを探り当てることが必要である。
価格戦略とは、顧客に合わせて価格をつけることである(製造原価主義の正反対)。

(コメント)
有名な事例は、100円ショップでしょう。一昔前にブレイクしたユニクロのフリースジャケットもそうかも知れません。ユニクロはそれまで2万円~3万円もしたフリースジャケットをSPA生産方式により1980円にして、高級品実用品から街角でも着ることができるファッショナブルな普段着へと変容させました。
ただ、ここで注意しなければならないことは、「顧客が本当に買っているものを調べ」ということです。
ある書籍に出ていた例ですが、アメリカのサラリーマンで自家用車通勤している人の中には、朝食代わりにシェイクを飲み(食み)ながら通勤する人達がいるそうです。シェイクか余りに飲み易い(ジュースと同じように飲める)と会社に着くよりかなり早くにシェイクが無くなってしまい、残りの時間が手持無沙汰となってしまいます。従って、シェイクには飲み難い程度の粘り気が必要となります。このようなサラリーマンは時間を買っているのではないでしょうか?
しかし、昼間に子供と一緒にシェイクを買いに来る母親にとっては、シェイクの粘り気が弱い(飲み易い)方が都合が良いのです。粘り気が強いと、子供が飲み終わるまで母親はズ~と待たされることになるからです(最終の顧客は子供ではなく、母親であることにも注意が必要です)。このような母親は子供の喜ぶ笑顔を買っているのではないでしょうか?
前者のサラリーマンと後者の母親とでは、シェイクに対する期待・価値(甘さ、価格、粘り気等)が違います。あるファミレスでは、時間帯によってシェイクの甘さと粘り気に違いをつけ、価格にも違いをつけ、朝だけドライブスルー方式で販売もするようになり、売上を飛躍的に増進させたそうです。
ドリルをホームセンターで買っている顧客はドリルではなく「穴を開ける」という目的のための道具を買っています。ドリル以外のものでも穴が開けられる道具であれば、それでも構わないのです。
ユニクロのフリースの事例のように、今までは高額な実用衣料だったものを、SPA生産により価格を引き下げ手頃なファッション着にしてしまうことで、顧客にとっての価値を変えてしまうことも可能なことです。
適正価格とは、製造原価から算出される販売希望価格ではなく、顧客にとっての効用、価値、特性に見合った販売価格にすることが必要であるとPFドラッカー先生は言われているのではないでしようか? 従って、ネットのバーナー広告で軽井沢のホテル1泊198円等を見かけると、行き過ぎを感じてしまいます。
チョット違う事例にはなりますが、あるメーカーさんで製品出荷の際に間違えて空の箱を梱包して顧客からクレームが続いたことがあるそうです。そのため取締役会で協議して約3千万円の設備投資をされたそうです。その後は顧客からのクレームが減ったので取締役さん達は設備投資の効果があったと判断されていたそうですが、ある日現場に行かれ唖然としたそうです。現場では投資した設備ではトラブルが頻繁に発生するので、その設備は使用せずに、街角で売っていた5千円程度の扇風機を回し空箱を飛ばすことでダンボールに混入することを防いでいたそうです。目的を明確にして、現場の知恵を使うことで大幅な投資節減ができていた筈です。
今は違うかもしれませんが、昔しのキャノンのコピー機は内部の配線はゼロックスのコピー機と比較すると、そくなに綺麗な配線はしてなかったそうです。キャノンは内部配線に必要となるコストを削減して高価だったコピー機を一般企業でも購入できる価格に下げ、コピー機の一般普及品市場を開拓していき市場を占拠したそうです。多分、キャノンは「顧客の目的はドキュメントの写しを取ること」と明確に定義して、ムダを取り除いていったのではないかと思います。いまでは、コピーとFAXとプリンターの複合機が安価に売られるようになりましたが・・・。
「何のために・・・顧客は購入しようとするのだろうか? その目的の価値に見合った販売価格を設定すること」が大切ではないでしょうか?

2011年10月6日木曜日

PFドラッカー365の金言より 54

(コメント)
今日は「柔道戦略」です・・・これは冒頭4つの戦略にはありませんでしたが、本文で記載されている戦略です。どちらかというと新規参入業者や一番企業を追い抜こうとしている二番手・三番手企業に向く戦略です。PFドラッカー先生も慶応大学在学中に「孫子の兵法(≒道教)」の考えを学ばれたらしい形跡を残す戦略です。

(本文)
(2-2')柔道戦略」とは競争相手の得意技を研究し、相手が手を抜いているところに自らの機会(チャンス)を発見していくことである。
事業において相手の行動はパターンしていることが多い。事業における柔道家は、リーダーの地位にある者の得意技に隙を見つける。
大昔、アメリカ企業は、高級品市場の利幅を狙って一般市場をなおざりにしていました。日本企業はこの隙を狙い、家庭用電子機器、工作機械、自動車、コピー機、ファックス市場でリーダーの地位を得た。日本企業はアメリカ企業が得意とするものの隙をついた。日本企業は低機能の一般普及品で成功し、そこで得た資金を使って、高級品市場に進出し、この2つの市場のいずれをも手に入れた。

(コメント)
これは新規参入するときの一つの戦略です。
まずは、低機能で低価格な低価格市場(Low Market)に参入して、色々な失敗を通じて本当の顧客ニーズを探り出して対応する。その過程を通じて、自社の技術レベルを上げていき、次第に上位市場に進出していくのです。
ただし、当初Low Marketに参入したときに、既存メーカーが①低価格だが品質が劣るとして無視してくれると良いのですが、②価格競争を挑み参入を阻止してくることもあります。
このときには持ちこたえる覚悟が必要です。
PFドラッカー先生は日本企業とアメリカ企業の事例を引用されていますが、最近では韓国や中国の企業の事例があります。韓国のサムソンという電気メーカーの製品は、15~16年前までは「安かろう」「悪かろう」でとても使えるシロモノではありませんでした。しかし、サムソンは今や低価格市場だけでなく普及品市場においては世界一の家電メーカーになっています。アメリカの自動車市場においてもトヨタやホンダは韓国の現代という会社にやられ始めているようです。

2011年10月5日水曜日

PFドラッカー365の金言より 53

(2)二番手戦略」では新しい製品やサービスを創造しない。誰かが創造したものを改善する。その一つが模倣である。だが顧客のニーズと欲求に、よりよく応えられるようにするが故に創造的である。こうして顧客の欲するものの創造に成功するならば、リーダーを追い越してリーダーの地位を獲得し、市場を支配することになる。
競争相手が行ったイノベーションを改善することが一番の早道である。

(コメント)
戦後から高度経済成長期の日本の産業のほとんどがこの戦略でした。米国企業が新規開発したものを日本企業が模倣して改良を加えて市場を占拠してしまう。いまのパナソニックも昔しマネシタと呼ばれていました。韓国のサムソンも日本企業の模倣をして世界一の家電メーカーに成長しました。
新製品開発に必要とされるコストと比較すると、確実に利益が確保しやすい戦略で、中小企業には一番適している戦略です。
この戦略は、経営コンサルの教科書にある「フォロアー」がとるべき戦略に酷似しています。
「真似る」を「パクル」と表現し卑下する傾向が日本人にはありますが、「学ぶとは真似ぶことから始まる」と言われるように非常に大切なことです。良いモノの真似することが成長の第一歩となります。子供も親の真似をすることで色々なことを覚えていきます。ただし、真似することを放っておくと、得てして悪いことを真似する性が人間にはあることも注意しなければなりませんが・・・・・。
また、「差別化が必要な時代」と言われ久しいものがあります。しかし、差別化で必要なとは、「一味違うたけや味噌」の発想です。二味も三味も違うと顧客は味噌として認めてくれません。普及させるのに時間がかかります。一流の料理人は素人と同じ材料を使っても抜群に美味しい料理をつくるそうです。材料は違っても調味料や熱加減が微妙に違うのです。実は、顧客に受け入れて貰いやすくするにはこの微妙さが大切なのです。
中小企業が成長する為には、模倣戦略をベースとして、顧客の立場に立ち、「一味違うたけや味噌」の発想で小さな差別化を心がけて力をつけていくことが必要です。

2011年10月4日火曜日

PFドラッカー365の金言より 52

(コメント)
昨日のブログで予告しましたPFドラッカー先生が唱えるイノベーションを成功させるための戦略①総力戦略、②二番手戦略、③価格戦略、④ニッチ戦略について数日ブログにしますが、経営コンサルの教科書にある(a)リーダー戦略、(b)チャレンジャー戦略、(c)フォロワー戦略、(d)ニッチャー戦略と比較されると面白いと思います。似てる点が多々ありますが、微妙に違う点もあります。

(本文)・・・・・今日は「(1)総力戦略」です!!
企業家は全ての経営資源を一点に集中させ、勝利を得ることでトップの座を得ようとする。成功すればトップの地位を得、失敗すれば何も得られない。最初から的確に行動しなければならない。さもなければ失敗する。しかも成功は十に一つである。成功すれば膨大な収穫を得ることができる。
この戦略には特有のリスクがある。成功した後でさえ、もう一つの戦略である「二番手戦略」を使う後発組に脅かされる。

(コメント)
総力戦略は非常にリスクが高い戦略だと言えます。企業の従業員の生活や顧客・株主・仕入先に対する責任を持つ経営者としては、できれば避けたい戦略です。
しかし、競争が激化した現代が「集中と選択の時代」と言われるように、企業として生き延びるためには経営資源を集中して他企業と差別化を図る必要があります。
有名な事例としては、シャープしかり(総合家電から液晶画面)、アップルしかり(パソコンからスマートフォン)、任天堂・ソニーしかり(総合娯楽器具・総合家電からゲーム)等です。総力戦略の典型的事例は、日露戦争のときの日本海海戦ではないでしょうか? このとき旗艦から「興国の荒廃、この一戦にあり」として、アルファベットの最後の文字「Z」旗が掲げられ「後が無いこと」を各艦に徹底させたそうです。
ただ、この戦略はリスクが非常に高いという問題点を抱えています。
そのため「仮説→検証→実行」のサイクルを「迅速に」回し続けることが必要となります。自らの予測を元に仮説をたててテストして、テスト結果が良ければ一機に集中的に展開していくことです。そして、展開途中ででも「無駄だ!! 無理だ!! 」と判断されたら容赦なく引き返すことが必要となります(損切り)。ここでは更なる「迅速さ」が要求されます。
ですから、別の章でPFドラッカー先生は、「新しいことにチャレンジしようとするときには、予めタイムリミットと目標を明確に定め、更に途中目標(メルクマール)も定めて、都度確認チェックしていくことが必要である。もうチョッと我慢すれば・・・等と拘り続けず、計画的に廃棄することが必要である」と説かれています。
因みに、戦国時代を平定した織田信長の勝ち戦は良く知られている処ですが、信長は負け戦の時には撤退が早かったと書籍で読みました。
なお、この体制が維持できるためには「普段」が大切です。普段から会社組織が俊敏・機敏に動ける体質を創り上げておく必要があります。

2011年10月3日月曜日

PFドラッカー365の金言より 51

平凡で退屈な組織にさえ、優れたイノベーションの種は消化しきれないほどある。
創造性は格好良い。
だが、問題はイノベーションの死亡率(失敗する確率の高さ)の高さにある。
しかし、その死亡率の高さに必然性はない。さほどコストをかけなくとも下げることはできる。
死亡率の高さは、戦略を知らないからである。戦略さえ適切であれば、成功率は各段に上がる。
経営者(起業家)戦略は4つある。
①総合戦略
②二番手戦略
③価格戦略
④ニッチ戦略
である。
これらは互いに相容れないものではない。2つあるいは3つの戦略を組み合わせて一つの戦略にすることもできる。しかし、これらの4つの戦略にはそれぞれ特徴がある。適合するイノベーションと適合しないイノベーションがある。それぞれが経営者(起業家)に対し異なる行動を要求する。特有の限界を持ち、特有のリスクをともなう。

(コメント)
この4つの戦略の内容については、明日以降のブログとなります。

2011年10月2日日曜日

PFドラッカー365の金言より 50

事業機会(チャンス)を発見するには、自らの「弱み」と「脅威」に注目する必要がある。
事業機会の発見とその実現には、心理的な困難がともなう。確立された習慣の破壊を意味するが故に、内部の抵抗を受ける。それはしばしば、最も誇りにしてきた能力の放棄を意味する。
しかし、実現が難しいということは、逆にそこに力を入れ、その重要性を強調し続けなければらないことを意味する。

(コメント)
昔から「失敗しようとして失敗する人はいない。失敗する原因で多いのは、過去の成功事例に拘り過ぎていた場合である」と言われます。・・・業界慣習、自社慣習、自社の過去の成功事例など
また「企業は変化適応業である」とも言われています。
日々進化を続ける顧客に企業が変化適応するために、企業は過去の栄光や慣習を捨て(計画的廃棄)、新たな環境に適応していく勇気をもつことが必要です。そうしなければ「できない理由探し」ばかりをして、折角発見した事業機会(チャンス)を逃してしまうことになります。
一番の困難は社内と自らの中にあります。社内や自らの中の暗黙知(無意識のうちの規範やルール)が一番厄介な相手となります。昔しから「獅子身中の虫」と言われているように、事業機会を活かすためには、この「獅子身中の虫」を克服することが大切です。
「できない理由探しではなく、できる方法探し」をするようにしましょう!!

2011年10月1日土曜日

PFドラッカー365の金言より 49

「運」と「機会(チャンス)」はあらゆる人間活動に影響を与え、事業に影響を与える。しかし、「運」だけで事業はつくれない。機会を発見し、それを開拓する企業だけが繁盛し、成長する。
機会(チャンス)は見つけるものであって、向こうからやってくるものではない。
機会は自らの「制約」「アンバランス」「脅威」の中に潜んでいる。機会の存在は3つの問いによって明らかにされる。
①事業を脆弱なものにしている制約は何か?
②事業内においてアンバランスになっているものは何か?
③事業に対する脅威として恐れているものは何か?
それらを機会に転化するとき、異常な成果が得られる。
時には、そのような転化はマネジメントの姿勢だけでもたらされる。

(コメント)
「運」は幸運の神様が与えるものであり、準備していた者だけがそれを活かすことができます。
「機会(チャンス)」は自らが見つけ出し、活かしていくものだとPFドラッカー先生は教えられています。
そして、機会は自らの「制約」「アンバランス」「脅威」の中から見つけ出すことが出来るとも教えられています。即ち、SWOT分析でいう「弱み」「脅威」の中にチャンスが潜んでいる訳です。それに気づき活かすことができるか否かは本人次第です。
色々な企業に経営アドバイスをしていく中で、「人は他人から教えられたことよりも、自ら気づいたことに一生懸命に努力する」と私は考えるようになりました。そのため、私の経営アドバイスは、「教える」ことより「自ら気づくこと」に力点が置かれています(コーチング)。「弱み」「脅威」の克服を一緒に検討し悩み、その結果、それらの中に「強み」を発揮することで「機会(チャンス)」に自ら気づいて頂く訳です。そうすると、その後は自走され始めますから看護しておけば良いのです(ただし暴走には注意が必要ですが・・・)。