2011年11月5日土曜日

PFドラッカー365の金言より 84

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人間組織においては、データによる管理には基本的かつ根本的な制約がある。組織とは、それぞれが独自の理念、目的、欲求、ニーズをもつ「人の集合」である。いかなる組織であれ、メンバーの欲求とニーズは満たさなければならない。この欲求とニーズを満たすものが賞罰であり、各種の奨励策、抑止策である。
人はいかに賞され罰せられるかによって左右される。彼らにとって、賞罰こそ組織の目的、価値観、位置づけ、役割を教えるものである。人事に表れる組織の価値観に合わないものは、全て無効である。それどころか摩擦のもととなり、組織としての機能不全をもたらす。組織のマネジメントは、事実上の管理手段である人事抜きには考えられない。

(コメント)
いかに賞され罰せられるかによって人は左右される。
私の顧問先のサラリーマン社長は、昇格、昇給、賞与の評価決定をする際に、社是・社訓・就業規則(企業理念は無い会社)を全く無視して、「社長である自分が他の取締役を説得してお前を昇格させた」と社員に恩を売ること(社員のご機嫌取り)に使う社長がいます。
悪いことに、このサラリーマン社長は、社員が就業規則違反をしても処罰しようとしません(社員からの社長の人気が落ちるから)。
これでは、どんなに人事労務管理を徹底しても、また営業方針を打ち出しても、それらが守られることはなくも社員は社長のご機嫌取りばかりをしてしまいます。その結果、この会社は無法状態となっていました。
そこで、本当は一機に変革させたかったのですが、色々な事情があり段階的に変革させています。
弁護士と連携して諸悪の根源をまずは排斥しました(本当は社長を解任するのが一番早いのですが、社長と一蓮托生となり社員に甘かった取締役のことです。社長には改心の猶予期間となっています)。社長は事情があって今期限りで解任となる予定です。
その効果が表れ始めたのか、今期になって業績が改善してきました。
また、今その一環として給与・賞与体系の再構築を図っています。その目的は、評価段階で社長の私的恣意性が出来るだけ働かないようにすることです。
そして、就業規則の賞罰規定の運用強化を図っています。このような社長ですから、罰するだけでなく、賞することの大切さを習得してもらいつつあります。しかし無理のようです。従って、諮問委員会(不正の疑いがある場合に取締役と他の社員の代表者数名で本人に本人が認識する事実を確認する場)を設け、その後に懲罰委員会(必要によって懲罰を決定する場)を設けるように進めています。
社長や上司が朝礼や会議でどんなに綺麗ごとを言っても、社員は昇進、昇格、昇給、賞与で社長や上司の本心を見抜いてしまいますから、これらには特に注意することが必要です。これらを誤ると、営業戦略も実行されることはなくなってしまいます。
変化が激しい時代だから従業員の一人ひとりが自立して仕事を行う必要があるため普段から会社理念を浸透させておくことが大切な時代と言われて久しいものがありますが、昇給、昇格、昇進、賞与等を通じて、社長の価値判断、会社理念・社是・社訓を従業員に浸透させていく努力をすることが今は大切な時期のようです。

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