2011年11月8日火曜日

PFドラッカー365の金言より 87

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誰でも報酬は必要である。だが、いかなる報酬システムにも人を間違って方向づけする恐れがある。
報酬システムにおいては科学的な公式はあり得ない。
従って、報酬システムは単純にしなければならない。
われわれに出来ることは、報酬システムが間違った行動を奨励し、間違った成果を重視し、共通の利益から離れることのないようにすることだけである。
報酬システムは、「個としての仕事ぶり」に報いるとともに、「全体への貢献」に報いるように設計することが大切である。

(コメント)
私は給与体系を構築することを業とする社会保険労務士です。その為、この本文は大変に意味深いものです。
私の給与体系構築の原則は「Simple is Best」で、出来る限り判り易いものにすることです。
まず、経営理念・社是・社訓・社長の経営方針を再確認することから取り掛かります。
次に、役職別・担当職務別に役割分担を明確にします。
これらを通じて、各人の方向性・努力度と全体への貢献の度合いを測定できるように仕組みをつくります。
そのうえで人事考課表の作成に取り掛かります。ただし、あまり細かくは細分化・点数化はしません。人間は右能と左能をフル活用して総合評価することが大切ですから、点数化するという左能だけの作業は極力避けます。ただし、判断するときの検討要素は明示します。複数の要素から総合的に評価ランクを決定して貰います。
これ以降は作業段階になりますので詳細は記述しませんが、出来るだけルールを決めてシンプルに判り易く運用できるように努めます。
組織において、人は昇給・昇格・賞与・懲罰等を通じて、その組織の価値観を実感し理解するとPFドラッカー先生が言われますから、とても重要なものです。社長が朝礼や会議でどんなに綺麗な言葉を並べても、従業員は昇給・昇格・賞与・懲罰等を通じて社長の本心・本音を理解します。戦国時代に、隣国との戦さでは勝利したが、その戦利品分配を間違えた為に不満が起こり、そのために国が潰れた例は沢山あります。
いまは戦国時代と同じような競争社会となっていますから、給与体系(特に評価制度)を定期的に見直し、組織の価値観が反映される仕組みを創り上げることが必要なのではないでしょうか? 
経営方針や経営戦略に応じて、毎年評価項目を洗い直し重点実施項目を明確にし直す必要があるのに、一回評価制度を構築すると後は毎年検討することもなく単純作業として評価を繰り返している企業が多いことには驚きます。「企業は変化適応業」と先生は言われていますから、その根本になる評価制度の要素年ごとに洗い直す必要か゛あります。

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