2011年12月31日土曜日

PFドラッカー365の金言より 140

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マネジメントとは、仕事の絆で結ばれたコミュニティとしての組織において機能すべきものである。共有する目的のもとに、仕事の絆で結ばれたコミュニティとしての組織のものであるからこそ、マネジメントとは人にかかわることであり、善悪にかかわることである。

(コメント)
日本の経営の神様と言われる松下幸之助さまは
「うちの会社は人を育てています。ついでに電気製品もつくっています」
と言われたそうです。PFドラッカー先生の言われるこの節と共通するものがありますネ!!コミュニティを私流に翻訳すれば「同じ釜のメシを食った仲間」となります。
色々な企業で色々な経験をさせて頂いている私が感じることは、伸び続ける企業は「人を大事にして育てるように心がけている。伸びなくなる会社は、人を使い捨てにしている」ということです。企業にはヒト・モノ・カネ・情報が大事と言われる中でヒトが要になります。そしてマネジメントとは人に関わることだから、マネジメントするということが重要なのだと思います。自由奔放を許していては人は育ちません。ときによっては信賞必罰も必要なことです。
そのため、企業が実質的に成長するためには、人を育てる必要があり、人を育てるためには教えて自ら学ばせることが必要となると思います。その方向性を決定し実行させることがマネジメントの役割では無いでしょうか?

2011年12月30日金曜日

PFドラッカー365の金言より 139

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再設計や修正なしに、長期にわたって成果をあげる活動はあり得ない。あらゆる活動が陳腐化する。
あらゆる組織が変化しなければならない。
企業には市場(売上)と収益性(利益)という規律と尺度があるが、企業以外の組織においてもそれぞれの尺度を必要とする。

(コメント)
尊大な目的を掲げてモノゴトを始めても、その初心を長期間にわたり変わることなく持ち続けることは不可能に近く、またモノゴトを始めても当初の思惑どおりにモノゴトが進展することは少いようです。その為、目的を達成する為には目標や計画の修正や変更が必要となります。
また、環境に適応するためには組織は変化していくことが必要です(変化適応業)。
環境変化に適応し、目的を変えることなく目標や計画を修正または変更するタイミングを決めるときには、組織活動を評価するための尺度が必要となります。民間企業では売上と利益という尺度がありますが、政府やNPOにはありません。また民間企業でも大組織となると、その中の小さな組織(課や係)には尺度が不明確になってしまいます。たとえば、会社の総務部に属する人達は会社の売上と利益が自分達の行動成果の尺度であると認識しているでしょうか?
色々な会社から色々なご相談を承って感じることは、会社の成長が鈍っている場合は会社の中で価値尺度が入り乱れている場合が多いようです。そのため、元気な会社になってもらうために、私は会社なりの価値尺度を統一することを常に意識して問題・課題の解決を図るようにしています。
PFドラッカー先生は特にNPO(非営利法人)において「尺度」が必要であると説かれています。
最近、私が相談にのったNPOの理事さんの案件もそれに類するものでした。その理事さんは、類似するNPOと比較して会費が日本一高いので、その会費を他の類似NPO並みにしようと経費節減を図られているようでしたが、その人から聴いた限りでは理事の中に名誉職と理解し何もしようとしない人達、貰えるモノなら何でも貰おうとする人達、単なる仲良しグループと意識している人達等々色々な人の色々な思いが入り混じっていることがわかりました。そのため理事会を開いても無難なことしか議決せず、難あるものは全て先送りされて、結局は立ち往生するか、独断で断行せざるを得ない状況に業を煮やされたうえでのご相談でした。その為、私からNPOの目的を再度確認すること、行動の成果を図る尺度を決めることをお勧めしました。
NPOに限らず民間企業においても、総務部、研究開発部などの間接部門では「目的」と「行動成果の尺度」が不明確な場合が多いようです。環境は刻々と変化し組織はその変化に対応していかざるを得ませんから、目的と尺度を予め明確にすることで、それらを変更せざるを得ないタイミングを逸しないようにしなければなりません(将来は修正・変更が必要になるから予め明示する)。
パナソニックさんも松下幸之助さまが始められた事業部制という組織制度を明確にされていたからこそ弊害を顕著に認識することができ、中村元社長が松下幸之助さまの会社理念に反しないように組織変更を行うことで見事に再生させられました。

2011年12月29日木曜日

PFドラッカー365の金言より 138

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今行っていることをまだ行っていなかったとして、かつ今知っていることを全て知っていたとして、今からでもこれを始めるか?を問わなければならない。答えがノーであるならば、それは廃棄の対象とすべきであり、次にそれではこれから何を行うかを決断しなければならない。

(コメント)
「今までやっていたことを漫然と過去の惰性や習慣に流されて継続しようとしてはいけない」と先生は言われているのではないでしょうか?
新しい事業を始めるとき、従来の事業はそのままにして新しい事業を始めると力の分散となってしまいます。新しい事業を加えた全体を俯瞰し、全体として最も効果があがる方法をとることが必要です。そのためには、既存事業のやり方も変更することが必要となります。
また、卑近な事務的事例ですが、建設業法の指導を国土交通省から受けたため新たな事務が発生することになった顧問先があります。ここで私が提案しているのは、従来の事務でムダな事務を廃止することです。そのためパソコン用業務統合ソフトを導入し、そのソフトの仕組みに合わせて業務改革をするように勧めています。この会社は従来は自社開発のソフトで基幹業務を運営しており、それぞれのソフトが必要な都度開発されたものでしたから互換性が全くなく、入力・保管他で二度手間が発生しているのです。しかも市販の業務統合ソフトを導入すれば、この会社でシバシバ発生している機密情報漏えい問題(セキュリティ対策)へも対処することができるようになります。
新事業のベース、新事務管理のベース、いずれにしても新しいことを始めるときには過去のやり方を全体として見直すことが必要です。しかし、得てして新しいことばかりに関心が集中してしまい、廃棄することを忘れてしまっているのが人間の性のようです。
また、新しいことを始めるときに限ることはありません。日本の格言に「日々新たなり」というのがあります。先生はこの格言に通じることを指摘されているようです。過去の惰性に流される来なく、日々新たな気持ちで仕事・事業に臨むことで新たなやり方・考え方の発見ができる筈です。
年の瀬も後数日に迫りました。新たな気持ちで新年が迎えられるように、新たな年に新たに始めようとするモノ・コト以外は廃棄するようにしましょう。

2011年12月27日火曜日

PFドラッカー365の金言より 137

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仕事が出来る者は、多くのことで成果をあげなければならないことを知っている。だからこそ集中する。
集中するための原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。第一級の資源、特に人の強みという稀少な資源を昨日の活動から引き揚げ、明日の機会にあてなければならない。昨日を捨てなければ明日をつくることはできない。
意識して体系的に廃棄をしない限り、組織は次から次へと仕事に追われる。行ってはならないこと、もはや行うべきではないことに資源を浪費する。そのため、折角の機会を利用する上で必要な資源、特に有能な人材が不足する。
余りにも僅かな企業しか昨日を捨てていない。余りにも僅かな企業しか明日のために必要な資源を手にしていない。

(コメント)
色々な会社のご相談を承っていて、新しいことを始めるときに過去のものを捨てる(廃止する)ことをせずに新しいことを始めてしまっているケースはよく出くわします。過去のものをそのままにしておくから、新旧入り乱れる結果としてモノゴトが複雑になり、どうしても新しいことに集中できない状態に陥られているのです。
しかし、私自身もこの言葉を出来るだけ行動に反映さようとしているのですが、人間の性なのか、どうしても過去のやり方・成功事例に無意識のうちに拘ってしまっています。
道教の教えにある「無常」(世の中は常に移り変わるので、絶対的に不滅で、安定しているものは無い)という考えに到ることは中々難しいようです。

PFドラッカー365の金言より 136

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「真摯さ」を絶対視して、初めてマネジメントの真剣さが示される。それはまず人事に表れる。リーダーシップが発揮されるのは真摯さによってである。範となるのも真摯さによってである。
真摯さは誤魔化せない。
範とすることができない者を高い地位につけてはならない。

(コメント)
「真摯さ」とは「真面目でひたむきなこと」(by広辞苑)という意味です。
PFドラッカー先生は、ここではリーダーの絶対条件として「真摯さ」を挙げられています。リーダーは自分が能力不足であれば、能力のある部下を使えば良いのです。しかし、リーダーに真摯さが欠如していると、能力ある部下も直ぐにやる気を失ってしまいます。アメリカの鉄鋼王と言われるカーネギーの墓石には「自分より秀でた者を使う術を知る者、ここに眠る」と刻まれているそうです。
そして別な書籍で先生は、「真摯さ」はリーダーに限らず一般社員にも絶対的に必要なことだと指摘されています。入社面接をするときに絶対条件とすべきは「真摯さ」であり、これが欠如している人はどんなに有能な人材でも入社させるべきではないと言われています。私は仕事柄から新規採用面接の相談を受けますが、ほとんどの会社が「真摯さ」よりも「能力」を優先させてしまっているのが現実です。「真摯さ」から「相互の信頼関係」が生まれますが、「真摯さ」が欠如していると「信頼関係」は生まれず、信頼関係が欠如している状態では組織が組織として機能しなくなるからです。ましてやリーダーに「真摯さ」が無ければ組織が組織として機能しなくなってしまいます。
組織とは「1+1>2」と機能し、単純合計よりも大きな総和を生み出すべき道具ですが、「真摯さ」の欠如により「信頼関係」が無い組織では、余分な仕事ばかりが増える結果として「1+1≦2」となってしまうのです。
「真面目にコツコツとひたむきに自分の役割を果たす努力を継続するか」は組織を構成するメンバー全員に必要不可欠な要件です。
実際に色々な企業からご相談を承っていて、自らの役割に対する真摯さに欠如している人をリーダーにしている為に問題が発生している場合が多いようです。

2011年12月26日月曜日

PFドラッカー365の金言より 135

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重大な変化は、価値観の変化、認識の変化、目的の変化など、予測不能なものの変化によってもたらされる。事業を行う者にとって重要なことは、市場にすでに現れているトレンド(既に起こった未来)を明らかにすることである。それらの変化を認識し、分析する方法を開発し、あなたとあなたの組織にいかなる影響を与えうるかを書き出すとである。

(コメント)
多忙なときにこそ、変化に気づき易いものです。
昨年の年末と今年の年末で何がどのように違っていますか? その変化は一時的なものですか、これからも続きそうなものですか?
その変化の中に新しいビジネスチャンスが潜んでいます。気づいた変化を「書き出してみる」ことが大切です。
その上で、トレンド(世の中の大きな流れ)を自分なりに解読していき、その流れを上手くビジネスに利用する方法を考えることが大切です。

2011年12月25日日曜日

PFドラッカー365の金言より 134

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イノベーションとは、事業の潜在的な機会を発見し、未来を築く為のものである。
イノベーションを実現させるためには、欠けているものは何か?、成果を一変させる一歩は何か?、資源の能力を一変させる小さな変化は何か?、を問わなければならない。
その為には、顧客のニーズ(必要性)やウォンツ(願望)を「書き出してみる」ことが必要である。ニーズやウォンツを書き出すだけではニーズやウォンツを満たしたことにはならない。しかし、ニーズやウォンツを書き出して(全体として捉えることで)、はじめて望む成果を得るための必要な条件を知ることができる。
イノベーションの能力とは、一見関係のないものを一つの全体として見る能力である。

(コメント)
顧客視点をベースにして「書き出してみる」こと、「全体として捉えてみる」ことは、頭の中だけで考えていると中々できないものですネ!!
そして「全体はシンプルにバランスを保ちながら存在している」という点も忘れたくないことだと考えます。Simple is Best。変化が激しい時代だからこそ、シンプルでありたいものです。

2011年12月24日土曜日

PFドラッカー365の金言より 133

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事業はすべて、「資金の配分」と「人材の配置」によって具体化される。この2つの経営資源が、優れた業績をあげるか、貧弱な業績しかあげられないかを左右する。資金と人材は慎重に投入しなければならない。
資金については
①投資収益率
②回収期間
③キャッシュフロー
④投資現在価値
の4つの観点から見なければならない。そのうえで、機会とリスクの関係が最も有利なものを選ぶ。そして投資結果は必ず当初の見込みにフィードバック(照合)させることが必要である。
そして、人材の配置(採用、解雇、昇進)の決定も重要である。資金の投入よりも難しい。投資の決定と同じように緻密に行わなければならない。そしてここでも、結果を当初の期待にフィードバックさせなければならない。

(コメント)
資金投入の是非は、予測と算数を基に論ずることができます。しかし、人材の投入はそうはいきません。予測しても、相手は成長しますし、環境も変わっていきます。そのため予期せぬことが発生し易いのです。
私は特定社会保険労務士として主に人材の配置(採用、解雇、昇進他)のご相談を承っていますが、色々な企業と接して、「企業はそれを構成する人のモノの考え方次第で成長もするし、停滞・衰退もするものだナ!! 」とつくづく思います。無から起業して企業を興す人もいれば、一大企業を潰してしまう人もいる訳ですから・・・。私見としては「流れを活かすこと」の重要性をシミジミと感じる昨今です。
①陰と陽・・・・・両極端を極め理解すること
②無為・・・・・・・流れを上手く利用すること
③無常・・・・・・・絶え間なく変化し続けること
④上平無兵・・・直接的行動よりも間接的行動を心がけること
が中国の道教(孫子の兵法も基礎となった考え方)の教えにあります。

2011年12月23日金曜日

PFドラッカー365の金言より 132

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誰かに出来ることは他の者にも出来る。
自らの競争力を知るには、ベンチマークの手法が必要である。
最高の仕事ぶりは、自らの組織内に、または競争相手に、あるいは別の産業に見つけることができる。常に一流であるために、ベンチマークを行い、仕事の水準を高く設定することである。

(マトメ)
何か、トヨタのカイゼン活動の源のような気がしますネ!!
PFドラッカー先生は別の章で
「マネジャーの能力は育つべきものであって、生まれつきのものではない」
「私は、成果を上げる人のタイプなどというものは存在しないことに、かなり前から気づいていた。私が知っている成果を上げる人は、気質と能力、行動と方法、性格と知識と関心など、あらゆることにおいて千差万別だった。共通点は『なすべきことを為す能力』だけだった」
「目標に向かってすべきことを知り、それを実行する能力さえあれば成功できるのだ」
「天才に頼ることはできない。天才は稀である。組織の目的は凡人をして非凡なことを行わせることにある」
「そして組織は人の強みを引出し、弱みを無意味にし、人々をして他のものの助けをするようにできなければならない」
とも言われています。

2011年12月22日木曜日

PFドラッカー365の金言より 131

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問題は技術や方法ではない。ものの考え方である。
あなたの会社では「製造コストに利益を上乗せ」して販売価格を決めていませんか?
顧客が喜んで支払う価格を販売価格として設定し、商品の設計段階からアフターサービスに到るまての許容されるコストを明らかにし、その範囲内でコストが収まるように計画する。
この顧客が喜んで支払う販売価格についての情報を用意するものがマーケティングである。

(コメント)
この考え方は普及した考え方です。売れるであろう価格から許容される製造・販売コストを逆算して、そのコストの範囲内で費用を抑え込むようにして製品を決定していく逆転の発想です。要するに、顧客にとっての価値から許容されるコストを逆算して製造原価を決定しようというやり方です。
しかし、この考え方の運用を間違えると、法令違反(安全・衛生の確保違反)となったりもしますから充分に注意が必要です(コンプライアンス)。
そして、一番厄介なのは、顧客にとっての価値は相対的に決まるものであり、常に変化しているということです。この変化に追従するためにはマーケティング活動が不可欠なものとなります。
ただし、冒頭の「問題は技術ではない。ものの考え方である」という箇所は技術以外のことにも適用できます。何かの壁にぶつかり、その壁を乗り越えることができないとき、色々な方法でトライすることも大切ですが、方法・手段に拘らず考え方を変えてみることも必要なことです。「何のために・・・?
」と!!

2011年12月21日水曜日

PFドラッカー365の金言より 130

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ビジネス・チャンスを探すときには
①すでに起こっている社会的な変化(人々の意識や行動の変化)で、それまでの(自分が持っていた)「常識に合わないもの」は何かを探すことである。
②その変化が本物であることを示す証拠があるかを探すことである。
③もしそれが意味ある変化であるならば、いかなるビジネス・チャンスをもたらすかを問うことである。

(コメント)
忙中閑あり!! 週末の連休からお正月にかけて考えられることをお勧めします。暇なとき(緊張感のないとき)に考えても良い智慧は働きません。忙しい今こそ、朝30分早起きして考えるべきときです。変化がよく判らなければ、5年前と比較してみれば良いと思います。
今年の大きな事件では、東北大震災やタイの洪水による部品・資材の供給停止というサプライチェーン上の問題が発生しました。消費者にはスマートフォンが確実に浸透し、コミュニケーション手段が変わり始めています。人気グループIKBではメンバー同士で競争をさせています。アルコール・喫煙離れが確実に進行しています。これらはいずれ大きな変化をもたらすと思います。その中で、いかに自社のビジネスチャンスを創り出すかがこれからの会社の盛隆を決めて行くことになります。
例えビジネスチャンスを見つけることができなくとも、今の自社が社会の大きなトレンド(潮流)から外れていないかはチェックすべきです。変化はユックリと始まり、ある日一機に普及する時代となっていますから、早期に新しいビジネスチャンスを「模索する」ことが大切な時代です。

2011年12月20日火曜日

PFドラッカー365の金言より 129

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組織構造をフラットにしてください。情報化によって組織の活性化と効率化を図ってください。
ミドルを減量するには①欠員を補充しない、②昇進させる代わりに仕事の内容を充実させるの2通りがある。
昇進に際しては、昇進にふさわしいか?ではなく、「より挑戦的な仕事にふさわしいか?」、「新しい責任を加えるにふさわしいか?」を検討しなければならない。

(コメント)
ここで先生が言われているのは「情報の連絡(報告)は階層が多いほど情報が歪曲される」から組織はフラットであることが必要であるということです。しかし、人間一人が管理できる部下の数には限界がありますから、「ミドル不要論」ではなく「ミドルの役割変化論」だと思います。
「ミドルとは地位ではなく役割だ」「そして、その役割が変わり始めた」と言われたいのではないでしょうか?
経営の神様と言われる松下幸之助さまは「文鎮型経営」を心がけていたと言われます。事業部制を採用していましたから、各事業部には責任者がいます。しかし、松下幸之助さまは必要なときには現場を熟知しているミドルから直接意見を訊くことで経営に反映していたと聞きます。
従来型の上の指示・命令を下に伝達・命令するだけのミドルの時代は終わり(役割が変わった)、自ら専門分野を持ち専門知識を活かして縦だけでなく横にも影響を与える新しいタイプのミドルが必要な時代となったのです。
そして経営問題解決に必要な専門知識はその時々で変わっていきますから、ミドルを地位として保証するのではなく、役割として与えるチーム型組織(プロジェクト・リーダー)を推奨されているのだと考えます。

2011年12月19日月曜日

PFドラッカー365の金言より 128

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スタッフ部門は長期的な課題に集中しなければならない。短期的な課題、例えば組織改革などは臨時の仕事として処理すべきである。
スタッフ部門の仕事は具体的な課題でなければならない。漠然とした目標ではスタッフ部門の生産性はあげられない。
スタッフ部門の肥大化は、スタッフ部門自身だけでなく現業部門の効率を損なう。
スタッフ部門の効率化を図るには、「具体的な目標」と「期限」を定めなければならない。
スタッフ部門の仕事の目的はただ1つ。現業に貢献し、組織全体の業績に貢献することである。

(コメント)
日本では一昔前に「フラットな組織創り」が叫ばれました。PFドラッカー先生は大昔からフラットな組織創りを勧められています。不審に喘いでいた松下電器も文鎮型組織によりフラット化してパナソニックとして再生しました。
スタッフ部門は縮小を図ることが必要です。スタッフ部門の効率化を図り、生産性を高めるためには、スタッフ部門の具体的目標と期限を定めることが必要です。そして、スタッフ部門の責任者と話し合い、スタッフ部門の目標と会社組織全体の目標とをリンクさせることが必要です。
因みに、私の顧問先で約800人の従業員がいる会社がありますが、この会社では1人の総務労務担当者が総務労務関係の仕事全て(経理を除く)を「管理」しています。ただし、人手が必要なときには他部署から応援してもらうことで「作業」を行っています。「仕事を管理」するのは1人だけ、しかし「作業」で人手が必要なときには他部署からの応援体制で乗り切ります。そして企画や業務改善が必要な場合には私のような社外専門家に相談して案を纏め、社内検討を進められます。自分達は飲食業の営業に関するプロに徹して、組織運営上で付随的に発生する業務は社外からの叡智を集めて推進していく方針の会社です。

2011年12月18日日曜日

PFドラッカー365の金言より 127

PFドラッカー先生の格言
     「無人の山中で木が倒れたときに、音はするか?」

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コミュニケーションを成立させるものは受け手である。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。無意味な音波しかない。コミュニケーションについては、4つのことが言える。
①人は知覚できるものしか知覚しない。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければならない。受け手の経験にもとづいた言葉を使わなければならない。
②人は期待しているものだけを知覚する。期待しているものを見て、期待しているものを聞く、期待していないものは受けつけない。
③コミュニケーションは、受け手に何かになること、何かをすること、何かを信じることを要求する。従ってコミュニケーションとは要求であり、単なる情報の伝達とは異なる。また、その為、コミュニケーションは、それが受け手の価値観、欲求、目的に合致しないとき、全く受けつけられないか抵抗される。
④一方、情報は形式であり、記号であり、論理の対象である。受け手が記号の意味を知らなければ、情報は使われるどころか受け取られることもない。情報が受け取られるには、送り手と受け手の間に、あらかじめ何らかの了解、すなわちコミュニケーションが存在しなければならない。

(コメント)
会社組織を動かすときに重要なコミュニケーションに関する先生の教えです。要するに、子供に話しかけるときには子供に解る言葉を使わなければコミュニケーションは成立しないということです。子供に、法律で使うような言葉や大学で学ぶような言葉を使って話しかけても、子供は理解してくれません(雑音として聞きます)。
そして、最も重要なのは④「情報が受け取られるためには予めコミュニケーションが存在しなければならない」という箇所です。実務で色々なご経営相談を承っていて最も多いのは、「指示・命令しても部下が思うように動いてくれない」という悩みです。この問題の真因は普段のコミュニケーション不足にある場合がほとんどです。そして、この問題が解決しないとどんな会社組織の改革も上手くいくことはありません。
ただし、メールではコミュニケーションはできないと理解した方が良いです。メールの情報の伝達に過ぎず、やはり「会う」ことによって初めてコミュニケーションは成立します。電話やFAXでは不十分です。電話はメールよりはマシですが、予め人間関係が出来上がっている人には有効ですが、面識の無い人には充分な効果をもたらさず、コミュニケーションではなく情報の伝達で終わります。
会社組織は「ヒト」が動かす訳ですから、コミュニケーションが命となります。どんなに沢山の「お金」や優秀な「モノ(設備など)」があっても、コミュニケーション不足で部下がそれらを充分に使いこなさなければ、沢山の「お金」や優秀な「モノ」はアッという間に無くなってしまいます。

2011年12月17日土曜日

PFドラッカー365の金言より 126

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組織内の活動をどのように位置づけるか。すべて貢献によって位置づけなければならない。
組織内の活動は、その貢献の種類によって4つに分類できる。
①成果活動:組織全体の成果に直接あるいは間接にかかわりをもつ「測定可能な成果」を生む活動
②支援活動:成果活動と同じように必要不可欠ではあるが、自らは成果を生むことが無く、自ら生み出すものが他の組織単位によって利用されて、初めて成果を生む活動
③家事活動:組織全体の成果とは間接的にもかかわりの無い付随活動
④トップの活動
である。

(コメント)
先生の教えで特徴的なことは④が独立していることです。
私は給与体系再構築や組織構造の再構築を依頼されたときに、全員に「マイタスク表」を記入してもらいます。お茶汲みやコピー取りまで含めて、各従業員さんがやっている作業や仕事の全てを書き出してもらい、それに自己判断で難易度をつけてもらいます。これを通じて、各従業員さんの仕事に対する意識調査を行い、これを組織の「役割と責任」の分担表に纏めます。これは主に現行の①~③を理解するために行うものですが、ついでに④も記入してもらいます。
これをすると面白い結果が毎回出てきます。
PFドラッカー先生の言われる上記①を漏らしているケースは稀ですが、②~④は漏れていることが多いのです。この場合は「〇×△という会社に必要不可欠な仕事は誰がしとルン?」と訊いていきます。今時、こんな仕事(作業)を従業員さんにさせているの?というものも見つかります。トップが知らない仕事(作業)を従業員は過去からの引き継ぎ事項として行っていることあります。
特に④「トップの活動」となると顕著に面白い結果がでます。酷いときには「マイタスク表」さえ記入できない取締役や社長さんがいらっしゃいます。社長や取締役は会社の方針を立案することもなく、③の社交辞令ばかり精力的にやっている会社もあります。マイタスクとは「自らが果たすべき役割と責任」なのです。これが列記できないようでは、カイゼンなど出来る訳がなく日々漫然と過ごしているに過ぎないことになります。自らの役割と責任は何か? 自らが属する組織(部署)の役割と責任は何か?を意識していないと、これだけ変化の激しい時代に企業として適切に変化に適応できなくなってしまいます。
先生の4つの分類がよく理解できない方は、敢えて極論して
①営業活動
②生産活動・購買活動・研究開発活動
③総務活動(経理・財務を含む)
④トップを含めた経営陣の活動
と理解されてはいかがでしょうか?
ブレイクスルー思考法に面白い事例があります。
あるタイル・メーカーさんが在庫品をダンボールに入れて保管するために強固なダンボール箱を作ろうとしていました。結論から言えば、在庫がない状態で営業できれば強固なダンボール箱も不要なのだから、強固なダンボール箱をつくろうと努力するよりも製造と販売がジャストインタイムとなる営業生産体制を構築することが必要なのです。この結果、このタイル・メーカーさんは不要となった倉庫を売却し、また在庫として寝ていた資金も有効活用できるようになりました。ただし、地震等に備えたリスク管理が必要なことは言うまでもないことですが・・・。

2011年12月16日金曜日

PFドラッカー365の金言より 125

<< 本文 >>・・・・・過去3日間は連続したテーマです。今回が結論に相当します。
擬似分権制は事業でないものを事業であるかのように組織する。
分権化した組織単位に自立性を与え、自立したマネジメントをもたせ、少なくとも擬似的な損益について責任をもたせる。
各組織単位は、便宜上定めた価格によって互いに取引する。あるいは、コストに2割の料金を課すことによって擬似利益を計上する。

(コメント)
これって京セラの稲盛さまが唱えているアメーバー型組織のことじゃないですか? アメーバー型組織の原点はPFドラッカー先生にあったんですネ!!
各部局の「責任」と「役割」を明確にして権限移譲し、自立させ「具体的な利益」を計上(貢献を見える化する)させる。その上で、全体(全社)に対する求心力を失わさせないようにする。
会社組織運営の要と言えます。こうすることで社員が成長し、会社全体も成長できます。

2011年12月15日木曜日

PFドラッカー365の金言より 124

<< 本文 >>・・・・・3日前からの各日のブログの続きです。
分権制の成立には厳格な条件がある。
①全体に対して利益を貢献しなければならないから、利益を把握できる単位において初めて適用することができる。
②トップマネジメントの仕事が明確に規定されて、初めて有効に機能する。トップマネジメントが現業の仕事に煩わされることなく、明日のための方向づけ、戦略、目標、意思決定に専念できるようにする。
③自立的な事業である現業部門に対し「責任」を要求する。最大限の「自立性」を与えるが故に最大限の「責任」を要求する。
④自立性には信頼性が不可欠である。トップマネジメントと現業のマネジメントは、「期待する成果」、「仕事の水準」、「将来性」について共通の理解を必要とする。各部局に与えられる「自立性」とは「独立性」ではない。「自立性」とは全体の成果のための手段である。
各部局は全体の利益に貢献するのではなく、全体に対して利益を貢献しなければならない。

(コメント)
これを読む程に、稲盛さまの唱えるアメーバー型組織を連想してしまいます。
特に「全体の利益に貢献するのではなく、全体に対して利益を貢献しなければならない」という微妙な表現に注意すべきです。「全体の利益に貢献する」という漠然としたものだと、貢献している「つもり」に陥り易いのです。そうではなく、具体的な利益を出して貢献することが必要です。その為、具体的な利益を把握できる最小限の単位が分権制の最小限の単位となります。
また、分権制(事業部制など)を導入すると、各部局(=各事業部)のやるべき仕事に重きが置かれた検討がなされます。しかし、先生は各部局ではなく寧ろトップの仕事を明確にすることが大切と説かれています。
そして更に、「自立性」と「独立性」の違いにも釘を刺されています。分権制を導入すると、得てして「自立」と「独立」とを勘違いして勝手気ままにやり出してしまう部局があるからです。あくまでも全体の中の一部局ですから、全体としての「方向づけ」、「戦略」、「目標」、「意思決定」に従わなければならない(部局の意思に反することもある)ということです。各部局の最適化は、必ずしも全体の最適化をもたらさないということです。
書籍「ボトルネック」(書籍名は定かではありません)では部分最適が全体最適とはならないことが指摘されています。生産工程において、前工程に性能の高い機械があり、後工程の機械の性能が劣る場合において、もし前工程の機械が最大限の能力を発揮して製造してしまうと、後工程では処理能力を超えてしまうために、前工程と後工程の間に仕掛品が発生してしまいます。そのため前工程の機械は後工程の機械の性能を考慮した生産をしなければ、全社として資金を在庫で寝かせるというムダが発生してしまうという事例です。
各部局が自由気ままに効率性(efficiency)を追及しても、それは必ずしも全体としての有効性(effectiveness)をもたらさないというご指摘だと思います。
ただし、分権制が「人財育成」の最も有効な手段であることに変わりはありません。
うちの規模では分権性制は無理だとお考えの方は「分権性」の箇所を「権限移譲」と置き換えてください。人財を育成のためには権限移譲が必要です。

2011年12月14日水曜日

PFドラッカー365の金言より 123

<< 本文 >>・・・・一昨日と昨日の続きとしてお読みください。
分権制によって、組織はいくつかの自立的な部門に分割できる。それらの部門は、
①それぞれが成果と全体への貢献に責任を持つ。
②仕事やスキルの虜となることなく、行っていることの意味を知り、全体の仕事に指向せることができる。
③目標と自己管理によるマネジメントを有効に働かすことができる。
④部下の数はもはや管理の限界によって制約されることがなくなる。責任の限界によって制約されるにすぎなくなる。
分権制の最大の強みは人材開発にある。

(コメント)
私は先生の言われる分権制を狭義の事業部制としてではなく、権限移譲の一つの形態として捉えています。
先生が言われるのは、権限移譲を積極的に行い、自立した小組織を組織内に創り、責任を持たせていけば、
『①成果と全体への貢献に責任を持つようになる』
と言われますが、これには仕組みが必要となると考えています。仕組みを上手く創り上げないと、自己完結的で自分達の目標しか追及しない小組織が組織の中に出来上がってしまいます。その為、全体組織の目的と価値観の統一を図る必要があり、またそのためには報酬と賞罰を明確(信賞必罰を明確)にすることが大切ではないかと思っています(実務経験で思うこと)。任せっ放しで放任していると、全体に対する意識は薄れてしまう傾向があります。「責任ある自由」と「放任」とは違います。
②③に関しても同様です。小組織の仕事ではなく、全体組織の仕事を指向させるためには教育訓練が必要です。
④に関して、組織論では一人のリーダーが管理できる最適人数を経験則から7~8人としていますが、分権制を採用すると「ねずみ講」的に管理できる人数を増やすことができます(トップは各小組織のリーダーを管理すれば良いだけとなる)。そして、特に日本人は狩猟民族系ではなく農耕民族系の人が多いですから、個人ではなく必ず2人以上の小集団でリーダーを決めて分権化し、小集団単位で評価することを私はお勧めしています。このように考えていくと、京セラ(稲盛さま)のアメーバー型組織に行き着きます。
いずれにしても、先生は①責任を権限を若い時から与えることで自立させることと、②全体への貢献を考えさせることを通じて、人材育成(開発)できることが分権制の一番のメリットだと教えられています。
「うちには人財がいない」と嘆いていらっしゃる方は振り返ってみてください。権限を独り占めしていませんか? 若い時から権限を持たせてやらせてみる。少々の失敗をしなければ、人間は本当の成長はしません。上司がやることを側で見ていても成長することは稀(所詮は他人事)です。失敗を通じて人間は自ら成長していくものだと思います。このようにして人財を育成していくことが大切なのではないでしょうか?

2011年12月13日火曜日

PFドラッカー365の金言より 122

<< 本文 >>・・・・・・昨日の内容の続きとしてお読みください。
トップと現業がそれぞれの機能を発揮するには、ある一つ原理が必要である。
それが、組織をいくつかの自立的な部局からなるものとして捉える分権制である。
全体が同一の使命、同一の運命、同一の意思決定のもとにある。
中枢のマネジメントは、いかなる事業であるべきかの決定、人材の配置、リーダーの選抜と訓練を担当する。
他方、現業はそれぞれが独自の事業に専念する。それぞれが自立的である。現業のマネジメントとして今日の問題に取り組む。

(コメント)
この内容は一般的に事業部制の勧めと理解され中堅・中小企業には無縁のものとされがちですが、私は「権限移譲」と「現業から切り離された経営者独自の仕事の必要性」を勧めている内容として理解しています。
事業部制として有名なのは昔の松下電器さんですが、京セラの稲盛さまが唱えられるアメーバー型組織も先生の言われる原理に該当しているのではないでしょうか?稲盛さまはご高齢にもかかわらず、経営危機に陥ったJALを同一の使命・運命・意思決定のもとで動く組織に戻され、現場を自立させることで、短期間に見事に再生させられました。
私は、この先生の言葉を読んで「会社組織が大きくなるにつれて、経営者には規模が小さかった頃には無かった独特の役割が発生してくる。だから、経営者は同一の使命感・価値観を基に現場を自立させ(独立させるのでは無い)、経営者自らの役割を全うするよう心掛けなければならない」と理解しています。何故なら、現場は「緊急性が高い」問題で満ち溢れていますから、経営者が本来果たすべき役割と責任である「重要だけども緊急性が高くない」問題の解決が先延ばしされたり、ナオザリにされたりするからです。
経営者には現場に無い独自の役割と責任がある訳ですから、権限移譲を進めて現場を出来る限り自立させ、緊急性にばかり振り回されて経営者独自の役割と責任がナオザリにされないように十分に注意することが必要です。

2011年12月12日月曜日

PFドラッカー365の金言より 121

<< 本文 >>
トップマネジメントは何を専管とするかを考えなければならない。
それは、全体、一体感、未来にかかわる意思決定である。
そのためには3つの分野をトップマネジメントの専管としなければならない。
①参入すべき技術、市場、製品、事業の決定、廃棄すべき事業の決定、組織としての価値観、信条、原則の決定
②資金配分の決定
③人材配置の決定
である。

(コメント)
組織の使命、価値観、方向づけ、投資、人事にかかわる決定はトップマネジメントの専管としなければなりません。
私の亡母は原爆で焼野原となった広島で「0」から商売をし始めました。その亡母がくどい様に言っていたのは、
①会社を成長させようと思うならば、仕事(特に作業)はドンドンと社員に任せていきなさい。
②しかし、『何を善、何を悪とする判断基準(価値観)』、『会社を将来はどんな会社にしたいのかという方向性』『人事権』だけは社員に任せてはいけません。
と教えてくれていたことを思い出します。無学の母でしたからPFドラッカー先生の本を読んだとは思えませんが、内容はほぼ先生の指摘される内容と一致しています。これって実践の教えなのかも知れません。

2011年12月11日日曜日

PFドラッカー365の金言より 120

<< 本文 >>
組織は道具である。組織は専門化することによって自らの目的遂行能力を高める。
組織は一つの目的に集中するが故に成果をあげる。
社会やコミュニティや家族では発生する問題を全て扱うが、近代組織においては複数の問題を扱うことは多様化である。多様化とは分散である。多様化は、組織として成果をあげる能力を破壊する。しかも、組織はそれぞれの専門をもつ専門家から成る。
従って、組織としての目的は際立って明確でなければならない。さもなければ混乱する。みなが共通の目的ではなく、それぞれの専門分野の論理に従って動くようになる。それぞれの成果を追及し、それぞれの価値観を貫こうとする。
かくして、明確で焦点の定まった共通の目的だけが、組織としての一体感を保ち、成果をあげさせる。

(コメント)
会社には色々な部署があり、色々な人がそれぞれの目的と価値観に従い仕事をしています。そして現代社会は、それぞれに専門知識が必要とされる程度に細分化されましたので、それぞれが独自に専門化する傾向が強くなっています。そのため、会社全体の目的と価値観が曖昧であれば会社組織は混乱し始め、それぞれが最善を尽くしたとしても力の分散が発生するだけで努力に見合う成果は得られなくなってしまいます。
その為、競争が激化した現代では「会社の目的と価値観」(戦略と企業理念・信条)を従業員に明確にして組織を統一し、力を集結させることが必要と言われています。
しかし、日常業務として企業の相談を承っていると、中堅・中小・零細企業と企業規模が小さくなるに従って目的と価値観が多様化したままの状態となり問題が発生しているようです。
企業は成長し続けることで維持・存続できる時代です。現状維持は退化を意味します。
その為、ワンランク上の事業規模を手本にして、「目的と価値観」を出来る限り明確にして会社の従業員が持つパワーを集結させなければ組織本来の役割を果たすことができない状態となってしまいます。
「1人+1人2人」では組織は道具として活用されていません。組織が道具として意味あるものとするためには「1人+1人3人」となることが必要です。そのためには「力を集結する」ことが必要です。これが昔から組織論で「組織にはテコの原理が必要」と言われる所以です。
しかし、中堅以下の企業でよく見かける状態が「1人+1人2人」の状態です。皆がバラバラな方向にベクトルを進めると、ベクトル同士が力を半減し合ってしまい、個々は最大努力をしているのに全体は大きく進まない状態になってしまいます。組織として一番警戒すべきは「力の分散」です。

2011年12月10日土曜日

PFドラッカー365の金言より 119

<< 本文 >>
平等とは、往々にして誤解されているような「結果の平等」ではない。逆に、それは必然的に結果の不平等を招く。正義のコンセプトは、報酬には、同等でない仕事ぶり反映した差のあるべきことを要求する。

(コメント)
企業・組織において必要とされるものは、「平等性」ではなく「公平性」です。「役割と責任」と「その結果」の大小の差に応じて、報酬には格差があることが必要です。
また、特に事業再生の際には、経営資源の使い方を偏ったものにして現状を打破できる対策を講じる必要があります。従来の価値基準に従って公平に経営資源を配分していると危機的状況を打破することはできません。
市場経済を前提とする企業社会で必要なのは「平等性」ではなく「公平性」です。この考え方をしなければ、単純な定型業務をする人も社長も同じ報酬になってしまいます。
しかし、ここで大切になるのは、格差のつけ方の妥当性です。会社の現状を踏まえて妥当な格差でなければ公平性が保たれなくなってしまいます。そのため、「役割と責任」の洗い直しと「給与体系」の再検討は最低でも5~6年毎にすることが必要になると思います。
ただし、報酬が多いからといって、その人を「認めたる」ことにはならない点に注意してください。人間は「認めてもらうこと」でやる気が出てきます。そして「認める」こととは必ずしも報酬だけではありません。「仕事の報酬は仕事」と言われるように、「ある仕事で認められたら、次に難しい仕事が与えられることで認められる仕組みづくりをする」ことが会社が成長し続けるためには必要なのではないでしょうか? そして、ここでもコミュニケーションが命となってきます。
日本には昔しから「若きものには権限を与え、年老いたものには禄(報酬)を与えよ」という格言があることには留意してください。特にこの格言では、「責任」ではなく「権限」となっている点に・・・・・。

2011年12月9日金曜日

PFドラッカー365の金言より 118

<< 本文 >>
社会的な事象の中で、真に意味あるものは定量化になじまない。
統計的に意味あるものとなったときには、もはや未来にかかわる事象ではない。現在にかかわる事象でさえない。過去にかかわる事象になっている。
数字で表すことはできないが10年以内にあなたの会社・組織に重要な影響を与えるであろう、まだ定量化の段階にいたっていない特異な事象を1つあげてください。それを機会として利用してください。

(コメント)
他人に説明するとき、主観的にならず客観的に説明するためには数字を用いること(定量化)が必要です。しかし、数字にできるということは、既に誰かが経験したことだから数字として測定できる訳です。その現象の要素・要因がまだよくわからない段階での定量化は難しいのです。
従って、「あなたの未来に影響を与えるが誰も経験したことが無いこと」は定性的に把握するしか方法はありません。ただし、代用数値で自分なりに測定し、その代用数値で他人に説明することは可能です(組織で人に協力してもらう為には、その人に説明する必要があるので代用数値を用います)。
そして、代用数値でしか他人に説明できない事象こそが「将来の差別化の源」となります。自分達の将来に大きな影響を及ぼしそうだが測定すべき数値が明確でない事象の中から重要なものを選び出すことがこれからは大切です。
顧問先からお話しをお聴きしていて、顧問先の人が定量的に上手く表現できないとき(定性的には理解されているとき)、そこに他社と差別化する要素・要因が潜んでいることが多いと思います。これをコーチングしながら上手くマトメることができると、その企業独自の素晴らしい戦略が出来上がります。
即ち、PFドラッカー先生が言われるように「未来を予想する」のではなく、その人の中で「既に起こっている未来」を探し出すことから経営戦略立案は始まります。

2011年12月8日木曜日

PFドラッカー365の金言より 117

<< 本文 >>
組織構造にはいくつかの守るべき原則がある。
①組織は透明でなければならない。
②最終的な決定権を持つ者が明確でなければならない。
③権限には責任が伴わなければならない。
④誰にとっても上司は一人でなければならない。

(コメント)
先生の教えを基にした私の原則は
①役割と責任の所在を明確にしたうえで
②協働意識を高揚し、
③出来る限りシンプルで
④フラットな組織
を創り上げることです。

2011年12月7日水曜日

PFドラッカー365の金言より 116

<< 本文 >>
上司と部下の相互理解は、下(上司から部下)へのコミュニケーションによって得られものではないし、下に向けて話すことによって得られるものでもない。それは上(部下から上司)へのコミュニケーションによって得られる。上司の耳を傾ける姿勢と、部下の声が伝わる仕組みを必要とする。
重要なのは目標である。
例えば、部下から上司への「マネジメント・レター」なるものを年2回書かせている組織がある。
そのマネジメント・レターには、
①部下が考える上司が目標とすべきもの
②自ら(=部下)が目標とすべきもの
③自らが期待されていると思う水準
④自らが目標を達成するために行うべきこと
⑤障害となっていること
⑥組織と上司が行っていることのうち、自らの助けになっていること
⑦組織と上司が行っていることのうち、自らの妨げになっていること
⑧自らの目標を達成するために、次の1年間に行うべきこと
が記入されている。この手紙が上司に受け入れられたとき、憲章となる。

(コメント)
コミュニケーションを通じた相互理解が重要なことであることに異議のある人はいないと考えます。
しかし、コミュニケーションを「通わせる」ためには、上司が傾聴することが特に大切です。得てして、上司が話しをして、部下が傾聴する傾向となるためです。
これを防ぐためには、上司は部下に「問いかけ」をして部下が自分の考えを話せるようにする工夫が必要となります。
上司の考えが部下に否定されても、それにより上司が屈辱された訳ではないのですから、部下の貴重な部下の意見として上司は傾聴し参考にすれば良いのですが、中々それをするのは難しいことがあります。
根回し、飲ミニケーション等々色々な手段による工夫が必要です。そして、相互理解はメールでは難しく、やはり顔と顔を向い合せて実際に対話することが必要です。上記本文にあるマネジメント・レターにしても、書面を上司が受け取り読むだけでは効果が少なく、やはりその書面を基に面談することが大切です。
人事考課制度が上手く機能しない会社は、このあたりに原因があるのではないでしょうか? 年に1度位はマネジメント・レターと面談を実施し、部下にとって現状の上司がどのような存在であるのかを理解されてはいかがでしょうか? これによって、上司が「良かれ」と思ってやっていることで部下にとっては「余計なお節介」となっているムダを取り除くことが大切だと思います。

2011年12月6日火曜日

PFドラッカー365の金言より 115

<< 本文 >>
目標が意図の表明に過ぎないのであれば価値は無い。目標は仕事を具体化しなければならない。仕事には具体的な成果、期限、担当がある。しかし、目標を拘束衣にしてはならない。
目標は絶対的なものではなく、方向を示すものである。命令されるものではなく、自ら設定するものである。未来を決めるものではなく、未来をつくるために資源とエネルギーを動員するためのものである。

(コメント)
この先生の言葉を聴いて「売上(利益)目標数値だけを決めても、それは目標を決めたことにはならない」ことが理解できると思います。
先生は、これを具体的に「航空機の時刻表や飛行計画と同じである」と言われています。即ち、定時に予定地に到着する飛行計画だけが目標ではないということです。目標到達までの過程における必要な仕事を具体化することが必要です。飛行中に飲み物や食事を提供する時刻を決めなければなりません。地上では到着予定時刻に合わせて、整備士・給油係が待機し、管制官は滑走路をあけておくことが必要です。パイロットは乱気流を避けて飛ぶこと、偏西風を上手く利用して燃料を節約することが必要です。しかし、飛行コースの計画を組んで飛行しますが、気象状況が予想外に変化すると、コースを変えたり、着陸空港を変更することが必要となります。
だから目標は方向性を示すものであり、役割分担を定めた具体的な計画が必要であり、しかも自らを拘束してしまうものであってはならないと先生は言われています。
自社の目標はそうなっていますか?
私が色々な会社の目標を拝見させて頂いて感じることは、
①具体的な計画・役割分担にまで落とし込まれていない(酷いときには数値目標しか決めてない)。
②実行の途中で状況に合わせて変更することを躊躇している場合が多い。
ということです。
ある本で読んだことがあるのですが、「中小企業や中堅企業で目標が意味のないものとなっている一番の原因は、その目標が具体的な計画(役割分担と期限)にまで落とし込まれていないからだ」そうです。
しかし、一番大切なことは、目標を基にしたどんなに素晴らしい計画も「実行されなければ意図の表明」に終わるということです。

2011年12月5日月曜日

PFドラッカー365の金言より 114

<< 本文 >>
目標と自己管理によるマネジメントの利点は、自らの仕事を会社に貢献できるよう自ら管理することにある。それは、「支配」を「自己管理」に代える。

(コメント)
目標管理制度を唱えられたのはPFドラッカー先生ですが、それが日本では誤って使われている場合が多いようです。一番の誤りは「目標=ノルマ」の考え方です。この「目標=ノルマ」考えは、目標とは「上から与えられたもの」という考え方を基にしています。これでは目標が自己管理するための手段として使われることはありません。
目標管理制度は、自立した従業員さんが前提となっています。自立できていない保育園に通う子供に自己管理をさせようとしても無理なように、まず従業員さん達を社会人として自立させる教育訓練をすることが必要です。社会人として自立できるまでは、指示・命令によって社会的規範「社会人としての会社流考え方」を教えることが大切です。一昔前までは、家庭と学校で社会人として自立する事前訓練をある程度は行っていましたが、偏差値主義が普及し共同体意識よりも個人の自由が謳歌される時代となった現在では、この訓練を家庭でも学校でも受けていない社会人(個人の権利を主張する訓練は受けている)が増えています。
そこで、会社は目標管理制度を適用する前に、「社会人として自立」しているか否かをテストし、そうでなければ教育・訓練することが必要となっています。
昔は、聡い子供の褒め言葉として「末は博士か大臣か」等という言葉がありましたが、博士は世間知らずで、大臣は権力闘争に明け暮れ一般人の生活実態を知らないことが多い時代となりました。「聡い」ということと「智慧」があるということは違います。会社が上手くいくためには「智慧」のある自立した従業員さんが大切であることは言うまでもないことだと思います。そう言った従業員さんを育てた上で目標管理制度を導入しなければ、この制度はノルマと捉えられてしまい、うまく機能しません。
また、目標というと得てして売上目標などの定量的目標を想定したり、客観的評価ができるように定量化しようとしますが、場合によっては話し合いを重んじて定性的目標でも良いと考えます(その為には会社組織の価値観を明確化することで公平性を確保することが大切)。
目標とは自己管理によるマネジメントの手段にすぎません。うまく行っている会社で目標のない会社は沢山あります。マネジャーが方向性を上手くリードしながら、自立した従業員さん達が自己管理して会社に貢献していれば会社は上手くいくのです。
ここで重要なことは「相互のコミュニケーション」ではないでしょうか? コミュニケーションが上手く取れていない会社が目標管理制度を導入しても良くなる筈がないことは言うまでもないことだと思います。

2011年12月4日日曜日

PFドラッカー365の金言より 113

<< 本文 >>
マネジメントの成果は5つの基本的な仕事で決まる。
①目標を設定する。目標領域を決め、それぞれについての到達地点を決める。そのために行うべきことを決める。連携する人達とのコミュニケーションによって、それらの目標を意味あるものにする。
②組織する活動、決定、関係を分析し、仕事を分類する。分類した仕事を活動に分割し、作業に分割する。それらの活動と作業を組織構造にまとめる。マネジメントを行うべき者を選ぶ。
③チームをつくる動機づけを行い、コミュニケーションを図る。
④評価する評価するための尺度を定める。
自らを含めて人材を育成する。

(コメント)
私は特定社会保険労務士という看板を掲げて、
①目標設定に対する助言をする。
②従業員にマイタスク票を記入してもらい、会社全体の仕事を分析して、役割・責任分担表を作成する(組織創り)。
③やるべき仕事を行うチームづくりのアドバイスをする。
④人事考課表や賃金・賞与・退職金制度を構築するための助言・指導を行う。
⑤人材育成プログラムを組むための助言・指導を行う。
という業務を日々顧問先に行っています。
これらは重要な仕事ですが、緊急性があるものではありません。従って、ついつい先延ばしにされてしまいます(「取り敢えず」で終わらせ問題解決を先延ばししている)。しかし、未解決のままにしておくと、いずれは爆発してしまいます。「緊急性はあるが重要では無い仕事」に振り回され、ここでいう「重要だが緊急性はない仕事」が未処理のままであったということが無いように心がけるべきと思います。
上手なタクシー・ドライバーは乗客が車が曲がったことさえ気づかないようにハンドルを切るといいます。下手なドライバーは急ハンドルと急ブレーキで曲がります。
ある日突然に会社の大改革を行わざるを得ない状況まで放置しておくのではなく、日々の改善を続けることで、気付いたら会社が大きく変わっていたという状況をもたらすのが名マネジャーではないでしょうか? その為には、日々のコミュニケーションが欠かせないものとなります。

2011年12月3日土曜日

PFドラッカー365の金言より 112

<< 本文 >>
現在行っていることの廃棄は体系的・計画的に行わなければならない。さもなければ、先送りされてしまう。廃棄に人気のある筈はない。
月に一度、既に行っていることの廃棄や、新しいことの開始についての決定を組織全体に周知させることが必要である。

(コメント)
痛感します。
いま国交省から建設業法に関する指導をうけ是正しようとしている会社のお手伝いをしています。この会社では最近、取引上の不正疑惑も発生しました。国交省の指導に従い、かつ不正疑惑の再発防止のためには、結論としては従来の仕事のやり方(役割分担)を根本から新しくせざるを得ないのです。
国交省の指導に従うだけであれば、法律が指定する書類作成事務を増やせば良いのですが、事務量が増えることに違いは有りません。従って、新たに書類を増やすことで不要になる従来の書類は無いのかを確認し廃止することが必要となります。
しかし、取引上の不正疑惑を防止するためには、書類を増やすだけでは不十分です。会社内の役割と責任の分担を変え仕事のやり方を変えることが必要となります。
当初は国交省の指導に従うために書類を増やすことだけに専念していましたが、結果的に会社内部の役割と責任の分担を体系的に洗い直し計画的に是正することが必要となりました。
このように考えると、今回の国交省の指導と取引上の不正疑惑事件とは、この会社にとって会社組織全体を体系的・計画的に洗い直す絶好のチャンスとなったようです。
これは推測ですが、取引上の不正疑惑事件が発生しなかったならば、国交省の指導に従い新たな書類が増えるだけに終わったのではないかと思います。
新しいものを付け加える前に、必ず何を廃棄(廃止)するかを決める習慣をもつことが会社組織には必要なことです。そうしなければ無駄な作業が増え組織が肥満化してしまいます。廃棄すべきものを考える仕事は、時間の無駄に思え人気のある仕事ではないため、ついつい蔑ろにされてしまいます。その結果、気づいたときには無駄な作業ばかりが社内に残っていたという状態になりかねません。
これも過去の経験ですが、経理処理をPCの会計ソフトでやっているのに振替伝票と各種帳簿とを別途手書きしている会社がありました。思わず「何でそんな二度手間をしとるン?」と尋ねてしまいましたが、経理事務員さんは「上司が振替伝票も各種帳票も廃止して良いとは言わないンです」と言われていました。この会社が、これらの帳票を直ちに廃止したことは言うまでもありません。上司は「指示しなくても廃止するダロウ」と考え、部下は「上司が廃止の指示をしないから止めてはいけないのダロウ」と考えていた訳です。PCが発達・普及した現在では、事務・帳票や社内の役割分担を体系的・計画的に洗い直すことが必要です。
こうすることが組織の無駄取りとなりコスト削減に結びつく訳です。

2011年12月2日金曜日

PFドラッカー365の金言より 111

<< 本文 >>
未来は望めば起こる訳ではない。未来を築くには、いま決定を行わなければならない。
今日までのトレンドを単純に引き延ばしたり、今日の製品・サービス・市場・技術が明日のそれであると仮定したりすることで、資源とエネルギーを昨日の防衛に使ってはならない。
未来を築くためにリスクを負い、行動しなければならない。資源を割り当てなければならない。特に人財を割り当てなければならない。

(コメント)
この後の本文は多少難解なため割愛しますが、「日々の忙しさにカマケて過去の延長線上で仕事をしてはいけない」と先生は言われているようです。
「未来」は「今日」の連続のうえにあります。従って、「今日」を大事にすると伴に、「未来」を見据えた上での「今日」であることが必要です。
未来を考えずに今日の事だけに専念すると、その場しのぎ、あてずっぽ、間違いとなります。
今日を蔑ろにして未来だけを考えていると、どんなに精巧に考えられた未来であっても無駄な作業に終わってしまいます。
市場・顧客・技術・サービス・製品は常に変化していくものですから、過去延長線上で考えて安定を図ろうとすると間違いの基となってしまいます。(中国の道教の教えにも「無常」というものがあります) 変化し続ける環境の中で、どの事業を切り捨てるか、あるいは力を入れるかを常に考えることが必要です。そして、その為に経営資源(特に人財)をどのように割り振りするかを決定しなければなりません。
昨今のように環境が激変する状況にあっては「朝令暮改」もやむを得ないのではないでしょうか? 否、寧ろ朝令暮改的にモノゴトを前進させていかなければ、それは停滞を意味しているのではないかとも思います。

2011年12月1日木曜日

PFドラッカー365の金言より 110

広島市の平和大通りで毎年行われているイルミネーションの1つです。大きくて、しかも綺麗ですよ!!

<< 本文 >>
計画を策定する場合において重要なことは、明日なにを行うかを考えることではない。明日のために、今日なにを行うかを考えることである。
重要なことは、未来において何が起こるかではない。いかなる未来を今日の思考と行動に折り込むか、どこまで先を見るか、それらのことをいかに今日の意思決定に反映させるかである。

(コメント)
「明日と未来のために今日なにをすべきか」を考え、「今日の行動にそれを折り込むこと」が計画を策定するということであると先生は言われています。
チョッと違うかも知れませんが、正反対の考え方として「明日できることは今日するナ」という考え方もあります。しかし、この考えでは流れに流されるだけで大成できないことは明らかです。
「皆のために綺麗な教会を造るために、シンドイけれども今日はレンガ積みの作業をする」というように、目的を明確にして、その上で今日なにをすべきかという計画を建てることが大切です。
計画は「明日行うことを決めるもの」ではなく、「目的達成のために、明日以降のことを考えて今日なにをすべきか」を決めるものです。当然にその結果として、明日建てる明日からの計画は、今日の結果次第によって変更・修正されていきます。
私は若い頃に富士銀行を円満退職して親の会社に戻りました。その退職の際に上司であった融資課長が「村上くん、大きな組織は力があるから力で押して目的を達成させることが出来るが、中小企業はそうはいかないヨ!! 中小企業のオヤジさん達は、アアでもない、コウでもないと紆余屈折・試行錯誤しながら進んで行き、最後には目的を達成できるように努力しているんだヨ!!」と送る言葉にして下さったことを今でも忘れません。