2011年12月15日木曜日

PFドラッカー365の金言より 124

<< 本文 >>・・・・・3日前からの各日のブログの続きです。
分権制の成立には厳格な条件がある。
①全体に対して利益を貢献しなければならないから、利益を把握できる単位において初めて適用することができる。
②トップマネジメントの仕事が明確に規定されて、初めて有効に機能する。トップマネジメントが現業の仕事に煩わされることなく、明日のための方向づけ、戦略、目標、意思決定に専念できるようにする。
③自立的な事業である現業部門に対し「責任」を要求する。最大限の「自立性」を与えるが故に最大限の「責任」を要求する。
④自立性には信頼性が不可欠である。トップマネジメントと現業のマネジメントは、「期待する成果」、「仕事の水準」、「将来性」について共通の理解を必要とする。各部局に与えられる「自立性」とは「独立性」ではない。「自立性」とは全体の成果のための手段である。
各部局は全体の利益に貢献するのではなく、全体に対して利益を貢献しなければならない。

(コメント)
これを読む程に、稲盛さまの唱えるアメーバー型組織を連想してしまいます。
特に「全体の利益に貢献するのではなく、全体に対して利益を貢献しなければならない」という微妙な表現に注意すべきです。「全体の利益に貢献する」という漠然としたものだと、貢献している「つもり」に陥り易いのです。そうではなく、具体的な利益を出して貢献することが必要です。その為、具体的な利益を把握できる最小限の単位が分権制の最小限の単位となります。
また、分権制(事業部制など)を導入すると、各部局(=各事業部)のやるべき仕事に重きが置かれた検討がなされます。しかし、先生は各部局ではなく寧ろトップの仕事を明確にすることが大切と説かれています。
そして更に、「自立性」と「独立性」の違いにも釘を刺されています。分権制を導入すると、得てして「自立」と「独立」とを勘違いして勝手気ままにやり出してしまう部局があるからです。あくまでも全体の中の一部局ですから、全体としての「方向づけ」、「戦略」、「目標」、「意思決定」に従わなければならない(部局の意思に反することもある)ということです。各部局の最適化は、必ずしも全体の最適化をもたらさないということです。
書籍「ボトルネック」(書籍名は定かではありません)では部分最適が全体最適とはならないことが指摘されています。生産工程において、前工程に性能の高い機械があり、後工程の機械の性能が劣る場合において、もし前工程の機械が最大限の能力を発揮して製造してしまうと、後工程では処理能力を超えてしまうために、前工程と後工程の間に仕掛品が発生してしまいます。そのため前工程の機械は後工程の機械の性能を考慮した生産をしなければ、全社として資金を在庫で寝かせるというムダが発生してしまうという事例です。
各部局が自由気ままに効率性(efficiency)を追及しても、それは必ずしも全体としての有効性(effectiveness)をもたらさないというご指摘だと思います。
ただし、分権制が「人財育成」の最も有効な手段であることに変わりはありません。
うちの規模では分権性制は無理だとお考えの方は「分権性」の箇所を「権限移譲」と置き換えてください。人財を育成のためには権限移譲が必要です。

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