2011年11月1日火曜日

PFドラッカー365の金言より 80

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情報処理能力の増大とマネジメント手法の発展に伴い、データの設計能力が急速に向上しつつある。
しかし、そのことはマネジメントの向上にいかなる意味をもつか。データの設計能力の向上をマネジメントの向上に結びつけるには何が必要か。というのは、データはあくまでも目的に対する手段であり、目的はマネジメントそのものにあるからである。
データは、一人ことりの人間の動機づけにつながらなければならない。データによって得られる情報が行動につながるには、その情報が知覚に翻訳されなければならない。
さらに、人間組織においては、もう一つの複雑さ、つまり不確実性なるものが存在する。社会現象に対する人間の反応は、予測が不可能である。
収益悪化のデータは必ずしも値上げだけを意味しない。売上減少のデータは必ずしも値下げだけを意味しない。そもそもデータが示している事象に意味がないのかもしれない。たとえ意味があったとしても、その意味が理解できるとは限らない。

(コメント)
PFドラッカー先生は、パソコンやインターネットが普及して情報が氾濫する社会の到来を予見されていたようです。氾濫する情報やデータの中から、自分がその意味を正しく理解できて、しかも対策を考えることが゛てきるデータを集めなければ、データばかりを集めても意味がありません。
ある会社で女性従業員さんが一生懸命に毎日、新聞の切り抜きをしてファイルに集めていました。そこで私は「誰がこのファイルを見るのですか? そして、そこにある資料やデータをどのようにつかうのですか?」とお訊きしたところ、「誰も見ませんが、社長の指示で切り抜き作業を昔からやっています。作業が終わったら、資料棚に半年間は保管した後に焼却しています」と言われましたので、「その作業は直ちに廃止してください」とお伝えしました。
情報が氾濫する現代においては、目的を明確にして、不要な情報・データは排除する(必要なデータを集めるのではない)ことが大切です。この場合、不要なデータとは、意味がないだけではなく、自分が意味を理解できないと言う場合も含めた方が得策のようです。
また本文後段にあるように、データを正しく理解できなければ、そのデータを集める意味が無くなってしまいます。売上減少したら必ず値引きをしなければならないという訳ではありません。他にも対策はあります。収益が減少したときにも、値上げだけではなく、経費節減ほか色々な対策が考えられます。値上げすると寧ろ売上が減少して収益が更に悪くなる場合も多いようです。
より適切にマネジメントすることが目的ですから、その目的に沿ってデータや資料を集めることが重要なのであり、当然のこととして自分が理解できるデータでなければどんなに権威あるデータであろうとも意味はありません。
私の仕事上で、給与の世間相場を聞かれることがあります。社長さんが持たれている資料やデータを拝見すると、全国平均値のものであることが多いのです。ここで注意しなければならないのは、全国平均値は東京の異常に高い賃金が含まれた上での平均値ですから、地方の実態とは乖離してしまっています。社長が必要とするのは地域の商工会議所がまとめた、その地域の給与相場である場合が多いのです(社長の使用目的次第にもよりますが・・・)
また、個別労働紛争や裁判で、相手方が膨大な反論資料を提出してくることが、よくあります。しかし、それらの資料をよく読んで看ると、反論とはならずに寧ろ自らの非を認めるようなデータや資料が含まれていることが多々あります。自分の目的に沿わない資料・データを提出すると、紛争解決のときには自ら墓穴を掘ってしまいます。
ITが発達して便利な時代となった分だけ、自分の目的に沿ったデータや資料を集めるようにすることが必要となります。特に、部下にデータや資料を集めることを命令する場合には注意が必要です。賢い部下は、その指示されたデータや資料が会社の判断材料として使われることを知りますから、そのデータや資料に関する事項を重視するようになりますから・・・・・。

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