2011年11月4日金曜日

PFドラッカー365の金言より 83

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前年度の利益よりも、人財を惹きつけて留めることができることは重要なことである。人財を惹きつけ留めることができなければ、死に向かうよりほかないことは誰でも知っている。
きわめて重要でありながら定量化(データ化)できないものがあることは誰でも知っている。しかし、それらは定量化することはもとより、定義することさえ困難である。
とは言え、把握不能ということではない。いたって明白である。データ化できないというだけに過ぎない。
データ化できないものを考えなければならない。データ化できないものについての配慮を忘れたデータ化は、組織を誤った方向へ導く。ところが、データ化に成功するほど、それらデータ化したものに囚われる。従って、優れたデータを手にしているように見えるほど、マネジメントが行われていない恐れがある。
重要な情報のうち、データ化できるものとできないもののリストをつくってみることである。そして、それぞれについて定量的分析とともに定性的分析を行ってください。

(コメント)
定量化できないものには人財を惹きつけるということの他にも色々なものがあります。会社の世評、コンプライアンス、企業理念・社是・社訓の理解度と浸透度等々、挙げ出せばキリがありません。
しかし、データ化できないからといって放置していると変化に気付くのが遅れたり、主観によってだけ判断したりしてしまいます。そこで、それらをデータ化するために代用数値を用いることは必要となります。しかし、所詮は代用数値ですから、必ずしも実態を反映したものとはなり得ないことがあります。
そして、この点を判断するのがマネジメントの役割ではないでしょうか?代用数値で普段は実態変化を把握しながら、定期的に代用数値の妥当性を検証してみることが必要です。
色々な企業の問題解決のお手伝いをしていると
第一段階 データ化された資料さえ見ていなかった場合(中小・零細企業に多い)
第二段階 データ化された資料は確認していたが、それを鵜呑みにし、実態の検証を怠っていた場合(中堅・大企業に多い)
が多いことに気付きます。組織化(分業が進化する)されるほど、主観を排除して客観性を確保するためにデータを盲信してしまう傾向が見受けられます。
組織の問題や課題とは、自動販売機のように一定の方程式があり自動的に結論が出されるものではなく、複数の要素・要因が複雑に絡み合って発生しています。マネジメントの役割・責任とは絡み合った要素・要因をどのように判断することでBETTERな(BESTではないかも知れないが)解決策を見つけ出すことにありますから、集められたデータが実態を反映したデータなのか検証してみることが必要と思います。
この点も大学時代のゼミナールの恩師(加藤寛教授)は力説されていました。加藤先生のご専門は経済政策ですので、官僚が集める提出するデータに多分に影響を受けます。官僚の特性として前例主義があり、いままでのやり方を世襲してしまいます。しかし、いままで提出されていたデータでは実態が正しく把握できない状態となったとき、提出されたデータ以外の事実を把握するよう努力しなければ誤った経済政策を実行してしまいます。従って、データを過信して現状把握せずに、現地・現場に行って、データ化されていない実態を把握することが必要となります。
今年3月11日に発生した東北大震災の影響に関しても同様のことが言えるのではないでしょうか?
私の叔母は釜石市に住んでいますが、通信不能となったことは別問題として、通信可能となった状態に復旧してからも、テレビ・新聞等のマスコミで得られるビジュアル・データと、叔母から時折ある電話連絡とでは、現地の生活状況とは一致しない点が沢山ありました。また電力不足の問題にしても然りと思います。そして、このとき政府のマネジメント力不足が指摘されたことは周知の事実と思います。
このときに必要とされていたことは、現地・現物主義であり、そこから①自らが得ることができた非データ的な情報と、②報告される非データ的な情報と、そしてそれらを裏付けるための③データ化され集められた情報を総合的に判断してよりBETTERな対策を講じることだと私は思います。
「乱気流の時代」「激変の時代」と言われ続けて久しいものがありますが、企業経営にしても同様のことが言えるのではないでしょうか?
そして更に、これらは全て人財によってなされることですから、PFドラッカー先生は「人財を惹きつけること」の重要性を説かれていると考えます。

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