2011年11月3日木曜日

PFドラッカー365の金言より 82

(コメント)
『成果は企業の外部にある。企業の内部にあるものはコストセンターに過ぎない』という先生の言葉は大変に有名な言葉です。今日はその節です。

(本文)
あらゆる組織が社会、経済、人間に貢献するために存在する。当然、成果は組織の外部にある。それは社会、経済、顧客に対する成果として表れる。企業のあげる利益にしても、それをもたらすのは顧客である。組織の内部が生み出すものはコストだけである。内部にあるのはコスト・センターに過ぎない。
管理的な仕事すなわち組織の内部の現象、事象、データについては惜しむことなく分析が行われてきたが、外部の世界への起業家的な活動については、それらの分析に比肩するものがほとんどない。効率すなわち努力を記録し、定量的に把握することは容易である。しかし、売れない製品を設計していたのでは、いかに効率的な設計部門といえども価値はない。
従って、今日の組織が必要としているものは外部に向けた感覚器官である。

(コメント)
「企業経営には、管理力と創造力とのバランスが大事である」と専門学校の教科書で習いました。
この場合の管理とは社内に対するマネジメント力であり、創造力とは顧客のニーズを探り出す力を意味します。
PFドラッカー先生は、この両者を比較して、マネジメントに関する教科書や先生やデータや分析手法は沢山用意されているからそれらから学び実践すれば足りるから、今日では顧客ニーズを探り出す力にもっと力を入れるべきだと言われていると考えます。
社長自らが顧客と接し、顧客から聞くのではなく、顧客に訊くことにより顧客ニーズを創造し探り出すことが必要な時代となっているようです。これは社長の五感をもってして初めてできることですから、社員まかせではできません。社員ができるのは補うことに過ぎず、社長や取締役の感覚が顧客に直接接していなければ、社員からの報告の可否の判断を間違えることになります。
「社長の現場主義」という言葉も誤解している人が多いように見受けられます。社長が社内の現場を回り社員とコミュニケーションすることは当然に必要なことですが、それだけではマネジメントはできても、顧客のニーズを創造することはできません。社長が忙しい為に会社と自宅と飲み屋さんの往復ばかりして買い物も自分でしたことがないようでは、顧客ニーズを「創造」ではなく「空想」してしまいます。生産財メーカーの社長といえども最終消費者の動向により自社製品の将来は大きく変わってしまいますから、お休みの日にはゴルフに行くのではなく意識してショッピングセンターや商店街で買い物をしてみる、あるいは散歩することが必要と思います。
因みに、私は社会保険労務士で労務管理に関する仕事をしていますが、労務管理も間接的に消費者の動向に影響をうけますから、時間がとれる日曜日などには、自宅から片道約1.5キロの大型電気店まで商店街を歩いて行くように心がけ、また仕事の合間に空き時間ができたならばショッピングセンターに立ち寄り消費動向を把握するようにして、私の感覚が鈍らないように努力しています。
因みに、昨日は忙しくて昼飯を食べる時間が無かったのですが、通りすがりに「牛丼のすき屋」があったので入りました。いま「強盗で有名な牛丼のすき屋さん」です。久しぶりの牛丼でしたが、入店して直ぐに強盗に狙われる理由がわかりました。経費節約のため人件費を極端に圧縮しているため、店員数が足らないのです。客数はそんなに多くなかったのですが、店員さんは店内を走り回っており、中々注文を訊いてれませんし、レジは全く無防備の状態となっていました。しかし、経費節減をしているせいか「大盛り牛丼」は昔しよりもボリュームがあったのでとても得をした気分にはなりました。行き過ぎた虚(必要最低限の人数さえ確保されていないこと)が強盗に狙われる理由となっているようです。これでは何のための人件費圧縮(経費節約)かがわからなくなってしまいます。
ショッピングセンターに立ち寄ったり、商店街を散歩したりしていると、思わぬ商品を発見したり、消費者の思わぬ行動に出会うことがシバシバありますから良い勉強になります。また広島市内電車に月に1~2回は乗ることがあり、最近感じることは、東京ほどではないにしても携帯電話よりもスマートフォンを社内で使っている人が増えてきたことと、若い人だけでなく年配者も使い始めてきたことに気付きます。このことを電話通信業を営む会社の取締役に「ここに貴社のビジネスチャンスが潜んでいる」とお伝えしても、この人達は通勤時間帯の電車やバスにのることが無いので理解できないのです。

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