2011年11月7日月曜日

PFドラッカー365の金言より 86

(コメント)
今日の内容もPFドラッカー先生の有名なお話しです。

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三人の石切工の話がある。
何をしているのかと聞かれて、それぞれが「暮らしを立てている」「石切りの仕事をしている」「教会を建てている」と答えた。第三の男こそ、真のマネージャーである。
第一の男は、仕事で何を得ようとしているかを知っており、事実それを心得ている。一日の報酬に対し一日の仕事をする。だがマネージャーではない。将来もマネージャーにはならない。
問題は第二の男である。熟練した専門能力は不可欠である。確かに組織は、最高の技能を要求しなければ二流の存在になる。しかしスペシャリストは、単に石を磨き脚柱を集めているにすぎなくとも、重大なことをしていると錯覚しがちである。専門能力の重要性は強調しなければならない。だが、それは全体のニーズ(目的)との関連においてでなければならない。
「教会を建てている」といえることが重要である。
全員が自らの貢献を知ることのできる体制を構築することが大切である。

(コメント)
私はこの話しを「教会を建てるためのレンガ積み」の話として聞きました。しかし、レンガが石切りかはどうでも良いことです。
第一の男は生活のために働いていると言っていますが、先生はこれを論外と捉えていらっしゃいます。生活の糧を得るために仕事をするのは、仕事ではなく作業をするアルバイト君たちで充分でする。
先生が一番問題と捉えていらっしゃるのは第二の男です。仕事が細分化され専門化された結果、最近はスペシャリストが増えています。私も社会保険労務士という人事労務関係の専門職の仕事で生業を得ていますが、色々な会社をお手伝いするときにその会社の社長ほか経営陣のモノゴトの考え方と目的、経営方針・経営理念・社是・社訓も参考にしながらアドバイスするように心がけています。人事労務の問題に限らず、実社会や会社の諸問題解決にはこれが絶対的に正しい回答というものは無い(学校のテストのような正解は無い)訳であり、他社で正しいアドバイスだったものがその会社では間違ったアドバイスとなることもシバシバあります。例えば、「うつ病」に罹患して欠勤している従業員が発生した場合でも、ある会社では休職期間に入ることを勧めることが正しく、別の会社では退職勧奨することが正しい場合もあります。
これは、人事労務の問題に限らず会社の仕事に関しても言えることです。
社内の各担当者(社内における専門家)の仕事は会社全体への貢献において評価されるべきものですから、この各担当者が「自らどのように会社全体に貢献しているのか」、「会社全体の目的(目標てはない)」を語ることができることが必要となります。
私が給与体系の再構築を依頼されたときに、手間暇がかかるのですが、ワザと役割分担表(マイタスク表)を作成するのはこの為です。これがないと正しい人事効果表は出来上がりません。そして、出来上がったマイタスク表を全社一覧の表にして全社員(パート・アルバイトさんも含む)に周知徹底することで、PFドラッカー先生の言われる「会社目的の共有」と「自らの役割分担明確化」を図ることを目的とします。
専門家は得てして自らの専門分野に埋没し専門バカとなる傾向がありますから、第一の男以上に全体目的(目標ではない)を自覚させたうえで、自立した職務遂行をするように指導することが必要となります。
そして更に、色々な会社にお伺いして私が一番驚愕することは、全体目的を知らない人が管理者となっていることが多いことです。管理職だから自らの担当分野のことは熟知されている場合は多い(?)のですが、意外と会社全体の目的、或いは関連部門の目標等を知ろうとされていない管理職が多いことには驚かされます。最近になって企業理念の大切さを説かれることが多くなりましたが、そもそもの原因はこのあたりにあるような気がします。管理職にするときの選択基準を変更した方が良い会社が多いのは事実だろうと考えます。

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