2012年4月1日日曜日

PFドラッカー365の金言より 231

<<  本文>>  「明日を支配するもの」「知識労働者の生産性」
仕事の定義が、もたらすべき成果を明らかにする。しかし、何を成果とすべきかの答えは複数ありうる。デパートの場合、買い物一回当たりの売上げかもしれないし、リピート率も正しい。
知識労働者の生産性向上には、あげるべき成果を明らかにすることが必要である。見方は分かれて当然である。リスクもともなう。しかも、知識労働者自身の目的と組織の目的が一致しなければならない。
買い物一回あたりの売上げとリピート率のいずれを成果とするかは、それぞれのデパートのマネジメントが決定することである。知識組織においては、この種の決定が変わることのない重要な問題となる。

(コメント)
「何のための仕事なのか?」「この仕事をすることで会社はどんな目的を達成しようとしているのか?」を考え、もたらすべき成果・結果(=目的)を明らかにすることが非常に大切な時代となっています。そうしなければ、やらなくても良い仕事、つくらなくても良い資料など無駄なことをやってしまうからです。
その上で、仕事を遂行する途中で達成度合いを測定するために「目標となる指標」と「期間」を定めなければなりません。これがなければ、やっていることが目的に沿った成果をあげつつあるのか、それとも目的とは違うことをやっているのかさえも判断できません。目標となる指標がなければ、時間だけが無駄に経過し、成果があがるか否かは全てが終わらなければ分からないという博打的な状況になってしまいます。
肉体的労働であれば成果は目で見ることができますが、知識的労働は成果を目で見ることは難しい場合が多い(特に途中経過)ので、先生が言われるように「目的を明確にして」「期間を定め」「達成度合いを測定する指標(目標)」を事前に決めておくことが必要です。何故なら、現代社会は、また特に知識労働は一人でやるものではなく、他の人に利用されて初めて成果となるものですから、他の人にもわかる状態にしなければならないからです。
最近の実話として、ある会社の営業開発部の部長を評価する必要がありました。既に過去3年間にわたり大きな目標を立ててチャレンジすると発表していましたが、いつまで経っても成果があがりません。そこで会社としては、そのプロセスを明らかにするように求めましたが本人は話しを濁して明らかにしようとしません。その為、やむなく実績数字で評価することにしました。その結果、ハッキリと判ったことは、その部長の部門は過去3年間の自部門の人件費さえ稼ぎ出しておらず、平均的営業社員の半分程度の利益しかあげていないことが分かりました。そこで、会社としては部長に今後の明確な計画を明らかにするように要求しましたが、部長は「頑張ります」「是非、続けさせてくださいる」「お願いします」というだけで一向に計画さえもあきらかにしようとしません。その結果、会社としてはその部長を降格せざるを得ないと言う結論に達しました。
この部長はモバイル通信分野、デジタルサイネージ、LEDなど時代の最先端の市場に進出すことを目論んでいたのです。これらの市場は拡大していますから、やり方によっては大きな成果を達成することができます。しかし、その分、競争も激しい市場ですから、中途半端なやり方では敗退してしまうのです。そこで会社としては、成果が上がらない現状を踏まえて、この部長を手助けしようとしたのですが、部長が計画も過去のプロセスも秘密にしてしまうので、会社としてはこのような部長では手助けすることができないと判断した次第です。

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