2012年4月6日金曜日

PFドラッカー365の金言より 236

<< 本文 >> 「すでに起こった未来」
短期と長期の両立こそ、マネジメントにとって決定的な試金石がある。イノベーションと生産性が道しるべである。イノベーションと生産性を犠牲にした利益は、利益ではない。資本を食潰しているに過ぎない。逆にイノベーションに成功して生産性を向上させるならば、必ず利益を上げることができる。今日だけでなく、明日も利益をあげることができる。
知識は仕事に適用されて富の源泉となる。仕事に適用されない知識を有していても、単なる情報通(モノ知り)に過ぎない。そこに企業の機能がある。

(コメント)
私は事業活性化のお手伝いをするときに必ず「1人1時間当たりの生産性」を指数として毎月チェックするようにお勧めしています。業績不振に陥っている企業ですから、従来通りのことを継続するだけでは決して事業活性化を実現することができません。しかし、何を行えば事業活性化を果たすことができるのかは中々判断し難いものです。そこで、最初に十分なコーチングを行ったうえで何か新しいことを始めてもらいます。最初の間は「1人1時間当たりの生産性」は無視して、生産性(利益額)の変化だけを注視しています。売上高は生産性を示す指標ではありません。そして、新しいことの中からより効果の高いものを取捨選択して、それに集中するようにして貰います。こうして危機的状況が乗り切れ体力的に少し余力ができる兆しが見えたら、直ちに将来に向かっての投資をおこなって頂きます。そして、この一連の事業活性化の過程の中で、特に重視するのが人材の育成です。「将来に向かっての投資」というと、何かの設備投資を連想する人も多いと思いますが、私は人材を人財に育てる投資こそが本当の意味で将来に向かっての投資であると考えています。
いにしえの言葉に「一人の人によって国は興り、一人の人によって国は亡びる」とあります。
また、どんなに優秀な設備や機械、あるいは豊富な資金があったとしても、それを使いこなせる人財がいなければ、企業は存続・維持・発展のために必要な利益を確保することは難しくなってしまいます。
しかしながら、人財の育成には時間がかかります。「人材」は雇うことができますが、「人財」を雇うことは難しく育てるものだと言います。従って、人財への投資が本当の意味で「将来に向かっての投資」であると考えています。
長期と短期のバランスをとることがマネジメントの宿命です。目先の利益最大化だけを目指していては明日は保証されません。しかし、いまの利益が確保されなければ明日の準備はできません。人のもつ知識と経験を活かして今日の利益を実現し、そのことを通じて知識と経験の幅またはレベルを高めることで明日への準備をしていく仕組み創りが組織には必要です。

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