2012年4月15日日曜日

PFドラッカー365の金言より 255

<< 本文 >>  「未来企業」
NPO(非営利法人)の成功の根底にあるものがマネジメントである。40年前、NPOにとってマネジメントとは営利活動を意味する汚い言葉だった。NPOは営利とは無縁であることを誇りにしていた。
しかし今日、NPOの大半が、収支という基準を欠いているからこそ企業以上にマネジメントが必要なことを知っている。NPOは善を為すためにある。だが、今日彼らは、良き意図といえども、組織、リーダーシップ、責任、仕事、成果に代わることはできないことを知っている。

(コメント)
昨年、労働紛争のご相談があるNPOからありました。数か月間、ご相談に応じていたのですが、お話しは段々とNPO内部の人間関係に終始するようになってしまいました。当初から私は「どんな成果があがったらNPOの目的が達成されつつあると判断されるのですか?」とお尋ねし続けてきました。要するに、目的が共通していない、目的が明確でなく各自が自分なりの目的を持っている、そのため目的達成の為の手段・方法が適切なものでなく、かつその成果を評価する物差しがない(企業の場合には「利益」という物差しがある)から、NPOが組織として纏まらない結果となり、中には甘えや驕りが入り混じり、組織が組織として機能せずに単なる人間集団に終始してしまっているのではないかとお話しし続けてきました。結局、NPOの評価は個人の感情(好きか嫌いか)で判断せざるを得ない状態となっている訳です。
その後、このNPOさんはご相談に来られなくなりましたから、労働紛争がどのようになっかは分かりませんが、このような事例は一般企業でもよくある事例です。私財を投入して赤字の企業を存続させ続けている社長さんも沢山いらっしゃいます。この場合は、確かに一般企業なのですが、価値判断の基準が利益ではなく、企業の存続維持だけに終始していますから、事業再生は大変に難しいものになります。大半の場合は、社長の私財が底をつき、社長個人の感情による判断と評価ではなく、利益を上げ会社を維持しなければ倒産してしまうということを社長が本当に認識したときからが事業再生となってしまう場合が多いようです。
企業を存続させ、かつ将来への投資資金が確保できるだけの「適正利潤」を得ることは必要なことです。利益とは汚い言葉ではなく「社会への貢献を示す指標」だと私は考えています(暴利を貪ることには反対しますが)。組織から「共通の目的」「それに基づく目標」「実績に対する評価基準(≒利益)」が無くなったとき(不明確になったとき)に、その組織は衰退への道を歩み始めるのではないでしょうか?

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