2012年2月18日土曜日

PFドラッカー365の金言より 189

<< 本文 >>  「現代の経営」
利益は事業活動の究極の判断基準である。
利益には3つの役割がある。
①事業活動の有効性と健全性を評価測定する指標としての役割。
②設備他の陳腐化、更新、リスク、不確実性をカバーする役割。
この観点から見るならば、所謂、利益なるものは存在しないことになる。事業継続のコストがあるだけである。こうしたコストをカバーすることは企業の責任そのものである。
③事業のイノベーションと拡大に必要な資金調達を可能にする役割。
である。
問題は、「利益は十分か?」である。未来のコスト、企業存続のコスト、創造的破壊のコストを賄うに十分な資本形成を行っているかである。

(コメント)
利益を判断基準にせず、売上を判断基準にしている会社は、いまでも沢山あります。その結果、そのような企業は倒産への道を静かに歩んでいくことになります。先日もある土木建設業の中堅企業から、売上は昨年より伸びているのだが資材が高騰しているため赤字受注が増え、2期連続で赤字となり債務超過に陥った会社からリストラ(事業規模縮小)の相談がありました。
先生は利益(企業が生み出す付加価値)の役割を上記3つにされていますが、昨今の状況を考えると私は、
①-1既存の設備の更新に備えるための利益(=減価償却)
①-2新規(拡大)投資や変革に伴う費用を賄うための利益(=投資)
②リスクや不確実性に備えるための利益(=内部留保利益)
③株主・金融機関への配当・利子のための利益(=配当・利息)
の3分類(4分類)に分けて予算建てすべきと思います。
その上で、この利益(付加価値)を生むために、どのような企業(営業)活動を行い、幾らの売上が必要なのかを算出して予算(目標)を策定すべきではないでしょうか?
そして更に重要なことは、本当に利益が出ていれば現金・預金が増える筈であるということです。税理士が使用する税務申告用の損益計算書ではこれが把握できません。例えば、期末在庫を増やせば利益はでるのです。従って、日々、月々の営業活動の利益を把握するためにはキャッシュフロー計算書(特に営業活動によるキャッシュフロー)で「現金・預金の増減」を把握することが必要となります。
そして更に重要なことは末尾にあります。日本の常識は世界の非常識と言いますが、日本の中小企業の多くは投資(上記①-1と①-2)をしようとするとき、直ぐに銀行から借りれば良いと考えてしまう傾向があります。しかし、先生は「普段から(内部留保として)少しずつ蓄えておくべきである」と指摘されています。

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