2012年2月20日月曜日

PFドラッカー365の金言より 191

<< 本文 >> 「乱気流時代の経営」
収益とは、マネジメントの仕事ぶりの尺度ではなく、事業の成果の尺度である。事業の成果は、前任のマネジメントの仕事ぶりの結果である。
(その人の)マネジメントの仕事ぶりとは、主として明日に備えた仕事をすることを意味する。
事業の将来は、4つの分野における今日のマネジメントの仕事ぶりによって左右される。
投資である。投資収益率を期待に照らして評価しなければならない。
人事である。人事の成果は評価不能ではない。かなり容易に評価できる。
イノベーションである。研究開発の成果は評価できる。
戦略である。期待したことは起こったか? 目標は正しかったか? 目標は達成されたか?
である。

(コメント)
この教えは「今期利益が増えたから新しい社長は有能だ」と考えることは間違いであると教えています。今期の利益は、前任社長の投資、人事、イノベーション、戦略が成果として結びついた場合がおおいのです。
顧問先のある部門で今期とても業績を伸ばしている部門があります。この会社の経営者は、「今度の新しい部長は優秀だ」と評価していますが、私が見る限り前任の部長が部下を育て、業務改革を行い、いまの部長は前任部長のたてた戦略を継承実行しているにしか過ぎないように見受けられます。前任部長の成果がタイムラグを経て、いま成果として現れ始めているのだと思っています。ただし、正しい戦略を引き継ぎ、正しく実行している今の部長もそれなりに良い仕事ぶりだとは思っています。
地位が上にればなるほど、その人が考えて実行したことの成果が数字として現れるまでにはタイムラグが発生してしまうことが多いのが実情ですから、人の仕事ぶりを評価するときには注意したいものです。特に、マスコミの短視眼的評論に振り回されないことが大切です。書籍「エクセレント・カンパニー」でも著者は「大きな歯車を最初はユックリと一人で回し始めて、そのうちに徐々に加速して仲間を増やしていくようなもの」と表現されています。
そして、自らの仕事ぶりを自らが評価するときには、①投資、②人事、③イノベーション、④戦略の成果という4つの視点から評価することが必要です。そして更に、現業に近い人ほど「現在」の仕事をし、地位が上になるほど「明日」に備えた仕事をするのが役割であると考えた方が良いと思います。従って、社長や部長が今日の仕事に翻弄されているようでは、社長や部長は本来の役割を果たそうとしていないことになると思います。取締役会や役員会が、いま発生している問題解決に翻弄されていませんか?

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