2012年3月6日火曜日

PFドラッカー365の金言より 205

<< 本文 >>  「非営利組織の経営」
幸か不幸か、いかなる組織も危機に襲われる。そのときがリーダーに頼るときである。
リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。回避するためでなく備えるためである。危機の到来を待つことは責任の放棄である。暴風雨を予期し、先手を打たなければならない。災厄の到来を防ぐことはできない。だが、それに対処すべき態勢の整った組織、すなわち士気が高く、とるべき行動を知り、自信に溢れ、互いに信じ合う組織をつくることはできる。
訓練において重要なことは、将校への信頼を兵士に染み込ませることである。信頼なくして戦うことはできない。

(コメント)
東日本大震災の後から、どの会社でも危機管理の大切さを意識されるようになりました。そして、災害発生時に備えてマニュアルをつくったり、災害訓練を行ったりされています。しかし、危機は自然災害発生のとき以外にも発生します。機密情報漏えい、個人情報漏えい、金銭的不正事件、その他個別労働紛争など挙げればきりがありません。それぞれに対して規則やマニュアルをつくることも大切なことですが、私は本文末尾の2行が特に大切であると考えます。上司と部下の間に「普段からの信頼関係」が構築されていなければ規則やマニュアルがあったとしても、個々人がそれぞれ自分なりにそれを解釈し個別行動をとってしまい、かえって危機を増長させしまいます。
過去、温風ファンヒーターでパナソニックさんは見事な組織行動をとられました。同時期に同じ問題が発生した同業者は組織行動の選択を誤りました。
普段から組織の中に信頼関係が構築されているか否か、またその信頼関係をもとに予めマニュアル(手順書)が決められているか否かによって、同じような危機に見舞われても、結果に大差が現れるようです。
いずれにしても、「訓練の目的はマニュアルを周知させることではなく、上司と部下の信頼関係を普段から構築することにある」という先生のご指摘は大切なことだと考えます。
いま私にご相談頂いている案件の中に、NPOが従業員を解雇した処、その従業員が提訴してきた案件があります。そして、この案件の一番の問題は、裁判ではなく、NPO内部で理事相互に間に信頼関係が構築されていないことです。これでは裁判という争いの場で勝てる訳がありません。

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