2012年3月11日日曜日

PFドラッカー365の金言より 210

<< 本文 >>  「非営利組織経営」, eラーニング教材「人事の意思決定」
人事に完璧はない。しかし、人事に成功している者はいる。彼らは5つのルールに従っている。
①人事の失敗に責任を負う。自らが任命して、成果をあげられなかって者を責めることは責任逃れである。人事を行った者が間違ったのである。
②成果をあげられなかった者を再度動かす責任を果たす。そのままにしておいたのでは、他の者の迷惑であって全体の士気にかかわる。
③新しく任命された仕事で成果があげられなくとも辞めさせたりしない。適材適所でなかったに過ぎない。
④常に新しい人事を行うように努める。組織としての仕事ぶりは一人ひとりの働きによって規定されるが故に、人事は常に適切に行わなければならない。
⑤外部からスカウトしてきた者には、何を期待されているかが明らかであって、しかも手助けし易い仕事を与える。新しい大きな仕事は、仕事のやり方が明らかであって、かつ組織内で信頼されている者に担当させる。

(コメント)
上に立つ者として大変に重要な考え方です。
いま、私の顧問先で来期に向かっての新しい組織創りをされようとしている会社があります。この会社は過去3年間、経常利益では辛うじて黒字なのですが、営業利益が3年間連続して赤字でしたから(今期は見込み)、黒字体質に転換できるようにヒト・モノ・カネ・情報・時間の使い方を改める必要があるのです。このときに従来の責任者(現場のトップ)の処遇をどうするかという問題が発生しています。いまのままにしておこうという考え方が支配的ですが、私はこれには反対しています。2回(3年間)再チャレンジをさせても成果を上げることができなかった訳ですから、いままでと同じ地位と権限で来期もやらせようという考え方は、本人に対して冷酷であり、部下に対して無責任であると私は考えます。このような場合には、この人を今の地位につけたのは人事権のある人の責任ですから、
この人の給与は従来通りの額を補償して権限と責任が軽い地位につけて再チャレンジさせ、新しい責任者を任命することが必要であると私は思います。
また、新しい仕事を新たな中途採用者にさせようとするケースが現場ではよくあります。しかし、これも間違った考え方です。新しい仕事は、自分達でさえよく理解していませんから、中途採用者を指導することはできません。中途採用者には、自分達がよく理解できる仕事を任せて、いつでも中途採用者を指導育成できるうにして、新たな仕事は従来から会社に在籍して信頼がおける人が担当すべきです。
人事は人間のやることですから、間違えてしまうこともあります。論語に「誤りに気づいて、誤りを直そうとしないことが本当の誤りである」という教えがあります。間違った人事をしてしまったときには、躊躇せずに再度の人事異動を図るべきです。

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