2012年3月25日日曜日

PFドラッカー365の金言より 224

<< 本文 >>   「新しい現実」「明日を支配するもの」「ネクスト・ソサイエティ」
雇用の担い手としての製造業の地位の低下は、間違いなく新たな保護主義をもたらす。最初の反応は、寒風から自らの庭を守るための障壁の構築である。しかし、いかなる障壁といえども、国際水準に達していないものを守ることはできない。さらに脆弱にするだけである。
成果をあげうるうえでの最大の障害は、われわれの視野を狭める昨日の問題である。

(コメント)
過去のものとなった既得権を守ろうとすると、視野が狭くなり、成果をあげられなくなってしまう。自国の産業を国際競争から守るために保護すると、自国のその産業はぬるま湯に浸かってしまい、寧ろ脆弱化してしまうことは過去の歴史が証明しています。
いまの日本経済は正にこの状態に陥る危険性を孕んでいるのではないでしょうか? パナソニックほかの家電業界が韓国と中国の家電メーカーに敗れ、電子部品のエルピーダは韓国のメーカーに敗れてしまっています。一方では、労働者保護を表題として労働市場に対する法的規制は厳しくなるばかりです。このまま労働者偏重の法規制を行っていると、日本のメーカーは他国と比較して労働条件が厳しい日本国内から海外に移転し始めます(既に移転し始めています)。
アメリカのGEは一端は倒産しましたが、それまでボトルネックとなっていた労働者の医療保険と退職金に関する足枷を無くすることで見違えるような返り咲きを果たしました。日本のJALにしても、稲盛翁が既得権を主張する労働者に対して「あなた方の会社は既に倒産したんですヨ!!」と訴えかけて意識変革を迫ることで急激な業績改善を果たしました。
過去の約束や既得権を主張しても、それを維持する体力が会社になければ、会社は倒産し、主張していた労働者は自ら職を失ってしまいます。もし、それを地域労組のような部外者が会社外部から主張するとすれば本末転倒です。地域労組は会社が倒産しても自らに痛みはありません。
自国資源の乏しい西洋(ヨーロッパ)諸国は、「ISO基準」「個人情報保護」など資源も資金も必要ないことを世界に普及させることで自国経済を守りました。
現実(事実)を直視し、自らの体力と力量(競争力)を考え、法律に偏重した考えで権利を主張するのではなく、「人としての道(徳治)」と「法治」のバランスをとりながら現状を打開する対策を会社と従業員とが共考・共業することが必要な時代となっているようです。

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