2012年3月13日火曜日

PFドラッカー365の金言より 212

<< 本文 >>  「傍観者の時代」
正しい人事のために4時間かけなければ、あとで400時間とられる。
私が傍聴していた頃のGMの役員会では、設備投資、海外進出、車種別事業間のバランス、労使関係、財務構造など戦後の経営政策について基本的な決定を行っていた。ところが私は、これら経営政策に比べるならば不釣り合いなほど小さな人事に、かなりの時間を費やしていることに気がついた。ある日には、ラインのはるか下のポストの人事に何時間もかけていた。
そこで当時のCEOのスローンに訊いた処、「GMは重要な決定を行うためにかなりの報酬を私に支払っている。デイトンのあの職長の人事が間違ったら、たくさんの決定が画に描いた餅になる。決定を具体化するのはあのポストだ。時間がかかることなど何でもない。正しい人事を行うために4時間かけなければ、あとで400時間とられる。そんな時間はない。本当に重要な決定は人事だ。何でもこなせる優秀な人間を手に入れれば良いという人がいる。そうではない。我々にできることは人事だけである。成果をもたらすのは人事である。」というものだった。

(コメント)
昔しから「適材適所」の必要性がよく言われますが、これほど難しいことはありません。その人の「強みを活かせ」とも言われますが、「強み」が何であるか把握するのは難しいものがあります。
そこで、会社が解決すべき問題又は課題を明確にして、それを解決するために諸策を実行する人が重要となります。そのときに、その人の過去の失敗と成功を踏まえて、その人の「強み」であろうことで、会社の問題・課題が解決できる可能性があるか否かで適材であるか否かを判断せざるを得ません。このときにその人の「弱み」「弱点」を問題にしてはいけません。
トップが良い意図を持っていても、実行する現場がそれを実行する能力がなければ「良き意図があった」で終わってしまいます。現場責任者の人事は極めて重要です。
GMのような大企業ならば人材は腐るほどいる筈ですが、GMでさえ人事は慎重に時間をかけて決定していたのです。ましてや、人材の乏しい中小・中堅企業においてや、それが必要なことは言うまでもありません。しかし残念ながら、中小・中堅企業のトップは日常業務や現業に追われ、人事を慎重に検討する時間が無いようです。その結果、悪循環を繰り返しているのではないでしょうか?

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