2012年3月1日木曜日

PFドラッカー365の金言より 200

<< 本文 >> 「非営利組織の経営」
組織のリーダーを選ぶには何を見なければならないか?
第一に、その人が現在に至るまでに「何をしてきたか」、「何が強みか」を見る。成果をあげるのは
強みによってである。従って、「その強みを活かして何をしてきたか」を見る。
第二に、組織がおかれている状況を見て、行うべき重要なことは何かを考える。そして、そのニーズに強みを合わせる。
第三に、真摯さを見る。リーダー、特に強力なリーダーとは模範となるべき者である。組織内の人達、特に若い人達が真似をする。
ずっと前のことだが世界的な規模の大組織のトップを務めるある賢人から大事なことを教わった。「重要なことは、我が子をその人の下で働かせたいと思うか?」である。これが人事についての究極の判断基準である。

(コメント)
ここ数年、私はある中小企業のトップ人事を決めるお手伝いをしています。今のオーナーには子供がいないので、甥に継がせたいのですが、甥の人格に問題があると判断しているため、中継ぎにサラリーマン社長を入ってもらい、その間に甥を鍛え直そうとされているのです。このオーナーの人選に対する基準を上記の先生の教えに照らすと先生の教えが大変よくわかります。
第一の指摘は、その人の「強み」が大切であるということです。ただし、その人が自ら言う「強み」と実態とは必ずしも一致しません。そのため、その人が過去に行ったこと(成功事例、失敗事例)を訊きだして、その中からその人の本当の「強み」を推測するしかありません。そして、推測が正しいがどうかをテストするために、些細なことを依頼してみることが必要です。織田信長が自らの小姓を選ぶときに、織田信長の足の爪を切り取ったものを捨てるように指示してテストしたそうです。他の小姓は指示された通りに捨てましたが、森蘭丸だけは爪の数を数えて9個しか無いことを信長に告げ、衣服に残りの一つがついている可能性があることを告げたそうです。森蘭丸は小姓ですが、信長直轄の小姓ですから、信長からの伝言を武将に伝えてり、配下の小姓に指示を出す役割がありますから、リーダーとしてかなりの権限を持つ立場にいたと言えると思います。
第二に、会社にとって重要な問題を解決する能力があるか否かを判断しなければなりません。できれば、その人の「強み」が発揮できる分野と会社にとって重要な問題が属する分野とが同じであることが望ましいのです。私の相談先の重要問題は、技術力の低下とマーケティング能力の向上、そして後継者の育成です。
第三に、真摯さです。真摯さは全ての能力に優先する事項です。私は、「真摯さ」を「真面目にコツコツと目的に向かって継続してやり抜く力」と理解しています。上記の相談先には、生え抜きの幹部や銀行を定年退職してこの会社に入社した幹部、地元の大手企業から定年後に移籍した幹部等がいます。生え抜きの幹部と銀行から移籍してきた幹部は、自ら責任を引き受けようとせず逃げる習性があるので部下から信頼されていません。地元大手企業から移籍した幹部は、指示されたことを確実に行おうとしますが、自ら率先して課題を見つけ出し問題を解決していこうとはしません。結局、現在のオーナーは、その人に甥の教育をゆだねることになりますから、真摯さを重視されたようです。
私が思うに、優先順位は先生の指摘の逆の順番で丁度良いと考えます。まず最初に「真摯さ」で選別する。次に会社の課題・問題はどうすれば解決できるかを考える。そして最後に、その人の「強み」をその人の過去の「実績」と「失敗」から判断(その人が口頭でいう強みを鵜呑みにしない)して人選するという順番です。ただし、このときに会社の課題・問題を解決する能力が自らにあるか否かを問題にするのではなく、部下を使って課題・問題を解決する能力があるか否か(リーダーシップ)を問うことが大切です。ケースにもよりますが、自らで解決する能力を備えている人は、問題を一人で抱え込む傾向がありますから、リーダーに不向きな場合も多々あります。

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