2012年1月2日月曜日

PFドラッカー365の金言より 142

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あらゆる生産手段のうち、人的資源ほど効率の悪いものは無い。この人的資源の活用に成功した僅かな企業が、生産性と産出量の飛躍的な向上を実現する。人的資源こそ生産性向上の主たる機会である。従って、今日関心を集めている設備や技術のマネジメントではなく、人材のマネジメントこそが最大の関心事でなければならない。
しかも我々は、人的資源の生産性をもたらす鍵が何であるかを知っている。報酬や手法ではない。考え方としてのマネジメント的視点である。仕事と製品をマネジメントする目で見ること、すなわち、それらのものを「全体との関連」において見ることである。

(コメント)
この和訳に私はかなりの抵抗を覚えます(①ヒトを資源として扱っていることと、②人的資源を効率が悪いものと決めつけていること)。しかし、PFドラッカー先生が伝えたいことには同感します。
企業はヒト・モノ・カネ・情報を活かすことが大切といわれますが、どんなに優秀な「モノ・カネ・情報」があったとしても、それを使いこなせる「ヒト」がいなければ、それらは充分な成果となって現れることはなくなります。
急成長していた企業が急に失速する大半の理由は人財不足にあります。また、老舗が長寿する所以は「ヒトを大事にして、ヒトを育てること」にあるようです。ただし、「ヒトを大事にする」とは従業員を甘やかすという意味ではなく、寧ろ厳しく躾けて教育しています。
企業の盛衰は、経営者を含めたヒトにかかっていると言っても過言ではありません。
そして、PFドラッカー先生が「人的資源の生産性をもたらすものは報酬や方法ではなく、考え方だ」と断言されている点に留意すべきです。
その結果、ヒトを育てる要点は「全体との関連において考える習性」を身につけさせることだと思います。この習性を身につけると、感情ではなく客観性と論理性が身につきます。
その為には、何か考えたり決断したりするときに人間は目先のことにばかり左右されがちですが、「チョット待てよ!! 全体的視点から考えてみよう(鳥瞰する)」とすることを習慣化することが必要です。この習慣は最初は煩わしくかつ時間が惜しいような気がしますが、会得すると無意識に然も瞬時にできるようになります。「何か変だ」と気づけるようになります!!
それ故に、労務管理、特に人財教育は大切なことなのです。
よく「現場に経営者の視点を持たせることが大切だ」という人がいます。しかし、ここで注意しなければならないことは「経営者(≒マネジメント)の視点」とは「損得勘定」だけではなく「全体との関連」において考えることだということです。これが出来ていれば雪印事件、赤福事件、吉兆事件、エンロン事件他の企業不祥事はかなり防げたのではないでしょうか?
人材が「人財」となるか、「人罪」となるか? それはマネジメントと本人次第です。

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