2012年1月21日土曜日

PFドラッカー365の金言より 161

<< 本文 >>  「新しい現実」
マネジメントとは人にかかわることである。
マネジメントの役割は、人が共同して成果をあげることを可能にし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。これが組織の目的である。従って、組織にとってマネジメントは決定要因である。
マネジメントとは、「個の責任」と「コミュニケーション」を基盤とするものである。組織の成員すべてが、自らの目標を考え、他者がそれを理解していることを確かめなればならない。同時に、自らが他者の恩恵を被っていることを考え、他者がそれを理解していることを確かめなければならない。更に、他者に期待していることを考え、他者がそれを理解していることを確かめなければならない。
マネジメントは、ニーズと機会の変化に応じ、組織とそこに働く者を成長させなければならない。

(コメント)
大変に重要な箇所です。
第一行目で「マネジメントは人にかかわることである」と先生は言われています。野球界では「名選手必ずしも名監督ならず」と言われます。また実務でも、財務・経理に長けた人が長になった、売ることが上手い人(業績をよく伸ばした人)が出世して長になっても必ずしも経営が上手くできる訳では無い(これらの技術・知識・経験とマネジメントで必要とされるものとは別なもの)ことが多いようです。
私論ですが、「過去の成果と貢献だけを見て昇格させ部下をもたせていると、寧ろ悲惨な状態になることがあります。個人としての成績を上げるときに必要とされる能力と、上司としてチーム成績を上げるために必要とされる能力とは別なものです。課長職以上の昇格に関しては、人を動かす能力があるか否かも考慮してください」と依頼しています。
二段落目は昔から「組織の原則」=「テコの原理」と呼ばれているもので、組織はその成果が「1+1=2」では失敗であり、「1+1≧3」となって初めて上手く運営されているということになります。
三段落目では二段落目で必要となることを具体的に説明されています。「個の責任」を明確にして「コミュニケーション」することが大切となるのです。
①「自らの目標を考え」、
②「それを協働者に伝え理解してもらい」、
③「自らの仕事は他の人の仕事によって支えられていることを自ら考え」、
④「自らが考えた③の内容をその人に伝え」、
⑤「自らが他の協働者に期待することを考え」、
⑥「⑤の内容をその人に伝えること」
が必要なのです。何か酷く難しいことを言われているような気がしますが、経営の神様と言われる松下幸之助翁は「私は〇〇〇をしたいのだが、もしあなたが×××をしてくれ△△△という成果を上げてくれると大変に助かる。もし、あなたが△△△という成果を上げてくれると、あなたは□□□という良い状態になり、私は◎◎◎という良い状態になれるのだが、やって貰えないだろか?」と問いかけて、本人が了解したら依頼したそうです。
簡単に言えば、「各自の役割と責任」を明確にして、各自が自分だけの思い込みに走らないよう相互に確認するためコミュニケーションをするということが必要であるということではないでしょうか?
労働紛争の相談や、経営危機を乗り切る相談を承っていて、これらのことが出来ていなかったからそのような状態に陥ってしまっていたということは良くあることです。最近の傾向として、個の責任はそれぞれよく考えられるようになっています。しかし、自分が考えた自分の責任を協働者に伝えて間違っていないか確認をしないので、それが独善的判断で終わり、協働者との擦れ違いが生じ、そこから組織としての無駄が生じたり、組織と個人の葛藤が始まっているケースが増えています。昔のように上司から言われたことだけを黙々と実行する人は減り、各自それぞれ自分なりに考える時代となりましたから、今まで以上にコミュニケーションが大事な時代となっています。しかも本当のコミュニケーションはメールや文章だけでは充分な成果をあげることはできません。顔と顔、お腹とお腹を向かい合わせて話しをすることが大切だと考えます。
最終段落も大切です。マネジメントには「人を成長させる」責任もあると先生は言われています。しかも「ニーズと機会の変化に応じて」成長する機会を与えることが必要だと言われています。そのため、OJTは不可欠です。人間は、ニーズと機会が目の前にあっても必ずしもそれに気づくとは限りませんから、マネジメントの役割としてそれを本人に気付かせるようにする努力が必要となります。

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