2011年9月17日土曜日

PFドラッカー365の金言より 35

(1)マーケティングにかかわる最も重要な目標は市場シェアである。
    市場シェアとして狙うべきは、上限ではなく最適である。
(2)利益額と利益幅(率)とは異なるものである。
 利益幅(率)信奉は競争相手に傘を差しかけることになる。

(コメント)
(1)市場を独占・寡占してしまうと、イノベーションに対して抵抗するようになります。
一昔前のIBMはコンピューターの市場をほぼ独占していました。その結果、オフコンに代わるパソコンが出現したときに、パソコンは玩具のようなものとして無視してしまいました。正確には、無視せざるを得なかったのです。何故ならば、パソコンよりオフコンの方が単価が高く利幅も大きかったので、既存客がオフコンからパソコンに切り替えることを阻止せざるを得なかったようです。その結果、IBMは衰退し、マイクロソフトが台頭しました。
大昔にプロ野球で巨人軍が連勝連覇を続けていたときには、プロ野球の視聴率は落ちてしまったそうです。競争状態にないとマンネリ化して技術の向上が望みにくくなり、その結果、市場関係者(消費者)は関心を持た無くなってしまうようです。
どの企業も市場を独占している状態ではなく、適度な競争状態を保ちイノベーションが行われやすい市場状態となっていなければ、ある日突然に他業種から新規参入業者が参入し、市場をひっくり返されてしまうことがないようにしなければなりません。
しかし、競争状態は、当事者からすれば「ヒヤヒヤ、ドキドキの連続でたまったもの」ではありません。そのためには、各社がある程度は差別化され、しかも適度な競争状態が保たれることが必要となります。そして、市場の大きなトレンドの変化を見落とさないようにすることが大切です。

(2)新規参入業者の新規参入手口として、最初は低価格で市場に参入し、次第に技術レベルを上げて行って上質市場にも進出していく手法があります。大昔の日本の自動車産業はアメリカにおいてこの手順で市場に参入しました。また最近では、韓国のサムソンも同様の手口で市場参入し、いまでは世界一のメーカーになっています。
新規参入業者が現れたときに、既存業者が陥る罠は「利益幅信仰」です。
そして、既存業者が気づいたときには市場を新規参入業者に占拠されてしまっていることがシバシバあります。
大切なことは「利益額を確保する」ことであり、「利益率は分析するための道具にすぎない」ということではないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿