2011年9月29日木曜日

PFドラッカー365の金言より 47

企業経営においては、利益よりもキャッシュの方が先に問題になる。「債務は2カ月早く決済しなければならず、債権は2カ月遅く決済される」と考えるべきである。キャッシュがなければ、利益の数字も虚構に終わる。
財務のマネジメントは、キャッシュフロー予測によって容易に行うことができる。ここで言う予測とは、希望的観測ではなく最悪のケースを想定した予測である。最小限でも「売掛金」と「在庫」と「人件費」の増減に目を光らせてください。

(コメント)
まず最初に、損益計算書で利益が出ているということは、キャッシャが増えていることを必ずしも保証しないということを理解する必要があります。利益が出ていても、在庫が増えていたり、回収不能の売掛債権が増えているときにはキャッシュは増えません(寧ろ減ってしまいます)。
自分自身が倒産して、よく理解したことがあります。企業は赤字だから倒産するのではなく、キャッシュ(お金)が不足するから倒産してしまうのだということです。赤字でもキャッシュが続く限りは倒産しません。「倒産手続き」を裁判所に申請しても、この点を重点的に調べられます。そして、色々な企業の事業再生をお手伝いした経験上からも、そのことを納得しました。
上記文末の「売掛金」「在庫」「人件費」のうちの「人件費」は私独自で追記したものです。業種によってキャッシュフローの変化をチェックする際の注意点は違いますが、私の経験則からするとこの3点はどの業種にも必要なチェック・ポイントのようです。
また、ドラッカー先生は「債務は2カ月早く、債権は2カ月遅く決済される・・・」と言われることで、2カ月分以上の現預金を余裕資金として確保する必要があることを説かれていますが、中小企業の実務では中々平均売上の2カ月分の余裕を持つことは難しいようです。しかし、余裕資金が1カ月を下回る状態に陥ったときは危険信号であると思った方が良いようです。特に、成長著しい企業においては、将来に対する予測が楽観的になり、余裕資金を投資に回してしまい窮地に陥ることが多いので注意が必要です。

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